この記事でわかること
- 稗粒腫の正体と、できる原因
- 自然になくなるのか、自分で取ってよいのか
- 皮膚科での取り方と、化粧品で言える範囲
目の周りに白い小さなぶつぶつができて、ニキビのように押しても出てこないと、何なのか気になりますよね。
結論から言うと、稗粒腫は、皮膚のすぐ下に角質がたまってできた害のない小さな袋で、毛穴の詰まりとは別のものです。化粧品や洗顔で取れるものではないので、取りたいときは皮膚科で小さく開けて出してもらうのが基本です。まずは、その正体から見ていきましょう。
稗粒腫は、表皮のすぐ下にできた角質の小さな袋
稗粒腫は、表皮のすぐ下に角質がたまってできた、出口のない小さな袋です。読み方は「はいりゅうしゅ」で、直径1〜2mmほどの、白から黄白色をした硬いぶつぶつです。
見た目が似ている白ニキビとは、成り立ちが違います。白ニキビは毛穴の中に皮脂と角質がたまる面皰で、毛穴の出口につながった詰まりです。いっぽう稗粒腫は、毛穴の出口につながらない閉じた袋です。
稗粒腫は表皮のすぐ下にある閉じた袋なので、毛穴の出口につながる白ニキビと違い、押しても中身が出てきません。
壁のある袋として閉じているので、指で押しても中身は出てこず、切開して初めて白い角質のかたまりが出てきます。まぶたにとくに多く、次いで頬にもよくみられます。新生児の顔にできるものがよく知られていますが、年齢や性別を問わず誰にでもでき、口の中の粘膜にできることもあります。
名前の似ている霰粒腫は、まぶたの中にある脂の腺にできる目の病気で、読み方も「さんりゅうしゅ」と違います。稗粒腫は、押しても出ない、閉じた角質の袋と覚えておきましょう。
原因は、きっかけのない原発性と、皮膚が傷ついたあとの続発性
何が原因でできたのか、気になる人は多いと思います。稗粒腫の原因は、特にきっかけなく出る原発性と、皮膚に何かが起きたあとにできる続発性の2つに分けて考えられています。
原発性は、新生児のものや、大人に自然に出るものです。皮膚科の教科書では、胎児のころに上皮のもとになる細胞が皮膚の中に入り込んで角質の袋をつくると考えられていて、海外の総説では細い軟毛の毛包からできるとされています。
続発性は、皮膚が傷ついたあと、治っていく途中でできるものです。やけど、水疱ができる皮膚の病気、放射線による皮膚炎のあとや、ケミカルピーリング、皮膚を削る施術、皮膚を傷つけるレーザーのあとにできることが知られています。
続発性の稗粒腫は、傷ついた皮膚が治っていく途中でできます。
皮膚が傷つく
治っていく
袋ができる
外用薬では、ステロイドの塗り薬を長く使って皮膚が薄くなったあとや、一部の塗り薬のあとに、まれにできると報告されています。油分の多いクリームやアイクリームが原因と言われることもありますが、公的な患者向け資料や皮膚科の総説が原因に挙げているのは、皮膚の損傷や一部の外用薬です。化粧品やクリームは、原因に挙げられていません。
新生児のものは自然になくなり、大人のものは残ることもある
新生児の稗粒腫は、治療をしなくても、生後数週間から数か月のうちに自然になくなっていくのがふつうです。多くの赤ちゃんにみられるもので、あとも残りません。
一方、大人の稗粒腫は、数週間でなくなることもあれば、数か月以上残ることもあります。子どもや大人のものは、新生児より残りやすいとされます。
どちらも害のないものなので、残っていても医学的に治療の必要はありません。大人では、見た目が気になるときに美容目的で取ることがあります。取るかどうかは、見た目で決めてよいのです。
目の周りの白いぶつぶつには、汗管腫・脂腺増殖症・白ニキビもある
目の周りの白いぶつぶつは、稗粒腫のほかにもいくつかあり、見た目だけで見分けるのは難しいものです。正体がそれぞれ違うのに、色や形がよく似ているからです。
汗管腫は、汗を運ぶ管のもとからできる良性の腫瘍で、まぶたの下に多く、皮膚と同じ色で平たく盛り上がり、思春期以降の女性に多くみられます。脂腺増殖症は皮脂腺が大きくなったもので、中高年の顔に多く、真ん中にくぼみがあるのが目印です。白ニキビは、毛穴に皮脂と角質がたまって出口がふさがった面皰で、額や頬、あごなど皮脂の多い部位にできます。黄色く平たい斑がまぶたの内側に出る眼瞼黄色腫も、見分ける対象に挙げられています。
稗粒腫との大きな違いは中身です。稗粒腫は切開すると白い角質のかたまりが出てきますが、汗管腫は腫瘍なので切っても角質は出ず、治療も炭酸ガスレーザーや凍結など別の方法になります。どれにあたるかは、皮膚科で診てもらうのが確かです。
自分で取らず、皮膚科で小さく開けて出してもらう
針でつぶせば取れそう、と思うかもしれません。でも、稗粒腫を自分で針で刺したり、つぶしたりするのは避けましょう。公的な患者向け資料は、引っかいたり破ったりすると新しい稗粒腫ができることがあるとして、自分で破らないようにすすめているからです。
続発性の稗粒腫は、皮膚の傷が治っていく途中でできます。傷をつけること自体が、新しい袋のきっかけになりうるのです。さらに、白いぶつぶつが汗管腫だった場合は、切っても角質は出てこず、皮膚を傷つけるだけになります。
ピーリングやスクラブ、酵素洗顔などの角質ケアも、稗粒腫には届きません。稗粒腫は角層より深い、表皮のすぐ下にある袋で、表面の角質を落とす化粧品が届く場所にはないからです。むしろ皮膚科の総説では、ケミカルピーリングや皮膚を削る施術は、続発性の稗粒腫の原因の側に挙げられています。
皮膚科では、滅菌した針やメスで表面を小さく開けて、角質のかたまりを押し出す方法が中心です。
刺さない
見分ける
角質を出す
皮膚科での除去は、滅菌した注射針やメスの先で表面を小さく開け、白い角質のかたまりを押し出す方法が中心です。ほかに、電気で焼く電気凝固、凍結、レーザーなどが使われることもあります。どれも医師が行う医行為で、エステや自宅で行うものではありません。保険が使えるかどうかや費用は、受診する医療機関に確認してください。
取りたいときは、自分でいじらず皮膚科へ、が基本です。
化粧品で言えるのは、目元にうるおいを与えるまで
稗粒腫について化粧品で言えるのは、目元の皮膚にうるおいを与えるといった範囲までです。稗粒腫は皮膚の嚢腫という病名で、化粧品が病名を挙げて取る、防ぐ、小さくすると言えば、医薬品のような効能になり、化粧品の範囲を超えるからです。
たとえば、厚生労働省が定めた化粧品の効能56項目には、稗粒腫や嚢腫、ぶつぶつを取るといった言葉はなく、医薬部外品の承認効能にも稗粒腫に関するものはありません。海外の総説で選択肢に挙がる外用レチノイドも、日本で承認されているアダパレンなどの効能はニキビの治療で、稗粒腫ではありません。目元の化粧品で言えるのは、「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の乾燥を防ぐ」「肌を整える」「肌をひきしめる」などです。
目の周りは皮膚が薄い部位です。ぶつぶつを気にして強くこすったり、無理に落とそうとしたりせず、ふだんの保湿を続けながら、取りたいときは皮膚科に相談しましょう。
まとめ
- 稗粒腫は直径1〜2mmほどの白い硬いぶつぶつで、表皮のすぐ下に角質がたまった閉じた袋です。毛穴の出口につながる白ニキビとは別のものです
- 原因は、きっかけのない原発性と、やけど・水疱症・ピーリングや皮膚を削る施術・一部の外用薬のあとの続発性です。化粧品は原因に挙げられていません
- 新生児では数週間〜数か月で自然になくなりますが、大人では数か月以上残ることもあり、害はないので取るかどうかは見た目で決めます
- 自分で針で刺すと新しい稗粒腫ができることがあり、皮膚科では滅菌した針やメスで小さく開けて出します。角質ケアは稗粒腫に届きません
- 化粧品で言えるのは「皮膚にうるおいを与える」など56項目の範囲までで、病名を挙げて取る・防ぐとは言えません
目の周りの白いぶつぶつが気になったら、自分でいじらずに、皮膚科でどれにあたるかを診てもらうことから始めてみてください。
よくある質問
稗粒腫の原因は何ですか?
特にきっかけなく出る原発性と、皮膚に何かが起きたあとにできる続発性があります。続発性の原因には、やけど、水疱ができる皮膚の病気、ケミカルピーリングや皮膚を削る施術、ステロイドの塗り薬の長期使用などが挙げられていて、化粧品やクリームは原因に挙げられていません。
稗粒腫は自然になくなりますか?
新生児では生後数週間から数か月で自然になくなるのがふつうです。大人では数週間でなくなることもあれば、数か月以上残ることもあります。害のないものなので、残っていても治療の必要はなく、取るかどうかは見た目で決めます。
稗粒腫は自分で取ってもいいですか?
自分で針で刺したりつぶしたりするのは避けましょう。公的な患者向け資料は、引っかいたり破ったりすると新しい稗粒腫ができることがあるとして、自分で破らないようにすすめています。汗管腫だった場合は切っても角質は出ず、皮膚を傷つけるだけになります。
稗粒腫は皮膚科でどうやって除去しますか?
滅菌した注射針やメスの先で表面を小さく開け、白い角質のかたまりを押し出す方法が中心です。電気凝固、凍結、レーザーが使われることもあり、いずれも医師が行う医行為です。保険が使えるかや費用は、受診する医療機関に確認してください。
目の周りの白いぶつぶつは稗粒腫以外に何がありますか?
汗管腫、脂腺増殖症、白ニキビ、眼瞼黄色腫などがあります。汗管腫は皮膚と同じ色で平たく盛り上がる良性の腫瘍、脂腺増殖症は真ん中にくぼみのある中高年に多いもの、白ニキビは毛穴の出口がふさがった面皰です。見た目だけで区別するのは難しいので、皮膚科で診てもらうのが確かです。
この記事で参照した情報
- Berk DR, Bayliss SJ. Milia: a review and classification. J Am Acad Dermatol 2008;59(6):1050-1063
- MedlinePlus Medical Encyclopedia「Milia」(米国国立医学図書館、2025年4月6日レビュー)
- Primary Care Dermatology Society「Milia」臨床ガイダンス(英国、2023年6月12日更新)
- DermNet「Milium」(Gupta M, Oakley A. 2009年初版、2024年更新)
- healthdirect「Milia」(オーストラリア政府の健康情報サービス、2023年10月レビュー)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「皮膚嚢腫」(Aaron DM、2023年9月更新)
- 皮膚科の教科書 21章「皮膚の良性腫瘍 E. 嚢腫」(北海道大学皮膚科 公開PDF)
- 皮膚科の教科書 21章「皮膚の良性腫瘍 C. 脂腺系腫瘍 / D. 汗腺系腫瘍」(北海道大学皮膚科 公開PDF)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)