この記事でわかること
- トリートメントとコンディショナーの中身の違い
- 濡れた髪の洗い方と乾かし方
- 「ノンシリコン」を選ぶときの考え方
お店にリンス、コンディショナー、トリートメントが並んでいると、何が違うのか、どれを使えばいいのか迷いますよね。
結論から言うと、表示のルールではトリートメントとコンディショナーは同じ仲間で、中身の違いは主に油分の量です。どれを選ぶかより大事なのは、濡れて弱くなった髪をこすらずに洗い、早く乾かすことです。まずは名前の違いから見ていきましょう。
表示のルールでは、トリートメントとコンディショナーは同じ仲間
化粧品の公正競争規約という表示のルールでは、トリートメントとコンディショナーは同じ「養毛料」の仲間です。規約の施行規則の別表1で、「ヘアトリートメント」と「ヘアコンディショナー」が同じ行に並んでいて、どちらも「養毛料」の代わりに使える名前という扱いだからです。
ヘアパックも養毛料に入ります。いっぽう、「ヘアリンス」だけは独立した種類の名前です。「シャンプー」も、それ自体は種類の名前ではなく、種類の名前は「洗髪料」で、シャンプーはその代わりに使える名前です。カラートリートメントやカラーコンディショナーは別枠で、「毛髪着色料」に分類されています。
名前が違っても、トリートメントとコンディショナーはルールの上では同じ仲間と覚えておけば十分です。
中身の違いは、主に油分の量
リンス、トリートメント、コンディショナーの中身の違いは、主に油分の量です。リンスがもっとも少なく、トリートメント、コンディショナーの順に多くなるとされています。
使い方にも違いがあり、リンスは洗い流すものが多い一方、コンディショナーには洗い流さずにつけたままにするタイプも多くあります。ヘアトリートメントと呼ばれるものは、油分や保湿剤の種類と量を調整して、ふつうのリンスより髪を整えやすくしたものです。ただし、これは化粧品の技術者向けの整理で、法令上の区分ではありません。
なお、シャンプーは、髪と頭皮の汚れを落とし、ふけやかゆみをおさえて清潔に保つための洗浄用の化粧品です。汚れを落とす成分には、主にマイナスの電気を帯びるタイプや両性タイプの界面活性剤が使われます。
ルールでは同じ仲間、中身では油分に差がある、という2つの見方で読むとすっきりします。
濡れた髪は弱いので、こすらずに洗う
シャンプーのときは、髪をこすらないことが大切です。髪は水分を含んでかなりふくらみ、いつもより弱くなっているからです。
髪は、中心の毛髄質、それを取り巻く毛皮質、そして外側の毛小皮、つまりキューティクルの3層でできています。
髪は、外側のキューティクルが内側の毛皮質を取り巻いて守る3層でできています。
キューティクルは、根元から毛先に向かってうろこのように重なり、内側の毛皮質を取り巻いて守っています。健康な髪では1本あたり6〜8枚が密着して重なっていて、髪にしめる割合はキューティクルが10〜15%、毛皮質が85〜90%です。キューティクルが2枚以下になると、枝毛や切れ毛が起きやすくなります。日本人の髪は約10万本あり、太さは0.05〜0.15mm、伸びる速さは1日あたり0.3〜0.4mmです。
この髪は、濡れると弱くなります。髪を引っ張ったときの強さは、乾いているときが140〜150gなのに対して、濡れると90〜100gまで落ち、およそ3分の2になります。
棒の長さは、髪を引っ張ったときの強さです。
そのうえ、髪どうしをこすり合わせて洗うと、キューティクルが少しずつはがれていきます。濡れた髪は、泡でやさしく包むように洗うのが基本です。
たたいて拭いて、低温で早く乾かす
自然乾燥のほうが髪にやさしそう、と思う人は多いと思います。でも、髪にやさしいのは、早く乾かすほうです。濡れていると髪はからみやすく傷みやすいので、すばやく乾かして、摩擦による傷みを防ぐのが目的です。
濡れた髪は、こすらず、たたいて拭き、低温で早く乾かします。
こすらず洗う
たたいて拭く
早く乾かす
タオルは、こすり合わせるように拭くとキューティクルがはがれ落ちてしまうので、軽くたたくように拭きます。濡れた髪にブラシを使うのも、傷みのもとになるため勧められていません。ドライヤーは50℃以下の低温で、手ぐしを入れながら乾かします。80℃以上の熱に日常的にさらすと、髪の中のタンパク質が壊れてしまうからです。
つまり答えは、「たたいて拭き、低温で早く乾かす」です。
傷んだ髪は元に戻らないので、これ以上傷めない
頭皮から外に出ている髪の傷みは、基本的に元に戻りません。外に出ている部分の髪は死んだ細胞の集まりで、自分で直す力がないため、一度加わった傷みはずっと残るからです。
化粧品で書ける効能も、「裂毛、切毛、枝毛を防ぐ」「クシどおりをよくする」のような範囲です。薬用シャンプーの効能は「ふけ・かゆみを防ぐ」「毛髪・頭皮を清浄にする」などで、髪を生やす「育毛」や「発毛」は、育毛剤の効能です。
だから、ケアの目的はこれ以上傷めないことになります。
「ノンシリコン」かどうかだけで、良し悪しは決まらない
シリコーンが入っていないこと自体が、良し悪しを決めるわけではありません。シリコーンは、髪の傷みのもとになる摩擦を減らすために入っている成分だからです。
シリコーンは、シャンプーやリンス、コンディショナー、整髪剤などに油性の原料として広く使われています。髪どうしや、髪とブラシの摩擦を減らし、静電気がたまるのを防ぎます。シリコーン樹脂は肌への刺激性がなく、水をはじく性質にすぐれているとされています。
化粧品の表示ルールにも、成分が入っていないことを理由に安全であるかのように書いたり、ほかの会社の商品をけなすように書いたりしてはいけない、という考え方があります。「ノンシリコン」は、入っていないという情報の一つとして読みましょう。
まとめ
- 表示のルールでは、トリートメントとコンディショナーは同じ「養毛料」の仲間です
- 中身の違いは主に油分で、リンス、トリートメント、コンディショナーの順に多くなります
- 濡れた髪の強さは乾いたときの約3分の2なので、こすらずに洗います
- タオルは軽くたたくように、ドライヤーは50℃以下で早く乾かします
- 傷んだ髪は元に戻りません。シリコーンは摩擦を減らす成分で、「入っていない」だけで良し悪しは決まりません
髪は、一度傷むと自分では元に戻りません。だからこそ、こすらない・早く乾かすという毎日のひと手間が大切です。
よくある質問
濡れた髪が傷みやすいのはなぜ?
水を含んでふくらみ、弱くなっているからです。引っ張り強さは乾いた髪の140〜150gに対し、濡れると90〜100gで、およそ3分の2になります。髪どうしをこすり合わせて洗うと、キューティクルが少しずつはがれます。
自然乾燥とドライヤー、どちらが髪にやさしい?
早く乾かすほうがやさしいと考えられています。濡れている時間が長いほど、からみやすく傷みやすいからです。タオルは軽くたたくように拭き、ドライヤーは50℃以下の低温で手ぐしを入れながら乾かします。
傷んだ髪はトリートメントで元に戻る?
基本的に元に戻りません。頭皮から外に出ている髪は死んだ細胞の集まりで、自分で直す力がないためです。ケアの目的は、これ以上傷めないことになります。
ノンシリコンのシャンプーのほうが髪にいい?
入っていないことだけで良し悪しは決まりません。シリコーンは、髪どうしやブラシとの摩擦を減らし、静電気を防ぐために入っている成分です。
トリートメントとコンディショナーは別のもの?
表示のルールでは同じ「養毛料」の仲間です。中身の違いは主に油分の量で、リンス、トリートメント、コンディショナーの順に多くなるとされています。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「シャンプー」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ヘアリンス(ヘアトリートメント剤)」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ヘアコンディショナー」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「キューティクル」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛皮質」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪のダメージ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪のケア」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪の速乾性」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪の静電気抑制」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪の摩擦」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「シリコーン」
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】」
- 化粧品公正取引協議会「同 別表4-1【無添加等無配合を意味する用語】」
- 化粧品公正取引協議会「公正競争規約及び施行規則の運用基準」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「薬用シャンプー及び薬用リンスの承認審査に係る留意事項について」(平成26年5月2日 薬食審査発0502第1号)
- 日本化粧品工業(連合)会「化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版」
- 国民生活センター「2024年度 全国の危害・危険情報の状況」(令和7年9月10日公表)
- 国民生活センター「化粧品の危害」
この記事が入っているテーマ別まとめ