この記事でわかること
- パンテノールが乾燥した肌にどう働くか
- うるおいの結果が出た濃さと、刺激・かぶれの関係
- 医薬部外品の0.1〜0.3%とアメリカの5.3%の意味
パンテノール入りの化粧水やクリームを選ぶとき、何%入っていればいいのか、濃いほうがよく効くのか迷いますよね。
結論から言うと、うるおいの結果が出ているのは1〜5%ほどで、濃いほどよいという数字ではありません。1%でも5%でも、肌から逃げる水分が減ったという結果があります。%の大きさより、肌に合って続けられるかで選ぶのがいちばんです。
乾燥した肌は、角層から水分が逃げやすくなっている
乾燥した肌では、角層から水分が逃げやすくなっています。%の話の前に、うるおいがどう保たれているかを知っておくと、数字の意味がわかりやすくなります。
肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで水分を保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。このバランスがくずれると、水分が外へ逃げやすくなり、肌が乾きます。
パンテノールは、水を抱えて角層のうるおいを保つ保湿成分で、肌の中でパントテン酸、つまりビタミンB5に変わります。だから、乾燥が気になる肌に向く成分です。
パンテノールは水を抱える保湿成分で、角層のうるおいを保つ側に働きます。
つまりパンテノールは、水分を抱えて逃がしにくくする側の成分です。では、何%で結果が出ているのでしょうか。
1%・2.5%・5%で、うるおいの結果が出ている
うるおいの結果が出ているのは、1%、2.5%、5%のパンテノールです。どの濃さでも、角層の水分が保たれる方向の変化が出ています。
たとえば、0.5%、1%、5%のパンテノールを入れた製剤を比べた結果では、肌から逃げる水分の量がはっきり減ったのは1%と5%でした。この結果は、1%を加えた製剤で肌の状態が保たれた、とまとめられています。
2.5%のパンテノールを油分の多いクリームに入れたものでは、角層の水分量が上がり、逃げる水分の量が減りました。5%のハンドバームでは、洗浄成分で肌に負担がかかっても、角層の水分量が保たれたという結果があります。
棒の長さはパンテノールの濃さで、1%でも5%でも同じ方向の結果が出ています。
5%は1%の5倍の濃さですが、結果はどちらも「逃げる水分が減った」でした。濃くするほど結果がよくなる、という形ではありません。
刺激やかぶれは、濃さだけでは決まらない
パンテノールの刺激やかぶれは、濃さだけでは決まりません。薄い濃さでも、合わない人がいるからです。
たとえば、0.5%のローションを使った結果では、軽く一時的なヒリヒリ感が出た人がいました。0.5%の保湿ローションで顔に強い赤みとむくみが出た例や、低刺激をうたう製品でかぶれた例も報告されています。
皮膚炎でパッチテストを受けた人の中で、パンテノールに陽性だったのは約0.7%で、近年は1.2%という報告もあります。これは検査を受けた人の中での割合で、使った人の1%がかぶれるという意味ではありません。かぶれには、濃さに加えて、何回くり返し触れるかも関わるとされています。
薄いから安心と決めつけず、赤みやかゆみが出たら、濃さにかかわらず使うのをやめましょう。
同じ%でも、成分の形で中身が変わる
同じ「パンテノール1%」でも、原料の形によって中身は同じではありません。パンテノールにはD体とL体という2つの形があり、ビタミンとしての働きはD体に限られるからです。
原料には、D体だけのものと、D体とL体が混ざったものがあります。また、仲間のパンテニルエチルやパントテン酸カルシウムは別の成分なので、その%はパンテノールの%とそのまま比べられません。
%が書かれていない商品では、成分表から%を割り出すこともできません。成分表は多い順に書く決まりですが、1%以下の成分は順不同でよいので、わかるのは順番の目安までです。
%を比べるのは、同じ形の成分どうしのときだけにしましょう。
化粧品に上限はなく、0.1〜0.3%や5.3%も上限ではない
日本の化粧品には、パンテノールの配合量の上限がありません。国の化粧品基準で上限が決まっているのは防腐剤や紫外線吸収剤などで、それ以外は会社が安全性を確かめて配合量を決める仕組みだからです。上限がないことは、どれだけ入れても安全という意味でもありません。
医薬部外品では、パンテノールはD-パントテニルアルコールという名前で有効成分に使われます。国の薬用化粧品の有効成分リストでは、化粧水やクリームなどに0.1〜0.3%と載っていますが、これは過去に認められた分量の前例で、上限ではありません。名乗れる効能は、製品ごとの承認で決まります。
アメリカで実際に使われていた濃さの最高は、ボディ用やハンド用の製品で5.3%でした。専門家の委員会は、今の使い方と濃さなら化粧品に安全と結論しています。これも、効果がいちばん高くなる濃さを示した数字ではありません。
どの数字も、「この濃さなら効く」という線ではないと覚えておきましょう。
選ぶときは、%の大きさより続けやすさを見る
パンテノールは、%の大きさより、肌に合って毎日続けられるかで選びましょう。1〜5%のどの濃さでも、うるおいが保たれる方向の結果が出ているからです。
たとえば、「〇%配合」と書かれた商品なら、その数字が1〜5%の中にあるかを目安のひとつにできます。美容成分の濃さは、ほかの成分でも濃いほど効くとは限りません。薬用化粧品なら、成分の%より効能の欄を確かめるのが確実です。
パンテノールでかぶれたことがある人は、成分表で「パンテノール」と「D-パントテニルアルコール」の両方の名前を確かめ、濃さにかかわらず避けましょう。
%の数字は目安にして、刺激を感じずに続けられる使い心地を大事にしてください。
まとめ
- 乾燥した肌では角層から水分が逃げやすく、パンテノールは水を抱えてうるおいを保つ保湿成分です
- 1%、2.5%、5%で、逃げる水分が減るなどのうるおいの結果が出ています
- 1%と5%の結果は同じ方向で、濃くするほどよくなる形ではありません
- 0.5%でもヒリヒリ感やかぶれの報告があり、刺激は濃さだけでは決まりません
- 化粧品に上限はなく、医薬部外品の0.1〜0.3%やアメリカの5.3%も、上限や効果の目安ではありません
パンテノールは、数字の大きさより、結果が出ている範囲に入っているか、肌に合って続けられるかを手がかりに選んでみてください。
よくある質問
パンテノールは何%入っていればいいですか?
1つの数字には決まっていません。うるおいの結果が出ているのは1〜5%ほどで、1%でも5%でも、肌から逃げる水分の量が減ったという結果があります。
パンテノールは濃いほど効きますか?
濃いほどよいとは言えません。1%と5%では、どちらも肌から逃げる水分の量が減るという同じ方向の結果で、1%を加えた製剤で肌の状態が保たれたとまとめられています。
医薬部外品の0.1〜0.3%は上限ですか?
上限ではありません。薬用化粧品の有効成分リストに載った前例の量で、パンテノールに特定の効能を指定したものでもありません。
パンテノールは薄ければかぶれませんか?
薄くてもかぶれることがあります。0.5%の保湿ローションで顔に強い赤みとむくみが出た例が報告されていて、刺激やかぶれは濃さだけでは決まりません。
アメリカの5.3%は何の数字ですか?
アメリカで実際に使われていた濃さの最高値です。ボディ用やハンド用の製品での値で、効果がいちばん高くなる濃さでも、日本の上限でもありません。
この記事で参照した情報
- Camargo FB Jr, Gaspar LR, Maia Campos PMBG. Skin moisturizing effects of panthenol-based formulations. J Cosmet Sci 2011;62(4):361-369
- Cho YS, Kim HO, Woo SM, Lee DH. Use of Dexpanthenol for Atopic Dermatitis—Benefits and Recommendations Based on Current Evidence. J Clin Med 2022;11:3943
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- Weber B, Hylwa S. Panthenol Allergic Contact Dermatitis: Sources of Exposure, Reported Cases, and a Call for More Frequent Testing. Dermatitis 2025;36(4):343-351
- Han J, Warshaw EM. Allergic Contact Dermatitis to Panthenol in "Hypoallergenic" Products. Dermatitis 2023;34(1)
- 欧州委員会 科学委員会 一般向け解説「Perfume allergies」5章
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「パントテン酸」
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト」(別添リスト)
- 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 厚生省医薬安全局長「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年9月29日 医薬発第990号)
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬部外品を承認申請する際の基本的留意事項について(令和5年度版)」
- 厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年3月6日 医薬監麻発第220号・医薬審発第163号)
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
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