この記事でわかること
- BGとPGの形の違いと、共通の役目
- かぶれの検査で反応が出る人の差
- 成分表での見分け方と選び方
BGとPGは成分表でよく見かける名前ですが、似た成分なのに「PGは避けたほうがいい」と聞くと、何が違うのか気になりますよね。
結論から言うと、BGとPGはどちらも肌にうるおいを与え、ほかの成分を溶かすために入る、役目のよく似た成分です。違いがはっきり出るのはかぶれの検査で、PGに反応する人はBGより多めです。ただ、PGが危険でBGが安全、と二つに分けられるわけではありません。まずは形の違いから見ていきましょう。
BGとPGの違いは、炭素の数と水となじむ部分の位置
BGとPGの違いの出発点は、分子の形です。BGは炭素が4つ、PGは炭素が3つの鎖で、水となじむ部分のつく位置も違います。
数字は炭素の順番です。水となじむ部分のつく位置が違います。
BGは化学の名前を1,3-ブチレングリコールといい、炭素4つの鎖の1番目と3番目に水となじむ部分がつきます。PGはプロピレングリコールの略で、化学の名前は1,2-プロパンジオールです。炭素3つの鎖の1番目と2番目、つまり端とそのとなりにつきます。
どちらも水となじむ部分を2つもつアルコールで、グリセリンと同じ多価アルコールの仲間です。名前のよく似たプロパンジオールは、炭素3つの鎖の両端に水となじむ部分がつく別の成分です。
名前の一部が似ていても、成分表ではそれぞれ別の成分として読みましょう。
役目はどちらも、保湿とほかの成分を溶かすこと
BGとPGは、化粧品の中でほぼ同じ役目をもっています。肌にうるおいを与えて乾燥を防ぐ保湿剤としての役目と、ほかの成分を溶かす液としての役目です。
肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。このバランスが崩れると、角層から水分が逃げて乾燥します。BGやPGは水となじむ部分をもつ成分で、角層に水分を与えて乾燥を防ぐ保湿剤として働きます。
BGやPGは水となじみ、角層にうるおいを与えて乾燥を防ぎます。
使い心地では、PGはグリセリンに比べて湿気を吸う力が低く、とろみも少ないので、さっぱりした使い心地になるとされています。BGもグリセリンよりとろみが少なく、さらっと軽い仕上がりです。PGはほかの成分をよく溶かすので、溶けにくい成分を混ぜる手助けにも使われ、BGは植物エキスを取り出したり薄めたりする液としてよく使われます。くわしくはBGの記事で解説しています。
PGには微生物を抑える働きもあるとされ、BGも高い濃度では同じような働きを見せます。それでも、BGもPGも、国の化粧品基準で決められた防腐剤のリストには入っていません。入っているから防腐剤がいらなくなるわけではないのです。
BGとPGは、軽いうるおいと溶かしやすさを受け持つ成分と考えるとわかりやすいです。
かぶれの検査で反応が出る人は、PGのほうが多い
BGとPGでいちばん違うのは、かぶれの検査で反応が出る人の多さです。PGは、化粧品や医薬品、食品に広く使われ、肌に触れてかぶれる反応や、刺激による反応が報告されている成分だからです。
PGは、アメリカの接触皮膚炎の学会が2018年のアレルゲン・オブ・ザ・イヤーに選んだ成分でもあります。皮膚科のパッチテストで両方を調べると、PGに反応した人は5.94%、BGに反応した人は1.46%だったという結果があります。
パッチテストで反応が出た人の割合で、PGはBGより反応が出る人が多めです。
別の検査の結果でも、PGに反応した人は2.79%で、PGに反応する人の割合が年を追って増えていたという報告もあります。ただし、これらはかぶれの疑いで皮膚科の検査を受けた人の中での数字で、一般の人がBGやPGでかぶれる割合ではありません。また、PGは弱いながらアレルギーを起こすことがある一方で、刺激による反応も出るため、検査の反応がアレルギーなのか刺激なのか見分けにくい成分とされています。
数字は、PGのほうが反応が出やすいという傾向として受け止めましょう。
BGにかぶれる人は、PGにも反応しやすい
BGにかぶれる人は、PGにも反応しやすいことがわかっています。BGとPGは形が似ているので、片方にかぶれる人がもう片方にも反応することがあるからです。
BGに反応した人のうち46.2%がPGにも反応していたという結果があります。反対に、PGに反応した人のうちBGにも反応したのは11.3%にとどまりました。この結果から、BGにアレルギーがある人は、PGにも反応しうると考えるべきだとされています。
どちらにかぶれたかで気をつける範囲が変わるので、どこまで避けるかは皮膚科で相談して決めるのが確かです。
評価ではどちらも安全。PGには刺激が出ないようにという条件つき
アメリカで化粧品成分の安全性を評価する専門家パネルは、BGもPGも化粧品に使うのは安全と結論づけています。ただしPGには、刺激が出ないように配合すれば安全という条件がついています。
BGは、今の化粧品での使い方において安全とされました。PGは、一般に毒性は低く、発がん性もないとされ、使われている濃度ではアレルギーが起きないことが人の試験で示されています。それでも刺激への心配が残ったため、BGにはない条件がつきました。
日本の化粧品基準では、BGもPGも、配合を禁止したり量を制限したりする成分のリストに載っていません。ただ、上限がないことは、いくら入れても安全という意味ではありません。
どちらも、今の使い方なら安全という評価が出ている成分です。
医薬部外品では、PGは名前を書く決まりの成分
今も医薬部外品には、名前を書かなければならない成分を国が決めた一覧があり、その108番目にプロピレングリコールが入っています。BGはこの一覧に入っていません。
日本では1980年から、化粧品は国が指定した102種類の成分について名前を書く決まりでした。この指定は2000年の通知で廃止され、化粧品は配合したすべての成分を書く、今の全成分表示に変わっています。かつて指定されていた成分は、今も旧表示指定成分と呼ばれることがあります。
化粧品の成分表では、BGは「BG」、PGは「PG」と略して書かれます。医薬部外品では、BGは「1,3-ブチレングリコール」、PGは「プロピレングリコール」と書かれることがあります。
略した名前と正式な名前の両方を覚えておくと、見落としません。
かぶれたことがなければ、選び分けなくていい
これまで肌に問題が出ていない人は、BGやPGが入っているかどうかだけで製品を選び分けなくて大丈夫です。どちらも、今の使い方なら安全という評価が出ている成分だからです。
一方で、皮膚科のパッチテストでBGやPGにかぶれると診断された人は、成分表で両方の名前を確かめましょう。とくにBGにかぶれる人はPGにも反応しやすいので、PGも避ける候補に入れておくと安心です。PGは医薬品にも使われることがあるため、医師や薬剤師に伝えておきましょう。名前の似たプロパンジオールやジプロピレングリコールは別の成分です。
使っていて赤みやかゆみが出たら、使うのをやめて皮膚科に相談してください。
まとめ
- BGは炭素4つの1,3-ブチレングリコール、PGは炭素3つのプロピレングリコールで、水となじむ部分の位置も違います
- どちらも角層にうるおいを与える保湿と、ほかの成分を溶かす役目をもつ多価アルコールです
- 皮膚科の検査では、PGに反応した人は5.94%、BGは1.46%で、PGのほうが多めです
- BGにかぶれる人はPGにも反応しやすく、評価ではどちらも安全としつつ、PGには刺激が出ないように配合するという条件がついています
- 医薬部外品ではPGは名前を書く決まりの成分で、BGは「1,3-ブチレングリコール」と書かれることがあります
BGとPGは、役目はほぼ同じで、違いが出るのはかぶれの反応の出やすさです。かぶれたことがない人は気にしすぎず、診断を受けたことがある人は成分表で両方の名前を確かめてみてください。
よくある質問
BGとPGの違いは何ですか?
炭素の数と、かぶれの反応の出やすさが違います。BGは炭素4つの1,3-ブチレングリコール、PGは炭素3つのプロピレングリコールで、どちらも保湿と成分を溶かす役目をもちます。皮膚科の検査では、PGに反応する人のほうが多めです。
PGは肌に悪い成分ですか?
条件つきで安全と評価されている成分です。アメリカの専門家パネルは、刺激が出ないように配合すれば化粧品に使うのは安全と結論づけています。ただ皮膚科の検査で反応が出る人はBGより多いので、かぶれたことがある人は成分表で確かめましょう。
BGとPGはどちらがかぶれやすいですか?
皮膚科の検査では、PGに反応する人のほうが多いです。両方を調べた結果では、PGに反応したのは5.94%、BGは1.46%でした。かぶれの疑いで検査を受けた人の中の数字で、一般の人がかぶれる割合ではありません。
BGにかぶれる人はPGも避けたほうがいいですか?
PGにも反応しやすいので、避ける候補に入れると安心です。BGに反応した人の46.2%がPGにも反応していたという結果があります。どこまで避けるかは、皮膚科で相談して決めましょう。
PGは表示指定成分ですか?
医薬部外品では、今も名前を書く決まりの成分です。国が定めた医薬部外品の一覧の108番目にプロピレングリコールがあり、BGは入っていません。化粧品は2000年の通知で指定の制度が廃止され、すべての成分を書く全成分表示になっています。
この記事で参照した情報
- Ekstein SF, Battis NR, Dabrowski DS, Neeley AB. Cross-reactivity between propylene glycol and butylene glycol. Dermatitis 2024;35(2)
- Kanokrungsee S, Dendooven E, Aerts O. Contact Allergy and Allergic Contact Dermatitis From Propylene Glycol and Related Glycols: Cosmetic Skin Sensitisers After All? Contact Dermatitis 2026
- McGowan MA, Scheman A, Jacob SE. Propylene Glycol in Contact Dermatitis: A Systematic Review. Dermatitis 2018;29(1):6-12
- Johnson H, Yu J. Patch Testing Results from the Massachusetts General Hospital Occupational and Contact Dermatitis Clinic, 2017-2022. Dermatitis 2023;34(6):525-531
- Fiume MM, et al. Safety Assessment of Propylene Glycol, Tripropylene Glycol, and PPGs as Used in Cosmetics. Int J Toxicol 2012;31(5 Suppl):245S-260S
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「プロピレングリコール」
- 厚生省 医薬発第990号「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年9月29日)
- 名称を記載しなければならないものとして厚生労働大臣の指定する医薬部外品及び化粧品の成分(平成12年9月29日 厚生省告示第332号)
- 日本化粧品工業連合会「医薬部外品の成分表示名称リスト」(平成20年3月25日版)
- 化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)