この記事でわかること
- まつ毛エクステに美容師の免許が必要な理由
- サロン用の接着剤の決まりと、多いトラブル
- まつ毛パーマの注意と、まつ毛の生えかわり
まつ毛エクステをしてみたいけれど、どんなお店なら安心なのか、接着剤は目に大丈夫なのか気になりますよね。
結論から言うと、まつ毛エクステは美容師の免許をもつ人だけができる施術で、サロンで使う接着剤には、成分を決める法律の決まりがありません。だからこそ、お店の選び方と、目に異常が出たときの動き方を知っておくと安心です。まずは免許の話から見ていきましょう。
まつ毛エクステには、美容師の免許が必要
まつ毛エクステの施術は、美容師の免許がない人はできません。まつ毛エクステは美容師法の「美容」にあたり、「美容師でなければ、美容を業としてはならない。」と決められているからです。
美容師法でいう美容とは、パーマや結髪、化粧などの方法で容姿を美しくすることで、ふつうは首から上の容姿を美しくすることと考えられています。2008年の厚生労働省の通知が、まつ毛エクステはこの美容にあたると示しました。
この通知が出たきっかけは、まつ毛エクステがはやるにつれて、消費生活センターなどへの相談が増え、接着剤による健康被害が見られるという情報が寄せられたことでした。その後も、危害を防ぐための通知が重ねて出されています。
お店を選ぶときは、美容師の免許をもつ人が、届け出をした美容所で施術しているかを確かめましょう。
サロン用の接着剤には、成分の法律の決まりがない
目のすぐそばに使う接着剤なら、きびしい決まりがあると思いますよね。でも、まつ毛エクステ用の接着剤には、法律による成分の決まりがありません。サロンで使う業務用とされ、家庭用品の有害物質を決める法律の対象から外れているからです。
業界団体の自主基準はありますが、ホルムアルデヒドなどの有害物質の決まりもないのが今の状態です。成分は、いわゆる瞬間接着剤と同じシアノアクリレート系で、調べた製品のほとんどからエチルシアノアクリレートが見つかっています。
いっぽう、自分で貼るつけまつ毛用の接着剤は、法律の対象です。かつらやつけまつげなどに使う接着剤は、ホルムアルデヒドが75ppm以下、つまり1gあたり75μg以下と決められています。家庭用には数字の決まりがあり、サロン用にはない、という逆に見えるしくみです。
つけ爪用とまつ毛エクステ用の接着剤を調べた商品テストでは、すべての検体からホルムアルデヒドが溶け出したり、空気中に出たりしたという結果があります。成分や取り扱いの注意、問い合わせ先がまったく書かれていないものもありました。
接着剤は自分では選べないので、使う接着剤の説明をしてくれるお店を選ぶとよいでしょう。
いちばん多いトラブルは、目の痛みや異物感
まつ毛エクステのトラブルでいちばん多いのは、ゴロゴロするような目の痛みや異物感です。接着剤に使われるシアノアクリレートには、目への刺激性や、アレルギー性の皮膚の反応を起こすおそれがあるからです。
まつ毛エクステの施術を受けて目が痛くなったなどの危害の情報は、2010年度以降で599件あり、毎年100件以上寄せられています。
複数の症状を答えた人も含む、まつ毛エクステの危害で報告された症状の割合です。
目の痛みや異物感が46.0%でいちばん多く、目やまぶたのかゆみ、目の充血が続きます。自分のまつ毛が異常に抜けたという人や、まつ毛が生えなくなったという人もいました。
目のメイク全般にも、眼科から注意が出ています。まつ毛の内側にアイシャドウやアイラインを入れると、マイボーム腺という腺の出口がふさがれ、涙が蒸発しやすくなってドライアイを起こすといわれます。アイメイクはまつ毛の外側にして、マスカラもまつ毛の根元には塗らないのが基本です。
施術のあとに痛みやかゆみ、充血が出たら、こすらずに、すぐ眼科で診てもらいましょう。
まつ毛パーマに、髪用のパーマ剤は使えない
髪用のパーマ剤をまつ毛に使うのは、承認された使い方から外れた「目的外使用」です。医薬部外品のパーマ剤は、髪にウエーブをつけて保つ目的で承認されたもので、まつ毛に使うことは承認の範囲をこえるからです。
この考え方は、古い国の通知に書かれています。まつ毛は目にとても近いので薬剤が目に入りやすく、成分による視力障害などの被害が心配されていました。通知は、美容師がお客さんに目的外の使い方をして事故を起こすことは、美容師の社会的な責任に背くもので、厳しく慎むべきだとしています。
まつ毛エクステを美容と位置づけた2008年の通知も、この古い通知を引いています。まつ毛の施術は、美容師が、まつ毛に使ってよい方法で行うものと覚えておきましょう。
まつ毛が伸びる時期は、約4週間と短い
まつ毛が伸びる成長期は、約4週間しかありません。まつ毛の生えかわりの周期は1サイクルが3〜5か月で、その大半は伸びずに休んでいる時期だからです。
まつ毛が伸びるのは、枠で囲んだ成長期の約4週間だけです。
約4週間
約4か月
生えかわる
まつ毛は上まぶたに100〜150本、下まぶたに50〜75本あるといわれます。1本の長さは7〜8mm、太さは直径約91μmです。生えかわりの周期のうち、成長期が約4週間、休止期が約4か月といわれ、この約2倍の長さだという報告もあります。頭髪の成長期が数年であることを考えると、とても短いサイクルです。
このまつ毛を濃く長く見せるための化粧品が、マスカラです。まつ毛に塗って濃く長く見せたり、ほどよくカールさせたりして、目もとを引き立てます。
まつ毛は伸びる時期が短いので、抜けたり傷んだりしないよう、やさしく扱うことが大切です。
まとめ
- まつ毛エクステは美容師法の「美容」にあたり、美容師の免許が必要です
- サロン用の接着剤はシアノアクリレート系で、業務用のため法律による成分の決まりがありません
- 自分で貼るつけまつ毛用の接着剤は、ホルムアルデヒド75ppm以下と決められています
- いちばん多いトラブルは目の痛みや異物感で、異常が出たらすぐ眼科へ行きます
- まつ毛パーマに髪用のパーマ剤を使うのは目的外使用。まつ毛の成長期は約4週間です
施術そのものより、使われる材料のほうに決まりのすき間があります。ここを知っておくと、お店を選ぶときの見方が変わります。
よくある質問
まつ毛エクステに免許は必要?
必要です。まつ毛エクステは美容師法の「美容」にあたるため、美容師の免許がない人は仕事として施術できません。2008年の厚生労働省の通知で示されています。
まつ毛エクステの接着剤に規制はある?
法律による成分の決まりはありません。業務用のため家庭用品の有害物質を決める法律の対象外で、業界団体の自主基準があるだけです。自分で貼るつけまつ毛の接着剤には、ホルムアルデヒドの基準があります。
まつ毛エクステでよくあるトラブルは?
いちばん多いのは目の痛みや異物感で、報告された人の46.0%でした。次いで目やまぶたのかゆみ、目の充血が多くなっています。異常が出たら、こすらずにすぐ眼科で診てもらいましょう。
まつ毛パーマに髪用のパーマ液を使ってもいい?
いいえ、目的外の使い方になります。頭髪用のパーマ剤は髪に使う目的で承認されたもので、目に入ると視力障害などの被害が心配されると注意されています。
まつ毛は何本くらいある?
上まぶたに100〜150本、下まぶたに50〜75本といわれます。生えかわりの周期は1サイクル3〜5か月で、伸びる時期は約4週間です。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「まつ毛」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「マスカラ」
- 厚生労働省健康局生活衛生課長通知「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」(平成20年3月7日 健衛発第0307001号)
- 厚生労働省健康局生活衛生課長通知「まつ毛エクステンションによる安全性の確保について」(平成24年11月28日 健衛発1128第1号)
- 厚生労働省「まつ毛エクステンションについて」
- 美容師法(昭和32年法律第163号)
- 厚生省生活衛生局指導課長通知「パーマネント・ウエーブ用剤の目的外使用について」(昭和60年7月1日 衛指第117号)
- 独立行政法人国民生活センター「後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害」(2015年6月4日公表)
- 独立行政法人国民生活センター「まつ毛エクステンションの危害」(2010年2月17日公表)
- 独立行政法人国民生活センター「まつ毛美容液による危害が急増!-効能等表示の調査もあわせて実施-」(2019年8月8日公表)
- 東京都生活文化局消費生活部生活安全課 商品テスト「つけ爪、まつげエクステンション等に使用する接着剤の安全性」(平成29年2月)
- 厚生労働省「有害物質を含有する家庭用品の規制基準概要」
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 公益社団法人日本眼科医会「目についての健康情報 コンタクトレンズと目のお化粧-健康で美しい目を守るには-」