この記事でわかること
- 濃いほど効くとは限らない理由と、成分ごとの濃さの例
- 化粧品と医薬部外品で、配合量の決まり方がどう違うか
- 成分表や「〇%配合」、値段の見方
美容液や化粧水に書かれた「〇%配合」の数字を見ると、何%入っていればいいのか、濃いほうがよく効くのか、迷いますよね。
結論から言うと、濃ければ濃いほどいいわけではなく、ちょうどいい濃さは成分ごとに違います。濃くしても結果が変わらず刺激だけが増えた例もあれば、薄すぎて差が出なかった例もあり、値段の高さと入っている量が比例するとも限りません。まずは、濃さと結果の関係から見ていきましょう。
濃いほど効くとは限らない
濃さの数字が大きいほど、効き目も大きくなるとは限りません。ある濃さを超えると、結果は変わらず刺激だけが増えることがあるからです。
たとえば、0.3%と0.5%のレチノールの美容液を比べると、色むらやシワはどちらでも少しずつ目立たなくなり、2つの濃さのあいだで効果の差はなかったという結果があります。一方で、刺激の症状は0.5%のほうが多く、強く出ました。
ビタミンCにも、ある濃さで頭打ちになるという報告があります。ビタミンCそのものであるL-アスコルビン酸は、皮膚に入るには製品のpHを3.5未満の酸性にする必要があり、皮膚に入る量がいちばん多くなる濃さは20%まででした。専門家の総説でも、20%を超えて濃くしても効果は増えず、かえって刺激が出るおそれがあるとされています。3〜10%のビタミンCを塗り続けると、シワが目立ちにくくなったという報告もあります。
レチノールやビタミンCを選ぶときも、数字の大きさだけで決めないのが安心です。
薄すぎると差が出ない成分もある
濃すぎなくていいなら、薄くても大丈夫なのかと思いますよね。でも反対に、濃さが足りないと差が出なかった成分もあります。
ナイアシンアミドでは、5%を入れた保湿剤を塗ると、入れていない保湿剤よりシミの減り方が大きくなったという結果があります。ところが、2%の保湿剤では、入れていない保湿剤とのあいだに差が出ませんでした。保湿でも似た例があり、パンテノールを0.5%、1.0%、5.0%入れた製剤のうち、肌から逃げる水分の量がはっきり減ったのは1.0%と5.0%でした。
ただし、低い濃さなら働かないというわけでもありません。0.1%のヒアルロン酸を入れたクリームでも、入れていないクリームと比べて、肌の水分量と弾力の値に差が出たという結果があります。
ちょうどいい濃さは、成分ごとに違うと覚えておきましょう。
同じ%でも、成分の形が違えば比べられない
%の意味は、成分の形によって変わります。同じ成分の仲間でも、形が違うと肌への入り方や働き方が違うからです。
たとえば、いくつかのビタミンC誘導体を塗っても、皮膚の中のビタミンCは増えなかったという結果があり、L-アスコルビン酸の10%と誘導体の10%は同じものさしで比べられません。また、レチノールの1.6%と、薬の成分であるレチノイン酸の0.025%は、表皮を厚くする働きでは同じくらいでした。赤みがはっきり出たのはレチノイン酸のほうで、レチノールは赤みがないか、ごくわずかでした。
医薬品の濃さも、化粧品と同じ土俵では比べられません。アゼライン酸はアメリカで15%のゲルや20%のクリームが医薬品として使われ、尿素も日本では10%や20%のクリームが医療用の薬として使われていますが、これらは薬としての濃さです。
%の数字を見たら、どの成分の、どの形の数字かを先に確かめましょう。
刺激は濃さだけでなく、pHや塗り方でも変わる
濃さは刺激の出やすさを左右する大きな要因の一つですが、それだけでは決まりません。pHや何に溶かしてあるか、塗る量や回数、その日の肌の状態でも変わるからです。
グリコール酸や乳酸などのAHAは、同じpHなら濃いほど、同じ濃さならpHが低いほど、肌への刺激が強くなることがわかっています。アメリカの化粧品成分の安全性評価はそれをふまえて、一般の化粧品なら濃さ10%以下で最終的なpHが3.5以上、専門家が短時間使って洗い流すサロン向けなら30%以下でpH3.0以上という条件を示しています。これはアメリカの評価で、日本の基準ではありません。
尿素は、2〜10%では保湿、10〜30%では保湿と角質をやわらかくする目的、30%以上では角質を溶かす目的と、濃さで使い分けられていて、濃いほど軽い刺激が出やすくなりうるとされています。ナイアシンアミドは、10%を塗ってもしみる感じや赤みは出なかったと報告されています。かぶれ、つまりアレルギーの起こりやすさでは、濃さだけでなく、肌の面積あたりにつく量と、何回くり返し触れるかも大事とされています。
刺激が心配なら、濃さとあわせて、pHや使う量・回数にも目を向けましょう。
日本の化粧品は、多くの美容成分に配合の上限がない
ナイアシンアミドやビタミンC、レチノール、ヒアルロン酸、セラミドなど、よく知られた美容成分の多くには、国の基準に上限の数字がありません。日本で化粧品に入れてよい量の上限が決まっているのは、防腐剤や紫外線吸収剤、タール色素と、一部の成分だけだからです。
これは2000年に国が告示した化粧品基準の決まりで、たとえばサリチル酸は防腐剤として100gあたり0.20gまで、フェノキシエタノールは1.0gまでとされています。上限のない成分は、メーカーが自分の責任で安全性を確かめたうえで、選んで配合する仕組みです。2000年の規制の見直しで、基準に反しない成分は企業の責任のもとで安全性を確認して配合できることになり、安全性の資料もメーカーが集めて保管することになりました。何%入れるかは国が決めた最適値ではなく、商品ごとにメーカーが決めた数字です。上限がないことは、どれだけ入れても安全という意味ではありません。
医薬部外品は、しくみが違います。有効成分をどれだけ入れるかを申請し、その量で有効性と安全性が妥当かどうかの審査を経て承認されるので、分量は承認で決まります。
医薬部外品は、有効成分をどれだけ入れるかが承認で決まります。
分量を申請
安全性を審査
分量が決まる
薬用化粧品には、種類ごとに有効成分の規格と分量の前例をまとめた国のリストもあり、効能や剤型が前例と同じでその範囲内なら、原則として有効性と安全性の資料を出さなくてよいことになっています。化粧品は効能について国の承認を受けていないので、同じ成分を医薬部外品より多く入れた化粧品のほうが、より効くということにはなりません。
海外には、美容成分に上限を設けた例もあります。EUは2024年の規則で、ビタミンAをレチノールに換算して、ボディローションでは0.05%、それ以外の化粧品では0.3%までとしました。これは体がとるビタミンAの量をふまえた安全のための線で、効き目がいちばんよくなる濃さを示す数字ではありません。
化粧品の%は、メーカーが決めた数字として読みましょう。
成分表から%は割り出せない
成分表を見れば配合量がわかるのでは、と思う人は多いと思います。でも、全成分表示からわかるのは成分の多い順までで、それぞれが何%入っているかは書かれていません。
成分名は製品に仕込んだ量の多い順に並べる決まりですが、1%以下の成分と着色剤は順不同でよいことになっています。美容成分の多くはこの1%以下のあたりに入りうるので、後ろのほうに並んだ成分どうしで、どちらが多いかは成分表からは読み取れません。なお、医薬部外品の全成分表示は法律の義務ではなく、2006年から業界の自主基準で行われているものです。有効成分が別に書かれることも多く、化粧品と同じ読み方はできません。
商品の「〇%配合」という書き方にも、読み方のコツがあります。化粧品で特定の成分を目立たせて書くときは、その成分を何のために入れたか、つまり配合目的を添えることが求められています。「うるおい成分アロエ配合」のような書き方がその例で、成分だけを強調すると、有効成分のように誤解されやすいためです。また、成分やその分量についてうそや不正確な表現で効き目や安全性を誤解させる広告は禁じられ、実際より著しくよく見せる表示は景品表示法の優良誤認にあたります。
%の数字は、その成分が何のために入っているかとあわせて見るのが基本です。
値段と濃さは比例しない
値段が高いほど美容成分がたくさん入っている、とは限りません。実際に中身を測ると、値段と量がそろっていなかったからです。
海外で売られていたビタミンC化粧品の中身を測ると、ビタミンCの量は0〜31.7%とばらばらで、価格と実際の量のあいだにはっきりした関係はなかったという結果があります。安い価格帯の商品がいちばん高い量を表示し、高い価格帯では12.5%までの控えめな表示でした。表示どおりの量だったのは57%で、22%の商品は表示が適切でなく、中には表示されたビタミンCの形が入っていないものや、別の形に置き換わっていたものもありました。ビタミンCは不安定なので、時間とともに減ったことが量の足りなさの一因になりうると考えられています。
売れ筋の保湿剤を調べた結果でも、値段は大きく開いていましたが、かぶれの原因になりやすい成分を含まない商品のほうが値段が高い、という関係はありませんでした。
%の数字は、この3つを順に確かめると読み違えにくくなります。
成分の数字か
試されてきたか
続けられるか
コスパを考えるなら、%の数字を値段で割って比べる前に、どの形の成分の数字か、その濃さで試されてきたか、自分の肌が刺激を感じずに続けられるかを確かめましょう。シミやシワなど決まった効能を求めるなら、分量が承認で決まっている医薬部外品かどうかを見るのも一つの方法です。
まとめ
- 濃いほど効くとは限らず、レチノール0.3%と0.5%で効果に差がなく、刺激は0.5%に多かったという結果があります
- ナイアシンアミドは2%では差が出ず、5%では差が出たなど、ちょうどいい濃さは成分ごとに違います
- 同じ%でも成分の形が違えば比べられず、刺激は濃さだけでなくpHや塗る量、肌の状態でも変わります
- 日本の化粧品は多くの美容成分に上限がなく、配合量はメーカーが安全性を確かめて決め、医薬部外品は承認で決まります
- 成分表から%はわからず、値段と入っている量もそろっていませんでした
「何%がベスト」の答えは、成分ごとに違います。数字の大きさより、どの成分のどの形が、どんな濃さで試されてきたかを手がかりに選んでみてください。
よくある質問
美容成分は何%入っていればいいですか?
成分ごとに違います。ナイアシンアミドは5%で差が出て2%では差が出なかったという結果がある一方、ヒアルロン酸は0.1%のクリームでも水分量と弾力の値に差が出たという結果があります。
高濃度の化粧品ほど効きますか?
濃いほど効くとは限りません。レチノール0.3%と0.5%を比べると効果に差がなく、刺激は0.5%のほうに多く出たという結果があります。ビタミンCも20%を超えて濃くしても効果は増えないとされています。
成分表から配合量の%はわかりますか?
わかりません。成分表からわかるのは多い順までで、1%以下の成分と着色剤は順不同でよいことになっています。
値段が高い化粧品ほど美容成分が多く入っていますか?
そうとは限りません。ビタミンC化粧品の中身を測ると、価格と実際の量にはっきりした関係はなかったという結果があります。
化粧品の美容成分に配合量の上限はありますか?
多くの美容成分には国の上限がありません。上限があるのは防腐剤や紫外線吸収剤、タール色素と一部の成分で、それ以外はメーカーが安全性を確かめて配合量を決めます。
この記事で参照した情報
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