この記事でわかること
- ルシノールの正体と、国が認めた効能
- メラニンの流れの中で、ルシノールが働く場所
- 副作用・白斑の話と、敏感肌の使い方
薬用化粧品で「ルシノール」や「4-n-ブチルレゾルシノール」という名前を見ると、どんな成分なのか、副作用はないのか、敏感肌でも使えるのか気になりますよね。
結論から言うと、ルシノールは、メラニンをつくる酵素のじゃまをして、しみやそばかすを防ぐための医薬部外品の有効成分です。これからできるしみを防ぐ成分で、使うときの注意はほかの有効成分と同じです。まずは、どんな成分なのかから見ていきましょう。
ルシノールは、医薬部外品の有効成分「4-n-ブチルレゾルシノール」の呼び名
ルシノールは、4-n-ブチルレゾルシノールという成分につけられた呼び名です。国内の化粧品会社が開発した成分で、1998年に医薬部外品の有効成分として承認されました。
形は、レゾルシノールという、六角形の環に水酸基が2つついた小さな分子に、炭素が4つ並んだ鎖をつけたものです。レゾルシノールの仲間をいくつも合成し、メラニンをつくる酵素を強くじゃまするものを探す中から選ばれました。
日本のしみ対策の有効成分では、コウジ酸が1988年、アルブチンが1989年、トラネキサム酸が2002年に承認されていて、ルシノールはその間に加わった成分です。「ルシノール」は開発した会社による呼び名なので、承認された成分名や成分表示では、4-n-ブチルレゾルシノールと書かれます。
しみは、メラニンができて肌にたまって起こる
しみは、紫外線などをきっかけにメラニンという色の粒がつくられ、肌の細胞にたまって起こります。ルシノールの働きを知るには、このメラニンの流れを先に見ておくとわかりやすいです。
ルシノールは、枠で囲んだ「メラニンができる」ところで酵素の働きをじゃまします。
浴びる
できる
細胞に
渡される
しみになる
メラニンは、表皮のいちばん下にあるメラノサイトという細胞の中で、チロシンというアミノ酸を材料に、チロシナーゼという酵素の働きでつくられます。できたメラニンはまわりの細胞に渡され、たまると、しみとして見えるようになります。
しみを防ぐには、流れの最初の「メラニンができる」ところを抑えるという考え方があります。ここで働くのがルシノールです。
ルシノールは、メラニンをつくる酵素のじゃまをする
ルシノールは、チロシナーゼという酵素のじゃまをして、メラニンをできにくくする成分です。酵素の材料が入り込む鍵穴を、材料と取り合うようにして、メラニンができる反応を進みにくくするからです。メラニンができる流れの中では、いちばん最初の「つくる」段階に働きます。
医薬部外品の有効成分として「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」効能が認められています。
実際に、ルシノールは酵素をつくる合図ではなく、酵素そのものを直接じゃますることがわかっています。ヒトのチロシナーゼを使った試験管の試験では、アルブチンやコウジ酸より少ない量で酵素の働きを抑え、ヒトの皮膚を模したモデルでもメラニンが減ったという結果があります。
ルシノールは、メラニンが「できる」ところで働いて、しみを防ぐ成分です。
認められた効能は「しみ、そばかすを防ぐ」で、できたしみを薄くする効能ではない
医薬部外品の有効成分として認められている効能は、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」です。メラニンができるところに働くしくみなので、これからできるしみを防ぐための効能だからです。
すでにできたしみを薄くする効能ではありません。また、化粧品の効能56項目にメラニンという言葉はなく、ふつうの化粧品で書けるのは「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」までです。
人の肌では、0.1%のルシノールを配合したクリームを塗ると、肝斑というタイプのしみのメラニンの量の指標が下がったという結果があります。0.3%を配合した化粧水が、肝斑などに使われた報告もあります。気になるしみがすでにあるときは、しみの種類も含めて皮膚科に相談しましょう。
ルシノールは、紫外線対策と合わせて、しみを「防ぐ」ために使う成分と覚えておきましょう。
アルブチン・コウジ酸とは、酵素のじゃまのしかたが違う
ルシノールとアルブチンは酵素の鍵穴を材料と取り合うしくみ、コウジ酸は酵素がもつ銅をはさみ込んで働きを抑えると考えられています。同じ酵素に働く成分でも、じゃまのしかたが違うのです。
トラネキサム酸は、酵素ではなく「メラニンをつくれ」という合図のほうに働くとされる成分なので、働く場所が違います。
試験管の試験では、酵素の働きを半分に抑えるのに必要な量は、ルシノールがいちばん少なく、次がコウジ酸で、ハイドロキノンとアルブチンは桁違いに多い量が必要でした。ただ、肌の中では、成分が角層にどれだけ届くかや、ほかのしくみも関わります。試験管で少ない量で働くことと、肌での効き目の大きさは別と考えておきましょう。
選ぶときは、どの段階に働く成分かを知っておくと比べやすくなります。
白斑の事例は別の成分で、注意書きはどの製品にも共通
しみ対策の成分と聞くと、肌の色が白く抜ける白斑が心配になりますよね。でも、白斑が広く起きた事例は、ロドデノールという別の有効成分のものです。
2013年に、ロドデノールを配合した薬用化粧品で、肌の色が白く抜ける症状が広く起きました。ロドデノールは4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノールという成分で、ルシノールとは分子の形も承認の年も違います。この事例を受けて厚生労働省は2014年、皮膚に塗る薬用化粧品と化粧品の全てに、使用上の注意として「色抜け(白斑等)や黒ずみ」を書き足すよう求めました。
ルシノールそのものは、医薬部外品の有効成分として効能と安全性が審査され、承認されている成分です。それでも、0.1%のクリームを使った人の一部に、軽い赤みとかゆみが出て、自然におさまったという結果があります。かゆみや赤みは、ほかの有効成分と同じように起こりうるので、出たら使うのをやめましょう。
白斑などの注意書きは、どの薬用化粧品や化粧品にも共通して書かれているものです。肌の一部が白く抜けてきた、黒ずんできたと感じたら、使うのをやめて皮膚科に相談しましょう。有効成分の制度と国ごとの違いは別の記事にまとめています。
敏感肌の人は、試し塗りをしてから少しずつ使う
敏感肌の人は、腕の内側などで試し塗りをしてから、少しずつ使い始めるのが安心です。有効成分として承認されていても、合う合わないは人によって違うからです。
しみ対策の製品は、有効成分だけでなく、アルコールや香料など、ほかの成分で刺激を感じることもあります。肌があれているときは、使い始めるのを見送りましょう。
敏感肌の人がルシノール配合の薬用化粧品を使い始めるときの流れです。
試す
夜だけ
紫外線対策
色の変化で
中止
最初は夜だけなど回数を減らして様子を見て、新しい製品を一度に増やさないようにします。日中は紫外線を防ぎましょう。赤み、はれ、かゆみ、刺激、色抜けや黒ずみのどれかが出たら使うのをやめ、続くようなら皮膚科に相談します。皮膚科ではパッチテストで原因の成分を調べることができます。
敏感肌の人は、試してから少しずつを合言葉にしましょう。
成分表では、有効成分の欄で正式な名前を探す
ルシノールが有効成分として入っている製品では、有効成分の欄に「4-n-ブチルレゾルシノール」と書かれています。医薬部外品には、有効成分とその他の成分を分けて書く表示があるからです。
「ルシノール」という名前は、パッケージや説明文で使われる呼び名です。成分の欄に出てくる正式な名前のほうを覚えておくと探しやすくなります。見分けるときのポイントは、「薬用」「医薬部外品」の表示と、有効成分の欄の2つです。
ふつうの化粧品の全成分表示に同じ成分の名前があっても、化粧品として書ける効能は「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」までで、医薬部外品の効能はうたえません。ヨーロッパの化粧品成分のデータベースでは、同じ成分が酸化防止の目的の成分として登録されていて、国によって立場が違います。
成分表では、有効成分の欄と正式な成分名をセットで見ましょう。
まとめ
- ルシノールは4-n-ブチルレゾルシノールという成分の呼び名で、1998年に医薬部外品の有効成分として承認されました
- しみは、紫外線などをきっかけにメラニンができ、肌にたまって起こります
- ルシノールはメラニンをつくる酵素チロシナーゼのじゃまをする成分で、認められた効能は「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」です
- 白斑の事例はロドデノールという別の成分のもので、注意書きは全ての薬用化粧品・化粧品に共通です
- 成分表では有効成分の欄の「4-n-ブチルレゾルシノール」で見分け、敏感肌の人は試し塗りをして、異常が出たらやめて皮膚科へ
ルシノールは、しくみがはっきりしている有効成分のひとつです。「防ぐ」成分だと知ったうえで、紫外線対策と合わせて上手に使ってみてください。
よくある質問
ルシノールとはどんな成分ですか?
4-n-ブチルレゾルシノールという医薬部外品の有効成分の呼び名です。国内の化粧品会社が開発し、1998年に承認されました。メラニンをつくる酵素チロシナーゼの鍵穴を材料と取り合ってじゃまし、しみ・そばかすを防ぐために薬用化粧品に入っています。
ルシノールの効果は、できたシミにもありますか?
国が認めた効能は、これからできるしみを防ぐことです。医薬部外品の効能は「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」で、すでにできたしみを薄くする効能ではありません。気になるしみは皮膚科に相談しましょう。
ルシノールに副作用はありますか?
0.1%のクリームを使った人の一部に、軽い赤みやかゆみが出て、自然におさまったという結果があります。赤み、はれ、かゆみ、刺激、色抜けや黒ずみが出たら使うのをやめ、続くなら皮膚科に相談してください。
ルシノールで白斑になることはありますか?
白斑が広く起きた事例は、ロドデノールという別の有効成分のものです。ルシノールとは分子の形も承認の年も違います。ただし2014年から、皮膚に塗る薬用化粧品と化粧品の全てに「色抜け(白斑等)や黒ずみ」の注意書きがあるので、肌の色の変化を感じたら使うのをやめて皮膚科へ。
敏感肌でもルシノールは使えますか?
使えますが、試し塗りをしてから少しずつ使うのが安心です。承認された有効成分でも、合う合わないは人によって違い、有効成分以外のアルコールや香料で刺激を感じることもあります。腕の内側で試し、最初は回数を減らして様子を見ましょう。
この記事で参照した情報
- Ando H, Matsui MS, Ichihashi M. Quasi-Drugs Developed in Japan for the Prevention or Treatment of Hyperpigmentary Disorders. Int J Mol Sci 2010;11(6):2566-2575
- Kolbe L, et al. 4-n-butylresorcinol, a highly effective tyrosinase inhibitor for the topical treatment of hyperpigmentation. J Eur Acad Dermatol Venereol 2013;27 Suppl 1:19-23
- Kim DS, et al. Inhibitory Effects of 4-n-Butylresorcinol on Tyrosinase Activity and Melanin Synthesis. Biol Pharm Bull 2005;28(12):2216-2219
- Huh SY, et al. The Efficacy and Safety of 4-n-butylresorcinol 0.1% Cream for the Treatment of Melasma: A Randomized Controlled Split-face Trial. Ann Dermatol 2010;22(1):21-25
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」2020年版(医薬部外品の効能効果の表現の範囲)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「化粧品等の使用上の注意について」(平成26年5月30日 薬食発0530第2号)
- 厚生労働省 報道発表「ロドデノール配合薬用化粧品による白斑症状の原因究明等に関する研究班の設置について」(2013年10月11日)
- COSMILE Europe(欧州化粧品工業会 成分データベース)「4-BUTYLRESORCINOL」
- Wikipedia「4-Butylresorcinol」(参照した一次資料の確認用)