成分辞典やさしい解説

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の違いをやさしく解説!ノンケミカルの意味とは?

あるコスメオタク・2026.10.18・更新 2026.10.21・成分解説

日焼け止めの「ノンケミカル」や「紫外線吸収剤フリー」という言葉を見ると、吸収剤は肌に悪いのか、散乱剤のほうがいいのか、気になりますよね。

結論から言うと、吸収剤は紫外線を吸収して熱などに変える透明な成分、散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛の白い粉で、どちらが上ということはありません。吸収剤は白く見えにくい代わりにまれにかぶれる人がいて、散乱剤はかぶれの心配が少ない代わりに白く見えやすい、というのが大きな違いです。まずは、2つの正体から見ていきましょう。

吸収剤は透明な有機の成分、散乱剤は白い粉

紫外線吸収剤はおもに有機の透明な成分で、紫外線散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛などの無機の白い粉です。どちらも肌に届く紫外線を減らす成分ですが、材料が違うので、紫外線の受け止め方も違います。

そもそも日焼け止めがなぜ必要なのか、肌の中で起きることから見ておきましょう。紫外線を浴びると、肌の中でメラニンという色の粒が作られ、まわりの細胞に渡されてたまり、しみになります。吸収剤も散乱剤も、この流れの入り口にある紫外線を、肌に届く前に減らします。

吸収剤も散乱剤も、枠で囲んだ入り口の紫外線を、肌に届く前に減らします。

紫外線を
浴びる
メラニンが
できる
細胞に
渡される
たまって
しみになる

吸収剤は、紫外線を効率よく吸収できる物質です。化粧品の技術者の団体がまとめた用語集では、吸収した紫外線のエネルギーを、熱などの害のないほかのエネルギーに変えて放出するとされています。そのため吸収剤には、吸収したあとも肌に障害を与えないことや、使い心地を損なわないことが求められます。

散乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛などをごく細かくした無機の粉です。用語集では、粉の表面で紫外線を物理的に散乱させて防ぐ成分とされ、環境省のマニュアルでは、粉が紫外線を吸収したり散乱させたりして防ぐと整理されています。

どちらも紫外線を減らしますが、正体と受け止め方が違います。

紫外線吸収剤

透明な成分が
熱などに変える

紫外線散乱剤

白い粉が
吸収・散乱する

吸収剤は透明な有機の成分、散乱剤は白い無機の粉と覚えておけば、成分表でも見分けやすくなります。

散乱剤も、主に紫外線を吸収して肌を守っている

「散乱剤は紫外線をはね返す」と聞いたことがある人は多いと思います。実際には、散乱剤も主に紫外線を吸収して肌を守っています。酸化チタンや酸化亜鉛の日焼け止めは、反射や散乱ではなく、主に吸収によって肌を守っているという結果があるからです。

それでも2つが分けて呼ばれるのは、得意な紫外線の範囲が違うからです。用語集では、散乱剤は波長を選ばずに防ぎ、とくにUVAを防ぐのに役立つとされています。日本皮膚科学会の一般向けの解説でも、吸収剤はUVBをよく吸収する一方、UVAを効果的に吸収できる成分は限られていて、散乱剤はUVBからUVAまで広くさえぎるとされています。

2つの違いは、「吸収か、はね返すか」ではなく、材料と得意な範囲です。2つの粉の得意な範囲の違いは、酸化亜鉛の記事で紹介しています。

成分表では、酸化チタンと酸化亜鉛なら散乱剤、長い化学の名前なら吸収剤

成分表で2つを見分けるのは、むずかしくありません。散乱剤の主体は「酸化チタン」と「酸化亜鉛」の2つです。吸収剤は、化学のつくりを表す長いカタカナの名前で書かれるからです。

たとえば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン-3、オクトクリレンなどが吸収剤です。用語集では、吸収剤はつくりによって、ケイ皮酸の仲間、ベンゾフェノンの仲間、サリチル酸の仲間などに分けられています。

注意したいのは、酸化チタンと酸化亜鉛は、日焼け止め以外にも入ることです。ファンデーションでは白さや下の色を隠す顔料としても使われるので、名前があるだけで紫外線を防ぐ製品とは限りません。反対に、多くの日焼け止めは吸収剤と散乱剤を組み合わせています。どれだけ防げるかは成分名ではなく、SPFとPAの表示で比べます。

国の化粧品基準でリストと上限が決まっているのは、吸収剤だけ

日本の化粧品基準で、使ってよい成分のリストと配合の上限が決まっているのは、紫外線吸収剤だけです。化粧品基準が、吸収剤を「紫外線を特異的に吸収する物」として扱っているからです。

化粧品基準は、紫外線吸収剤を、紫外線を特異的に吸収する物で、紫外線の害から肌や髪を守る目的で入れるものとしています。そのうえで、吸収剤は別表第4というリストに載っている物でなければ使えないと決めています。使ってよいものだけを並べたリストで、成分ごとに100gあたりの最大配合量があります。

上限は、洗い流す製品、洗い流さない製品、唇などの粘膜に使うことがある製品で分かれています。たとえばベンゾフェノンの仲間のオキシベンゾン-3は、洗い流さない製品では100gあたり5.0gまでです。成分ごとの上限は日焼け止めの成分の記事の表にまとめています。

一方、酸化チタンと酸化亜鉛は、紫外線だけを特異的に吸収する物ではないため、このリストには載っていません。散乱剤には、化粧品基準の一覧で決められた配合の上限がないということです。ただし、上限がないことは安全の保証ではなく、安全を確かめたうえで配合する責任は、製品を製造販売する会社にあります。

「ノンケミカル」は、吸収剤を入れていないという意味

「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」は、紫外線吸収剤を入れず、散乱剤などで紫外線を防ぐという意味です。有機の吸収剤を使わない日焼け止めを指して、そう呼ばれてきたからです。

用語集では、こうした化粧品が「ノンケミカル」と呼ばれ、敏感肌向けに開発されてきたとされています。環境省のマニュアルも、子ども用や肌の敏感な人用の日焼け止めには散乱剤だけを含むものが多く、「紫外線吸収剤無配合」「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカルサンスクリーン」と表示されていると紹介しています。

ただし、「ノンケミカル」は国が意味を決めた言葉ではありません。化粧品基準が決めているのは紫外線吸収剤の範囲で、「ノンケミカル」という言葉そのものの公的な決まりはありません。業界の広告のガイドラインでは、「無添加」などの表現は何を入れていないかを明らかにして使うこととされ、「敏感肌の方にも安心です」のような安全を保証する言い方は不適切な例に挙げられています。「ノンケミカル」は吸収剤を使っていないという意味で、肌に合うことの保証ではないと考えましょう。

吸収剤はまれにかぶれ、散乱剤は白く見えやすい

吸収剤の弱点はまれにかぶれる人がいること、散乱剤の弱点は白く見えやすいことです。成分の正体が違うので、肌の上での出方も違うからです。

白浮きについては、かつての大きめの粒は肌に塗ると白くなるのが課題でしたが、粒を0.02μm程度までごく細かくして、白さが目立ちにくくなりました。日本皮膚科学会の解説でも、散乱剤は以前は白くなる製品が多かったものの、最近は改良が進んで使いやすいものが増えたとされています。吸収剤は透明なので、塗っても白く見えにくいのが利点です。

かぶれについては、環境省のマニュアルが、吸収剤はまれにかぶれる人がいて、散乱剤はアレルギーをほとんど起こさないと整理しています。日本皮膚科学会の解説も、吸収剤はまれにかぶれを起こすことがあるので、かゆみや赤みが出たら散乱剤だけの製品を使うようすすめています。どちらの資料も「まれ」と言っている点も、あわせて押さえておきましょう。

体への入り方も調べられています。日焼け止めを塗ると、調べた吸収剤が血液中から見つかったという結果がありますが、日焼け止めの使用をやめるべきだという意味ではないとされています。海外の当局は、酸化亜鉛と酸化チタンを25%までなら安全で有効と認めています。海外では、オキシベンゾンの上限が見直され、顔・手・唇の製品は6%、体用は2.2%までになっています。吸収剤の評価は成分ごと、使い方ごとに出されているので、「吸収剤だから危ない」とひとまとめにはできません。

かぶれたことがあれば散乱剤だけ、強く防ぐなら吸収剤入り

結局どちらを選べばいいのか、迷う人は多いと思います。日焼け止めでかゆみや赤みが出たことがあるなら散乱剤だけの製品、紫外線の強い場所で強く防ぎたいなら吸収剤入りの製品が目安です。2つの弱点と得意なことが違うからです。

かぶれたことがある人は、成分表で吸収剤の名前を探し、散乱剤だけで防ぐ「ノンケミカル」の製品を選ぶのがひとつの方法です。日本皮膚科学会も、かぶれたら散乱剤だけの製品にするようすすめています。症状が続くときは、自分で原因を決めず、皮膚科で相談しましょう。

反対に、海や山など紫外線の強い場所で、強く防ぎたいときは吸収剤入りのほうが効果的とされています。白浮きが気になる人にも、透明な吸収剤を含む製品は選びやすいでしょう。妊娠中の人や、乳幼児に使うのが心配な人は、医師などに相談するよう海外の当局もすすめています。

どちらを選んでも、防ぐ力を決めるのは十分な量と塗り直しです。数字の意味と塗る量はSPFとPAの記事で確かめられます。

まとめ

「吸収するか、はね返すか」よりも、「肌に合うか」「白さが気になるか」「どれだけ防ぎたいか」で選ぶのが、2つの違いを生かすいちばんの近道です。

よくある質問

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の違いは何ですか?

吸収剤は透明な有機の成分で、散乱剤は白い粉です。吸収剤は紫外線を吸収して熱などのエネルギーに変え、散乱剤の酸化チタンや酸化亜鉛は紫外線を吸収したり散らしたりして防ぎます。吸収剤は白く見えにくく、散乱剤はかぶれの心配が少ないのが特徴です。

紫外線散乱剤は紫外線をはね返しているのですか?

はね返すだけでなく、紫外線を吸収もしています。酸化チタンや酸化亜鉛の日焼け止めは、反射や散乱ではなく、主に吸収で肌を守っているという結果があります。

成分表示で紫外線吸収剤はどう見分けますか?

長いカタカナの化学の名前が目印です。メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン-3、オクトクリレンなどが吸収剤で、散乱剤は主に酸化チタンと酸化亜鉛です。

「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」とはどういう意味ですか?

紫外線吸収剤を使わず、散乱剤などで防ぐという意味です。国が意味を決めた言葉ではなく、肌に合うことを保証するものでもないので、気になる人は成分表示もあわせて確かめましょう。

敏感肌には紫外線散乱剤だけの日焼け止めがよいですか?

かぶれたことがある人には、ひとつの選び方です。吸収剤はまれにかぶれることがあり、かゆみや赤みが出たら散乱剤だけの製品を使うよう日本皮膚科学会もすすめています。症状が続くときは皮膚科で相談しましょう。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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