この記事でわかること
- 承認・効能・成分表示の違い
- 「薬用」の意味と医薬品との違い
- 目的別の選び方と箱で見る場所
「医薬部外品」や「薬用」と書いてあると効きそうに見えるけれど、ふつうの化粧品と何が違うのか、どちらを選べばいいのか迷いますよね。
結論から言うと、医薬部外品と化粧品の違いは、国がその商品を1品ずつ審査して認めたかどうかです。認められた医薬部外品は、化粧水やクリームで「ニキビを防ぐ」といった、化粧品では言えない効き目を名乗れます。ただし、どちらも肌へのはたらきがおだやかなものという点は同じで、強さの違いではありません。まずは、法律での位置づけから見ていきましょう。
違いは、国が1品ずつ承認したかどうか
医薬部外品と化粧品を分けているのは、国の承認です。法律の上では、どちらも作用がおだやかな側に置かれているので、強さでは分かれていないからです。
医薬品医療機器等法の第2条によると、化粧品は、体を清潔にし、美しくし、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚や髪をすこやかに保つために、塗ったり散布したりして使う、人体に対する作用が緩和なものです。医薬部外品も、口臭や体臭、あせもやただれ、脱毛などを防ぐといった決められた目的のもので、同じく作用が緩和なものとされています。条文の読み方は医薬部外品の記事にまとめています。
化粧品と医薬部外品はどちらも作用が緩和なもので、分けているのは国の承認です。
化粧品
届け出で売る
医薬部外品
品目ごとに承認
医薬品
病気の治療・予防
医薬部外品は、つくって売るのに品目ごとに厚生労働大臣の承認が必要で、一部の品目は都道府県知事が承認します。化粧品は、販売名を前もって届け出れば売ることができます。化粧品も以前は原則として承認が必要でしたが、2000年の規制緩和の通知で、届け出の仕組みに変わりました。
日本化粧品工業会の統計では、2024年の薬用化粧品の出荷金額は、化粧品全体の4割にのぼり、近年は割合が増える傾向にあります。この統計は薬用化粧品を化粧品の中に含めて数えたもので、法律の区分とは数え方が違いますが、店で手に取る製品の中に医薬部外品が多いことがわかります。2つの違いは、強さではなく、国の承認があるかどうかです。
医薬部外品は国が審査し、化粧品は会社が自分で安全を確かめる
医薬部外品は国の審査を通って売られ、化粧品は国の決まりの中で会社が自分で安全を確かめて売られます。承認がいるかどうかで、売られるまでの道すじが変わるからです。
医薬部外品の承認を受けるには、決まった資料をそろえて審査を受けます。大臣が承認する品目は、医薬品医療機器総合機構が審査します。資料は成分の起源や開発の経緯、性質と規格・試験方法、安定性、安全性、効能または効果の5種類です。安全性の資料はさらに、肌への刺激やかぶれ、光が当たったときの安全性、人の肌でのパッチテストなど11の項目に分かれています。どの項目が必要かは、申請の区分によって変わります。
医薬部外品が売られるまでの流れで、化粧品は販売名を届け出れば売れます。
そろえる
審査する
承認
化粧品には品目ごとの審査がない代わりに、化粧品基準という国の決まりがあります。防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素は使ってよい成分と量を決めたリストで、それ以外の成分は、配合してはいけないものや量に制限があるもののリストで管理されています。そのうえで、安全性を十分に確かめて配合を決めるのは会社の責任とされています。
医薬部外品は国が1品ずつ確かめ、化粧品は国の決まりの中で会社が確かめる、という分担です。
化粧品は56項目まで、医薬部外品は承認された「防ぐ」効能まで言える
化粧品が言える効能は国が示した56項目までで、医薬部外品は、その品目が承認を受けた効能を言えます。言える範囲は、承認があるかどうかで決まっているからです。
化粧品の56項目には、「頭皮、毛髪にうるおいを与える」「乾燥による小ジワを目立たなくする」などが並び、どの化粧品もこの中から選んで書きます。医薬部外品は、厚生労働省が種類ごとに示す範囲の中で、その品目が承認を受けた効能だけを書けます。
たとえば薬用の化粧水やクリームの範囲には、「にきびを防ぐ」「あせも・しもやけ・ひび・あかぎれを防ぐ」「カミソリまけを防ぐ」などがあり、どれも「防ぐ」の形です。化粧品の56項目でニキビにふれるのは、洗顔料の「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ」だけです。化粧水やクリームでニキビを防ぐと言えるのは、承認を受けた医薬部外品だけなのです。
重なる言葉もあります。「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」は化粧品の56項目にあり、薬用化粧品や日やけ止め剤の範囲にもあります。同じ言葉でも、化粧品は56項目の一つとして、医薬部外品は承認を受けた効能として書いているので、言葉だけを見てもどちらの区分かはわかりません。
医薬部外品が対象とする製品は、肌に使うものより広いのも特徴です。厚生労働省が示す種類には、薬用化粧品や薬用石けんのほか、育毛剤、除毛剤、染毛剤、浴用剤、薬用歯みがき、生理用ナプキン、さらに虫よけや殺虫剤まで入っています。化粧品は56項目まで、医薬部外品は承認された「防ぐ」効能までと覚えておきましょう。
「有効成分」は、医薬部外品だけの言葉
「有効成分」という言葉は、医薬部外品だけのものです。有効成分は承認の中心で、医薬部外品としての効能や効果をうたうことに関わる成分だからです。
薬用化粧品は、有効成分を配合していることで化粧品と効能を区別します。ほかの成分は製品の形をつくるために入れるもので、有効成分のような働きを期待して配合することはできません。
化粧品には、制度としての有効成分がありません。そのため業界の広告の指針では、化粧品で特定の成分を目立たせて書くときは配合目的を必ず書き添えること、その成分が有効成分であるかのように誤解させないことが求められています。化粧品の広告に「保湿成分として配合」のような書き方が多いのは、このためです。箱に「有効成分」と書いてあれば医薬部外品と考えて大丈夫です。
全成分表示は、化粧品は法律、医薬部外品は自主基準で書かれている
化粧品の全成分表示は法律の決まりで、医薬部外品の全成分表示は業界の自主基準によるものです。法律が求める表示の中身が、2つで違うからです。
化粧品は、2000年の厚生省の告示が「配合されている成分」をまとめて表示の対象に指定しているので、すべての成分を書くことが法律の決まりになっています。医薬部外品の側では、同じ告示が名前を書くべき成分を140の項目に分けて一つずつ並べているだけです。法律が医薬部外品の箱に求めるのは、「医薬部外品」の文字や、指定された品目の有効成分の名前と分量、指定された成分の名前などです。
それでも薬用化粧品の箱に成分がそろって書かれているのは、日本化粧品工業会が自主基準として成分を表示すると決め、2006年4月1日から2年間の猶予期間をつけて始めたからです。石けんや洗剤の業界団体なども同じ方針をとり、成分の名前のリストを共有しています。成分表示の成り立ちは成分表示の記事で解説しています。
成分の名前にも違いがあります。化粧品の表示名称は国際的な成分名をもとに業界団体が作りますが、医薬部外品の成分表示は、承認の書類に書かれた成分名が原則で、化粧品とは表示名称が異なります。同じ原料でも、化粧品と薬用化粧品とで違う名前に見えることがあるのはこのためです。
並び順も同じです。成分を配合量の多い順に書く決まりは、化粧品の全成分表示についての国の通知によるものです。医薬部外品の成分表は、化粧品の成分表と同じ読み方がそのまま当てはまるとは限らないと考えておきましょう。
「薬用」は医薬部外品のこと。病気の治療は医薬品の役目
「薬用」は、医薬部外品のうち化粧品に近い使われ方をするものの通称です。化粧品の名前には、医薬部外品とまぎらわしい「薬用○○」のような名前を使わないことになっているからです。
業界の広告の指針では、化粧品の名前に「薬用○○」のような、医薬品や医薬部外品とまぎらわしい名前を使わないよう求めています。また、化粧品の効能の範囲だけをうたうものは医薬部外品として認められません。「薬用」を名乗る製品は、化粧品では言えない効能で承認を受けているということです。よくある思い違いは「薬用」の誤解の記事で取り上げています。
化粧品と医薬部外品を同じ広告に並べるときにも決まりがあります。医薬部外品のほうには「医薬部外品」であることを明記し、いっしょに使うと特別な効果があるかのように誤解させる広告はしないことになっています。セットの広告では、それぞれの区分を分けて読むのが確実です。
医薬品は、同じ第2条で、病気の診断・治療・予防に使うものや、体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とするものとされ、「作用が緩和」という条件がありません。病気の治療のための効能は医薬品の領域で、医薬部外品の効能は「防ぐ」までです。赤く腫れる、かゆみが続くといった症状があるときは、薬用化粧品で様子を見るより、皮膚科に相談するのが確実です。
防ぎたい悩みがあるなら、箱の効能の欄で選ぶ
結局どちらを買えばいいのか、迷う人は多いと思います。防ぎたい悩みがあるなら、箱の「医薬部外品」の文字と効能・効果の欄を見て選びます。広告の言葉より、効能の欄に書かれた文言が、その製品が承認を受けた中身だからです。
防ぎたい悩みがあるときは、箱の「医薬部外品」の文字と効能の欄を確かめます。
決める
見る
読む
みる
たとえばニキビやカミソリまけ、日やけによるしみ・そばかすなど、決まった悩みを防ぎたいなら、効能の欄に自分の悩みが書かれているかを確かめます。うるおいや使い心地、香りで選びたいなら、化粧品も医薬部外品も候補になります。そのときは成分表を見て、気になる成分が入っているかを確かめます。
医薬部外品だから肌に合う、化粧品だから合わない、ということはありません。どちらの区分でも、使って赤みやかゆみが出たら使うのをやめ、続くときは皮膚科に相談しましょう。悩みを防ぎたいなら効能の欄、使い心地で選ぶなら成分表が目印です。
まとめ
- 医薬部外品と化粧品の違いは国の承認。医薬部外品は品目ごとの承認、化粧品は届け出で売られます
- 法律ではどちらも作用が緩和なもの。医薬部外品は化粧品の強い版ではありません
- 化粧品が言えるのは56項目まで。医薬部外品は承認された「防ぐ」効能を名乗れます
- 全成分表示は化粧品が法律の義務、医薬部外品は2006年4月からの業界の自主基準。成分の名前も承認書の名前が原則です
- 「薬用」は医薬部外品の通称。病気の治療は医薬品の領域で、症状があるときは皮膚科へ
医薬部外品か化粧品かは、優劣ではなく、言えることの決まり方の違いです。防ぎたい悩みがあるなら効能の欄を、使い心地で選ぶなら成分表を見る。その2か所を読めば、箱の表示を手がかりに選べるようになります。
よくある質問
医薬部外品と化粧品、効くのはどっちですか?
強さで分けた区分ではありません。法律ではどちらも作用が緩和なものとされ、違うのは言える効能の範囲です。医薬部外品は、品目ごとに承認を受けた「防ぐ」効能を名乗れます。
医薬部外品にも全成分が書いてあるのはなぜですか?
業界の自主基準で表示しているからです。全成分の表示が法律の義務なのは化粧品のほうで、医薬部外品は2006年4月から業界団体の自主基準として表示しています。
「薬用」と「医薬部外品」は同じ意味ですか?
「薬用」は医薬部外品の通称です。化粧品の名前には、「薬用○○」のような医薬部外品とまぎらわしい名前を使わないことになっています。
医薬部外品と医薬品の違いは何ですか?
医薬品は病気の治療や予防に使うものです。医薬部外品には「作用が緩和」という条件があり、効能も「防ぐ」までです。症状があるときは皮膚科に相談しましょう。
化粧品で「ニキビを防ぐ」と言えますか?
洗顔料で「洗浄により」の条件つきなら言えます。化粧水やクリームでニキビを防ぐと言えるのは、承認を受けた医薬部外品だけです。
この記事で参照した情報
- 厚生労働省 法令等データベース「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(第2条・第59条)
- 医薬品医療機器総合機構「医薬部外品」(承認審査の概要)
- 医薬品医療機器総合機構「医薬部外品を承認申請する際の基本的留意事項について」
- 厚生省「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年 医薬発第990号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」別表「医薬部外品の効能効果の範囲」
- 厚生省告示第332号(平成12年)名称を記載しなければならない医薬部外品及び化粧品の成分
- 日本化粧品工業会「医薬部外品の成分表示について」
- 日本化粧品工業会「全成分表示名称作成業務 よくある質問」
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」(2020年版)
- 日本化粧品工業会 化粧品統計「化粧品と薬用化粧品」