この記事でわかること
- ジャーとチューブで、衛生がどう変わるのか
- 中身を戻さない理由と、置き場所の注意
- 色つきの容器や表示、スプレー缶の注意書きのわけ
化粧品を選ぶとき、ジャーとチューブのどちらがいいのか、容器の違いで中身に差が出るのか、迷いますよね。
結論から言うと、容器は中身を守る品質の一部で、衛生の面ではチューブのほうが使う途中で中身が汚れにくいつくりです。どの容器でも、出しすぎた中身は容器に戻さないのが基本です。まずは、容器が何をしているのかから見ていきましょう。
容器は、光や空気、菌から中身を守る品質の一部
容器のいちばんの役割は、光や空気、水分、菌などから中身を守ることです。中身の処方だけでは品質は決まらず、どの容器に入れるかまで含めて一つの製品だからです。
容器には、使いやすさ、素材、光を遮る力、ものを通す性質、空気を通さない気密性といった、いくつもの見るべき点があります。必要な量だけ取り出せること、成分名や使い方の注意を表示すること、使い終わったあとに分別して資源に戻せることも、容器の役目です。
たとえば防腐剤の効き目を確かめる試験は、処方そのものの性質を見るものです。実際に菌が入るかどうかは、使うときに何が中身に触れるかで変わり、そこから先は容器の設計の話になります。
容器は、中身と組み合わせて考えられた品質の一部なのです。
チューブはジャーより、使う途中で中身が汚れにくい
広口のジャーは取り出すときに中身が汚れることがあり、チューブはその心配が少ないつくりです。汚れが起きやすいのは、工場ではなく、買ったあとに使っている途中だからです。
使っている途中で中身に菌などが入って汚れることを、二次汚染といいます。ジャーは口が広く、指やスパチュラが直接中身に触れます。チューブは中身が出るだけで戻りにくいので、外のものが中に入りにくくなります。
広口のジャーは取り出すときに中身が汚れることがあり、チューブはその心配が少ないつくりです。
図のように、違いは「中身に何が触れるか」です。とはいえ、ジャーが悪いという話ではありません。ジャーは取り出しやすく、かたいクリームにも向いています。そのかわり、指を直接入れずにスパチュラを使うといった使い方が大切になります。ポンプ容器は、一定の量を出せることと、中身が外の空気に触れにくいことが特徴です。
衛生が気になるならチューブやポンプ、ジャーならスパチュラと覚えておきましょう。
出しすぎた中身は、容器に戻さない
出しすぎたクリームを容器に戻したくなる気持ち、わかりますよね。でも、一度取り出した中身は、出しすぎても容器に戻さないのが基本です。戻すこと自体が、二次汚染になるからです。
出しすぎた中身を戻すと、使う途中の汚れを自分で入れることになります。
触れる
戻す
中身に入る
取り出した中身は、手や空気に触れています。それを戻すと、まだきれいな中身のなかに入れることになります。容器の設計で汚れを減らしていても、この一手で台無しになってしまいます。
出しすぎたときは、戻さずに、そのまま使い切ると覚えておきましょう。
夏の車内や直射日光の当たる場所には置かない
夏の車内は、化粧品にとっていちばん避けたい置き場所です。高温になるとスプレー缶などのエアゾール製品は破裂するおそれがあるからです。
直射日光や高温多湿を避けることは、ほかの化粧品にも共通の注意です。光を遮る容器に入っていても、外からの熱は伝わってしまいます。
化粧品は、日の当たらない涼しい場所に置きましょう。
色つきのボトルや外箱は、光から中身を守るため
色つきのボトルやアルミのチューブ、外箱は、見た目の演出であると同時に、光から中身を守るための設計でもあります。光で変わりやすい成分を入れるなら、透明な容器は不利になるからです。
色つきのボトルやアルミのチューブ、外箱は、枠で囲んだ「遮る」役目を兼ねています。
当たる
変わりやすい
外箱で遮る
素材も、中身の性質に合わせて選ばれています。ガラス、プラスチック、金属では、ものを通す性質や光を遮る力が違います。たとえばプラスチックは完全な壁ではなく、水分や香りの成分が少しずつ容器を通り抜けることがあります。
さらに、ストレスクラッキングという現象もあります。力のかかった状態のプラスチックが特定の成分に触れると、ひび割れてしまうのです。中身と容器の相性が悪いと容器のほうが先に壊れることがあり、処方と容器を別々に決められない理由はここにあります。
容器の色や素材は、中身に合わせて選ばれた守りのしくみです。
容器の表示は法律で決まっていて、箱からも読める
容器に書く項目は法律で決まっていて、外箱があるときは箱にも同じ内容が書かれます。容器に書く項目は、全成分表示の根拠と同じ薬機法第61条が定めているからです。
中身に直接触れている容器や包みには、製造販売業者の名前と住所、化粧品の名前、製造番号または製造記号、全成分、そして決められたものには使用の期限を、見やすい場所に、読みやすい言葉で正確に書くことになっています。そのうえで第62条が第51条を準用していて、外側の箱などで容器の表示が見えないときは、外側にも同じ内容を書くことが求められます。
いっぽうで、使用期限はすべての化粧品に書かれているわけではありません。条文は、厚生労働省令で定めるものに限って表示を求める形になっています。
箱を開けなくても成分が読めるのは、法律で外箱にも表示が求められているからです。
スプレー缶の注意書きが多いのは、中身が高圧のガスだから
ヘアスプレーや制汗スプレーの缶に注意書きが多いのは、中身が高圧のガスだからです。ほかの化粧品とは、中身の物理的な状態が違います。
エアゾール容器とは、噴射剤といっしょに中身を詰め、バルブから噴き出させる容器のことです。高圧のガスは高圧ガス保安法で扱われ、エアゾール製品は、政令で定める条件のもとでこの法律の適用から除かれる形で整理されています。
スプレー缶は、高温の場所に置かず、注意書きどおりに使うことが大切です。
使い終わった容器は、3つの法律で資源として扱われる
使い終わった容器には、容器包装リサイクル法、プラスチック資源循環促進法、資源有効利用促進法の3つの法律がかかります。容器は、捨てたあとも資源として扱われるからです。
容器包装リサイクル法では、商品を入れたり包んだりするもので、商品を使ったり取り出したりしたあとに不要になるものを、容器包装としています。プラスチック資源循環促進法は2022年4月1日に施行され、指定された12品目のうち、美容に関係するのはヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシの5品目です。この5品目で対象になるのは宿泊業などの事業者で、ホテルのアメニティが変わったのはこの法律の影響です。
容器のプラマークや紙マークは、資源有効利用促進法による識別表示です。業界でも、日本化粧品工業会が「化粧品の容器包装に関する環境配慮設計指針」や「家庭用化粧品容器 優良基準」を出しています。
捨てるときは、プラマークや紙マークを見て分別しましょう。
まとめ
- 容器は、光や空気、菌から中身を守る品質の一部です
- 広口のジャーは取り出すときに中身が汚れることがあり、チューブはその心配が少ないつくりです
- 出しすぎた中身は容器に戻さず、夏の車内や直射日光の当たる場所には置きません
- 色つきのボトルや外箱は光から中身を守り、表示は法律で箱からも読めるようになっています
- スプレー缶は中身が高圧のガスなので、注意書きどおりに使います
容器の形が変われば、向いている使い方も変わります。買うときに少しだけ、どう出すのかを見てみてください。
よくある質問
ジャー容器とチューブ容器、衛生的なのはどっち?
チューブのほうが汚れの心配が少ないつくりです。広口のジャーは、取り出すときに中身が汚れることがあります。
出しすぎたクリームは容器に戻していい?
戻さないのが基本です。手や空気に触れたものを戻すと、まだきれいな中身を汚すことになります。
ジャー容器のクリームはどう使えばいい?
指を直接入れず、スパチュラを使うと安心です。ジャーは取り出しやすく、かたいクリームにも向いた容器です。
化粧品を夏の車内に置いても大丈夫?
避けたほうが安心です。高温になるとスプレー缶は破裂するおそれがあり、直射日光や高温多湿を避けることもほかの化粧品に共通の注意です。
化粧品が色つきのボトルに入っているのはなぜ?
光で変わりやすい中身を守るためでもあります。色つきのボトルやアルミのチューブ、外箱は、光を遮る役目を兼ねています。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品工業会「中身を守る ―容器―」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「二次汚染」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「チューブ容器」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「容器の機能性」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「容器の素材」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「容器の遮光性」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「容器の透過性」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「気密性」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ポンプ容器」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「エアゾール容器」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「防腐効力試験」
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)
- 日本化粧品工業会「化粧品の容器包装に関する環境配慮設計指針」(2022年6月)
- 日本化粧品工業会「家庭用化粧品容器 優良基準」(2026年6月)
- 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号)
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和3年法律第60号)
- 環境省・経済産業省「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」特設サイト
- 資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)
- 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)
- 高圧ガス保安法施行令(平成9年政令第20号)
- 日本化粧品工業会「化粧品を保管するときに注意していただきたいこと」
- 日本化粧品工業会「化粧品を使うときに注意していただきたいこと」