成分辞典やさしい解説

ホホバオイルをやさしく解説!オイルなのに「ろう」と呼ばれる正体と使い方とは?

あるコスメオタク・2026.10.12・更新 2026.10.21・成分解説
肌の悩み乾燥ケア保湿ヘアケア

顔にも髪にも使える植物のオイルとしてよく見かけるホホバオイル。そもそもどんな油なのか、顔に塗っても大丈夫なのか、気になりますよね。

結論から言うと、ホホバオイルはホホバという植物の種からとれる、さらっとした液体のろうで、肌に油分を補って乾燥を防ぐために使われます。ほかの植物の油より傷みにくく、化粧品として今の使い方と濃度であれば安全と評価されています。まずは、「ろう」と呼ばれる理由から見ていきましょう。

ホホバオイルは、油脂ではなく「液体のろう」

名前は「オイル」でも、ホホバオイルは化粧品の油の分類ではろうの仲間です。油の中身のつくりが、オリーブ油などとは違うからです。

オリーブ油などの油脂は、グリセリンに脂肪酸が3つ結びついたトリグリセリドが主成分です。いっぽうホホバオイルは約97%が、脂肪酸とアルコールが1つずつ結びついたワックスエステルでできています。同じろうの仲間のみつろうは固体で、動物由来ではない液体のろうは珍しいものです。種子から搾ってとる油で、量や組成は種子の熟し具合や産地、気候によって多少変わります。

化粧品の成分表では「ホホバ種子油」と書かれ、医薬部外品の成分表では「ホホバ油」と書かれていることもあります。名前に「ホホバ」がつく成分には、ほかにもホホバエステルや水添ホホバ油などがありますが、これらはホホバ種子油とは別の成分として扱われます。

成分表で見かけたら、さらっとした液体のろうと覚えておきましょう。

乾燥は、角層の表面から水分が逃げることで起きる

肌の乾燥は、肌のいちばん外側の角層から水分が逃げて、うるおいが足りなくなることで起きます。ホホバオイルが何をしているかは、角層のうるおいの守り方を知るとわかりやすくなります。

角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを守っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。いちばん外側の皮脂膜は、皮脂と汗からできた膜です。

この表面の油が足りなかったり、乾いた空気にさらされたりすると、水分が外へ逃げやすくなり、かさつきにつながります。だから乾燥の手入れでは、表面の油分を補って、水分を逃がしにくくすることが役に立ちます。

ホホバオイルは、肌に油分を補って乾燥を防ぐ

ホホバオイルの肌への働きは、角層の表面に油分を補い、乾燥を防ぐことです。表面に広がった油が、皮脂膜のように水分を逃がしにくくするからです。

ホホバオイルは角層の表面に油分を補い、水分を逃がしにくくします。

使う前 油が足りず、水分が逃げる 使ったあと 油分を補い、水分を保つ ホホバオイル 角層 表皮 真皮

化粧品として言える効果は、「皮膚の水分、油分を補い保つ」「皮膚の乾燥を防ぐ」といった範囲です。肌になじみやすく、さっぱりした使い心地とされ、刺激の少ない天然の液体のろうとして、クリームや乳液、口紅などに使われています。アメリカの化粧品成分の専門家委員会の報告でも、ホホバの仲間の成分の中で最も広く使われているのがホホバ種子油だとされています。

角層に水分を抱えさせたいときは、水を抱える保湿成分が入った化粧水を先に使い、ホホバオイルで油分を補ってふたをする、と考えるとわかりやすいです。

「皮脂に近い」のは、ワックスエステルが共通しているから

ホホバオイルが「皮脂に近い」と言われるのは、主成分のワックスエステルが、人の皮脂にも含まれているからです。ただし、皮脂と同じものではありません。

共通しているのはワックスエステルで、皮脂ではその割合は約4分の1です。

人の皮脂 57.5% 26% 12% ホホバオイル 約97% トリグリセリドと脂肪酸 ワックスエステル スクワレン そのほか

皮脂の中身を調べた総説では、トリグリセリドと脂肪酸を合わせたものが57.5%と大半を占め、次いでワックスエステルが26%、スクワレンが12%とされています。ワックスエステルとスクワレンは皮脂腺の分泌物に特有のもので、体のほかの場所や、表皮の脂質には見られない成分です。

つまり、ホホバオイルは皮脂の約4分の1を占めるワックスエステルと同じ種類の成分でできていますが、皮脂の主成分はトリグリセリドです。塗ることを皮脂そのものを補うことと同じに考えたり、皮脂のバランスを整えるものと考えたりしないほうがよいでしょう。皮脂のもう一つの特有の成分であるスクワレンに水素を足したものがスクワランで、こちらは炭化水素という別の仲間です。

ホホバオイルは、皮脂にも含まれる種類の成分でできた油、と受け取るのがちょうどいい見方です。

酸化しにくいのは、反応しやすい部分が少ないから

ホホバオイルは、ほかの植物の油に比べて酸化しにくい油です。油の酸化は不飽和結合という反応しやすい部分から進みやすいのですが、ホホバオイルの脂肪酸とアルコールは、この部分を1つずつしかもたないものが中心だからです。

さらに天然の抗酸化物質を含むため、傷みにくいとされ、アメリカの専門家委員会の報告でも、ホホバ種子油は酸化されにくく、何年も化学的に変化しないとされています。

搾ったままの未精製のホホバオイルは金色から淡い黄色で、精製すると色が薄くなり、ほとんど無色に近くなります。このとき天然の抗酸化物質も減るとされ、脱色などでこれを取り除くと、酸化への強さは大きく下がったという結果があります。また、植物由来の原料には残留農薬や重金属が含まれうるため、化粧品に配合する前にこうした不純物を抑えることが、業界に求められています。

なお「酸化しにくい」は原料の性質の話で、開封した製品がいつまでも使えるという意味ではありません。使用期限や保管のしかたは、製品の表示に従いましょう。

顔に使うなら、目に入れず、順番は製品の表示どおりに

顔に塗っても大丈夫なのか、どこで使えばいいのか迷う人は多いと思います。ホホバオイルは顔にも使える成分で、気をつけるのは目に入れないことと、塗る順番を製品の表示に合わせることです。

化粧品成分の安全性を評価するアメリカの専門家委員会は、ホホバオイルは今の使い方と濃度であれば化粧品成分として安全と結論づけ、ボディクリームやハンドクリームでは100%までの濃度で安全としています。人での試験では、問題になるような皮膚への刺激やアレルギーの起こしやすさは見られず、光に当たったときに刺激が出る性質もないという結果です。

ただ、動物の試験では、目に入ると刺激はないか軽い刺激が出たとされているので、目に入らないように気をつけましょう。安全という評価は、どんな肌にも合うという意味ではありません。はじめて使うときは、腕の内側などで少量を試すと安心です。

塗る順番について、ホホバオイルだけの決まりはなく、スキンケアの順番そのものにも公的な決まりはありません。まずは製品に書かれた使い方に従い、書かれていなければ、さらっとしたものから油っぽいものへ重ねるのが一般的な目安です。

表示がなければ、さらっとしたものから順に重ね、ホホバオイルはあとのほうで使います。

化粧水
美容液や
乳液
ホホバ
オイル

迷ったら、化粧水のあと、油の側で使うと覚えておけば大丈夫です。

髪・クレンジング・赤ちゃんには、目的に合った製品を使う

髪やクレンジング、赤ちゃんに使うときは、その目的のためにつくられた製品を、表示どおりに使うのが基本です。ホホバオイルだけで何でもまかなうより、扱いやすく、言える働きもはっきりしているからです。

ホホバ種子油は、コンディショナーやシャンプーなど髪の製品にも使われています。髪の化粧品として言えるのは「毛髪につやを与える」「毛髪の水分、油分を補い保つ」といった範囲で、頭皮についても、うるおいを与えて保つといった範囲です。髪が生える、抜け毛を防ぐといった働きは医薬部外品や医薬品の領域の話で、ホホバオイルの働きではありません。頭皮にかぶれが出た例も報告されているので、合わないと感じたら使うのをやめましょう。

クレンジングは、メイクの油っぽい汚れを油になじませて浮かせるしくみなので、ホホバオイルもメイクにはなじみます。ただ、商品のクレンジングオイルには油のほかに界面活性剤が入っていて、水を加えると洗い流せるようにつくられています。ホホバオイルだけでは水で流れにくいと考えられるので、メイクを落とすならクレンジング用の製品のほうが扱いやすいでしょう。

ホホバ種子油は、ベビー用の製品にも低い濃度で使われていて、安全性の評価も、こうしたベビー製品や目元の製品での使われ方を考えたうえでのものです。赤ちゃんに使うなら、赤ちゃん用として売られている製品を表示どおりに使い、赤みやかゆみが出たら使うのをやめて、医師に相談しましょう。

かぶれはまれでも報告があり、食べるものではない

安全という評価がある一方で、ホホバオイルでかぶれた報告もまれにあります。合うかどうかは人によって違うからです。

たとえば、ホホバオイルを含む混合物では反応が出なかった人が、純粋なホホバオイルを使って頭皮にかぶれが起きた例や、湿疹や皮膚炎になったことがある人で、まれに皮膚への刺激が見られた例が報告されています。ホホバオイルによるかぶれの症例も、皮膚科の分野で報告されています。

また、ホホバオイルは食べるものではありません。これは化粧品とは別の、食品としての話です。ドイツ連邦リスク評価研究所は、ホホバの種子は食用に適さないとして、食べないよう勧めています。動物の試験では、ホホバのろうが腸の細胞にたまって細胞を傷つけたことが示され、液体のホホバのろうは消化されないことによる問題があるとされています。口紅などで少し口に入ることとは、分けて考えましょう。

赤みやかゆみ、ぶつぶつが出たら使うのをやめ、続くときは皮膚科に相談しましょう。

まとめ

ホホバオイルは、さっぱりした使い心地で乾燥を防ぐ、傷みにくい油性の成分です。「皮脂と同じ」と思いすぎず、手持ちの製品の表示どおりに使ってみてください。

よくある質問

ホホバオイルとはどんなものですか?

ホホバという植物の種子からとれる液体のろうで、化粧品の成分表では「ホホバ種子油」と書かれます。約97%がワックスエステルという成分で、オリーブ油などの油脂とはつくりが違います。肌に油分を補い、乾燥を防ぐために使われます。

ホホバオイルの効果は?

角層の表面に油分を補い、水分を逃がしにくくします。化粧品として言えるのは、肌の水分と油分を補い保ち、乾燥を防ぐといった範囲です。髪の製品では、髪につやを与え、水分と油分を補い保つ目的で使われます。

ホホバオイルは顔に塗っても大丈夫?

アメリカの専門家委員会は、今の使い方と濃度であれば化粧品成分として安全と結論づけています。ただし、まれにかぶれた報告もあるので、はじめては腕の内側などで試し、目に入らないように使いましょう。

ホホバオイルを顔に使う順番は?

ホホバオイルの順番に公的な決まりはなく、製品に書かれた使い方に従うのが基本です。書かれていない場合は、さらっとしたものから油っぽいものへ重ねるのが一般的な目安で、ホホバオイルは油の側に入ります。

ホホバオイルは赤ちゃんにも使えますか?

ホホバ種子油は、ベビー用の製品にも低い濃度で使われています。使うなら赤ちゃん用として売られている製品を表示どおりに使い、赤みやかゆみが出たら使うのをやめて医師に相談しましょう。

この記事が入っているテーマ別まとめ

あるコスメオタクの写真

この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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