この記事でわかること
- プロポリスの正体と、化粧品で言える効果
- かぶれの原因として知られる理由と注意点
- ニキビの話と、赤ちゃん・食べる話の区別
韓国の化粧品などで「プロポリス」の名前を見かけると、肌にどんな効果があるのか、天然のものだから肌にやさしいのか、赤ちゃんに使ってもいいのか、気になりますよね。
結論から言うと、プロポリスはミツバチが木の芽などのヤニからつくる巣の材料で、化粧品には肌をよい状態に保つ目的で入っています。ただし、かぶれの原因として皮膚科でよく知られている成分でもあり、天然のものだから肌にやさしい、とは限りません。
プロポリスは、ミツバチが樹脂からつくる巣の材料
プロポリスとは、ミツバチが木の新芽やつぼみ、樹皮などから集めた樹脂に、ハチ自身の分泌物を混ぜてつくる巣の材料です。ねばりのあるヤニのような物質で、ハチの接着剤と呼ばれることもあります。
これが成分表示の「プロポリスエキス」のもとです。
木の芽の樹脂を集める
分泌物と混ぜて巣のすきまに
同じミツバチからとれるものでも、食べ物として知られるはちみつや、ミツロウ、ローヤルゼリーとは別のものです。ヨーロッパの化粧品の成分の情報では、配合の目的は皮膚をよい状態に保つことで、使える量の制限はついていません。化粧品として言える効果は、「肌を整える」「皮膚をすこやかに保つ」といった、国が決めた化粧品の効能の範囲までです。
プロポリスの中身は、産地によって大きく違う
プロポリスの成分は、ミツバチが樹脂を集める植物によって大きく変わります。近くにどんな木があるかは、地域や季節、気候で違うからです。
同じ「プロポリスエキス」でも、木が違えば中身が違います。
ポプラ型のおもな成分は、植物に多い色素の仲間のフラボノイドです。かぶれの検査に使うプロポリスを分析すると、ブラジル産と中国産では組成が大きく違ったという結果もあります。産地や集めた時期、取り出し方で中身がそろわず、成分の量をそろえる決まりもないので、成分表に同じ「プロポリスエキス」と書かれていても、中身が同じとは限らないと考えておきましょう。
プロポリスは、かぶれの原因として知られる成分
プロポリスは、肌にふれてかぶれを起こすことがある成分として、皮膚科ではよく知られています。体が一度その物質を覚えると、次にふれたとき、その場所が赤くなったりかゆくなったりするからです。
これがアレルギー性の接触皮膚炎で、ふれた場所に出ます。
はじめてふれる
もう一度ふれると
- プロポリスエキス
- 成分を覚える体の細胞
- 赤み・かゆみ
プロポリスで原因になる物質としては、ケイ皮酸の仲間やサリチル酸ベンジルなどが挙げられています。ヨーロッパで標準として使われる、かぶれの原因を調べるパッチテストの基本セットにも、プロポリスをワセリンに混ぜたものが入っています。続けて検査に入れる価値があるほどの頻度で、陽性が出ていたからです。
ただし、この陽性は皮膚炎で検査を受けた人の中での話で、一般の人がかぶれる割合ではありません。プロポリスに反応する人は、ペルーバルサムやロジン、香料など、植物の樹脂や香りのアレルゲンにも同時に反応することが多いとされています。ミツロウにはプロポリスが少し残っていることがあり、リップクリームで反応した例もありますが、まれです。香料などでかぶれた経験がある人は、成分表で「プロポリスエキス」を確かめ、赤みやかゆみが出たら使うのをやめて皮膚科に相談しましょう。
ニキビが気になるなら、化粧品より皮膚科の治療
プロポリスはニキビにいい、と聞くと試してみたくなりますよね。でも、ニキビが気になるときに頼るのは、化粧品より皮膚科の治療です。ニキビは皮膚の病気で、治療は医薬品の領域だからです。
化粧水や美容液、クリームなどの化粧品は、ニキビへの効果をうたえません。プロポリスとティーツリーオイル、アロエベラの葉の汁を混ぜたクリームで、軽いものから中くらいのニキビの数が減ったという結果がありますが、3つの成分を混ぜたクリームでの結果です。プロポリス入りのスキンケアは、肌をよい状態に保つためのもの、と考えておくと迷いません。
赤ちゃんとはちみつの注意は、食べる話
「1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えない」という注意は、食べる話で、肌に塗るプロポリスの話ではありません。はちみつを食べると、乳児ボツリヌス症にかかることがあるからです。
はちみつの1歳未満の注意は、食べる話です。
肌や唇に塗る(化粧品)
食べる・飲む(食品)
厚生労働省は、はちみつや、はちみつ入りの飲み物、お菓子などの食品を1歳未満に与えないよう呼びかけていて、原因の菌は熱に強く、ふつうの加熱や調理では死にません。ただ、食べる話ではないからといって、赤ちゃんに塗っても安心というわけでもありません。赤ちゃんは手や物をよく口に入れますし、唇のまわりに塗るものは口に入ります。プロポリス入りの飴をなめて口の中がただれ、パッチテストでプロポリスに陽性だった例もあります。赤みやぶつぶつが出たら、使うのをやめて小児科や皮膚科に相談しましょう。
健康食品のプロポリスは、食品と医薬品を分ける国の区分で、医薬品のような効能をうたわない限り医薬品とは判断しない成分に入り、食品添加物にも酸化を防ぐ目的の「プロポリス抽出物」があります。海外の医薬品の安全機関は、飲んだ人での過敏反応の報告をまとめ、アレルギーの経験がある人は特に注意としています。飲む話は経路が違うので、化粧品の効果にそのまま当てはめないようにしましょう。
まとめ
- プロポリスは、ミツバチが木の芽などの樹脂に分泌物を混ぜてつくる巣の材料で、成分表示では「プロポリスエキス」です
- 化粧品として言える効果は、「肌を整える」など決められた効能の範囲までです
- ポプラ型とブラジル産のように、産地によって中身が大きく違います
- かぶれの原因として知られ、ヨーロッパのパッチテストの基本セットにも入っています
- 1歳未満にはちみつを与えない注意は食べる話で、ニキビが気になるときは皮膚科の治療が基本です
プロポリスは、ミツバチがつくる天然の成分ですが、天然だから肌にやさしいとは限りません。香料などでかぶれた経験がある人は成分表を確かめ、肌に合うかを見ながら使ってみてください。
よくある質問
プロポリスとはどんな成分ですか?
ミツバチが木の新芽やつぼみ、樹皮から集めた樹脂に、ハチ自身の分泌物を混ぜてつくる巣の材料です。化粧品の成分表示では「プロポリスエキス」と書かれ、はちみつやミツロウとは別のものです。
プロポリスの化粧品の効果は?韓国の化粧品なら特別ですか?
化粧品として言える効果は、「肌を整える」「皮膚をすこやかに保つ」といった決められた効能の範囲までで、どこの国の化粧品でも同じです。産地で中身が違うので、肌に合うかを見ながら使いましょう。
プロポリスでアレルギーやかぶれは起きますか?
起きることがあり、かぶれの原因として知られる成分です。ヨーロッパのパッチテストの基本セットにも入っていて、香料など植物由来のアレルゲンにも同時に反応する人が多いとされています。赤みやかゆみが出たら使うのをやめ、皮膚科に相談しましょう。
プロポリス入りの化粧品は赤ちゃんに使っても大丈夫?
慎重に選びましょう。1歳未満にはちみつを与えないという注意は、乳児ボツリヌス症を防ぐための食べる話です。ただしプロポリスはかぶれの原因として知られ、唇や口のまわりの製品は口に入るため、赤みが出たら使うのをやめて小児科や皮膚科に相談しましょう。
プロポリスはニキビに効きますか?
化粧水や美容液、クリームなどの化粧品は、ニキビへの効果をうたえません。ニキビの治療は医薬品の領域なので、繰り返すときや赤く腫れたときは皮膚科に相談しましょう。
この記事で参照した情報
- Wilkinson M, et al. The European baseline series and recommended additions: 2023. Contact Dermatitis 2023(2022年オンライン公開)
- ドイツ食品化学会 化粧品作業部会 データシート「Propolis」
- COSMILE Europe(欧州化粧品工業会の成分データベース)「PROPOLIS EXTRACT」
- Nyman G, et al. Contact Allergy in Western Sweden to Propolis of Four Different Origins. Acta Derm Venereol 2020;100(16)
- Nyman G, et al. Patch Testing with Propolis of Different Geographical Origins in a Baseline Series. Acta Derm Venereol 2021;101(11)
- de Groot AC, et al. Contact Allergy to Propolis: Update 2013-2025. Dermatitis 2026;37(4):563-588
- de Groot AC, et al. Propolis and Beeswax in Cosmetics: A Market Survey. Contact Dermatitis 2026;94(5):494-503
- de Groot AC, et al. Co-Reactivity of Fragrances with Chinese and Brazilian Propolis. Contact Dermatitis 2026;94(5):482-487
- de Groot AC, et al. Composition of Brazilian and Chinese Propolis for Patch Testing. Contact Dermatitis 2025;93(1):56-60
- Mazzarello V, et al. Treatment of acne with a combination of propolis, tea tree oil, and Aloe vera compared to erythromycin cream: two double-blind investigations. Clin Pharmacol 2018;10:175-181
- 平田佳子ほか「プロポリスによるアレルギー性接触粘膜炎の1例」医学書院、2020年8月
- 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」
- 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報 プロポリス
- ニュージーランド医薬品安全庁 Medsafe「Prescriber Update 31(3):22 Propolis」(2010年9月)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)