この記事でわかること
- 爪がどこで、何からつくられているのか
- 爪甲・爪床・甘皮のつくりと、爪がピンク色に見える理由
- 爪が伸びる速さと、爪の役目
爪は毎日目にするのに、皮膚とは別のものなのか、どこから伸びてくるのか、ふしぎに思いますよね。
結論から言うと、爪は皮膚のいちばん外側の角層が変化してできた板で、根元の爪母(爪をつくる場所)で毎日つくられ、指先へ押し出されて伸びていきます。かたさのもとは硬ケラチンというたんぱく質で、水分は10%前後しかありません。ここでは爪のつくりを、根元から先まで順番に見ていきましょう。
爪は角層が変化したもので、根元の爪母でつくられる
爪は、皮膚のいちばん外側の角層が変化してできたもので、根元の皮膚の下にある爪母でつくられます。髪と同じく、皮膚から生まれた付属器官(皮膚にくっついて働く器官)の仲間で、手足の指先の背中側にあります。
ふだん「爪」と呼んでいる半透明の板は、爪甲(そうこう)といいます。爪甲の根元は皮膚の中に隠れていて、この隠れた部分を爪根(そうこん)と呼びます。爪根の下にある爪母の細胞が分裂して、爪甲をつくり出しています。
爪は根元の爪母でつくられ、爪床の上を指先へ伸びます。
根元の白い半月は爪半月(そうはんげつ)で、まだ完全には角化していない(かたい角層になりきっていない)新しい爪です。親指では大きく、小指ではとても小さいとされています。
爪は角層の仲間が、根元でつくられて押し出されてくるものと覚えておくと、ほかのつくりもわかりやすくなります。
爪甲は、細胞がぎっしり重なった約0.5mmの板
手の爪甲の厚さは平均で約0.5mmで、足の爪はそれより厚く、1〜1.8mmほどあります。うすく見えても、たくさんの細胞が重なってできているからです。
爪甲は、核をなくした角化細胞(中身がケラチンで満たされて、かたくなった細胞)が約196列もぎっしり重なった板です。皮膚の角層を、もっとかたく、ぶ厚くしたつくりだといえます。
爪甲は3つの層からなり、層ごとにケラチンの線維の向きが違います。
主な成分は硬ケラチン(ハードケラチン)で、アミノ酸のシステインを多く含みます。システインどうしの結びつきがケラチンを安定させ、爪の丈夫さのもとになっています。表皮の角層のやわらかいケラチンとは、ここが違います。
水分は資料によって7〜12%ほど、油分は0.3〜0.8%ほどです。皮膚の角層は表面で20〜30%ほどの水分を含むので、爪はそれよりずっと乾いた、かたい組織です。爪甲は、細胞がぎっしり重なった、水分の少ないかたい板なのです。
爪床は爪甲を指にくっつけ、血の色を透かして見せる
爪甲の下にある皮膚を爪床(そうしょう)といい、爪甲を指にくっつけて、伸びる方向を決めています。爪床は爪甲をのせたまま、爪甲の成長とともに伸びていくからです。
爪床の表皮には、ふつうの皮膚にある顆粒層(角層のすぐ下で、角化の準備をする層)がありません。そのかわり、すぐ下には指先へ向かって縦に並ぶ血管の網がたくさんあり、体温の調節にかかわる血管のつなぎ目も備わっています。爪の先で爪甲が皮膚からはなれるところの下は爪下皮(そうかひ)と呼ばれ、ここで顆粒層がふたたびあらわれます。
爪甲そのものは無色透明なので、爪床の血管の透け具合が、そのまま爪の色になります。正常な爪が光沢のある薄いピンク色に見えるのはこのためで、爪の色は血流の状態を映しています。爪のピンク色は、爪床の血の色が透けた色です。
手の爪は1か月に約3mm伸び、一生伸び続ける
手の爪は1か月に約3mm、足の爪は約1mm伸びます。1日あたりにすると、およそ0.1〜0.5mmとされています。
手の爪と足の爪が、1か月に伸びる長さです。
爪は、爪母の細胞分裂で生まれた細胞が押し出されて伸びます。髪には生えて抜ける周期がありますが、爪甲には周期がなく、一生のあいだ伸び続けます。
伸びる速さは指や人によって違い、よく使う指ほど速く、子どもや若い人は高齢の人より速いとされます。季節や栄養状態、妊娠によっても変わります。年齢を重ねると伸びるのがゆっくりになり、爪はかたくなっていきます。爪は、止まらずに伸び続ける組織です。
甘皮と爪郭は、爪の根元とまわりをおおう皮膚
爪のまわりの皮膚も、爪を守るつくりの一部です。根元の甘皮は爪上皮(そうじょうひ)といい、爪甲の根元とうしろの皮膚をつないでいます。
甘皮は厚い角層の層で、爪甲にしっかりくっついて、爪母でつくられたばかりの爪の手前をおおっています。爪の根元と両わきで皮膚が盛り上がった部分は爪郭(そうかく)と呼ばれ、爪甲のふちを囲んでいます。
爪母は爪をつくる場所なので、ここが傷つくと、そこからつくられる爪の形にも影響が出て、でこぼこが生じることがあります。甘皮と爪郭は、爪母とできたての爪をおおう、ふたのような皮膚です。
爪は指先を守り、つまむ・歩く働きを支える
爪の役目は、指先を守ることと、指の働きを支えることです。手ではものをつかむ、足では歩く・体を支えるといった働きを助けています。
爪の先は小さなものをつまんだり、かいたりするのに使われ、指先の感覚を助ける働きもあります。爪床の血管は、体温の調節にもかかわっています。
爪は角層が変化したもので、髪と同じ硬ケラチンの仲間です。もとになった角層のつくりは角層の記事、同じ仲間の髪は髪と頭皮の記事で解説しています。爪は、角層から生まれた、指先の道具なのです。
まとめ
- 爪は角層が変化したもので、根元の爪母でつくられ、指先へ押し出されて伸びます
- 爪甲は、かたくなった細胞が約196列重なった板で、手の爪で約0.5mm、3つの層からなります
- 爪甲は硬ケラチンでできていて、水分は10%前後と、角層よりずっと少ない組織です
- 爪床は爪甲を指にくっつけ、透けて見える血管の色が爪のピンク色になります
- 手の爪は1か月に約3mm、足の爪は約1mm伸び、甘皮と爪郭が根元とまわりをおおっています
爪は、角層が姿を変えて、指先の道具になったものです。根元の爪母から先の爪下皮まで、場所ごとの名前と役目を知っておくと、爪の見え方が変わってきます。
よくある質問
爪は何でできているの?
硬ケラチンというたんぱく質でできています。爪甲は、核をなくしてかたくなった細胞が約196列重なった板で、水分は10%前後しかありません。
爪がピンク色に見えるのはなぜ?
爪の下の爪床にある血管の色が透けて見えるからです。爪甲そのものは無色透明なので、爪の色は血流の状態を映しています。
爪は1か月にどれくらい伸びる?
手の爪は約3mm、足の爪は約1mmです。よく使う指ほど速く、子どもや若い人は高齢の人より速く伸びるとされています。
爪の根元の白い半月は何?
爪半月といい、まだ完全には角化していない新しい爪です。親指では大きく、小指ではとても小さいとされています。
甘皮にはどんな役目があるの?
甘皮は爪上皮といい、爪甲の根元とうしろの皮膚をつないでいます。厚い角層の層で爪甲にくっつき、爪母でつくられたばかりの爪の手前をおおっています。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「爪」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「爪甲」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「爪床」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「爪上皮」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「爪半月」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「爪母」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ケラチン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層」
- MSDマニュアル家庭版「爪の病気の概要」
- StatPearls「Histology, Nail」(NCBI Bookshelf、2023年5月29日更新)
- Mingorance Álvarez E, Martínez Quintana R, Pérez Pico AM, Mayordomo R. Predictive Model of Nail Consistency Using Scanning Electron Microscopy with Energy-Dispersive X-Ray. Biology 2021;10(1):53