この記事でわかること
- ジェル・ミルク・クリーム・スプレーの中身の違い
- どの剤型もSPFは同じ量で測ること
- スプレーの注意と★の耐水性、選び方
日焼け止めを買おうとすると、ジェル、ミルク、クリーム、スプレーと形がたくさんあって、どれを選べばいいのか、ジェルだと防ぐ力が弱いのでは、と迷いますよね。
結論から言うと、ジェルとクリームの違いは、水をベースにした軽いゼリー状か、水と油を混ぜたしっとりした形か、という中身と使い心地の違いです。紫外線を防ぐ力は剤型ではなく、SPFとPAの表示と、実際に塗る量で決まります。
ジェルは水が中心、クリームは水と油を混ぜた形
ジェルは水をベースにゼリー状にまとめた形、クリームは水と油を混ぜ合わせた形です。中心になるのが水か油かで、使い心地が変わります。
どちらも、紫外線を防ぐ力はSPFとPAの表示で決まります。
ジェル
水がベース。さらっと軽い
クリーム
水と油を混ぜた形。しっとり
化粧品の技術者の団体がまとめた用語集では、ジェルは透明か半透明で、粘りの強いゼリー状のものです。水に溶ける高分子という成分は、ほんの少しの量で、水や水とアルコールをゼリー状にできます。水がベースなので、さらっと軽い使い心地になり、紫外線を防ぐ成分はこのゼリーの中に混ぜ込まれています。
一方のクリームやミルクは、水と油という溶け合わないものを、片方を細かい粒にしてもう片方に散らばらせた、乳化と呼ばれる状態です。日焼け止めの乳液とクリームには、水が外側の水中油型と、油が外側の油中水型の両方があります。
水と油を混ぜたものは、外側にあるほうの性質が強く出ます。
水中油型は牛乳のように水に溶け、油中水型はバターのように水に溶けません。そのため、汗や水で落ちにくい液状の製品には、油が多いものや油中水型がよく使われます。同じ「クリーム」でもどちらの型かは製品ごとに違うので、名前だけで決めつけないことが大切です。
ミルクとクリームの差は主にかたさで、クリームのほうがかためで、しっとりした仕上がりになりやすいタイプです。
ミルクはやわらかい乳液状、スプレーは霧にして吹きつける形
ミルクはクリームよりやわらかく流れる乳液状、スプレーは中身を霧にして吹きつける形です。どちらも、ジェルやクリームと同じく、形と使い心地で呼び分けられているだけです。
水中油型の乳液は保湿用の乳液に近い使い心地で日中用に多く、油中水型の乳液はのびが軽く塗りやすいので体用に向きます。油中水型の乳液には紫外線を散らす白い粉が沈みやすいものがあり、使う前によく振るタイプが多いので、容器の表示に従いましょう。
環境省の資料では、日焼け止めの形として、液状、乳液、クリーム、ジェル、スティック、スプレー、シートが挙げられています。スプレーは手を汚さずに重ねやすいのが利点で、米国皮膚科学会も、子どもの肌に塗りやすいので親に好まれることがある、と紹介しています。
形が違っても、どれも紫外線を防ぐ成分を肌にのせるための入れものだと考えるとわかりやすいです。
防ぐ力は剤型ではなく、SPF・PAと塗る量で決まる
ジェルでもクリームでもスプレーでも、防ぐ力はSPFとPAの表示と、塗る量で決まります。表示の数値は、どの剤型も同じ量を塗って測った値だからです。
紫外線を浴びると、肌が赤くなる日やけが起きたり、メラニンが作られてしみのもとになったりします。日焼け止めは、肌に届く紫外線を減らして、この流れの入り口を小さくするものです。SPFはおもに紫外線B波による赤くなる日やけを、PAは紫外線A波を防ぐ効果の目安です。
箱に書かれたSPFやPAは、剤型に関係なく、肌1平方センチメートルあたり2ミリグラムを塗って測った値です。液体なら2マイクロリットルを塗って調べます。ところが、実際にはこの量より少なくしか塗っていない人が多いのです。
肌1平方センチメートルあたりの量です。少ないと、表示より防ぐ力が弱くなります。
環境省の資料では、顔には液状なら1円硬貨1個分、クリーム状ならパール粒1個分を2回重ね、2、3時間おきに塗り直すことがすすめられています。量の目安や、少ないとどのくらい弱くなるかはSPFとPAの記事で紹介しています。
剤型を変えても、たっぷり塗って、こまめに塗り直すことは同じです。
スプレーは、顔に直接吹かずに手でなじませる
スプレーの日焼け止めは、顔に直接吹きつけず、吹いたあとは手でなじませます。霧を吸い込むことと、塗りムラが起きやすいことが、スプレーの弱点だからです。
スプレーは吸い込みとムラを防ぐ使い方がポイントです。
吹かない
まで吹く
なじませる
米国の当局は、スプレーの日焼け止めは顔に直接吹きつけてはいけない、と呼びかけています。米国皮膚科学会も、顔や口のまわりで吹かないこと、風に向かって吹かないことで、吸い込むのを避けるようすすめています。ムラを防ぐには、肌がつやっと光るまで吹きつけてから、手ですり込んで広げます。
また、スプレーを使っているときや使ったあとに火のそばにいて、服や肌に火がついてやけどをした例もあります。たばこを吸っているときや、火や熱いものの近くでは使わないようにしましょう。顔に使いたいときは、容器の使い方の表示を確かめるのが確実です。
汗や水への強さは、剤型ではなく★で見る
汗や水に強いかどうかは、剤型ではなく「UV耐水性」の★で見ます。業界の基準で、水につけたあとにどれだけSPFが残るかを測って表示しているからです。
基準では、塗った肌を水に20分ずつつけて、そのあとのSPFを調べます。40分で★、80分で★★と表示し、水に入る前のSPFもあわせて書きます。耐水性ありとされるのは、水につけたあともSPFが50%以上残っているときで、この表示は2022年12月1日から始まりました。
ただし、★は海や川など外から付く水への強さで、汗への強さを示すものではありません。「ウォータープルーフ」という言葉については、★とは別の基準があるように誤解させないこと、その言葉だけで表示しないことが業界の決まりで求められています。
海や川に入る日は、★の数を見て選ぶと覚えておきましょう。
落とし方は、中身の型と★、製品の表示で決まる
落とし方は、剤型の名前よりも、中身の型と耐水性で変わります。汗や水に強い製品は、水をはじく油や膜を作る成分で落ちにくくしているからです。
水中油型は水になじむ性質で、洗顔料で落とせると書かれた製品もあります。環境省の資料では、多くの日焼け止めはメーク落としで溶かし出すようにやさしく洗うのが基本で、耐水性の高いものの一部には専用のクレンジングが指定されています。
洗浄料での落ちやすさは製品によって違うので、まず容器の使用上の注意を見るのが確実です。「石けんで落ちる」と書かれた製品を洗顔料で洗うときのポイントや、★と落としやすさの関係は、日焼け止めの落とし方の記事にまとめています。
どの剤型でも、こすらずにやさしく落とすことが肌の負担を減らします。
乾燥しやすい肌はクリーム、脂っぽい肌はジェルが目安
肌タイプで選ぶなら、乾燥しやすい肌はクリーム、脂っぽい肌はジェルがひとつの目安です。クリームは油を含んでしっとりし、ジェルは水がベースで軽いからです。
米国皮膚科学会も、クリームは乾燥しやすい肌と顔に、ジェルは脂っぽい肌や、頭皮など毛のある所に向く、と案内しています。目のまわりにはスティックが使いやすいとされます。紫外線を防ぐ成分が肌に合うかどうかは剤型とは別の話で、紫外線吸収剤と散乱剤の記事で紹介しています。
場面で選ぶなら、日中用には使いやすさや化粧下地としての働きが、レジャー用には紫外線を防ぐ力と汗や皮脂への強さが求められます。通勤や買い物には使い心地の好みで選び、海や川に入るときは★つきを選んで、水から上がったりタオルでふいたりしたら塗り直しましょう。
迷ったら、剤型は使い心地で、防ぐ力は表示で選ぶと考えれば大丈夫です。
まとめ
- ジェルは水をベースにしたゼリー状、クリームとミルクは水と油を混ぜた乳化の形で、クリームのほうがかためでしっとりします
- 水が外側の水中油型は水になじみ、油が外側の油中水型は水に溶けないので、汗や水に強い処方によく使われます
- SPFやPAは、どの剤型も1平方センチメートルあたり2ミリグラムを塗って測った値で、量が少ないと表示より弱くなります
- スプレーは顔に直接吹かず、つやっと光るまで吹いて手でなじませます。火のそばでは使いません
- 汗や水への強さは剤型ではなく★で見ます。★は水への強さで、落とし方は製品の表示に従います
剤型は、使い心地と使う場所で選ぶもの。防ぐ力はSPFとPAの表示で選び、どの剤型でもたっぷり塗って、こまめに塗り直しましょう。
よくある質問
日焼け止めのジェルとクリームの違いは何ですか?
ジェルは水がベースのゼリー状、クリームは水と油を混ぜた形です。クリームのほうがしっとりします。紫外線を防ぐ力は剤型ではなく、SPFとPAの表示と塗る量で決まります。
ジェルとクリームでは、どちらが紫外線を防ぎますか?
剤型だけでは決まらず、SPFとPAの表示で比べます。表示はどの剤型も肌1平方センチメートルあたり2ミリグラムを塗って測った値なので、表示どおりの力を出すには、ジェルでもクリームでも十分な量を塗ることが大切です。
スプレーの日焼け止めは顔に使ってもいいですか?
顔には直接吹きつけないようにしましょう。顔や口のまわりで吹かない、風に向かって吹かない、という使い方で、霧を吸い込むのを避けます。使い方は容器の表示に従ってください。
ウォータープルーフと★のUV耐水性は同じですか?
汗や水への強さを比べるなら★の表示で見ます。★は水に40分つけてSPFが50%以上残れば1つ、80分で2つです。汗への強さを示すものではありません。
乾燥肌と脂性肌には、どの剤型が向いていますか?
乾燥しやすい肌にはクリーム、脂っぽい肌にはジェルが目安です。米国皮膚科学会も、クリームは乾燥肌と顔に、ジェルは脂っぽい肌や頭皮など毛のある所に向くと案内しています。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「サンプロテクター」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「エマルション」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ジェル」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ウォータープルーフ」
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け」Q13 サンスクリーン剤の使い方
- 日本化粧品工業連合会 報道発表「化粧品の紫外線防止効果に対する耐水性測定法基準<2021年版>を制定」(2022年11月7日)
- 日本化粧品工業連合会 技術委員会「紫外線防止効果に対する耐水性測定法基準に関するよくある質問」(2022年7月15日)
- 日本化粧品工業会「UV耐水性の表示に関するQ&A」
- 日本化粧品工業会「紫外線の防ぎ方」
- 米国FDA「Sunscreen: How to Help Protect Your Skin from the Sun」
- 米国皮膚科学会(AAD)「Sunscreen FAQs」