この記事でわかること
- 化粧品と医薬部外品を分けるもの
- 「薬用」と名乗れる条件と書ける効能
- パッケージで見分けるときのポイント
「医薬部外品」「薬用」と書いてあると、なんとなく効きそうに感じるけれど、ふつうの化粧品と何が違うのか、よくわからないですよね。
結論から言うと、医薬部外品とは、国がその商品を1品ずつ審査して、効能を認めた製品です。分けているのは成分の豪華さではなく承認を受けたかどうかで、うたえるのは承認された効能だけです。成分を全部書く義務があるのは、じつは化粧品のほうです。まずは、法律での位置づけから見ていきましょう。
医薬部外品は、医薬品の弱い版ではなく「作用が緩和な」側
法律の上では、医薬部外品は化粧品と同じく「作用が緩和な」側に置かれています。医薬品・医薬部外品・化粧品の3つの区分は、薬機法とも呼ばれる医薬品医療機器等法の第2条で決まっていて、その文言がそうなっているからです。
第2条第3項によると、化粧品とは、体を清潔にし、美しくし、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚や髪をすこやかに保つために、体に塗ったり散布したりして使うもので、人体に対する作用が緩和なものです。
医薬部外品は同じ条の第2項で、決められた用途のもののうち人体に対する作用が緩和なもの、と定められています。用途として挙がっているのは、吐き気などの不快感や口臭・体臭の防止、あせもやただれなどの防止、脱毛の防止・育毛・除毛などで、これに、ねずみや蚊などの防除と、厚生労働大臣が指定するものが加わります。
「人体に対する作用が緩和なもの」という文言は、医薬部外品と化粧品の両方にあって、医薬品にはありません。医薬部外品を医薬品の弱いもの、と思っている人は多いと思いますが、法律の上では化粧品に近い側の区分なのです。
化粧品と分けているのは、国の「承認」と「有効成分」
化粧品と医薬部外品を分けているのは、国の承認があるかどうかです。薬機法第14条が、医薬部外品は品目ごとに厚生労働大臣の承認を受けなければならない、と定めているからです。
この条文は、化粧品については「厚生労働大臣が指定する成分を含む化粧品」だけに承認を求めています。そのため、医薬部外品は1品目ずつ承認を受け、一般の化粧品は届出で足ります。
医薬部外品は、有効成分を配合した製品を1品ずつ国が承認し、その効能だけを名乗れます。
配合する
国が承認
効能だけ書ける
承認の中心にあるのが「有効成分」です。有効成分は医薬部外品としての効能をうたうことに関わる成分で、これを配合していることで、化粧品と効能を区別しています。
逆に言うと、化粧品には制度としての「有効成分」がありません。だから化粧品の広告で特定の成分を強調すると、それが有効成分であるかのように誤解させるため、原則として行わないことになっています。カミツレエキスを保湿成分として配合、のように配合の目的を添える形なら書けますが、「美容成分」「エイジングケア成分」といったくくり方は認められていません。
医薬部外品かどうかは、国の承認と有効成分があるかどうかで決まる、と覚えておきましょう。
「薬用化粧品」は法律の言葉ではなく、医薬部外品の通称
「薬用化粧品」は、医薬部外品のうち化粧品に近い使われ方をするものの通称です。「薬用化粧品」という言葉は、薬機法の条文に出てきません。
厚生労働省の通知では一貫して「いわゆる薬用化粧品」と呼ばれていて、通知の題名も「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」です。また、化粧品の効能の範囲だけをうたうものは医薬部外品として認められません。
そのため「薬用」と名乗る以上、化粧品では言えない効能を持っていなければならないのです。
うたえる効能は、承認された分だけ
医薬部外品がうたえる効能は、厚生労働省が種類ごとに示す範囲の中で、その品目が承認された分だけです。効能は、有効成分とともに1品ずつ審査されて決まるからです。
たとえば薬用の化粧水・乳液・クリームの範囲には、「にきびを防ぐ」「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」「肌あれ。あれ性。」などが並び、多くが「防ぐ」の形です。薬用の石けんや洗顔料も、「皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ」のような形です。
厚生労働省が示す、薬用化粧水・乳液・クリームの効能の範囲の一部です。
にきび
「にきびを防ぐ」
しみ・そばかす
「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」
肌あれ
「肌あれ。
あれ性。」
しみ・そばかすでは、働き方によって「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められます。この「メラニンの生成を抑え」があるかどうかで、その製品がどういう働き方で承認されたかがわかるので、メラニンやトラネキサム酸のパッケージを見比べるときの手がかりになります。新しい有効成分では、「シワ改善」の効能が承認された医薬部外品もあります。
広告にも決まりがあります。はっきり書くか、ほのめかすかにかかわらず、承認を受けた効能の範囲を超えた広告はできません。追加で申請すれば承認されそうな効能でも、承認される前は広告できません。一方で、承認された効能のうち1つだけを広告するのはかまいません。ただし「○○を防ぐ」で承認を受けているものを、単に「○○に」と書くことは認められていません。防ぐのか治療するのかが、あいまいになるからです。
医薬部外品で頼りになるのは、承認された効能の文言そのものです。
化粧品の56項目は上限のリスト、医薬部外品は承認がすべて
化粧品の56項目は「この範囲を超えてはならない」という上限のリストで、医薬部外品はその品目が承認を受けた効能がすべてです。うたえることの決まり方が、そもそも違うからです。
化粧品がうたえる効能は56項目に限られ、どの化粧品もこの中から選んで書きます。たとえば「あせも・しもやけ・ひび・あかぎれを防ぐ」「メラニンの生成を抑え」「育毛、発毛促進」は、56項目には入っていません。ニキビについては第18項に1つだけありますが、それは洗顔料に限った「洗浄によりニキビ、アセモを防ぐ」です。ですから、化粧品の化粧水や美容液は、ニキビについて何もうたえないのです。
医薬部外品は、同じ「薬用化粧水」でも、承認の内容が違えばうたえることも違うと考えておきましょう。
全成分表示が義務なのは、化粧品のほう
化粧品の全成分表示は法律の義務ですが、医薬部外品の全成分表示は義務ではありません。表示する成分を決めている告示で、全成分が対象になっているのは化粧品だけだからです。
薬機法第61条第4号が「厚生労働大臣の指定する成分」の表示を求めていて、化粧品については、厚生省告示第332号でその指定が配合されている成分すべてに及んでいます。これが2001年4月から適用されました。同じ告示の医薬部外品の側では、指定される成分は限られたものだけです。
それでも薬用化粧品の箱に全成分が書いてあるのは、業界の自主的な取り組みによるものです。化粧品の業界団体が自主基準として成分表示を行うことを決め、2006年4月1日から2年間の猶予期間を設けて実施しました。
逆に、「医薬部外品」という文字の表示は義務です。薬機法第59条が、容器などに直接書くことのひとつとして「医薬部外品」の文字を挙げているからです。化粧品側の第61条にはこれに当たる号がないので、パッケージに「化粧品」と書く義務はありません。全成分が書かれていなくても、医薬部外品なら決まりどおりです。
パッケージは「医薬部外品」の文字と効能の欄を見る
迷ったら、パッケージの「医薬部外品」の文字と〈効能・効果〉の欄を見れば十分です。広告のキャッチコピーではなく、ここに承認を受けた内容が書かれているからです。
パッケージは、この3か所を順に見ると、承認された内容がわかります。
の文字を見る
の欄を読む
の欄を見る
まず「医薬部外品」の文字があるかを見ます。あれば、品目として承認を受けた製品です。次に〈効能・効果〉の欄で、その製品が承認を受けた内容を読みます。〈有効成分〉の欄には効能を担っている成分が書かれていて、その配合量も承認で決まっています。〈その他の成分〉は製品として形にするために配合されるもので、有効成分のような働きを期待して入れることはできません。
区分は優劣ではありません。医薬部外品は承認を受けた分だけうたえることが増える代わりに、有効成分の種類と量は承認の枠に収まります。化粧品は、うたえることが56項目に限られる代わりに、処方の自由度が高い製品です。どちらがいいかより、効能の欄に何が書いてあるかで選びましょう。
まとめ
- 3つの区分は薬機法第2条で決まり、「人体に対する作用が緩和なもの」は医薬部外品と化粧品の両方にかかる文言です
- 化粧品と医薬部外品を分けるのは承認の有無。医薬部外品は品目ごとに承認が必要で、「有効成分」は医薬部外品の制度の言葉です
- 「薬用化粧品」は法律の言葉ではなく通称。うたえるのは承認された効能だけで、多くは「防ぐ」の形です
- 全成分表示が法律の義務なのは化粧品のほう。医薬部外品の全成分表示は2006年からの業界の自主基準です
- 「医薬部外品」の文字の表示は義務。パッケージでは〈効能・効果〉の欄を読みます
医薬部外品は「化粧品の上位版」ではなく、うたえることと引き換えに枠に収まる、別の設計の製品です。どちらが優れているかではなく、効能の欄に何が書いてあるかで選ぶのが、いちばん確かな読み方です。
よくある質問
医薬部外品と化粧品の違いは?
国の承認を受けているかどうかです。医薬部外品は商品ごとに国の承認が必要で、一般の化粧品は届け出で販売できます。
医薬部外品は医薬品の弱いものなの?
いいえ、法律の上では化粧品と同じく「作用が緩和な」側に置かれています。「人体に対する作用が緩和なもの」という条件は医薬部外品と化粧品にだけつき、医薬品にはつきません。
「薬用化粧品」は法律で決まった区分?
いいえ、医薬部外品のうち化粧品に近い使われ方をするものの通称です。法律の条文に「薬用化粧品」という言葉は出てきません。
医薬部外品なら、ニキビに効くと書ける?
書けるのは、その製品が承認された「にきびを防ぐ」などの効能の範囲までです。承認された範囲を超える広告はできず、「にきびに」のように防ぐのかどうかがあいまいな書き方も認められていません。
医薬部外品に全成分が書かれていないことがあるのはなぜ?
医薬部外品の全成分表示は、法律の義務ではないからです。義務があるのは化粧品のほうで、薬用化粧品の全成分表示は2006年から業界の自主的な取り組みとして行われています。
この記事で参照した情報
- 厚生労働省 法令等データベース「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(第2条・第14条)
- 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」別表「医薬部外品の効能効果の範囲」
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年 薬食審査発第1225001号)
- 厚生労働省「薬用石けんの承認審査に係る留意事項について」(平成30年 薬生薬審発0329第13号)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準」(平成29年 薬生発0929第4号)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年 薬生監麻発0929第5号)
- 厚生労働省告示第332号「法第59条第8号及び第61条第4号の規定に基づき名称を記載しなければならないものとして厚生労働大臣の指定する医薬部外品及び化粧品の成分」
- 厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年 医薬監麻発第220号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- PMDA「医薬部外品を承認申請する際の基本的留意事項について」(令和5年度版)
- PMDA「医薬部外品」(制度の概要)
- 日本化粧品工業会(JCIA)「化粧品等の適正広告ガイドライン」(2020年版)
- 日本化粧品工業会「医薬部外品における『シワ改善』の広告表現に関する留意点」
- 日本化粧品工業会(JCIA)「医薬部外品の成分表示について」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「にきび肌用化粧品」