成分辞典やさしい解説

タルクをやさしく解説!発がん性の話と化粧品に使われる理由とは?

あるコスメオタク・2026.10.12・更新 2026.10.21・成分解説

ファンデーションやベビーパウダーの成分表示でタルクを見つけて、発がん性があると聞いたけれど使っても大丈夫なのか、不安になりますよね。

結論から言うと、タルクの発がん性の評価は、陰部にパウダーを使った人の調査などをもとにしたもので、顔や体に塗る使い方が根拠になったわけではありません。タルクは、パウダーやファンデーションのすべりをよくし、汗や皮脂を吸ってさらっと仕上げるための粉です。気をつけたいのは、粉を吸い込まないように使うことです。まずは、タルクがどんな粉なのかから見ていきましょう。

タルクは、滑石を砕いた白い粉で、すべりと白さを出す

タルクは、滑石という柔らかい鉱物を細かく砕き、精製してつくる白い粉です。化粧品では、パウダーやファンデーションのすべりや仕上がりを整えるために入っています。

主成分は含水ケイ酸マグネシウムで、マグネシウムとケイ素、酸素、水素からできた天然の鉱物です。層のように割れやすく、粒は薄い板のような形をしています。化粧品の成分表示ではそのまま「タルク」と書かれ、白さの高い質のよいものは、主に海外から輸入されています。

化粧くずれは、肌から出る汗や皮脂がファンデーションの粉となじんで、浮いたりよれたりすることで起きます。タルクのような色をつけない粉、つまり体質顔料は、この汗や皮脂を吸って、化粧くずれを防ぐ目的で配合されます。平たい粒はすべりがよいので、のびや付きのよさも整えます。

タルクはひとつの粉で、すべり・さらっと感・白さの3つを出します。

すべり

のびと付きを
よくする

さらっと

汗や皮脂を
吸う

白さ

不透明で
白く見せる

すべりのよい肌ざわりから、古くからベビーパウダーの主成分でもあります。平たい粒なので板状の粉に分けられ、同じ仲間のマイカやセリサイトより不透明で白さが高いのが特徴です。同じようにケイ素を含む白い粉のシリカは、ケイ素と酸素だけでできた別の成分で、成分表でも別の名前で書かれます。

タルクは、おしろいやファンデーションのすべり・さらっと感・白さを出す粉と覚えておきましょう。

石綿の問題は原料に混ざる不純物の話で、日本には確認の決まりがある

タルクと聞くと、石綿、つまりアスベストの話が気になりますよね。石綿はタルクそのものではなく、産地によってタルクに不純物として混ざることがあるものです。日本では、原料のタルクに石綿が混ざっていないことを確かめる決まりがあります。

日本では1986年から1987年ごろ、ベビーパウダーや化粧品の原料のタルクに石綿が混ざった製品があることが指摘され、国の研究所の調べでも、市販のベビーパウダーの一部から石綿が検出されました。これを受けて1987年からは、石綿が混ざっていないことを試験で確かめた原料を使うよう徹底されました。

日本では2006年から、石綿が0.1重量%を超えないと確かめた原料だけを使います。

1986年ごろ
混入を指摘
1987年
試験した原料に
2006年
0.1%の決まり

さらに2006年10月16日の厚生労働省の通知で、医薬品や医薬部外品、化粧品に使う原料のタルクは、X線回折法で調べて石綿が0.1重量%を超えないことを確認したものを使う決まりになりました。同じ日には、0.1%を超えて石綿を含む粉状のタルクの製造や輸入、使用などが法律で禁止されていることも、改めて徹底されています。

国の実態調査では、石綿を含む医薬部外品や化粧品の報告は0件でした。都の研究機関の検査でも、石綿が検出されたのは昔に買ったタルカムパウダーで、新しく買ったタルク入りの化粧品からは検出されていません。石綿の問題は、原料の確認の決まりで防がれていると考えてよいでしょう。

発がん性2Aの根拠は、陰部への使用と卵巣がんの調査など

タルクの発がん性2Aは、陰部にパウダーを使った人の調査や動物の試験などをもとにした評価で、顔や体に塗る使い方は根拠に入っていません。国際がん研究機関は2024年7月、石綿を含まないタルクを、ヒトに対しておそらく発がん性がある「グループ2A」に分類しました。

根拠は3つあり、ヒトでのがんの証拠は卵巣がんについて限定的、実験動物での証拠は十分、ヒトの細胞や実験の系で発がん物質に共通する特徴を示すしくみの証拠は強い、とされました。ヒトの証拠になったのは、陰部にボディパウダーを使っていた人で卵巣がんが多かったという結果です。ただ、使っていたかどうかの答え方に偏りが出やすいことや、石綿の混入を除けないことから、証拠は限定的とされました。

石綿を含むタルクは、石綿そのものとしてヒトに発がん性がある「グループ1」に入っていて、この評価とは別です。

そして、2Aという分類は証拠の強さを示すもので、どれくらいがんになりやすいかというリスクの大きさを示すものではありません。2Aと聞いても、すぐに危険な成分という意味ではないのです。

気をつけたいのは、塗ることより粉を吸い込むこと

タルク入りの化粧品で気をつけたいのは、肌に塗ることより、粉を吸い込むことです。タルクの安全性は、塗る、吸い込む、陰部に使う、という使い方ごとに評価が違うからです。

顔や体の肌に塗る使い方では、米国の化粧品成分の専門家委員会が、今の使い方と濃度で化粧品に使うのは安全と結論し、表皮が大きく傷んだ肌には使わないという条件をつけました。これは2Aの分類より前の評価です。カナダ保健省も、女性の陰部を除く肌への接触は懸念の対象にしていません。

一方で、粉を吸い込むことには注意が必要です。カナダ保健省は、ルースパウダーを吸い込むと呼吸が苦しくなったり肺が線維化したりするおそれがあるとして、吸い込むおそれのあるルースのタルクパウダーを避けるよう助言しています。押し固めたプレストパウダーのメイクは懸念の対象にしていません。ヨーロッパと英国の評価も、繰り返し吸い込むと肺に障害が出る物質と見る点では一致しています。

赤ちゃんにベビーパウダーを使う場合も同じです。子どもがタルクの粉を誤って一度に吸い込むのはとても危険な状態とされ、死亡例を含む症例が報告されています。

ベビーパウダーは、手に取ってからのばすと粉が舞い上がりにくくなります。

容器から
ふりかけない
手に
取る
肌に
のばす

陰部にパウダーを使うことは、カナダ保健省が卵巣がんのおそれがあるとして懸念の対象にしています。気になる人は、陰部への使用を避けましょう。タルクを掘り出したり加工したりする職場で粉にさらされる話もありますが、化粧品を使う場面とは量も経路も違います。

パウダーは、顔のまわりで粉を舞い上げないように使うことだけ覚えておけば十分です。

タルクの評価は、国や機関によって分かれている

ニュースで国ごとに違う話を聞くと、結局どれが正しいのか迷いますよね。タルクの評価や決まりは、国や機関によって分かれています。何を対象に、どの使い方を評価したかが違うからです。

米国では、法律でタルクを含む化粧品の石綿の試験方法を規則で定めることが義務づけられ、米国食品医薬品局が試験を義務づける規則案を出しました。しかし寄せられた意見を受けて、2025年11月にこの案を撤回し、改めて規則案を出すとしています。国際がん研究機関も、化粧品や医薬品のタルクを調べる業界の基準は、石綿の混入を見分けられるほど感度が高くないことが多かったと指摘しています。

ヨーロッパの化学物質の委員会は、タルクを繰り返し吸い込むと肺に障害が出る物質としたうえで、ヒトに発がん性があると推定される物質にも分類すべきという意見をまとめました。これに対して英国の機関は、肺の区分には同意しつつ、発がん性の区分には同意しませんでした。

日本では、先ほどの原料の確認の決まりがあります。評価が分かれていても、粉を吸い込まないことが大切、という点はどこでも共通しています。

タルクフリーは、入れていないという意味で、安全の保証ではない

「タルクフリー」や「タルク不使用」は、タルクを配合していないという意味の言葉で、公的な決まりはありません。化粧品の広告のガイドラインでは、何を入れていないかをはっきりさせて「無添加」「不使用」などと書くことは認められていますが、入れていないことで安全を保証するような表現は認められていません。

タルクを使わない製品では、マイカやシリカ、ナイロン-12、窒化ホウ素など、ほかの粉が使われます。

タルク入りかタルクフリーかは、安全か危険かの二択ではありません。顔や体に塗るパウダーやファンデーションは評価の結論を参考にしつつ、ルースパウダーやベビーパウダーは舞い上げずに使い、気になる人は陰部への使用を避ける。使い方で選ぶのがポイントです。肌に合わないと感じたら使うのをやめ、皮膚科に相談しましょう。

まとめ

タルクは、塗るのか、吸い込むのか、どこに使うのかで分けて考えるのがポイントです。パウダーは顔のまわりで舞い上げないように、上手に使ってみてください。

よくある質問

タルクとはどんな成分ですか?

滑石という鉱物を細かく砕いて精製した白い粉で、主成分は含水ケイ酸マグネシウムです。化粧品では、おしろいやファンデーション、ベビーパウダーに、すべりのよさやさらっと感、白さを出す粉として使われます。

タルクに発がん性はありますか?

国際がん研究機関は2024年、石綿を含まないタルクを「おそらく発がん性がある」2Aに分類しました。ヒトでの根拠は陰部にパウダーを使った人の卵巣がんの調査で、顔や体に塗る使い方は根拠に入っていません。分類は証拠の強さを示すもので、リスクの大きさではありません。

タルク入りの化粧品は危険?安全性は?

塗るのか吸い込むのかで分けて考えます。米国の専門家委員会は、表皮が大きく傷んだ肌には使わないという条件つきで、今の使い方と濃度で化粧品に使うのは安全と結論しています。一方で、ルースパウダーなどの粉を吸い込むと肺に害が出るおそれがあるため、顔のまわりで舞い上げないように使いましょう。

ベビーパウダーのタルクは赤ちゃんに使っても大丈夫?

使うなら、粉を赤ちゃんに吸い込ませないことが大切です。子どもがタルクの粉を誤って吸い込むのはとても危険な状態とされ、死亡例を含む症例が報告されています。容器から直接ふりかけず、手に取ってからのばし、顔のまわりで粉を舞い上げないようにしましょう。

タルクフリーとはどういう意味ですか?

タルクを配合していないという意味で、公的な決まりはありません。入れていないことは安全の保証にはならず、タルクの代わりにマイカやシリカ、ナイロン-12など、ほかの粉が使われます。

この記事で参照した情報

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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