この記事でわかること
- くすみが起きる6つの原因と、肌の中で起きていること
- 原因ごとに関係する成分と手入れ
- メイクでくすみの見え方を整えるコツ
鏡を見ると、なんだか顔が暗い、疲れて見える。でも何が原因なのかわからなくて、どう手入れすればいいのか迷いますよね。
結論から言うと、くすみの原因はひとつではなく、血のめぐり・メラニン・肌の凹凸の影・角層の厚み・つや・年齢による黄みの6つが重なって起きます。自分のくすみがどれに近いかがわかると、手入れも選びやすくなります。まずは、くすみがどんな状態なのかから見ていきましょう。
くすみは、シミと違って境目のない暗さ
くすみは、シミのような輪郭のあるものではなく、ぼんやり広がる暗さです。くすみは現象がとても複雑で、化粧品業界の中でも長く共通の理解がなかったため、1995年に日本化粧品工業連合会が、各社の意見をもとにくすみの定義案をまとめました。
それによると、くすみは顔全体や目のまわり、頬などに起き、肌の赤みが減って黄みが増し、つやや透明感が減ったり、表面の凹凸による影で明るさが落ちたりして暗く見える状態で、境目ははっきりしません。くすみは女性の肌悩みの中でも上位にあり、20歳代後半から40歳代で増えることから、年齢による影響も考えられています。
つまり、くすみはいくつもの変化が合わさって、顔全体が暗く見える状態なのです。
くすみの原因は6つあり、ひとつでも重なっても起きる
定義案は、くすみの原因を6つ挙げています。肌の色や明るさは、肌の中の色と、表面での光の反射の両方で決まるので、そのどこが変わってもくすんで見えるからです。
- 血のめぐりが悪くなって、肌の赤みが減る
- メラニンが全体にうすく広がって沈着する
- 肌の弾力が落ちて、表面の凹凸に影ができる
- 角層が厚くなるなどして光を通しにくくなり、透明感が落ちる
- 肌の表面で光が乱れて反射し、つやが落ちる
- 年齢とともに、肌が黄色みを帯びる
これらはひとつだけでも、いくつか重なっても、くすみとして見えるとされています。なお、ほこりや汗、皮脂などの汚れでもくすんで見えますが、これは汚れがのっているだけなので、洗い流せば落ちるものとして、6つの原因とは別に扱われています。
自分のくすみが6つのうちどれに近いかを考えるのが、手入れを選ぶ第一歩です。
血のめぐりが減ると、肌の赤みが減ってくすむ
顔色が悪く見える日があると、気になりますよね。1つめの原因の血のめぐりの悪さは、肌の赤みが減ることでくすみにつながります。肌の色を強く決めているのは、メラニンと、血液の赤い色素であるヘモグロビンだからです。
肌の色を決める色素には、鮮やかな赤の酸化型ヘモグロビン、青みがかった赤の還元型ヘモグロビン、褐色や黒、青に見えるメラニン、黄色のカロテンなどがあり、なかでもメラニンとヘモグロビンの影響が大きいのです。皮膚の血管は、表面の表皮ではなく、その下の真皮にあります。
酸化型ヘモグロビンは鮮やかな赤色をしているので、血流が減ったり血の中の濃度が下がったりすると、肌の赤みが減ってくすみが生じます。肌の色は、半透明の皮膚の中で色素が光をどう吸収し、反射するかで決まり、皮脂や汗、産毛、かさつき、毛穴やしわといった表面の形によっても違って見えます。
くすみは、肌の中の色と表面の形の両方で見え方が変わるのです。
古い角質がたまって角層が厚くなると、透明感が落ちる
4つめの原因の「角層の肥厚」は、肌のいちばん外側の角層が、古い角質がはがれずにたまって厚くなった状態です。角層は半透明なので、厚くなった分だけ透明感が減るからです。
肌の生まれ変わりであるターンオーバーが一定のリズムでくり返されていれば、角層の厚さは変わりません。でも、さまざまな理由で古い角質がスムーズにはがれなくなると、角層は厚くなります。ターンオーバーが遅くなる高齢の人などで起きやすいとされています。
古い角質がはがれずに残ると、角層が厚くなって透明感が落ちます。
にくい
が残る
厚くなる
落ちる
透明感は、肌の表面で反射した光と、肌の内側で反射した光が合わさって、きれいな肌色がつくられることで生まれます。角層が厚くなると、その分だけ透明感が減り、肌の見た目にも影響します。
だから、角層の厚みもくすみの原因のひとつと考えられているのです。
手入れは、くすみの原因に合わせて選ぶ
くすみに効くものを1つ探したくなりますよね。でも、手入れは原因ごとに選ぶのが近道です。化粧品の効能として認められている56項目に「くすみ」という言葉は入っておらず、成分が働くのは、それぞれの原因に対してだからです。
メラニンが原因のくすみには、メラニンの流れから働く成分があります。紫外線を浴びるとメラニンが作られ、まわりの細胞に渡されてたまります。医薬部外品では「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」効能が認められていて、有効成分としてトラネキサム酸、ナイアシンアミド、ビタミンC誘導体などがあります。くわしくはメラニンのしくみで解説しています。
「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」効能は、枠で囲んだところに向けたものです。
浴びる
ができる
渡される
たまる
角層の厚みが原因のくすみには、余分な角質を取り除く手入れがあります。角質どうしの結びつきを弱める成分を入れた洗顔料や化粧水で、余分な角質を無理なく取り除けるとされています。化粧品での配合は数%以内です。
余分な角質がはがれると、表面がなめらかになり、角層が光を通しやすくなります。
つやの低下には、肌にツヤを与える化粧品があります。「肌にツヤを与える」は、化粧品の効能として認められている表現です。
メラニンには医薬部外品、角質には角質ケア、つやにはツヤを与える化粧品と、原因ごとに手入れを分けて考えましょう。
メイクでは、パープル系の下地で見え方を整える
くすみを目立たなくする色としては、パープル系のコントロールカラーがもっとも適切だといわれています。パープルは色の上では青と赤でできていて、青が補色の関係にある肌の黄みをおさえ、残った赤が減った赤みを補うからです。
青で黄みを打ち消し、赤で減った赤みを足すという、1色で2つの仕事をしている理屈です。化粧品では「みずみずしい肌に見せる」「小じわを目立たなく見せる」などのメーキャップ効果を、事実に反しない限り表示して広告できることになっています。
かつてはくすみの正体がよくわからなかったので、くすみ全体を厚く塗って覆い隠す方法が主流でした。ナチュラルメイクが好まれるいまは、くすみや色むらなどを均一に整えて美しく仕上げるために、化粧下地などで色を補正し、質感を調整する方法が中心です。
黄みが気になるくすみには、パープル系の下地を使うのがおすすめです。
まとめ
- くすみは、顔がぼんやり暗く見え、境目がはっきりしない状態です
- 原因は血のめぐり・メラニン・凹凸の影・角層の厚み・つや・年齢による黄みの6つで、ひとつでも重なっても起きます
- 肌の色を強く決めるのはメラニンとヘモグロビンで、血のめぐりが減ると赤みが減ってくすみます
- 古い角質がたまって角層が厚くなると、透明感が落ちます
- メラニンには医薬部外品、角質には角質ケアと原因ごとに選び、メイクではパープル系のコントロールカラーが適切とされています
くすみは、原因がわかれば手入れを選べる悩みです。自分のくすみが6つのどれに近いかを考えてから選ぶと、迷わずにすみます。
よくある質問
くすみとシミの違いは?
シミには輪郭がありますが、くすみは境目のないぼんやりした暗さです。顔全体や目のまわり、頬などに広がって見えます。
肌がくすむ原因は?
血のめぐりが悪くなって赤みが減ること、メラニン、肌の凹凸の影、角層の厚み、つやの低下、年齢による黄みの6つです。ひとつだけでも、いくつか重なっても起きます。
くすみを隠すコントロールカラーは何色がいい?
パープル系がもっとも適切だといわれています。青が肌の黄みをおさえ、残った赤が減った赤みを補うためです。
くすみに効く化粧品はある?
化粧品の効能の56項目に「くすみ」という言葉は入っていないので、原因ごとに選びます。メラニンが原因なら、しみ・そばかすを防ぐ医薬部外品の有効成分があり、つやには「肌にツヤを与える」化粧品があります。
汚れでも肌はくすんで見える?
ほこりや汗、皮脂などの汚れでもくすんで見えます。ただし洗い流せば落ちるので、6つの原因とは別に考えます。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「くすみ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「くすみ補正」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「肌色」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「肌色補正」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「肌」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「色むら」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層肥厚」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮膚血流」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」(平成23年7月21日 薬食監麻発0721第1号・薬食審査発0721第1号)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」