成分辞典やさしい解説

シリカとは|化粧品に入る理由と、シリコーン・ケイ素との違い

あるコスメオタク・2026.10.06・更新 2026.10.22・成分解説

化粧品の成分表で「シリカ」という名前を見ると、シリコーンと同じものなのか、肌に塗っても大丈夫なのか、気になりますよね。

結論から言うと、シリカは余分な皮脂や汗を吸ってテカリを抑えたり、粉が固まるのを防いだりする細かい粉です。名前は似ていてもシリコーンとは別の成分で、肌に刺激が出ないように作られていれば、今の使い方で安全と評価されています。

シリカとは、化粧品では合成してつくる非晶質の二酸化ケイ素

シリカとは、ケイ素と酸素が結びついた二酸化ケイ素のことで、化粧品に使うのは主に合成してつくる非晶質のものです。二酸化ケイ素には、粒がきちんと並んだ結晶質と、決まった並び方をもたない非晶質の2つの形があります。

同じ二酸化ケイ素でも、並び方が決まっているかどうかで性質や安全性の考え方が違います。

結晶質(石英など)

非晶質(化粧品のシリカ)

  • ケイ素
  • 酸素

化粧品成分の安全性を評価するアメリカの専門家委員会も、製造方法がとても大事だとして、合成の方法でつくった非晶質のシリカと含水シリカを評価の対象にしています。合成のシリカは、水の中で沈ませてつくる沈降シリカ、高温の炎の中で原料を反応させてつくるフュームドシリカ、水の中に細かく散らばったコロイダルシリカなどに分けられます。

一方で、肌にチクチクした感触を与える美容液に入っている海綿という生き物の骨のかけらも、成分表では「シリカ」と書かれることがあります。こちらは天然のもので、合成のシリカとは別に考えます。成分表でよく見るシリカは、合成してつくった非晶質の粉と覚えておけば大丈夫です。

シリカは、肌の上の皮脂や汗を吸ってテカリを抑える粉

肌の上でのシリカの主な役目は、余分な皮脂や汗を吸って、テカリを抑えることです。皮脂は毛穴から出て、肌の表面に広がります。皮脂膜として角層の表面を守る大事なものですが、多すぎると表面で光を反射して、テカって見えます。汗が混ざると、メイクもくずれやすくなります。

シリカは肌の表面にとどまり、そこに広がった皮脂や汗を吸います。

皮脂や汗が広がってテカる

シリカが吸ってさらっと

  • 皮脂
  • 汗
  • シリカの粒

シリカは液体を吸う吸収剤なので、テカリやメイクのくずれが気になるときの、さらっとした仕上がりに向きます。成分表の「シリカ」と「含水シリカ」には、ほかにも、汚れをこすり落とす研磨剤、粉どうしが固まるのを防ぐ固結防止剤、中身のかさを出す増量剤、透けにくくする不透明化剤という役目があります。

ヨーロッパの資料では、とろみの調整にも使われ、スキンケアやメイクのほか、歯みがきなどのオーラルケアにも入っているとされています。おしろいやパウダーのさらさら感、日焼け止めのさらっとした使い心地の陰には、皮脂や汗を吸うシリカがいることが多いのです。

シリカシリレートは、表面に水をはじく加工をしたシリカ

シリカシリレートやシリカジメチルシリレートは、シリカの粒の表面を、水をはじくように加工した粉です。炎の中でつくるフュームドシリカの粒の表面には水になじむ部分があり、ここをシリコーンに似た小さな部品に置きかえています。

粒の表面の部品を置きかえると、水をはじく粉になります。

シリカ

シリカシリレート

  • 水になじむ部分
  • シリコーンに似た小さな部品
  • 水

表面が変わると、働きも少し変わります。アメリカの専門家委員会の報告では、これらは固まりを防ぐ、かさを出す、すべりをよくする、肌をおおう、成分を均一に散らばらせる、水を含まない油の中身にとろみをつける、泡を消す、といった役目で使われるとまとめられています。

どちらも粉の表面処理の一種で、シリコーンの油になったわけではなく、粉のままの成分です。ふつうのシリカが吸う役目中心なのに対し、表面を加工したシリカでは、すべりや油のとろみづけが加わると考えるとわかりやすいです。

シリカとシリコーン、シリコンの違いは、粉と油と元素

名前はよく似ていますが、シリカ、シリコーン、シリコンは別のものです。もとをたどれば同じケイ素の仲間でも、形がまったく違うからです。

「ノンシリコン」はふつうシリコーンが入っていないという意味です。

シリコンケイ素という元素そのままでは成分にならない
シリカケイ素と酸素でできた粉シリカ・含水シリカ
シリコーン鎖がつながった合成の油や樹脂ジメチコン など
飲むシリカ飲料水や健康食品化粧品とは別の話

シリコンは、もともとケイ素という元素を指す呼び方です。シリコーンは、ケイ素と酸素がくさりのようにつながった骨組みに部品がついた合成の成分で、ジメチコンのような油や樹脂になります。シリコーンは環境の中で分解されると、最後はシリカと水と二酸化炭素になるとされています。

日本では「ノンシリコン」のように、シリコンがシリコーンの意味で使われることも多く、混乱のもとになっています。シリコーンが入っていない化粧品にシリカが入っていても、おかしなことではありません。シリコンは元素、シリカは粉、シリコーンは油や樹脂、と3つを分けて覚えておきましょう。

化粧品のシリカは、刺激がないよう処方すれば安全と評価されている

化粧品に使う合成の非晶質のシリカと含水シリカは、刺激が出ないように処方されていれば、今の使い方と濃度で安全と評価されています。アメリカの専門家委員会がこう結論づけていて、表面を加工したシリカシリレートやシリカジメチルシリレートも、気道を刺激したりアレルギーを起こしたりしないように作られていれば、今の使い方で安全とされています。どちらにも条件がついているので、粉のおしろいやスプレーは、顔のまわりで吸い込まないように使うのが基本です。

シリカと聞いて、粉じんを吸うと肺の病気やがんになるという話を思い浮かべる人も多いと思います。国際がん研究機関がヒトに発がん性がある「グループ1」としたのは、石英やクリストバライトの形の結晶質シリカを、仕事の現場で吸い込む場合です。採掘や建設、鋳物づくりなどの職場では、珪肺という肺の病気とも関係があります。化粧品に使う非晶質シリカは、発がん性について分類できない「グループ3」で、並び方から別のものです。

また、ヨーロッパでは、とても小さなナノの大きさのシリカを化粧品に使うとき、成分表の名前のあとにナノの大きさであることを書く決まりがあります。化粧品のシリカは吸い込まないように使えば安心、と考えておけば十分です。

飲むシリカと化粧品のシリカは、別の話

「シリカ水」や「飲むシリカ」として売られている飲料水や健康食品は食品の話で、肌の上で皮脂を吸う化粧品のシリカとは別のものです。同じ名前でも、肌に塗る粉と、口から飲むものでは、役目も決まりもまったく違うからです。

国民生活センターは、シリカやケイ素を多く含むとうたう飲料水や健康食品を調べ、表示より濃度が大幅に低い商品があったことを報告しています。また、ケイ素は水道水や市販の飲料水、多くの食品に含まれていて、ふだんの食事で不足することはないと考えられています。肌のテカリが気になるなら、飲むシリカではなく、塗る化粧品の中のシリカとして考えましょう。

まとめ

シリカは、肌の上で皮脂や汗を吸う「粉」の成分です。シリコーンや飲むシリカとは分けて考え、粉ものやスプレーは吸い込まないように使ってみてください。

よくある質問

シリカとは、化粧品の何の成分ですか?

ケイ素と酸素でできた二酸化ケイ素の粉です。化粧品には主に合成してつくる非晶質のシリカが使われ、余分な皮脂や汗を吸う、粉が固まるのを防ぐ、かさを出す、透けにくくするといった役目があります。

化粧品のシリカの安全性は?肌に塗っても大丈夫?

刺激が出ないように処方されていれば、今の使い方と濃度で安全と評価されています。アメリカの専門家委員会が、合成の非晶質のシリカと含水シリカについてこう結論づけました。粉やスプレーは吸い込まないように使うのが基本です。

シリカとシリコン、シリコーンは同じですか?

別のものです。シリコンはケイ素という元素、シリカはケイ素と酸素でできた無機の粉、シリコーンはケイ素と酸素の鎖をもつ合成の油や樹脂です。シリコーンが入っていない化粧品にシリカが入っていても、おかしなことではありません。

シリカを吸い込むと、がんになるって本当?

発がん性があるとされたのは、石英などの結晶質シリカを仕事の現場で吸い込む場合です。化粧品に使う非晶質シリカは、国際がん研究機関の区分で発がん性を分類できないグループ3ですが、粉ものは吸い込まないように使いましょう。

飲むシリカを飲むと、肌にいいですか?

飲むシリカは食品で、肌に塗る化粧品のシリカとは別のものです。ケイ素は水道水や多くの食品に含まれていて、ふだんの食事で不足しないと考えられています。肌のテカリには、塗る化粧品のシリカとして考えましょう。

あるコスメオタクの写真

この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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