この記事でわかること
- 入浴剤で「血行促進」と言えるかどうか
- 入浴剤・ボディソープ・石けんの区分の違い
- お風呂の温度と時間の目安
入浴剤を入れると血行が良くなりそうな気がするけれど、薬用とふつうの入浴剤で何が違うのか、迷いますよね。
結論から言うと、薬用の入浴剤でも「血行を良くする」とはうたえません。体が温まるのは、入浴剤の成分の働きではなく、お湯につかること自体の効果という扱いだからです。入浴剤の3つの区分と、ボディソープや石けんの扱い、お風呂の温度と時間の目安を順番に見ていきましょう。
「血行促進」は、薬用の入浴剤でもうたえない
薬用の入浴剤が書ける効能は17項目で、そこに「血行を促進する」は入っていません。薬用、つまり医薬部外品の浴用剤は、国の承認基準で書ける効能が決められているからです。
浴用剤は、浴槽のお湯に入れて使う外用剤です。17項目は、あせも、荒れ性、打ち身、くじき、肩のこり、神経痛、湿しん、しもやけ、痔、冷え症、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え症、にきびです。「血行を促進する」という言葉が製品を使う目的の説明に出てくることはありますが、それはうたえる効能ではありません。
効果の位置づけも、成分の薬としての働きではなく、お湯につかることの効果です。浴用剤の表示と広告について国が示した通知では、「温浴効果及び清浄効果による諸症状の緩解」であることをはっきり示すよう求めています。その範囲をこえて治療や予防ができるような表現や、温泉の湯や森林浴を再現できるかのような表現はしないよう指導しています。
使う量にも決まりがあり、浴槽のお湯100Lあたり10.0〜50.0g、液体ならmLで同じ量です。体がぽかぽかするのは、入浴剤の成分ではなく、お湯につかること自体のおかげと覚えておけば十分です。
入浴剤は、医薬部外品・化粧品・雑貨の3つに分かれる
同じ「入浴剤」なら、どれも同じ扱いだと思いますよね。でも、入浴剤には医薬部外品・化粧品・雑貨の3つの区分があり、書ける効き目の範囲がまったく違います。区分によって、法律で言ってよいことが決められているからです。
同じ入浴剤でも、区分によって書ける効き目の範囲が違います。
医薬部外品
17の効能を
書ける
化粧品
清浄と保湿
だけ
雑貨
体への効き目は
書けない
医薬部外品なら、あせもや荒れ性、肩のこり、冷え症、疲労回復、にきびなど、17項目の効能を表現できます。化粧品の場合は、皮膚を清浄にすることと保湿の効果だけです。雑貨になると、からだに対する効能効果はいっさいうたえません。
この区分を決めているのは薬機法第2条で、化粧品の定義の最後に「医薬部外品を除く。」とあるため、2つは重なりません。見分け方は簡単で、パッケージに「医薬部外品」の表記があるかどうかを見れば区別できます。
あせもや冷え症などの効能を期待して選ぶなら、まず「医薬部外品」の表記を探すのが近道です。
ボディソープは、洗顔料と同じ「洗浄料」の仲間
ボディソープは、表示のルールでは洗顔料と同じ「洗浄料」の仲間です。化粧品につける種類別名称の表で、ボディシャンプー、ボディソープ、ボディウォッシュが、すべて「洗浄料」の別名として並んでいるからです。
同じ行には、洗顔料、クレンジング、メーク落とし、スクラブ化粧料、ハンドソープもあります。つまり、顔用も体用も、表示の区分としては同じです。
ボディソープは、からだの皮膚についた汚れなど不要なものだけを落として肌を清浄に整える液状の洗浄剤で、合成界面活性剤がおもな成分です。なかには石けんを一部配合して、石けんのようなさっぱりした洗い上がりにしたものもあります。
いっぽう、バスソルト、バスオイル、バスエッセンス、バブルバス、フォームバスは「浴用化粧料」という別の名前で、皮膚用化粧品ではなく「その他」の区分に置かれています。顔と体で名前は違っても、どちらも汚れを落とすための「洗浄料」と考えれば迷いません。
化粧石けんは、表示の業界ルールでは別扱い
石けんもボディソープと同じ扱いだと思いますよね。でも、化粧石けんは、化粧品の表示の業界ルールの対象から外されています。業界ルールの公正競争規約は、薬機法の化粧品の定義に当てはまる物から、化粧石けんと歯みがき類を除いたものを対象にしているからです。
表示ルールの種類別名称の表に「石けん」や「化粧石けん」の行がないのは、このためです。いっぽう、薬機法の化粧品の定義そのものには、石けんを除く決まりはありません。また、家庭用品の表示の法律で指定されているのは、合成洗剤、洗濯用や台所用の石けん、住宅用や家具用の洗浄剤で、からだや顔を洗う化粧石けんはここにも入っていません。
化粧石けんは、からだや顔を洗うために開発された石けんで、顔用のものをとくに洗顔石けんと呼びます。香料は最近は配合量が減り、1%以下が常識的になっています。欠点としては、アルカリ性であること、硬い水に弱いこと、使っているうちにだんだん泡立ちが悪くなることが挙げられています。
同じ「体を洗うもの」でも、石けんとボディソープは、表示のルールの上では別の扱いです。
化粧品で「ニキビ、アセモを防ぐ」と言えるのは洗顔料だけ
化粧品で「洗浄によりニキビ、アセモを防ぐ」と言えるのは洗顔料、「あせもを防ぐ」と言えるのは打粉だけです。化粧品の効能の一覧で、この2つの項目だけは、使える製品が決められているからです。
洗浄と保湿に関わる効能には、汚れを落とすことで「皮膚を清浄にする」、「皮膚にうるおいを与える」、皮膚の水分・油分を補い保つ、皮膚の乾燥を防ぐ、といった項目があります。これに対して、18番目の「洗浄によりニキビ、アセモを防ぐ」には洗顔料、35番目の「あせもを防ぐ」には打粉という製品名が添えられています。
この添え書きは効能には含めず、使い方から考えて製品を限定するためのものです。そのため、18番目は洗顔料だけ、35番目は打粉だけが言える効能になります。なお、医薬部外品の浴用剤なら、17項目の中にあせもとにきびが入っています。
化粧品のなかで、ニキビやあせもを防ぐと言えるのは洗顔料と打粉に限られると覚えておきましょう。
お風呂は、41度以下・10分までが目安
寒い日は、熱めのお湯にゆっくりつかりたくなりますよね。消費者庁が示す目安は、湯温41度以下、湯につかるのは10分までです。熱いお湯に長くつかると体温が上がりすぎて、浴槽から出られなくなることがあるからです。
42度のお湯に10分入ると体温が38度近くまで上がり、高体温による意識障害で浴槽から出られなくなることがあります。家や施設の浴槽で亡くなる人は増えていて、2021年は5,097人でした。時期は1月がピークで、11月から4月に集中しています。そこで、次のような入り方が呼びかけられています。
消費者庁が呼びかけている、お風呂の入り方です。
暖める
41度以下
10分まで
立つ
入浴前に脱衣所と浴室を暖め、41度以下のお湯に10分まで、出るときはゆっくり立ち上がる、という流れです。食後すぐや飲酒後、薬を飲んだ後の入浴も避けましょう。
入浴剤そのものによる事故もあります。国民生活センターのテストでは、パック型の入浴剤はどの製品も、お湯につけるとすぐに表面が90℃ほどの高温になり、長いものでは約3分続きました。浴槽の製品を手ですくった子どもがやけどをした例もあり、お湯に入れた直後には取り出さないよう呼びかけられています。
入浴剤の種類よりも、41度以下・10分までという温度と時間のほうが、はっきりした数字で示されています。
まとめ
- 薬用の浴用剤の効能は17項目で、「血行促進」は入っていません。体が温まるのはお湯につかる効果です
- 入浴剤には医薬部外品・化粧品・雑貨の3区分があり、パッケージの「医薬部外品」の表記で見分けられます
- ボディソープは「洗浄料」で、洗顔料と同じ区分です。化粧石けんは表示の業界ルールの対象外です
- 化粧品で「ニキビ、アセモを防ぐ」は洗顔料、「あせもを防ぐ」は打粉に限られた効能です
- お風呂の目安は湯温41度以下、10分まで。パック型の入浴剤は入れた直後に取り出しません
入浴剤は、区分を見れば何が期待できるかがわかります。あとはお湯の温度と時間を守ることだけ意識すれば、安心してお風呂の時間を楽しめます。
よくある質問
入浴剤で血行は良くなる?
薬用の入浴剤でも、うたえる効能に「血行を良くする」は入っていません。体が温まるのは、お湯につかること自体の効果という扱いです。
薬用の入浴剤と普通の入浴剤の違いは?
薬用は医薬部外品で、あせもや肩のこり、冷え症など17の効能を書けます。化粧品の入浴剤は肌を清浄にすることと保湿の範囲で、雑貨は体への効き目を書けません。
ボディソープと洗顔料は同じ仲間?
表示のルールでは、どちらも「洗浄料」という同じ区分です。同じ区分には、クレンジングやハンドソープも入っています。
お風呂の温度と時間の目安は?
湯温は41度以下、湯につかるのは10分までが目安です。42度で10分入ると体温が38度近くになり、意識障害で浴槽から出られなくなることがあります。
パック型の入浴剤で気をつけることは?
お湯に入れた直後に取り出さないようにしましょう。お湯につけるとすぐ表面が90℃ほどの高温になり、手ですくった子どもがやけどをした例があります。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「浴用剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ボディシャンプー」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ボディケア化粧品」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「石けん」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「化粧石けん」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「洗浄剤」
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条
- 厚生省告示第194号「都道府県知事の承認に係る医薬部外品」(平成6年6月2日)十五 浴用剤
- 厚生労働省「浴用剤製造販売承認基準について」(平成27年3月25日 薬食発0325第39号)
- 厚生省薬務局監視指導課長通知「浴用剤(医薬部外品)の表示・広告の自主基準の実施について」(昭和63年8月3日 薬監第50号)
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】」
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約」第3条
- 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!-自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-」(令和2年11月19日)
- 消費者庁「高齢者の事故に関するデータとアドバイス等」(令和4年12月27日)
- 消費者庁「雑貨工業品品質表示規程」二十七
- 国民生活センター「発熱反応を伴い水素を発生するというパック型入浴剤 -使い方によっては、やけどのおそれも-」(2016年7月21日公表)
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」