この記事でわかること
- ひげそり前用と後用の化粧品の違い
- 「カミソリまけを防ぐ」とうたえる製品の条件
- 除毛と脱毛の違い、脱毛エステと薄毛の基本
男性の肌の手入れは女性と何が違うのか、何から始めればいいのか、迷いますよね。
結論から言うと、男性だけの特別な手入れは意外と少なく、違いが大きいのはひげそりとむだ毛の処理です。かみそりまけを防ぎたいなら、「カミソリまけを防ぐ」とうたえる「薬用」のものが目安になります。まずは、ひげそりの化粧品から見ていきましょう。
ひげそりの化粧品は、そる前用とそった後用の2つ
ひげそりの化粧品は、そる前にそりやすくするものと、そった後の肌を整えるものの2つに分かれます。ひげそりでは、かみそりの刃が肌の上を通るので、そる前とそった後でそれぞれ肌を守る必要があるからです。
ひげそりの化粧品は、そる前に使うものと、そった後に使うものに分かれます。
クリーム
そる
ローション
そる前用の代表はシェービングクリームです。ひげをふくらませてやわらかくし、そりやすくします。主な成分は脂肪酸石けんで、肌のうるおいのために保湿剤や油分も入っています。ジェルタイプは、中に入っている水に溶ける高分子や多価アルコールがかみそりの刃を軽くすべらせるので、ひげがそりやすく、肌あれや切り傷を減らせるつくりです。
そった後に使うアフターシェービングローションは、ひげそりでできた小さな切り傷や肌あれに配慮し、すっとした清涼感やさっぱり感を与えるものです。道具は電気かみそりがよく使われていますが、安全かみそりを使う人も多く、それぞれに合わせた製品があります。
なお、表示の決まりでは、ひげそり用とむだ毛そり用は同じ種類の名前で、男性用と女性用には分かれていません。そる前はクリーム、そった後はローションと覚えておけば十分です。
かみそりまけを防ぐなら「薬用」を選ぶ
かみそりまけしやすくて、何を選べばいいか悩む人は多いと思います。かみそりまけを防ぎたいなら、「カミソリまけを防ぐ」とうたえる薬用のもの、つまり医薬部外品を選びましょう。この効能は、ふつうの化粧品ではうたえないからです。
かみそりまけは、顔やわきなどのむだ毛をかみそりで処理するときに起きる、肌の炎症です。軽ければ自然におさまりますが、ひどくなると刺激を受けやすくなり、おさまりにくくなります。
ふつうの化粧品で言えるのは「ひげを剃りやすくする」「ひげそり後の肌を整える」までです。医薬部外品では、「肌あれ」「あれ性」「にきびを防ぐ」などと並んで「カミソリまけを防ぐ」の効能が認められていて、厚生労働省の通知でも、薬用化粧品の種類として「ひげそり用剤」が挙げられています。
また、全身に炎症をくり返すベーチェット病の人はかみそりまけが起こりやすく、その兆しのひとつとして重視されています。ひどいかみそりまけがくり返すときは、肌質のせいと決めつけず、皮膚科に相談しましょう。
皮脂の量は、性別より人と部位で違う
男性だから脂っぽい、と思いますよね。でも、皮脂の量は、性別だけでなく、年齢や部位、そして人によって大きく違います。
部位による差は数字にも表れています。皮脂を出す脂腺の数は、ふつうの皮膚では1平方センチあたり100個以下なのに対し、皮脂の多い場所では400〜900個と多く、脂腺そのものも大きくなっています。
「男性だから」と決めつけず、自分の皮脂が出やすい場所を見て手入れを選ぶのが確実です。
薬用の除毛剤は「除毛」まで。毛を生えなくする脱毛は医師の行為
薬用の除毛剤でできるのは、生えている毛を取り除く「除毛」までで、毛を生えなくする脱毛は医師の行為なので、エステではできません。法律の上で、除毛と脱毛ははっきり分けられているからです。
薬や化粧品の法律である薬機法は、医薬部外品の目的のひとつに「脱毛の防止、育毛又は除毛」を挙げていて、ここでの「脱毛」は、抜けるのを防ぐという意味です。医薬部外品の除毛剤に認められている効能効果は「除毛」だけで、形は原則として軟膏、育毛剤は原則として液体とされています。
一方、厚生労働省の通知は、医師でなければ行えない行為として、レーザーなどの強い光を毛根に当てて、毛乳頭や皮脂腺の開口部などを壊す行為を挙げています。別の通知でも、レーザー脱毛は仕事として行えば医業にあたると回答されています。国民生活センターも、医療機関ではレーザーなどで毛の発生源を壊す脱毛を受けられる一方で、エステでは医行為にあたらない範囲の施術しかできない、としています。
自分で処理するなら除毛、毛を生えなくしたいなら医療機関、と分けて考えましょう。
脱毛エステの契約は、8日以内ならクーリング・オフできる
脱毛エステを契約してしまっても、特定商取引法で決められた契約書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフができます。男性の脱毛エステのトラブルの相談も増えているので、知っておくと安心です。
国民生活センターによると、男性からの脱毛エステの相談も増えています。10〜20歳代の平均の契約金額は、女性が約34万円なのに対し、男性は約52万円でした。広告に月額約1,000円の脱毛と出ていたのに、店に行くと約50万円のコースをすすめられ、分割手数料を含めて総額約60万円になった、という相談もあります。
体への被害の相談もあります。脱毛の施術で危害を受けたという相談は964件あり、内訳はエステティックサロンが680件、医療機関が284件でした。
広告の値段だけで決めず、その場で契約しない、困ったら8日以内と覚えておきましょう。
男性型の薄毛は、毛の根元でホルモンが変えられて起きる
男性型の薄毛は、男性ホルモンが多いからではなく、毛の根元でホルモンが変えられるしくみで起こります。原因は、ホルモンの量ではなく、毛の根元での変わり方と働き方にあるからです。
毛の根元にある毛乳頭という細胞のかたまりは、男性ホルモンを受け取ると、5アルファ還元酵素という酵素の働きで、毛を細く小さくする作用の強い「活性型」の男性ホルモンに変えます。すると、ふつうは数年続くはずの毛が伸びる時期が極端に短くなり、毛が十分に育たないまま、短く細い毛に変わっていきます。
男性型の薄毛は、毛の根元でホルモンが活性型に変えられることから始まります。
ホルモン
活性型に
時期が短く
毛になる
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、治療法ごとに勧める度合いが付けられています。行うよう強く勧められるのは、男性型に対するフィナステリドやデュタステリドの飲み薬と、ミノキシジルの塗り薬です。行うよう勧められるのは、男性型に対する自分の毛の植毛、LEDや弱いレーザーを当てる方法、男性型に対するアデノシンの塗り薬で、人工の毛の植毛とミノキシジルの飲み薬は、行うべきではないとされています。ミノキシジルは、塗ると強く勧められ、飲むと勧められないという、使い方しだいで正反対の評価です。
医薬部外品の育毛剤で認められている効能効果は、育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛の範囲です。薄毛が気になったら、まず皮膚科で相談すると、自分に合った方法を選びやすくなります。
まとめ
- ひげそりの化粧品は、そる前用のクリームと、そった後用のローションの2つです
- 「カミソリまけを防ぐ」は薬用、つまり医薬部外品の効能です。ひどいかみそりまけがくり返すときは皮膚科に相談します
- 皮脂の量は、性別より、人や年齢、部位で大きく違います
- 薬用の除毛剤は「除毛」まで。毛乳頭などを壊す脱毛は医師の行為で、エステではできません。脱毛エステの契約は8日以内ならクーリング・オフできます
- 男性型の薄毛は、ホルモンの量ではなく、毛の根元での変わり方と働き方の問題です
男性向けだから特別、という手入れは多くありません。ただしひげそりと脱毛には、知っておくと役立つはっきりしたルールがあります。
よくある質問
カミソリ負けを防ぐにはどんな製品を選べばいい?
「カミソリまけを防ぐ」とうたえる薬用、つまり医薬部外品のものが目安です。一般の化粧品で言えるのは「ひげを剃りやすくする」「ひげそり後の肌を整える」までです。
シェービングクリームとアフターシェーブローションの違いは?
使うタイミングが違います。シェービングクリームはそる前にひげをふくらませてやわらかくし、そりやすくするもの。アフターシェービングローションはそった後に使い、清涼感やさっぱり感を与えるものです。
男性は女性より皮脂が多い?
性別だけでは決まりません。皮脂の量は人によって大きく違い、年齢や部位でも変わります。自分の皮脂が出やすい場所を見て、手入れを選ぶのが確実です。
除毛と脱毛は何が違う?
薬用の除毛剤でできるのは、生えている毛を取り除く「除毛」までです。レーザーなどで毛乳頭などを壊す脱毛は医師が行う行為で、エステではできません。
脱毛エステの契約はクーリング・オフできる?
特定商取引法で決められた契約書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフができます。男性からの脱毛エステの相談も増えています。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「シェービング化粧品」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ひげそり化粧品」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「かみそりまけ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮脂」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「多毛症」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層水分量」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」別表 医薬部外品の効能効果の範囲
- 厚生省通知「医薬部外品等の取扱いについて」(昭和37年9月6日 薬発第464号)
- 厚生省健康政策局医事課長通知「医師法上の疑義について(回答)」(平成12年6月9日 医事第59号)
- 厚生労働省医政局医事課長通知「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第2項
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】」
- 国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ
】男性も増加!脱毛エステのトラブル」(令和4年7月21日) - 国民生活センター「【10代・20代、トラブル増加中!】男性の脱毛エステ」(2023年8月29日)
- 国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(平成29年5月11日)
- 国民生活センター「美容医療サービス」(相談件数)
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(日本皮膚科学会雑誌127巻13号)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症 Q6」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症 Q7」