この記事でわかること
- ジェルを固めるときに熱くなる理由と対処
- マニキュアの中身と、除光液で爪が白くなる理由
- ネイルのかぶれが指以外に出るとき
ジェルネイルをライトで固めるとき、指先がじんわり熱くなって、これって大丈夫なのかと不安になりますよね。
結論から言うと、気のせいではなく、実際に熱くなっています。厚く塗ると、ネイルの裏側が60〜65℃に達することがあります。熱いと感じたら、我慢せずにすぐ手を出しましょう。
ジェルを固めるときは、本当に60〜65℃まで熱くなることがある
ジェルが固まるとき、指先は本当に高い温度になります。ジェルは、ライトを当てて固まるときに熱を出すからです。
ライトを当てたら1、2秒で異常に熱くなり、爪をやけどしたという相談をもとにした国民生活センターのテストでは、厚く塗ったときのネイルの裏側が60〜65℃に達し、ライトを当てた直後から急に熱くなって、9秒後に最高温度になりました。60℃は、1分触れるとやけどするめやすとして国際規格にある温度です。
熱いと感じたら、我慢せずにすぐ手を出します。
厚く塗る
当てる
熱くなる
手を出す
ライトを続けて使うと、庫内の温度が50℃前後まで上がることもあります。熱くなりやすいのは、厚塗り、皮膚についたジェル、ストーン飾りで熱が集まるとき、爪が薄いときなどです。皮膚についたジェルは拭き取り、熱さを感じたらすぐ手を出すことを覚えておきましょう。
マニキュアは、塗料と同じ系統の原料でできている
マニキュア、つまりネイルエナメルは、塗料と同じ系統の原料でできています。膜の主成分のニトロセルロースが、ラッカー塗料にも使われる原料だからです。
中身は、膜をつくる高分子、膜をしなやかにする可塑剤、塗りやすくして乾くと飛んでいく溶剤、とろみをつけるゲル化剤、それにパール剤などの色材です。これらを調節して、塗りやすく、すぐ乾き、はがれにくく長もちするように作られています。
ニトロセルロースは硝化度という値で使い道が分かれ、化粧品で使われるのは12.2〜11.5%のものです。静電気でも火がつくことがあるので、原料としては取り扱いに十分な注意がいります。「マニキュア」という言葉は、ラテン語の「手」と「手入れ」がもとといわれ、本来は手の手入れ全体を指していました。
マニキュアはスキンケアとはまったく違う、塗料に近いものだと考えましょう。
除光液で爪が白くなるのは、油分と水分が抜けるから
除光液のあと爪が白っぽくなるのは、色が抜けたのではなく、爪の表面の油分と水分が抜けたためです。溶剤は、ネイルエナメルだけでなく、爪の表面の油分と水分まで奪うからです。
除光液の油脂や保湿剤は、枠で囲んだところをおさえるために入っています。
ふく
が抜ける
もろくなる
それを防ぐために、除光液にはひまし油やホホバ油、オリーブ油といった油脂や、プロピレングリコール、グリセリンなどの保湿剤が入っています。溶剤にはアセトン、酢酸ブチル、酢酸エチルなどが使われ、日本ではアセトン系が多く使われます。つまり「ノンアセトン」は溶剤が入っていないという意味ではなく、別の溶剤に替えているということです。アセトンも酢酸ブチルも、火がつきやすく、目への刺激がある液体です。
ネイルカラーや除光液は、粘膜に炎症を起こすおそれがある製品なので、飲み込んだらすぐに医師の診察を受けます。ふだんの爪のお手入れは、1週間に2〜3回を目安に、ネイルトリートメントで爪を含む指先をマッサージするのが望ましいとされています。
爪に直接塗るジェルは、化粧品として扱われる
爪に直接塗るジェルは、化粧品として扱われます。厚生労働省が、爪に直接塗るベースジェルは化粧品にあたるとしているからです。人の爪に直接塗らないことが明らかな場合は、化粧品とは判断されません。
化粧品の表示の業界ルールでも、「爪化粧料」の代わりに使える名前として「ジェルネイル」が書かれていて、同じ欄にはネイルエナメル、マニキュア、除光液、トップコート、ベースコートなどが並んでいます。化粧品なので、爪についてうたえる効能は「爪を保護する」「爪をすこやかに保つ」「爪にうるおいを与える」の3つです。
厚生労働省は、ネイルサロンの衛生管理の指針も出しています。使う製品は承認や届出を受けた医薬部外品や化粧品であること、施術の前には、皮膚の病気の治療中か、アレルギー体質か、薬を飲んでいるかなどを客に確かめることが求められています。
ジェルネイルも、化粧品の決まりの中にあるものと覚えておきましょう。
ネイルのかぶれは、まぶたに出ることもある
ネイルによるかぶれは、指先ではなく、まぶたに出ることもあります。ネイルを塗った指で目のまわりに触れることで、離れた場所に症状が出ると考えられているからです。
塗った指ではなく、触れたまぶたに症状が出ることがあります。
ネイル
に触れる
かぶれる
皮膚科の学会の診療ガイドラインは、まぶたのかぶれの原因として、マスカラやアイライナー、アイシャドーと並んで、アクリレートなどを含むネイル化粧品を挙げています。手指のかぶれでも、アクリル爪やネイルジェルが原因に挙がっていて、仕事でジェルネイルを扱うネイリストにも起きるとされています。
ネイルをしてからまぶたがかゆくなったら、ネイルも原因の候補に入れて皮膚科に相談しましょう。
つけ爪の接着剤は、化粧品の決まりの外にある
つけ爪用の接着剤は化粧品ではなく、家庭用品品質表示法の対象にもなっていません。そのため、化粧品のような成分や注意の表示が決まっていないのです。
国民生活センターのテストでは、接着剤とティッシュペーパーの組み合わせで167℃、デニムで165℃に達したものがあり、十数秒で170℃近くまで温度が上がりました。衣類についたら大量の水をかけ、皮膚についたら40℃くらいのお湯の中でもむようにしてはがします。
自治体の商品テストでは、検体からホルムアルデヒドが出ていて、固まったあとも出続けることがうかがえました。本体、包装、添付文書のどれにも表示がいっさいない検体もありました。まつ毛エクステの接着剤と同じで、表示を見て選べない分、扱いには気をつけましょう。
まとめ
- ジェルを固めるときは、厚塗りで60〜65℃に達することがあります。熱ければすぐ手を出します
- マニキュアの主成分はニトロセルロースで、塗料と同じ系統の原料です
- 除光液で爪が白くなるのは、油分と水分が抜けるため。「ノンアセトン」でも溶剤は入っています
- 爪に直接塗るジェルは化粧品。つけ爪用の接着剤は、化粧品の決まりの外にあります
- ネイルによるかぶれは、まぶたに出ることもあります
熱いと感じたら我慢しない。これが、ネイルでいちばん役に立つ注意です。
よくある質問
ジェルネイルを固めるとき熱いのは普通?
実際に熱くなっています。厚く塗ると、固まるときのネイルの裏側が60〜65℃に達したテスト結果があります。熱いと感じたら我慢せず、すぐ手を出しましょう。
除光液で爪が白くなるのはなぜ?
爪の表面の油分と水分が抜けるためで、色が抜けたわけではありません。くり返すと爪がもろくなるおそれがあるため、除光液には油脂や保湿剤が入っています。
ノンアセトンの除光液なら溶剤は入っていない?
いいえ、ノンアセトンは、アセトンを別の溶剤に替えているという意味です。溶剤が入っていないわけではありません。
ジェルネイルは化粧品?
爪に直接塗るジェルは、化粧品として扱われます。化粧品としてうたえる爪の効能は「爪を保護する」「爪をすこやかに保つ」「爪にうるおいを与える」の3つです。
ネイルでまぶたがかぶれることはある?
あります。まぶたのかぶれの原因の一つに、ネイル化粧品が挙げられています。指で目のまわりに触れることで、離れた場所に症状が出ると考えられます。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ネイルエナメル」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ネイルエナメルリムーバー」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ニトロセルロース」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「美爪料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ネイルトリートメント」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ネイルケア」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ネイルアート」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「爪」
- 化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡「化粧品の該当性について」(令和2年9月4日)
- 厚生労働省健康局長通知「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針について」(平成22年9月15日 健発0915第4号)
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「ネイル作業における化学物質の取扱いについて」(2018年3月作成/2019年3月改訂)
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】」
- 国民生活センター「硬化時に発熱してやけどを負ったジェルネイル」(相談解決のためのテストから No.123、平成30年9月6日)
- 同 報告書本文(PDF)
- 国民生活センター「つけ爪による危害 ―かぶれ、やけど、カビが生えることも―」(2008年10月16日公表)
- 国民生活センター「瞬間接着剤の使用によるやけどに注意―つけ爪用接着剤にも使用されています―」(令和6年6月19日)
- 東京都生活文化局消費生活部生活安全課 商品テスト「つけ爪、まつげエクステンション等に使用する接着剤の安全性」(平成29年2月)
- 東京くらしWEB「ジェルネイルのトラブルに注意!~ライトを当てたときの指先の温度上昇に気を付けて~」(2020年3月17日)
- 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」(日本皮膚科学会雑誌130巻4号)
- 日本化粧品工業会「誤飲誤食してしまったときは」
- 日本化粧品工業(連合)会「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準」(2016年12月1日)