成分辞典やさしい解説

酸化亜鉛とは?日焼け止めに入る理由とアレルギーの心配をやさしく解説

あるコスメオタク・2026.10.09・更新 2026.10.21・成分解説

日焼け止めやファンデーションの成分表示でよく見かける酸化亜鉛が、何のために入っていて、アレルギーの心配はないのか気になりますよね。

結論から言うと、酸化亜鉛は白い粉で、化粧品では紫外線を防いだり、肌を白く見せたり、肌をひきしめたりするために入っています。この粉によるかぶれの報告はほとんどないとされますが、金属アレルギーがある人は、自分で大丈夫と決めずに皮膚科で相談するのが確実です。まずは、どんな粉なのかから見ていきましょう。

酸化亜鉛は、亜鉛華とも呼ばれる白い粉

酸化亜鉛は、亜鉛と酸素が結びついた白い粉で、亜鉛華とも呼ばれます。化粧品の全成分表示では「酸化亜鉛」と書かれ、水やアルコールには溶けず、酸やアルカリには溶ける性質があります。つくり方には、金属の亜鉛を熱して出た蒸気を酸化させて集める方法と、亜鉛の塩の溶液からできた沈殿を洗って焼く方法があります。

いちばん多く見かけるのは、日焼け止めや下地の紫外線散乱剤としての役目です。

紫外線散乱剤

紫外線を防ぐ

収れん剤

汗や皮脂の出口をひきしめる

消臭剤

においのもとの脂肪酸と結びつく

化粧品の中での役目は主に4つです。1つめは紫外線を防ぐ紫外線散乱剤です。2つめは白さと下を隠す力をもつ白色顔料で、化粧品の色材のなかでは酸化チタンと並ぶ白い粉の代表です。3つめは肌をひきしめる収れん剤で、酸化亜鉛は収れんの働きが強い金属塩のひとつとされ、皮脂腺や汗腺の出口のタンパク質に結びついて縮める作用があるとされます。4つめは消臭剤で、においのもとになる脂肪酸と結びつく性質が使われています。

たとえば、結晶をごく細かくそろえた酸化亜鉛には、皮脂の脂肪酸を吸着して固める性質があり、化粧くずれを防ぐ粉の開発にも使われています。

成分表示で見かけたら、多くは日焼け止めや下地で紫外線を防ぐ役目だと思って読んで大丈夫です。

UVAの側に強く、デメリットは白く見えやすいこと

酸化亜鉛は、紫外線のうちとくにUVAの側をよく防ぐ紫外線散乱剤です。肌の表面にとどまる粉が、肌に届く紫外線をさえぎるからです。

紫外線を浴びると、肌の中でメラニンという色の粒が作られ、まわりの細胞に渡されてたまり、しみやそばかすになります。酸化亜鉛は、この流れの入り口にあたる紫外線そのものを、肌の上で防ぎます。

酸化亜鉛は、枠で囲んだ入り口で、肌に届く紫外線をさえぎります。

紫外線が
届く
メラニンが
できる
細胞に
渡される
たまって
しみになる

日焼け止めの成分は、紫外線を吸収する透明な成分と、紫外線を散らす白い粉に分かれ、酸化亜鉛は粉の側です。環境省の紫外線のマニュアルでは、酸化亜鉛はよりUVAを、同じ散乱剤の酸化チタンはよりUVBを防ぐとされ、2つを組み合わせると幅広い紫外線を防げるとまとめられています。UVAの防ぎ方の目安は、PAの+の数で表されます。

散乱剤という名前ですが、酸化亜鉛は光をはね返したり散らしたりするだけでなく、紫外線を吸収する働きももっています。無機の粉は目に見える光のすぐ手前の波長にとても強い吸収があり、それより長い光は散乱で防ぐとされ、酸化亜鉛はUVAからUVBまで幅広く吸収します。ただ、日焼け止めの防ぐ力は成分の種類ではなく、SPFとPAの表示で比べるのが基本です。

デメリットとしてよく挙がるのは、塗ったときに白く見えやすいことで、環境省のマニュアルでも、散乱剤は吸収剤に比べて肌に塗ると白く見えるとされています。粒をごく細かくすると白く見えにくくなりますが、細かくするとUVAとUVBの防ぎ方のバランスが変わることがあります。また、酸化亜鉛には光が当たると周りの物質を変化させる光触媒という性質があり、化粧品では粒の表面を処理した粉が多く使われています。

白浮きが気になるかもしれませんが、UVAまでしっかり防ぎたいときに頼れる粉です。

日本の化粧品基準に上限はなく、EUと米国は25%まで

日本では、酸化亜鉛に配合の上限は決められていません。日本の化粧品の成分の決まりである化粧品基準には、配合してはいけない成分や、配合できる量に上限がある成分、使ってよい防腐剤や紫外線吸収剤の一覧がありますが、酸化亜鉛はどの一覧にも載っていないからです。

ただし、上限がないことはいくら入れても安全という意味ではなく、安全性を確かめたうえで配合する責任は、製品を製造販売する会社にあります。医薬部外品、いわゆる薬用化粧品の有効成分リストには、酸化亜鉛の分量の前例が載っていて、化粧水などの区分では2%、クリームや乳液、日やけ止めなどの区分では0.5〜10%です。この数字は過去に承認された分量の例で、上限を決めたものでも、効能を示すものでもありません。

EUでは2016年に、酸化亜鉛が化粧品の紫外線フィルターの一覧に加わり、ナノの大きさのものもそうでないものも、最大25%まで使えることになりました。ただし、使う人が吸い込んで肺に届くおそれのある用途には使えず、ナノの酸化亜鉛は、粒の大きさやコーティングの種類などの条件を満たすものに限られます。2つの形を一緒に使うときも、合計で25%までです。

米国では、日焼け止めは市販の医薬品として扱われます。食品医薬品局が2021年9月に出した提案では、一般に安全で有効と認められる成分とされたのは酸化亜鉛と酸化チタンの2つだけで、どちらも25%までとされました。

数字を見かけたら、どの国の、何の決まりの数字かを分けて読みましょう。

肌に塗るのと吸い込むのとでは、評価が違う

酸化亜鉛は、肌に塗る場合と吸い込む場合とで、安全性の評価が分かれます。粉が体のどこに届くかで、起こりうることが違うからです。

肌に塗る場合について、EUの消費者の安全を評価する科学委員会は、条件を満たすナノの酸化亜鉛を日焼け止めの紫外線フィルターとして肌に使う場合、リスクはない、または限られていると結論づけています。欧州委員会の一般向けの解説でも、粒は角層より奥に入らず、溶け出した亜鉛がごくわずかに吸収される程度とされています。

一方で、吸い込む場合は別の話です。同じ委員会は、ナノの酸化亜鉛をスプレー製品に使う場合は安全とはみなせないとし、ナノでない酸化亜鉛も、吸い込んだときには肺に同じような影響があるとしました。EUがスプレーなど肺に届くおそれのある用途を除いているのはこのためです。これはEUの決まりで、日本の製品が使えないという意味ではありません。なお、食べ物からとる亜鉛は栄養素の話で、肌に塗る酸化亜鉛の粉の評価とは分けて考えます。

スプレーやパウダーを顔のまわりで使うときは、吸い込まないようにするのが基本です。

かぶれはまれ。金属アレルギーの人は皮膚科で相談

酸化亜鉛によるかぶれは、まれとされています。環境省のマニュアルでは、紫外線散乱剤は少し白く見えるものの、アレルギーをおこすことはほとんどないとされているからです。

皮膚科の総説でも、紫外線フィルターのかぶれでもっとも多く報告されているのは吸収剤のオキシベンゾンで、酸化亜鉛や酸化チタンのような無機のフィルターによるかぶれの報告はほとんどないとされています。とはいえ、医療用の亜鉛華軟膏でも副作用に過敏症状や発疹が挙げられていて、まれでもゼロではありません。

金属アレルギーとの関係が気になる人も多いと思います。国の研究班が行った皮膚科の調査では、亜鉛にパッチテストで反応した人もいたと報告されています。金属アレルギーと言われたことがある人は、酸化亜鉛なら安心とも、避けるべきとも自分で決めず、どの金属に反応するかを皮膚科で確かめたうえで、日焼け止めの選び方を相談するのが確実です。

赤みやかゆみが出たら、使うのをやめて皮膚科へ、と覚えておきましょう。

亜鉛華軟膏は薬で、化粧品とは効能の扱いが違う

同じ酸化亜鉛を使っていても、亜鉛華軟膏は医療用医薬品で、化粧品とは効能の扱いが違います。国が皮膚の病気への効能を認めているのは、薬のほうだけだからです。

添付文書では、亜鉛華軟膏の100g中に日本薬局方の酸化亜鉛が20g入り、効能は、外傷、熱傷、凍傷、湿疹・皮膚炎、肛門そう痒症、白癬、面皰、せつ、ようといった皮膚の病気の「収れん・消炎・保護・緩和な防腐」と、その他の皮膚の病気によるびらん・潰瘍・湿潤面です。重いやけどや広い範囲のやけどには使わないことになっていて、症状のある患部に塗る薬です。

化粧品で言えるのは「日やけを防ぐ」「肌をひきしめる」といった範囲で、亜鉛華軟膏と同じ成分が入っているからといって、化粧品に薬と同じ働きがあるわけではありません。

成分の名前が同じでも、国が効能を認めた医薬品か、化粧品かで分けて考えましょう。

まとめ

酸化亜鉛は、日焼け止めやメイクの中で紫外線を防いでいる白い粉です。塗る場合と吸い込む場合、化粧品と薬を分けて考えると、成分表示の一行がぐっと読みやすくなります。

よくある質問

酸化亜鉛は化粧品の成分表示でどう書かれますか?

全成分表示では「酸化亜鉛」と書かれ、亜鉛華とも呼ばれる白い粉です。化粧品では紫外線散乱剤、白色顔料、収れん剤、消臭剤として使われます。

化粧品の酸化亜鉛にはどんな効果がありますか?

主な働きは紫外線を防ぐことで、とくにUVAの側をよく防ぎます。肌を白く見せる、肌をひきしめる、においのもとになる脂肪酸と結びつく、といった役目もあります。

酸化亜鉛でアレルギーは起きますか?金属アレルギーでも使えますか?

酸化亜鉛のような無機の紫外線フィルターによるかぶれの報告は、ほとんどないとされます。ただ、亜鉛にパッチテストで反応した人もいるので、金属アレルギーがある人は自分で決めず、皮膚科で相談するのが確実です。

酸化亜鉛のデメリットは何ですか?

塗ったときに白く見えやすいことです。粒をごく細かくすると白く見えにくくなりますが、UVAとUVBの防ぎ方のバランスが変わることがあります。

酸化亜鉛は危険ですか?ナノ粒子は肌から入りますか?

肌に塗る場合、EUの評価ではリスクはない、または限られているとされ、ナノの粒は角層より奥に入らず、溶け出した亜鉛がごくわずかに吸収される程度とされます。一方、EUでは、吸い込んで肺に届くおそれのあるスプレーなどの用途には使えません。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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