この記事でわかること
- 化粧品が合わなかったときに、最初にすること
- かぶれの2つの種類と、原因を調べるパッチテスト
- 相談先の188番と、「テスト済み」表示の読み方
化粧品を使ったら赤くなった、かゆくなった。このまま使っていいのか、どこに相談すればいいのか、不安になりますよね。
結論から言うと、まず使うのをやめて、その製品を捨てずに残しておきましょう。症状がつらいときは、製品を持って皮膚科へ。お店や契約のことで困ったら、局番なしの188番につながる消費生活センターに相談できます。順番に見ていきましょう。
合わなかったら、まず使うのをやめて製品を残す
赤みやかゆみが出たら、すぐに使うのをやめます。そのまま使い続けると、症状を悪化させることがあるからです。
化粧品の箱や容器にある使用上の注意にも、使っているときに赤み、はれ、かゆみ、刺激、色抜けや黒ずみなどが出たら使うのをやめ、皮膚科専門医などに相談するよう書かれています。使ったあとの肌に日光が当たって同じような異常が出たときも同じです。
合わないと感じたときの、最初の3つの行動です。
使うのをやめる
捨てずに残す
皮膚科へ
使うのをやめても、製品は捨てないでください。症状がひどいときは、使った化粧品を持って皮膚科を受診するよう、消費生活センターも呼びかけています。何を使ったのかがわかると、原因を探しやすくなります。
やめる、残す、相談する。この3つを覚えておけば、慌てずに動けます。
かぶれには、誰にでも起こるものとアレルギーの人だけに起こるものがある
前は平気だったのに、と思うと戸惑いますよね。かぶれは大きく刺激性とアレルギー性に分かれ、違いは「誰に起こるか」です。かぶれ、つまり接触皮膚炎は、肌にふれた物質によって、ふれた場所に比較的はっきりした境目で出る湿疹の反応で、起こるしくみが2つあるのです。
刺激性のかぶれは、アレルギー体質でない人も含めて、誰にでも起こります。免疫のしくみによらないので、初めてふれたときでも反応が出ます。
アレルギー性のかぶれは、その成分にかぶれやすくなった人だけに起こります。まず原因の物質にかぶれやすくなる段階があり、そのあと同じ物質が再び肌にふれたときに炎症が起こります。
アレルギー性のかぶれは、かぶれやすくなる段階を経てから起こります。
ふれる
体質に
ふれる
かゆみ
「前は平気だったのに今回はダメだった」という経験は、このアレルギー性のほうで説明がつきます。体の外から来るものはどれもアレルギーを起こす可能性があるので、成分の善し悪しの話ではないのです。皮膚科の一般向けの解説では、光が関わる光接触皮膚炎や、全身に広がるタイプも加えて4つに整理されています。敏感肌の考え方も、ここにつながります。
つまり、かぶれは誰にでも起こりうるもので、合わなかった自分が特別なわけではありません。
原因を調べるなら、皮膚科のパッチテスト
どの成分が原因かを知りたいときは、皮膚科でパッチテストを受けます。かぶれの手当てでいちばん大切なのは、原因の物質や刺激を見つけて遠ざけることで、パッチテストはアレルギー性のかぶれを調べるうえで最も重要な検査だからです。
ふつうは背中の、見た目に異常のない場所に、原因と考えられる物質を48時間貼ります。はがしたあと、テープの刺激がおさまる1時間半〜2時間後に1回目の判定をして、そのあとも判定をくり返します。
パッチテストは、48時間貼ってから判定をくり返し、結果が出るまでに1週間以上かかります。
48時間
判定
時間後
にも
貼っているあいだは、シャワーや入浴、汗をたくさんかく運動を控えます。また、貼った場所の色が変わったり、傷あとが盛り上がったりすることがあり、わざと物質を肌につけるので、それがきっかけでアレルギーができる可能性もあります。そのため、訓練を受けた皮膚科医のもとで、説明を受けて同意してから行います。
時間はかかりますが、原因がわかれば、次から避ける成分がはっきりします。
相談先は、188番の消費生活センター
お店に言いにくいときや、どこに言えばいいかわからないとき、迷いますよね。消費者が相談する窓口は、局番なしの188番につながる近くの消費生活センターです。医薬品には患者本人や家族が副作用を報告できる制度がありますが、その対象は医薬品で、化粧品は入っていないからです。
消費生活センターに寄せられた相談のうち、けがや危険に関わる情報は、事故情報データバンクに集められています。行政機関や自治体などが持つ、暮らしの中で起きた事故の情報をためて活用するしくみで、「化粧品」で検索すると多くの事例が出てきます。ただし消費者が自分から申し出た情報がもとなので、登録されていることが、その製品が原因だと認められたことにはなりません。
化粧品のことで困ったら、まず188番と覚えておきましょう。
健康被害の報告が法律で義務なのは、企業
化粧品の健康被害を国に報告する義務があるのは、製品を市場に出す責任を負う製造販売業者、つまり企業です。法律の条文に、医薬品や医薬部外品と並んで化粧品がはっきり書かれているからです。
薬機法の第68条の10第1項では、製造販売業者は健康被害などを知ったときに厚生労働大臣に報告しなければならないと定められています。期限も省令で決まっていて、死亡や重い症例は15日以内、それ以外の症例や研究報告は30日以内です。
一方、同じ条文の第2項で医師や薬剤師などの医薬関係者に報告を求めている対象は、医薬品や医療機器などで、化粧品は入っていません。それでも窓口はあり、医薬部外品や化粧品の健康被害などを知った場合には、専用の報告書で速やかに報告するよう求められています。
消費者は188番へ、企業は国へ、と立場によって報告の道すじが違うのです。
相談は年に3千件前後あり、定期購入の解約トラブルも多い
自分だけかもと思うかもしれませんが、化粧品で肌や体に異常が出たという相談は、毎年3千件前後あります。全国の消費生活センターなどに寄せられた化粧品の危害の相談は、2023年度が3,319件、2024年度が2,999件、2025年度が2,847件でした。
この件数には、シャンプーなどの髪用の化粧品や、歯みがきなども含まれています。2024年度のけがや体の不調に関わる危害情報は12,770件で、商品やサービス別の上位3つは化粧品、健康食品、医療サービスでした。
相談の多くは、肌のトラブルと売り方のトラブルがセットになっています。お試しのつもりで買った化粧品で肌に異常が出て解約を申し出たら、定期購入が条件で、解約には高額な支払いが必要と言われた、という相談です。定期購入や個人輸入などの化粧品の買い方にも、知っておきたい決まりがあります。
肌のことと契約のことが重なったときこそ、188番に相談するのが近道です。
「テスト済み」は、誰にも起こらないという意味ではない
「アレルギーテスト済み」と書いてあると安心しますよね。でも、「テスト済み」は、すべての人にかぶれが起こらないという保証ではありません。業界の規約で、テスト済みと書くときは、そのことを伝える但し書きをつけることが決まっているからです。
たとえば「アレルギーテスト済み」なら「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」という文を、同じくらいの大きさで、目立つように近くに書きます。ノンコメドジェニックテスト済みならニキビのもとのコメドが、皮膚刺激性テスト済みなら皮膚刺激が、すべての人に起こらないわけではない、という但し書きになります。こうしたテスト済み表示を、キャッチフレーズにしないことも定められています。
ひりつき、かゆみ、ほてりといった感覚の刺激を調べる、感覚刺激試験という方法もあります。顔の中でも場所によって感じやすさが違い、鼻のわきから口のまわりにかけてがいちばん敏感だとされています。
テスト済みの製品でも、合わなければやめる、という基本は同じです。
まとめ
- 赤みやかゆみが出たら、すぐに使うのをやめ、製品は捨てずに残します。症状がひどいときは製品を持って皮膚科へ
- かぶれは刺激性とアレルギー性の2種類。刺激性は誰にでも、アレルギー性はその成分にかぶれやすくなった人に起こります
- 原因を調べる検査はパッチテストで、結果が出るまで1週間以上かかります
- 消費者の相談先は、局番なしの188番につながる消費生活センター。法律で報告の義務があるのは企業です
- 相談は年に3千件前後。「テスト済み」には、すべての人に起こらないわけではないという但し書きがつきます
合わない化粧品に出会うのは、誰にでもあることです。やめる、残す、相談する、の3つを覚えておけば、困ったときも落ち着いて動けます。
よくある質問
化粧品が合わなかったら、まず何をすればいい?
すぐに使うのをやめて、その製品を捨てずに残しておきましょう。症状がひどいときは、使った化粧品を持って皮膚科を受診します。
化粧品が合わなかったらどこに相談すればいい?
局番なしの188番につながる消費生活センターに相談できます。原因を知りたいときは、皮膚科でパッチテストを受けられます。
前は平気だった化粧品でかぶれることはある?
あります。アレルギー性のかぶれは、その成分にかぶれやすくなったあとで、同じ成分に再びふれたときに起こるので、前は平気だった製品でも起こります。
パッチテストはどのくらい時間がかかる?
結果が出るまで1週間以上かかります。ふつうは背中に48時間貼り、はがしたあとに判定し、72時間後か96時間後、1週間後にも判定します。皮膚科医が行う検査です。
「アレルギーテスト済み」なら安心?
すべての人にアレルギーが起こらないという意味ではありません。そのため「テスト済み」と書くときは、その但し書きを同じくらいの大きさで近くに書くことが決まっています。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「接触皮膚炎」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「刺激性接触皮膚炎」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「アレルギー性接触皮膚炎」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「パッチテスト」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「感作物質」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「スティンギング試験」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「低刺激性化粧品」
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第68条の10
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 第228条の20
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品医療機器等法に関する報告の制度について」
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「患者の皆様からの医薬品副作用報告」
- 独立行政法人国民生活センター「化粧品の危害」
- 独立行政法人国民生活センター「2024年度 全国の危害・危険情報の状況-PIO-NETより-」(2025年9月10日公表)
- 消費者庁「事故情報データバンクシステム」
- 消費者庁「事故情報の集約等」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q3 接触皮膚炎にはどのような種類がありますか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q4 刺激性接触皮膚炎はどのようにして起こるのですか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q5 アレルギー性接触皮膚炎はどのようにして起こるのですか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q7 接触皮膚炎の検査にはどのようなものがありますか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q8 パッチテストはどのように行いますか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q19 接触皮膚炎の治療と予防法はどのようなものですか?」
- 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」(日皮会誌 130(4), 523-567, 2020)
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表4-2」
- 日本化粧品工業会「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準」(2016年12月1日)
- 日本化粧品工業会「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準の整備について」記載例(2016年12月1日)
- 兵庫県立消費生活総合センター「ひょうご消費者トラブル情報 vol.44」