この記事でわかること
- キク科アレルギーの人がカモミールに反応しやすい理由
- 成分表示でのカモミールの名前と、医薬部外品での見方
- 精油・エキス・ハーブティーの違いと、試すときの順番
成分表で「カミツレ花エキス」を見かけて、キク科の植物や花粉でアレルギーが出たことがある自分でも使って大丈夫なのか、不安になりますよね。
結論から言うと、キク科の近い仲間にアレルギーがある人は、カモミールにも反応することがあります。ただ、キク科アレルギーの人が必ず反応するわけではなく、使ってはいけないという決まりもありません。成分表で名前を確かめ、少しずつ試し、迷ったら皮膚科で相談する、という順番で考えれば大丈夫です。まずは、カモミールがどんな植物なのかから見ていきましょう。
カモミールはキク科。近い仲間にアレルギーがある人は反応しやすい
カモミールはキクやヒナギクと同じキク科の植物で、キク科の近い仲間にアレルギーがある人は、カモミールにも反応しやすいとされています。
厚生労働省の統合医療の情報サイトでは、ブタクサ、キク、マリーゴールドやヒナギクなどのキク科の近い仲間にアレルギー反応を起こす人は、カモミールにもアレルギー反応を起こしやすいと紹介されています。
カモミールには、主にジャーマンカモミールとローマンカモミールの2種類があります。ジャーマンカモミールは一年草、ローマンカモミールは多年草で、どちらもほぼ同じ用途で使われます。日本語では「カミツレ」とも呼ばれます。
種類は違っても、どちらもキク科の植物です。キク科のどれかで症状が出たことがある人は、カモミールも同じ仲間として見ておきましょう。
反応が重なるのは、キク科の仲間が似た成分をもつから
キク科の植物どうしで反応が重なりやすいのは、仲間の植物が似た成分をもっているからです。
アレルギーのかぶれは、肌に触れた成分を体が覚えてしまい、次に触れたときに赤みやかゆみで反応することで起きます。キク科で肌がかぶれるときのいちばん大事な原因は、セスキテルペンラクトンという一群の成分です。一つの植物でこの成分を覚えると、似た成分をもつほかの仲間にも反応することがあります。このように反応が広がることを、交差反応と呼びます。
キク科の成分を一度覚えた肌は、似た成分をもつカモミールにも反応することがあります。
触れる
覚える
が触れる
かゆみ
たとえば、キク科アレルギーとわかっている人にカミツレの抽出物を貼って調べると、94%が陽性だったという結果があります。ただし、検査用の抽出物を直接貼った結果なので、カモミール入りの化粧品を使った人の94%がかぶれる、という意味ではありません。
原料の質の話もあります。輸入されたカモミールの中には、見た目のよく似た別のキク科の植物が混ざっている場合があり、その植物は強いアレルギーのもとになるセスキテルペンラクトンを含むとされています。どの原料が使われているかまでは、成分表からはわかりません。
キク科で一度かぶれたことがある人は、似た成分をもつカモミールにも反応しうると覚えておきましょう。
成分表では「カミツレ花エキス」。医薬部外品は別の名前のことも
化粧品の全成分表示では、ジャーマンカモミールの花のエキスは「カミツレ花エキス」と書かれます。ローマンカモミールの花のエキスは「ローマカミツレ花エキス」という別の名前です。
カミツレ由来の成分は、花のエキス、花の水、花の油、花の粉、葉のエキスのように、使う部分と形ごとに名前が分かれています。「カミツレ」の文字が入っていれば、カモミール由来と考えて大丈夫です。
見落としやすいのは、薬用化粧品などの医薬部外品です。医薬部外品の成分表示は、国が効能を認めた有効成分と、その他の成分に分けて書かれ、化粧品とは書き方が違います。カモミール由来の有効成分が、カミツレの文字が入らない別の名前で書かれている製品もあります。
医薬部外品では、有効成分の欄まで目を通すと見落としを防げます。
ブタクサやヨモギの花粉症がある人も、キク科の仲間として気にしておく
ブタクサやヨモギの花粉症があると、カモミールも気をつけたほうがいいのか迷う人は多いと思います。花粉症がある人も、カモミールはキク科の仲間として心にとめておくと安心です。
ブタクサやヨモギは、花粉症の原因になるキク科の植物です。厚生労働省の情報サイトでも、カモミールに反応しやすい近い仲間としてブタクサが挙げられています。欧州の医薬品の検討の中でも、ヨモギなどキク科の花粉にアレルギーがある人では交差反応が起こりうる、という文言の案が示されています。ヨモギと花粉症の関係は、ヨモギエキスの記事でも紹介しています。
ただ、入り口は分けて考えます。花粉症は、花粉を吸い込んで鼻や目の粘膜で起こる反応で、肌に塗ってかぶれるしくみとは別のものです。花粉症の人がカモミールティーで目を洗って結膜炎になった例もありますが、これは粘膜に触れた話です。
花粉症がある人は、肌に使う前に少し試してから、と考えておけば十分です。
精油とエキスはつくり方が違い、どちらもキク科と無関係ではない
カモミールの精油とエキスは、つくり方も、とり出される成分も違います。ただ、どちらもキク科アレルギーと無関係ではありません。
カミツレの花の油は、花を水蒸気で蒸留してつくる精油で、香りの成分を集めた油です。カミツレ花エキスは、花を油に長く漬けたり、水とプロピレングリコールで抽出したりしてつくります。精油に含まれるリナロールなどの香りの成分には、かぶれを起こしうるものがあると懸念が示されています。
欧州では、カモミールの精油を入浴剤として使う植物の医薬品があり、その評価ではキク科の植物に過敏症のある人には使わないこととされています。液状のカモミール製剤が粘膜に触れて、息苦しさを伴う重いアレルギー反応が起きた報告もあります。化粧品ではなく医薬品の話ですが、精油もキク科の仲間として見ておくべきものです。精油全般の注意は、ティーツリーオイルの記事も参考にしてください。
精油でもエキスでも、カモミール由来ならキク科の仲間と考えましょう。
カモミールティーを飲む話は、肌に塗る話と分けて考える
カモミールティーは食品で、飲むときの注意は、化粧品を肌に塗るときとは別の話です。体に入る経路が違ううえ、薬との飲み合わせも関わるからです。
国の食品と医薬品の区分では、カモミールの花は、医薬品のような効能をうたわない限り、医薬品とは判断しない原材料とされています。厚生労働省の情報サイトでは、カモミール製品を飲んだり触ったりした人に、まれに命にかかわるアレルギー反応が起こることがあると紹介されています。花粉症とぜんそくのある子どもが、カモミールティーを初めて飲んで重いアレルギー反応を起こした例もあります。
また、カモミールは血をかたまりにくくする薬などとの飲み合わせが報告されています。ティーを目の洗浄に使うのも避けたい使い方です。
持病や飲んでいる薬がある人、妊娠中や授乳中の人は、飲む前に医師や薬剤師に相談しましょう。
気になる人は、名前を確かめて少しずつ試し、迷ったら皮膚科へ
キク科アレルギーが気になる人は、成分表で名前を確かめ、少しずつ試し、迷ったら皮膚科で相談しましょう。カミツレ由来の成分は、かぶれを起こさないように処方されていれば、今の使い方と濃度で化粧品に使うのは安全とされていますが、この条件がつくのは、キク科アレルギーの人の反応が知られているからです。
キク科アレルギーがある人が、カモミール入りの製品を試すときの順番です。
名前を見る
少し試す
出たら中止
相談する
まず、成分表でカミツレ花エキスやローマカミツレ花エキス、医薬部外品なら有効成分の名前を確かめます。海外の皮膚科の情報サイトでは、キク科アレルギーとわかっている人は、キク科由来の成分を含む化粧品やクリームを避けるよう勧めています。初めての製品は、腕の内側などの目立たない場所で少しずつ試すと安心です。赤みやかゆみが出たら、すぐに使うのをやめてください。
症状がくり返すときや、どの植物が原因かを知りたいときは、皮膚科でパッチテストを受けられます。キク科のかぶれは、セスキテルペンラクトンを混ぜた検査薬や、キク科の植物を混ぜた検査薬で調べるのが一般的です。パッチテストの流れは、化粧品でかぶれたときの相談先の記事で紹介しています。
キク科アレルギーと診断されている人は、カモミール入りの製品を使う前に皮膚科で相談するのが確実です。
まとめ
- カモミールはキク科の植物で、キク科の近い仲間にアレルギーがある人は反応しやすいとされています
- 反応が重なるのは、キク科の仲間がセスキテルペンラクトンなどの似た成分をもつためです
- 化粧品では「カミツレ花エキス」「ローマカミツレ花エキス」などと書かれ、医薬部外品では別の名前のこともあります
- 精油とエキスはつくり方が違い、ハーブティーとして飲む話は肌に塗る話と経路が別です
- 気になる人は名前を確かめて少しずつ試し、迷ったら皮膚科のパッチテストで原因を調べられます
カモミールはやさしいイメージのある植物ですが、キク科の仲間であることは変わりません。キク科で症状が出たことがある人は、成分表の名前を手がかりに、自分の肌に合うかを確かめながら選んでみてください。
よくある質問
キク科アレルギーでもカモミールの化粧品は使えますか?
反応することがあるので、使う前に皮膚科で相談するのが確実です。キク科アレルギーとわかっている人にカミツレの抽出物を貼ると、94%が陽性だったという結果があります。使ってはいけないという決まりはありませんが、誰でも使えるという意味でもありません。
カミツレ花エキスとカモミールは同じですか?
カミツレ花エキスは、カモミールの花のエキスの表示名です。カミツレはカモミールの日本語の呼び名で、ジャーマンカモミールの花のエキスがこの名前で書かれます。ローマンカモミールの花のエキスは「ローマカミツレ花エキス」という別の名前です。
ブタクサの花粉症の人はカモミールに注意が必要ですか?
キク科の仲間として、心にとめておくとよい植物です。カモミールに反応しやすい近い仲間として、ブタクサが挙げられています。肌に使うときは、腕の内側などで少し試してから使うと安心です。
カモミールの精油とエキスは何が違いますか?
つくり方が違い、とり出される成分の組み合わせも違います。精油は花を水蒸気で蒸留した香りの油、エキスは花を油に漬けたり水などの液で抽出したりしたものです。精油に含まれる香りの成分にも、かぶれの懸念が示されています。
カモミールティーを飲むのとアレルギーは関係ありますか?
飲んだときにも、まれに重いアレルギー反応が起こります。カモミールティーを初めて飲んだ子どもに重い反応が出た例があります。飲む話は化粧品とは経路が別で、薬との飲み合わせもあるため、持病や薬がある人は医師や薬剤師に相談しましょう。
この記事で参照した情報
- 米国CIR Amended Safety Assessment of Chamomilla Recutita-Derived Ingredients as Used in Cosmetics. Int J Toxicol 2018;37(3 Suppl):51S-79S
- 厚生労働省 統合医療情報発信サイト(eJIM)「カモミール」(米国NCCIHファクトシートの翻訳、2021年)
- 米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)Chamomile(2024年11月更新)
- 医薬基盤・健康・栄養研究所 素材情報「カミツレ、カモミール」
- 欧州医薬品庁 HMPC European Union herbal monograph on Matricaria recutita L., aetheroleum(2015年)
- 欧州医薬品庁 Overview of comments received on public statement on chamomilla containing herbal medicinal products(2006年)
- DermNet(ニュージーランド)Compositae allergy