成分辞典やさしい解説

ヘアカラーのしくみをやさしく解説!パッチテストが「毎回」な理由とは?

あるコスメオタク・2026.09.22・更新 2026.10.21・成分辞典

ヘアカラーの箱にある「使用前に毎回パッチテストを」の文字。前回は平気だったのに、本当に毎回やる必要があるのか迷いますよね。

結論から言うと、パッチテストは毎回必要です。今まで平気だった人でも、体質が変わってかぶれるようになることがあるからです。染める2日前にテスト液を少し塗り、30分後と48時間後の2回、肌の様子を見ます。まずは、なぜ毎回なのかから見ていきましょう。

パッチテストが毎回なのは、アレルギーが後からできることがあるから

パッチテストを毎回するのは、ヘアカラーのアレルギーが、何回も染めたあとにできることがあるからです。箱の注意書きの文言は国の通知で決められていて、過去に何回も問題なく染めていた人でも、体質の変化でかぶれるようになることがあるので、毎回必ず行うよう書かれています。

体が特定の物質を覚えて、その物質に過剰に反応するアレルギー体質になることを「感作」と呼びます。アレルギー性のかぶれと同じしくみです。一度覚えると、次にその物質にふれたときに、かぶれが出るようになります。

枠で囲んだ「体が成分を覚える」ことは、何回も平気で染めたあとにも起こります。

染料に
何度もふれる
体が成分を
覚える
次にふれると
かぶれる

つまり、「今までずっと平気だった」は、安心の理由にならないのです。

手順は、48時間前に塗って、30分後と48時間後に見る

めんどうに思えますが、パッチテストは、染める48時間前にテスト液を塗り、30分後と48時間後の2回、肌を見るだけです。この手順も、国の通知で具体的に決められています。

パッチテストは、染毛剤にかぶれる体質かどうかを調べるものです。染める2日前、つまり48時間前に毎回必ず行い、テスト液を腕の内側などに塗ってから、30分後くらいと48時間後の2回、肌を観察します。塗ったあとは、触らずにそのまま48時間置き、この時間は必ず守ります。

染める48時間前に始めて、30分後と48時間後の2回、肌の様子を見ます。

2日前に
腕に塗る
30分後に
見る
触らずに
置く
2日後に
また見る

注意書きの中でいちばん強い言葉は、今までにヘアカラーでかぶれたことのある人は、絶対に使わないで、というものです。一度かぶれた人は、テストもせずに、使うのをやめましょう。

なお、皮膚科で受けるパッチテストは診断のための検査です。ヘアカラーのものは、自分で、使う製品そのもので、毎回行うもので、目的も行う人も違います。

48時間前に塗って2回見る、と覚えておけば迷いません。

毛染めをする人の7割以上が、テストをしていなかった

パッチテストまではしていない、という人は多いと思います。実際に、毛染めをしたことがある人の7割以上が、パッチテストをしたことがありませんでした。消費者安全調査委員会が「毛染めによる皮膚障害」についてまとめた報告書で明らかになったことです。

同じ報告書では、毛染めをしている人の4割近くが、毛染めでアレルギーの症状が出る可能性があることを知らず、今毛染めをしている人の約15%が、異常を感じたことがあると答えています。これは、およそ7人に1人にあたります。

国の事故情報には、毛染めによる皮膚障害の例が毎年度200件ほど登録されていて、けがや病気の程度が1か月以上の例もあります。国は理容師と美容師に向けても、会話を通じて酸化染毛剤やアレルギーの特徴、対策などをお客さんに伝えるよう求めています。

テストをしていない人が多いからこそ、自分は毎回やると決めておくと安心です。

かぶれの主な原因は、パラフェニレンジアミン

ヘアカラーのかぶれの代表的な原因成分は、パラフェニレンジアミンです。色を出す酸化染料の中でも、かぶれる人が多い成分だからです。

報告書は、酸化染料として、パラフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、パラアミノフェノール、トルエン-2,5-ジアミンなどの名前を挙げています。日本皮膚科学会のガイドラインによると、一般の人のおよそ0.1%から1%がパラフェニレンジアミンに感作されていると言われ、パッチテストを受けた患者では約2〜5%が陽性と報告されています。日本の基本の検査の結果では陽性がおよそ8%で、外国より高いと考えられています。

日本でかぶれの原因を調べる基本の検査項目にも、香料と並んでパラフェニレンジアミンが入っています。それでも使われ続けているのは、報告書によれば、代わりになる成分がほかにないからです。パラフェニレンジアミンは、医薬部外品の承認基準で、上限の濃度つきで認められている成分です。

禁止するのではなく、毎回テストして守るという形になっているのは、代わりがないためなのです。

ヘアカラーは、アルカリで髪をふくらませて中に色を入れる

ヘアカラーと呼ばれる酸化染毛剤は、アルカリで髪をふくらませて、髪の中に色を入れる医薬部外品です。パッチテストが求められるのは、この酸化染毛剤などです。

髪を染めるものは、大きく4種類に分かれます。酸化染毛剤とも呼ばれる永久染毛剤、いわゆるヘアカラーや白髪染めと、ヘアブリーチと呼ばれる脱色剤・脱染剤は医薬部外品で、薬事の規制上は染毛剤にあたります。国は染毛剤の承認基準で使える有効成分と上限の濃度を決めていて、たとえば過酸化水素は製品中の濃度が6.0%を超えてはならないとされています。

これに対して、ヘアマニキュアやカラーリンス、カラートリートメントなどの半永久染毛料と、ヘアカラースプレーやヘアマスカラなどの一時染毛料は化粧品です。

酸化染毛剤で2つの液を混ぜるのは、髪の中に色を入れるためです。髪の表面はキューティクルがうろこのように覆っています。そこでアルカリで髪をふくらませてすき間をつくり、有効成分である酸化染料と過酸化水素を髪の中に入れて、中で元の色を抜きながら新しい色を出します。

酸化染毛剤は、アルカリでふくらませた髪の中で、元の色を抜きながら新しい色を出します。

2つの液を
混ぜる
髪が
ふくらむ
染料が
髪の中へ
中で新しい
色が出る

いっぽう化粧品の半永久染毛料は、しくみが違います。酸性染料を使うので酸性染毛料とも呼ばれ、キューティクルを開かずに、表面の近くに色をのせます。そのため色落ちは早いかわりに、髪への負担が違ってきます。

色を髪の中に入れるのが酸化染毛剤、表面の近くにのせるのが半永久染毛料と覚えておきましょう。

「ヘナ」と書かれていても、安全とは限らない

「ヘナ」と書いてあると、植物だからやさしそうに思えますよね。でも、中身は名前だけではわかりません。ヘナと書かれた製品に、酸化染料が入っていた例があるからです。

国民生活センターは、かつら用などとして売られている雑貨扱いのヘナ製品を髪に使い、含まれていた酸化染料が原因でアナフィラキシーショックを起こして、救急搬送された事例を公表しています。そして、かつら用の製品を頭髪に使わないよう注意を呼びかけました。

雑貨扱いの製品は化粧品でも医薬部外品でもないので、成分表示の義務も、使用上の注意を定めた通知も当てはまりません。

髪に使うものは、化粧品か医薬部外品かを確かめるのが確実です。

白髪は、メラニンが毛に渡されなくなって生える

白髪は、髪の色のもとであるメラニンが、毛をつくる細胞に渡されなくなることで生えます。髪の色は、髪の中にあるメラニン色素で決まるからです。

生まれ持った髪の色は、主に髪の内側のコルテックスという部分にあるメラニン色素の種類と量で決まります。このメラニン色素は、色素をつくる細胞であるメラノサイトでつくられます。メラノサイトの働きが落ちてメラニン色素がつくられなくなったり、毛をつくる毛母細胞に色素が渡されなくなったりすると、白髪になります。

白髪が1本でもある人の割合は30歳ごろから増え始め、30代後半で過半数に、50代になると90%を超えます。

肌ではメラニンを増やさない方向のケアが話題になりますが、髪ではメラニンが減ってしまうことが悩みです。同じ色素でも、悩みの向きが逆なのです。

まとめ

48時間前のテストは、正直めんどうです。それでも7人に1人が異常を感じたことがあると知ると、あの小さな文字の大切さが見えてきます。染める予定の2日前に、テストの時間をとっておきましょう。

よくある質問

ヘアカラーのパッチテストは毎回やらないといけない?

はい、毎回必要です。過去に何回も異常なく染めていた人でも、体質の変化によってかぶれるようになる場合があるためです。

パッチテストのやり方は?

染める2日前、つまり48時間前に、テスト液を腕の内側などに塗ります。そのまま触れずに置き、30分後と48時間後の2回、肌の様子を見ます。

一度ヘアカラーでかぶれたら、また使ってもいい?

使ってはいけません。今までにヘアカラーでかぶれたことのある人は、絶対に使用しないよう注意書きで定められています。

ヘアマニキュアとヘアカラーの違いは?

区分と色の入り方が違います。ヘアカラー、つまり酸化染毛剤は医薬部外品で、アルカリで髪をふくらませて中に色を入れます。ヘアマニキュアは化粧品の半永久染毛料で、酸性染料を使い表面の近くに色をのせます。

ヘナなら安全?

名前だけでは安全とはいえません。かつら用などの雑貨扱いのヘナ製品を頭髪に使い、含まれていた酸化染料でアナフィラキシーショックを起こした例があります。化粧品か医薬部外品かを確かめましょう。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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