成分辞典やさしい解説

アルガンオイルとホホバオイルの違いをやさしく解説!油脂とろう、傷みやすさの差とは?

あるコスメオタク・2026.10.18・更新 2026.10.21・成分解説

ヘアオイルや美容オイルの売り場でアルガンオイルとホホバオイルが並んでいると、何が違うのか、どちらを選べばいいのか迷いますよね。

結論から言うと、2つの違いは油の種類です。アルガンオイルは木の実の種からとる「油脂」、ホホバオイルは植物の種からとれる、さらっとした液体の「ろう」です。肌や髪の乾燥を防ぐ働きは同じで、違いが出るのは傷みやすさのほうです。まずは、2つの特徴を並べて見てみましょう。

アルガンオイルとホホバオイルの、それぞれの特徴と共通の働きです。

アルガンオイル

傷みやすい油脂

ホホバオイル

傷みにくいろう

共通の働き

乾燥を防ぐ膜

働きは共通で、違うのは油の骨組みと、そこから生まれる傷みやすさです。順にくわしく見ていきます。

アルガンは油脂、ホホバは液体のろう

アルガンオイルは油脂の仲間、ホホバオイルはろうの仲間です。同じ「植物のオイル」と呼ばれていても、分子の骨組みが違うからです。

化粧品の油の分類でいうと、アルガンオイルはオリーブ油と同じ油脂で、主成分はグリセリンに脂肪酸が3つ結びついたトリグリセリドです。いっぽうホホバオイルは、名前は「オイル」でも、約97%が、脂肪酸とアルコールが1つずつ結びついたワックスエステルという成分でできています。

アルガンオイルは脂肪酸が3本、ホホバオイルは脂肪酸とアルコールが1本ずつ結びついた形です。

アルガンオイル 油脂 グリセリン オレイン酸 リノール酸 パルミチン酸 ホホバオイル 液体のろう 脂肪酸 アルコール 酸化しやすい部分 つなぎ目

図の赤い部分は、空気にふれると酸化しやすい不飽和結合です。この数の違いが、あとで見る傷みやすさの差につながります。

つまり2つは、見た目は似ていても、骨組みからして別の油です。

働きは同じで、表面をおおって乾燥を防ぐ

つくりは違っても、2つの化粧品としての働きは同じで、肌の表面をおおって乾燥を防ぐことです。どちらも肌の表面に広がり、角層から水分が逃げるのを防ぐ油だからです。

肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。このうち皮脂膜が少ないと、角層の水分が逃げやすくなり、かさつきにつながります。オイルは皮脂膜のように表面に広がって、水分の逃げ道にふたをします。

どちらのオイルも、肌の表面に広がって水分が逃げるのを防ぎます。

使う前 水分が逃げて乾く 使ったあと 油の膜で水分を逃がさない オイルの膜 角層 表皮 真皮

化粧品として言えるのは、「皮膚の水分、油分を補い保つ」「皮膚の乾燥を防ぐ」といった範囲で、2つとも同じです。安全性についても、アメリカの化粧品成分の専門家パネルが、アルガンオイルを含む植物油244種類と、ホホバ種子油を、それぞれ今の化粧品での使い方であれば安全と評価しています。

乾燥を防ぐという点では、どちらを選んでも役目は同じです。

アルガンはリノール酸が多く、ホホバは長い脂肪酸が中心

アルガンオイルはオレイン酸とリノール酸が多く、ホホバオイルは炭素20〜22の長い脂肪酸とアルコールが中心です。この中身の違いが、傷みやすさを分けます。

専門家パネルの報告の表では、アルガンオイルの脂肪酸はオレイン酸が45〜55%、リノール酸が28〜36%で、残りはパルミチン酸やステアリン酸です。アルガンオイルの総説の値もほぼ同じ幅です。とても酸化しやすいリノレン酸は、ごくわずかしか含まれないとされています。

ホホバオイルのワックスエステルは、炭素が20個と22個の不飽和の脂肪酸とアルコールの組み合わせが中心で、専門家パネルの報告ではその割合を83%としています。脂肪酸はイコセン酸とドコセン酸が中心で、オレイン酸は少し含まれる程度です。

大事なのは、不飽和結合の数です。アルガンオイルのリノール酸は不飽和結合を2つもち、オレイン酸は1つ、パルミチン酸やステアリン酸はもちません。ホホバオイルは、脂肪酸とアルコールに1つずつもつ形がほとんどです。2つもつ脂肪酸を3割前後含むかどうかが、次の章の差になります。

酸化しにくいのはホホバ、傷みやすいのはアルガン

2つを比べると、酸化しにくいのはホホバオイルの側です。アルガンオイルは、酸化しやすい不飽和結合を2つもつリノール酸を3割前後含むからです。

専門家パネルの報告では、ホホバ種子油は酸化されにくく、何年も化学的に変化しないとされています。ホホバオイルの総説では、一般的な植物油では不飽和結合が近くに並びやすいのに対し、ホホバオイルでは離れていることも紹介されています。

アルガンオイルは、空気や光、熱で傷みやすい側の油です。しかも化粧品用は焙煎しない核から搾るため、食用より酸化に弱いことが測定で示されています。光を避けて25℃で保存すると、化粧品用のアルガンオイルはおよそ1年もつという見積もりがあります。

ただし、これは手元の製品の使用期限ではありません。ホホバオイルの「何年も変化しない」も原料の性質の話で、開封した製品がいつまでも使えるという意味ではない点は同じです。焙煎のしかたによる違いは、アルガンオイルの記事でくわしく取り上げています。

傷みやすさで選ぶなら、ホホバが有利、アルガンは早めに使い切ると覚えておきましょう。

使い心地は製品しだい。ホホバは寒いと固まる

どちらが軽いかは、油の名前より、手に取った製品ごとの使い心地で決まります。オイルの使い心地は、いっしょに入っているほかの油や成分によっても変わるからです。

ホホバオイルは、皮膚になじみやすく、さっぱりとした使い心地とされています。見た目にも違いがあり、専門家パネルの報告の表では、アルガンオイルは黄色の油です。ホホバオイルは、搾ったままの未精製のものが金色から淡い黄色で、精製するとほとんど無色になります。

また、ホホバオイルは10℃を下回るような温度で固まりはじめるので、冬の寒い部屋では固まっていることがあります。冬に固まっていたら、寒さで固まるのはホホバオイルの性質と知っておくと慌てずにすみます。

髪にも肌にも使え、使い分けの決まりはない

アルガンオイルとホホバオイルを、髪用と肌用で使い分ける公的な決まりはありません。化粧品として言えることも、2つで同じ範囲だからです。

肌では「皮膚の水分、油分を補い保つ」、髪では「毛髪につやを与える」「毛髪の水分、油分を補い保つ」といった言い方になります。髪が生える、抜け毛を防ぐといった働きは、どちらの油にも言えません。

アメリカで報告された使われ方を見ると、アルガンオイルは洗い流さない製品が中心で、濃度は最大10%、シャンプーのような洗い流す製品では最大2%でした。ホホバ種子油は保湿剤やボディクリームのほか、コンディショナーやシャンプーなど、髪の製品にも広く入っていました。これは、どの製品に入っていたかの記録です。

髪にも肌にも、まずは製品に書かれた使い方どおりに使うのが基本です。顔に使う順番も、書かれていなければ、水っぽいものから油っぽいものへ重ねるのが一般的な目安で、どちらも油なので化粧水のあとになります。

成分表ではアルガニアスピノサ核油とホホバ種子油

成分表では、アルガンオイルは「アルガニアスピノサ核油」、ホホバオイルは「ホホバ種子油」と書かれます。名前に「オイル」とは書かれないので、探すときは気をつけましょう。

アルガンの「核」は、実の硬い殻の中にある部分のことです。医薬部外品の成分表では、ホホバオイルが「ホホバ油」と書かれていることもあります。

似た名前の成分にも注意が必要です。アルガンオイルに水素を添加したものや、水添ホホバ油、ホホバエステルは、成分表ではもとの油とは別の成分として扱われます。ホホバオイルと皮脂の関係などは、ホホバオイルの記事で取り上げています。

1本の製品に両方の油が入っていることもあるので、どちらか一方だけの製品かどうかは、成分表で確かめましょう。

傷みにくさならホホバ。どちらも開封後は早めに

傷みにくさを重視するならホホバオイル、植物の油脂を選びたいならアルガンオイルです。乾燥を防ぐ働きは同じなので、差が出るのは保管と使い切りやすさだからです。

色の少ないものがよければ、精製したホホバオイルが向いています。どちらを選んでも、使い心地や使い切れる量で決めてかまいません。保存のしかたは2つで共通です。

2つに共通の保存のしかたで、傷みやすいアルガンオイルは枠のところがとくに大事です。

日なたに
置かない
ふたを
閉める
開封後は
早めに使う
においが
変わったら
やめる

油は空気や光、熱で傷むので、高温と直射日光を避け、使ったらふたをしっかり閉めるのが基本です。とくにアルガンオイルは傷みやすい側なので、開封後は早めに使い切り、においや色が変わったら使わないようにしましょう。使用期限は、製品の表示に従います。

どちらも、まれにかぶれた報告があり、誰にでも合うという意味ではありません。アルガンでは、実のたんぱく質がヘーゼルナッツのアレルゲンと反応したという結果や、油で全身の反応が出た例もあるため、ナッツのアレルギーがある人は、アルガンオイルを使う前に医師に相談すると安心です。はじめては腕の内側などで少量を試し、赤みやかゆみが出たら使うのをやめましょう。

選ぶ基準は、傷みにくさと使い切れる量。これだけ見れば迷いません。

まとめ

アルガンオイルとホホバオイルは、どちらも肌や髪の乾燥を防ぐ油です。油の種類と傷みやすさの違いを知ったうえで、使う量や保管のしやすさに合うほうを選んでみてください。

よくある質問

アルガンオイルとホホバオイルの違いは?

いちばんの違いは油の種類です。アルガンオイルはグリセリンに脂肪酸が3つ結びついた油脂で、ホホバオイルは約97%が、脂肪酸とアルコールが1つずつ結びついたワックスエステルという液体のろうです。どちらも肌や髪の乾燥を防ぐために使われます。

アルガンオイルとホホバオイル、酸化しにくいのはどっち?

酸化しにくいのはホホバオイルの側です。ホホバ種子油は何年も化学的に変化しにくいとされる一方、アルガンオイルは不飽和結合を2つもつリノール酸を3割前後含み、傷みやすい側です。開封後の期限は、どちらも製品の表示に従います。

髪にはアルガンオイルとホホバオイルのどっちがいい?

髪用と肌用で使い分ける決まりはありません。どちらも髪の製品に使われ、化粧品として言えるのは髪につやを与える、水分と油分を補い保つといった範囲です。使い心地の好みや、製品の使い方の表示で選びましょう。

成分表示ではアルガンオイルとホホバオイルはなんと書かれる?

「アルガニアスピノサ核油」と「ホホバ種子油」です。医薬部外品ではホホバオイルが「ホホバ油」と書かれることもあります。水素を添加したものやホホバエステルは、もとの油とは別の成分です。

アルガンオイルとホホバオイルは一緒に使える?

一緒に使ってはいけない決まりはありません。両方が入った製品もあります。重ねるときは製品に書かれた使い方に従い、傷みやすいアルガンオイルは開封後早めに使い切りましょう。ナッツのアレルギーがある人は、アルガンオイルを使う前に医師に相談すると安心です。

あるコスメオタクの写真

この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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