この記事でわかること
- 角層がたまるしくみと、角質を取る方法の強さの違い
- 化粧品と医療のピーリングの境目
- 足用の商品の注意と、スクラブの扱い
ピーリング、スクラブ、ゴマージュ、拭き取り化粧水と、角質ケアの言葉はたくさんあって、どれを選べばいいのか、どこまでが化粧品なのか迷いますよね。
結論から言うと、角質ケアはどれも「たまった余分な角層を取る」方法で、軽石、スクラブ、洗顔料や化粧水、美容医療の順に強くなります。酸で角質をはがすケミカルピーリングを仕事として行えるのは医師だけで、化粧品とは濃さが一桁違います。まずは、角層がなぜたまるのかから見ていきましょう。
角質ケアで取るのは、はがれずにたまった余分な角層
角質ケアで取るのは、本来ならはがれ落ちるはずなのに、肌の表面にたまってしまった余分な角層です。角層は、はがれる流れが滞ると厚くなるからです。
肌のいちばん外側の角層は、平たい細胞が互いにしっかりくっついて層を重ねたものです。いちばん外側では細胞どうしのくっつく力が弱まり、自然にはがれ落ちていきます。生まれ変わりが一定のリズムで進んでいれば、角層の厚さは変わりません。
角質ケアの成分は、枠で囲んだ「はがれにくい」ところに働き、はがれるのを助けます。
水分が減る
にくい
厚くなる
くすみ
ところが、角層の水分が減ると、細胞どうしをつなぐ部分が分解されにくくなり、はがれる流れが滞ると考えられています。すると角層が厚くなり、ごわつきや、くすみの原因の一つになります。生まれ変わりが遅くなりやすい年齢を重ねた肌でも起きやすいとされます。
角質ケアの成分は、このくっつく力を弱めて、はがれるのを助けるものです。つまり角質ケアは、はがれずにたまった分だけを取るためのものなのです。
角質を取る方法は、軽石から美容医療まで強さが違う
角質を取る方法は、弱いものから順に、軽石、スクラブ、洗顔料や化粧水、美容医療と並べられます。使う場所や道具によって、角層を取る力がまったく違うからです。
右へ行くほど、角層を取る力が強くなり、肌への刺激も強くなります。
こする
化粧水
かかとやひじなら、軽石や、それに似たきめの細かいやわらかなやすりで軽くこすると、硬い角層を取り去ることができます。顔の場合は、角層の細胞どうしのくっつく力を弱める成分や、生まれ変わりのリズムを整える成分、肌あれを防ぐ成分などを配合した洗顔料や化粧水を使うと、無理なく余分な角層を取り除けます。化粧水をひたしたコットンで軽くふき取る方法もよく使われます。
いちばん強いのが美容医療です。美容外科や美容皮膚科では、しみやにきびの治療のために、薬剤で角層を強くはがすケミカルピーリングやレーザー治療なども使われています。角層を取る力が強いぶん、皮膚への刺激も強いので、施術後のスキンケアや、ふだんの紫外線対策を十分に行う必要があります。
顔に使うなら、洗顔料や化粧水のようなおだやかな方法から考えると安心です。
ケミカルピーリングは医療で、化粧品とは濃さが一桁違う
ケミカルピーリングは、仕事として行えば医業にあたり、使う濃さも化粧品とは一桁違います。国が、業として行えば医業に該当すると示しているからです。
ケミカルピーリングのガイドラインでも、皮膚科の診療技術を十分に身につけた皮膚科専門医か、それと同じくらいの技術と知識をもつ医師の十分な管理のもとで行うべき行為とされています。エステと医療の境界を考えるうえでも大事な線引きです。
濃さを比べると、医師が使うピーリング剤は10〜30%、一般の化粧品は数%以内です。皮膚科医は短い時間で角質をはがすために高い濃さの水溶液を肌に塗りますが、一般の化粧品では安全な範囲で少しだけ配合されます。高い濃さで短時間に行うと、角層が薄くなって肌の守る力が小さくなり、紫外線のダメージも受けやすくなるとされています。
同じAHAやBHAという成分名でも、濃さが一桁違えば別のものと考えましょう。
医師が行っても、推奨度は「選択肢の一つ」のC1まで
クリニックで受ければ確実に効く、と思いますよね。でも、ケミカルピーリングのガイドラインの推奨度は、いちばん高くてもC1です。C1は、選択肢の一つとして勧める、という段階です。
ケミカルピーリングは主に、にきびや色むら、日光による肌の老化にともなう症状の治療や、しみ、くすみ、肌の質感といった見た目の悩みを目的としています。病気ごとに見ると、にきび、日光による茶色いしみ、小じわがC1で、肝斑と炎症のあとの色素沈着は「現時点では推奨できない」C2です。
医療のピーリングも、悩みによって向き不向きがあると知っておくと、医師と相談しやすくなります。
足用の角質ケア商品は、表示より短い時間から試す
酸を使った足用の角質ケア商品は、表示よりも大幅に短い時間から試しましょう。表示どおりに使ったのに、足の甲に広い範囲のただれが出て、化学やけどと診断された例があるからです。
表示どおりに使っても、化学やけどになった例があります。
足をひたす
時間おく
ただれる
対象は、薬剤の入った靴下のような袋に足を一定時間ひたして、足裏の角質をはがしてすべすべにするとうたう商品です。国民生活センターには、こうした商品の相談が26件寄せられていました。テストでは、AHAの合計量が10.0%を超えるものもあり、酸性の強さを示すpHは2.4〜4.0でした。そのうえで、使うなら表示よりも大幅に短い時間から試すよう呼びかけられています。
角層の厚さは、場所によって大きく違います。手のひらや足の裏の角層はとても厚く、顔は比較的薄いので、足裏用の感覚で顔に使うのは別の話です。足用の商品は、表示の時間より短く、様子を見ながら使いましょう。
スクラブは、決まりの上では「洗浄料」の仲間
スクラブ化粧料は、化粧品の表示の決まりの上では、洗顔料と同じ「洗浄料」の仲間です。業界の決まりには、角質除去剤という種類がないからです。
同じ洗浄料の仲間には、洗顔料やクレンジング、メーク落とし、ボディソープが並んでいます。スクラブの粒も、マッサージや洗浄を助けるために使う粉末とされています。そのため、よく洗えるように細かくしたり、肌を傷めずにマッサージできるように大きな球状にしたりと、形も大きさもさまざまです。
スクラブは、角質を削り取るものではなく、洗うのを助けるものと考えて、強くこすらずに使いましょう。
化粧品で「古い角質を取る」とはうたえない
化粧品の効能の56項目には、「角質」「ピーリング」「古い角質」という言葉がありません。角質を取り除く、という効能そのものが、化粧品で言える範囲の外にあるからです。
角質ケアの製品で言えるのは、「汚れを落とすことにより皮膚を清浄にする」「肌を整える」「肌のキメを整える」「肌を柔らげる」「肌を滑らかにする」といった範囲までです。広告のガイドラインにも、「ピーリング」などの表現についての項目が立てられています。
なお、酵素洗顔に使われるプロテアーゼは、たんぱく質を分解する酵素をまとめた呼び名で、化粧品の基準では禁止や制限の対象になっていません。化粧品の角質ケアは、肌をなめらかに整えるところまでと覚えておきましょう。
スクラブの粒は、プラスチックから別の素材へ変わってきている
スクラブの粒は、プラスチックの粉末から、植物由来などの別の素材へ変わってきています。法律で、川や海に流れ出る製品にマイクロプラスチックを使うのを控えることが求められるようになったからです。
スクラブ剤の素材としては、まずポリエチレンの粉末が挙げられます。ほかにもポリアクリル酸やポリウレタンなどの樹脂の粉末や、植物の種の皮を砕いたものなどが使われてきました。2018年の海岸漂着物処理推進法の改正で、ふつうに使ったあと川や海に流れ出る製品にマイクロプラスチックを使うのを控え、廃プラスチックを出さないよう努める努力義務が事業者に加わりました。禁止ではありませんが、使ったあと排水に流れていく製品、という書き方はスクラブ洗顔料にもあてはまります。
環境省の資料には、セルロースからつくった微粒子や天然由来のビーズが、代わりの素材の例として挙げられています。スクラブを選ぶときは、粒の素材にも目を向けてみてください。
まとめ
- 角質ケアで取るのは、はがれる流れが滞って肌の表面にたまった余分な角層です
- 角質を取る方法は、軽石、スクラブ、洗顔料や化粧水、美容医療の順に強くなります
- ケミカルピーリングは業として行えば医業で、濃さは医師が10〜30%、化粧品は数%以内です。推奨度はいちばん高くてもC1です
- 酸を使った足用の商品は、表示より大幅に短い時間から試します
- スクラブは決まりの上では洗浄料で、化粧品で「古い角質を取る」とはうたえません
角質ケアは、たまった分だけをおだやかに取るのが基本です。強い方法ほど肌への刺激も強くなるので、迷ったら弱いほうから、短い時間から試してみてください。
よくある質問
ピーリングはエステでも受けられる?
酸で角質をはがすケミカルピーリングは、仕事として行えば医業にあたるため、行えるのは医師です。国が、業として行えば医業に該当すると示しています。
市販のピーリング化粧品とクリニックのピーリングの違いは?
いちばんの違いは濃さです。医師は10〜30%の高い濃さで使い、一般の化粧品では数%以内の少ない量で配合されます。
クリニックのピーリングなら確実に効く?
悩みによって違います。ガイドラインの推奨度はいちばん高くても「選択肢の一つとして勧める」C1で、肝斑などは「現時点では推奨できない」C2です。
足裏の角質ケア商品で気をつけることは?
表示よりも大幅に短い時間から試しましょう。酸を使ったフットケア商品では、表示どおりに使っても足の甲に化学やけどが起きた例があります。
スクラブ洗顔は角質を取るためのもの?
表示の決まりの上では、スクラブは洗顔料と同じ「洗浄料」の仲間です。スクラブの粒は、マッサージや洗浄を助けるためのものです。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「スクラブ剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ケミカルピーリング」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層除去」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層剥離」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角化」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層剥離剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層肥厚」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層バリア」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「プロテアーゼ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「分解酵素」
- 日本皮膚科学会「ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)」(日本皮膚科学会雑誌118巻3号 347-355、2008年)
- 日本皮膚科学会 一般公開ガイドライン一覧
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】」
- 国民生活センター「酸を使ったフットケア商品-角質ケアをうたった商品で化学やけどやひどい痛みも!-」(2019年3月7日公表)
- 国民生活センター「くらしの危険」No.350「角質ケアをうたった商品で化学やけど!酸を使ったフットケア商品」(2019年7月)
- 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律(平成21年法律第82号)
- 環境省「海岸漂着物処理推進法関係」
- 環境省「マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集」(2020年度)
- 日本化粧品工業(連合)会「化粧品等の適正広告ガイドライン」