この記事でわかること
- 角層の水分が減るしくみと、尿素の働き
- 濃さで役目が変わる理由と、刺激との関係
- 区分による濃さの違いと、選ぶときの見方
ハンドクリームやかかと用のクリームで「尿素10%」「尿素20%」という数字を見ると、何%を選べばいいのか、濃いほどよく効くのか迷いますよね。
結論から言うと、尿素は濃さによって役目が変わる成分なので、何%がいちばんという答えはありません。薄めのものは主に角層の水分を保つため、濃いものはかたくなった角質をやわらかくするために使われ、濃いほどしみやすくもなります。塗る場所と目的に合った濃さを選ぶのが近道です。まずは、肌の中で何が起きているかから見ていきましょう。
かさつきやごわつきは、角層の水分が減って起きる
手やかかとのかさつき、ごわつきは、肌のいちばん外側の角層から水分が減ることで起きます。角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで、うるおいを保っています。
このバランスが崩れて角層の水分が減ると、肌はかさつき、ざらついてきます。尿素は、このうち天然保湿因子にもともと含まれる成分のひとつで、体の中でも角層のうるおいに関わっています。
つまり尿素は、角層にもともとある、水を抱える成分です。
尿素は水を抱え、濃くなると角質をやわらかくする
尿素の働きは、角層に水分を抱えることと、濃くなると角質をやわらかくすることの2つです。水を抱える性質があり、高い濃さでは、角質をつくるたんぱく質のケラチンの結びつきをほどくからです。
尿素は天然保湿因子の成分のひとつとして、角層に水分を抱えます。
低い濃さでは、天然保湿因子と同じように角層に水分をとどめ、水分を保つ力を支えます。濃くなると、ケラチンどうしの結びつきがほどけて、かたくなった角質がやわらかくなる働きが前に出てきます。
医療用の尿素クリームの資料でも、10%は角層の水分を保つ働きで角層の水分を増やし、乾いてざらついた皮膚を整えるもの、20%はそれに加えて角質を溶かしてはがす作用を示すものとされています。効能に並ぶのは、どちらも魚鱗癬や老人性乾皮症など同じ7つの病気です。濃さの違いが、そのまま働きの違いになって表れているのです。
濃さの目安は、2〜10%が保湿、それより上は角質のため
尿素は、濃さによって使われ方がはっきり分かれる成分です。皮膚科の総説では、2〜10%は主に保湿、10〜30%は保湿とあわせて角質をやわらかくする目的、30%以上は角質を溶かす目的で使われると整理されています。
皮膚科の総説で整理されている、尿素の濃さと使われ方の目安です。
2〜10%
主に保湿
10〜30%
保湿と、角質を
やわらかく
30%以上
角質を溶かす
これは目的ごとの目安で、何%を超えると保湿の効き目が頭打ちになる、という線ではありません。たとえば、手湿疹がよくなったあとに5%の尿素を配合した保湿剤を塗り続けると、ぶり返すまでの日数がのびたという結果があります。日本の手湿疹の診療ガイドラインでも紹介されている結果で、保湿のための濃さでも役目を果たしていることがわかります。
化粧品に入っている尿素は、もっと低い濃さです。アメリカの安全性評価では、化粧品での使用濃度は0.01〜10%とされ、総説で保湿に使われる濃さまでにおさまっています。尿素を配合した化粧品で言えるのは、肌にうるおいを与える、肌を柔らげる、肌を滑らかにするといった範囲で、角質を溶かす働きは医薬品の話です。
保湿なら低め、かたくなった角質には高め、と目的で濃さを分けて考えましょう。
濃いほどしみやすいので、傷やひび割れには塗らない
尿素は、濃くなるほど刺激が出やすくなりうる成分なので、傷やひび割れには塗りません。総説では、軽い刺激がときどき見られ、濃さが高いほど多くなりうるとされています。ふつうは一時的な、軽い刺激です。
しみる感じが出やすいのは、皮膚の薄いところです。尿素は浸透圧によって、皮膚の薄い部分でピリピリと感じることがあるとされています。医療用のクリームの資料にも、痛みや熱感、赤み、かゆみが副作用として書かれています。
医療用のクリームは、ただれや傷のある面に直接すり込まないこと、市販の20%クリームは、傷口や亀裂、かさぶたのように皮膚がはがれているところ、ただれたり赤くはれたりしているところには使わないことになっていて、目のまわりや粘膜にも使いません。
ぱっくり割れたかかとやあかぎれに、濃い尿素は向かないと覚えておきましょう。塗ってピリピリが続くときや赤くなったときは、使うのをやめてください。
「尿素20%」は、製品100gに尿素が20g入っているという意味
医薬品の%は、製品の重さに対して尿素がどれだけ入っているかを表しています。市販の20%クリームは100gの中に尿素が20.0g、医療用の20%クリームは1gの中に尿素が200mg入っていて、どちらも製品の重さの5分の1が尿素という意味です。
ただし、同じ%でも製品の中身まで同じとは限りません。市販のクリームには、10%の尿素にかゆみ止めの成分や痛みをやわらげる成分、ビタミンEの仲間などを組み合わせたものもあり、その効能はかゆみを伴う乾燥した皮膚です。尿素だけで働く10%のクリームとは、同じものさしでは比べられません。
化粧品では、尿素が何%入っているかは成分表からは読み取れません。全成分表示は入れた量の多い順に並べる決まりですが、1%以下の成分は順不同でよく、それぞれの%は書かれていないからです。化粧品の%の読み方は、美容成分の配合量の考え方と同じです。
%の数字は、医薬品なら重さの割合、化粧品なら成分表からは読めないものと分けて見ましょう。
濃さの決まりは、化粧品・医薬部外品・医薬品で違う
尿素の濃さの決まり方は、化粧品・医薬部外品・医薬品で違います。区分ごとに、量を決める仕組みが別々だからです。
化粧品には、尿素を入れてよい量の上限の数字はありません。国の化粧品基準で上限が決まっているのは、防腐剤や紫外線吸収剤、タール色素と一部の成分だけで、尿素はその表に入っていません。上限のない成分は、作り手が自分の責任で安全性を確かめて配合量を決める仕組みで、何%入れても安全という意味ではありません。アメリカの安全性評価は、0.01〜10%という化粧品での使われ方について、安全と結論づけています。
薬用化粧品、つまり医薬部外品では、尿素は有効成分として使われ、入れる量は申請して承認を受けることで決まります。有効成分の分量の前例をまとめた国のリストにも尿素が載っていて、効能は成分ではなく製品ごとに承認されます。クリームなどで認められる効能は、肌あれや皮膚の乾燥を防ぐといった範囲です。そのため、同じ尿素を医薬部外品より多く入れた化粧品のほうがよく効く、とは言えません。
市販の尿素20%クリームは第3類医薬品で、効能は手指のあれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、老人の乾皮症、さめ肌です。決められた患部だけに使い、ふだんのスキンケアの目的で顔には使わないこと、15歳未満の子どもには使わせないことが注意書きに書かれています。医療用の20%クリームは、妊娠中は治療の利点が危険を上回ると判断される場合にだけ使うものとされています。
同じ尿素でも、区分によって濃さの意味と使ってよい場所が違うのです。
選ぶときは、%の大きさより区分と塗る場所で考える
尿素の製品は、%の大きさより、区分と塗る場所で選ぶのが確実です。区分によって、使ってよい場所と濃さの意味が変わるからです。
尿素の製品を選ぶときの順番です。
見る
決める
濃さを選ぶ
やめる
まずパッケージで区分を見ます。「第3類医薬品」などと書かれていれば、決められた患部に使うものです。かかとやひじのかたさには、角化症を効能にもつ20%の医薬品という選択肢があり、手荒れの保湿なら低めの濃さでも役目を果たします。顔の乾燥が気になるときは、顔に使うことを前提にした製品から選びましょう。
最後は続けやすさです。手荒れの結果も、塗り続けたうえでのものでした。しみずに続けられる濃さかどうかは、%の数字と同じくらい大事なものさしです。
まとめ
- 尿素は角層の天然保湿因子に含まれる成分のひとつで、水を抱えて角層の水分を保ちます
- 濃くなると角質をやわらかくする働きが加わり、2〜10%は保湿、10〜30%は保湿と角質をやわらかくする目的、30%以上は角質を溶かす目的と整理されています
- 化粧品での使用濃度は0.01〜10%。医療用は10%と20%で、20%には角質を溶かしてはがす作用があるとされます
- 濃いほどしみやすくなりうるので、傷やひび割れには塗りません
- 市販の尿素20%クリームは医薬品で、顔には使わず、15歳未満にも使わせないことになっています
尿素は、数字が大きいほどいい成分ではなく、濃さで役目が変わる成分です。塗る場所と目的、そして続けやすさから、合った濃さを選んでみてください。
よくある質問
尿素は何%のものを選べばいいですか?
目的と塗る場所で変わります。皮膚科の総説では、2〜10%は保湿、10〜30%は保湿と角質をやわらかくする目的、30%以上は角質を溶かす目的と整理されています。
尿素は濃いほどよく効きますか?
濃いほどよいとは限りません。濃くなると角質をやわらかくする働きが加わる一方で、刺激も出やすくなりうるとされています。手荒れの保湿では、5%の尿素でもぶり返すまでの日数がのびたという結果があります。
尿素10%と20%のクリームは何が違いますか?
医療用では、10%は角層の水分を保つ働きが中心、20%はそれに加えて角質を溶かしてはがす作用を示すとされています。効能にあげられている病気は同じ7つです。
市販の尿素20%クリームを顔に塗ってもいいですか?
顔には使わないよう注意書きがあります。市販の尿素20%クリームは医薬品で、ふだんのスキンケアの目的で顔に使わず、15歳未満にも使わせないことになっています。
化粧品の尿素は何%くらい入っていますか?
アメリカの安全性評価では、化粧品での尿素の使用濃度は0.01〜10%とされています。成分表は多い順に並ぶだけなので、1つの商品の%は成分表からはわかりません。
この記事で参照した情報
- Piquero-Casals J, et al. Urea in Dermatology: A Review of its Emollient, Moisturizing, Keratolytic, Skin Barrier Enhancing and Antimicrobial Properties. Dermatol Ther 2021;11(6):1905-1915
- Cosmetic Ingredient Review. Final Report of the Safety Assessment of Urea. Int J Toxicol 2005;24(Suppl 3)
- Jawed I, et al. Effect of topical treatment with urea in ichthyosis, atopic dermatitis, psoriasis, and other skin conditions: a systematic review. Ann Med Surg 2025
- Lodén M, et al. Treatment with a Barrier-strengthening Moisturizer Prevents Relapse of Hand-eczema. Acta Derm Venereol 2010;90:602-606
- 日本皮膚科学会・日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会「手湿疹診療ガイドライン」(日皮会誌128(3):367-386, 2018)
- ケラチナミンコーワクリーム20% 添付文書(興和、2023年5月改訂)
- 尿素クリーム20%「SUN」添付文書(サンファーマ、2024年7月改訂 第2版)
- ウレパールクリーム10% 添付文書(大塚製薬工場、2024年1月改訂 第1版)
- 興和「ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム」添付文書(第3類医薬品)
- 興和 ケラチナミンコーワ「よくあるご質問」
- 大鵬薬品工業「ウレパールプラスクリーム」商品情報(第2類医薬品)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 厚生省医薬安全局長「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年9月29日 医薬発第990号)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き(平成19年8月)」別表 医薬部外品の効能効果の範囲
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬部外品を承認申請する際の基本的留意事項について(令和5年度版)」
- 厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年3月6日 医薬監麻発第220号・医薬審発第163号)
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