この記事でわかること
- アデノシンがどんな成分か
- 韓国でシワ向けとされる理由と、日本での区分の違い
- 化粧品で言える範囲と安全性
韓国コスメの「しわ改善」の商品でよく見かけるアデノシン。どんな成分で、日本でもシワに使える成分なのか、気になりますよね。
結論から言うと、アデノシンが韓国でシワ向けとされるのは、韓国の決まりで0.04%入れると「しわの改善に役立つ」化粧品として売れるからです。日本では、シワの医薬部外品の有効成分ではなく、国が認めたのは育毛剤の有効成分です。まずは、どんな成分なのかから見ていきましょう。
アデノシンは、体にもともとある核酸の仲間
アデノシンは、もともと体の中にある、核酸の仲間の物質です。アデニンという塩基と、リボースという糖がつながってできています。
アデノシンは、塩基のアデニンと糖のリボースがつながった形をしています。
体の中では、核酸や、エネルギーのやりとりに使われるATPの部品として広くあり、神経や血管、心臓、免疫など、さまざまな働きに関わっています。肌だけの成分ではありません。
化粧品の原料は、化学合成か、微生物による発酵でつくられます。成分表示の名前も、そのまま「アデノシン」です。体にもともとある物質、と覚えておけば十分です。
韓国でシワ向けとされるのは、0.04%の決まりがあるから
韓国では、アデノシンを0.04%入れると、報告だけで「しわの改善に役立つ」機能性化粧品として売れます。だから、韓国コスメのシワ向けの商品で定番になりました。
機能性化粧品は、韓国の化粧品の区分の一つです。国の告示に、「しわの改善に役立つ」製品の成分と量が決められていて、レチノールなどと並んでアデノシンが入っています。決められた量で入れると、安全性や有効性の資料を出さなくても、報告だけで売ることができます。
そもそも深いシワは、紫外線や年齢によって、角層よりずっと下の真皮でハリを支える線維が衰え、表面の溝が深く刻まれてできます。
深いシワが刻まれるまでの流れで、ハリを支える線維は角層よりずっと下の真皮にあります。
年齢
衰える
失われる
刻まれる
ここで気をつけたいのは、0.04%は資料の提出が免除される濃度で、効き目の下限ではないことです。「0.04%以上なら効く」「それ未満なら意味がない」という意味の数字ではありません。
韓国の当局は、赤い斑点や腫れ、かゆみが出たら使うのをやめて専門医に相談すること、針などで化粧品を肌の中に入れる使い方は絶対にしないことも呼びかけています。韓国の「しわ改善」の表示は、韓国の制度のしるしと考えましょう。
日本で国が認めたのは、育毛剤の有効成分
日本でアデノシンが国に認められているのは、医薬部外品の育毛剤の有効成分という、髪の用途です。シワとは、使う場所も目的も違います。
同じアデノシンでも、国と区分によって言える働きが違います。
韓国の化粧品
0.04%で「しわの改善に役立つ」
日本の化粧品
「肌を整える」「肌にはりを与える」
日本の育毛剤
医薬部外品で「育毛」「脱毛の予防」
育毛剤では0.75%で承認されていて、効能は「育毛」「薄毛」「脱毛の予防」「発毛促進」などの範囲です。日本皮膚科学会のガイドラインでも、男性型脱毛症にアデノシンを塗ることは「行うよう勧める」とされています。韓国のシワの0.04%とは、量も場所も目的も違うのです。
いっぽう、日本でシワについて「改善する」と言えるのは、承認を受けた医薬部外品だけです。医薬部外品の有効成分として「しわを改善する」効能が認められているのは純粋レチノールやナイアシンアミドなどで、アデノシンは入っていません。
ふつうの化粧品にアデノシンを入れることはでき、配合の上限もありません。化粧品として言えるのは、「肌を整える」「肌にはりを与える」などの範囲です。たとえば、アデノシン入りの製品を目のまわりに塗ると、目尻の肌のなめらかさに差が出たという結果があります。シワについては、決められた試験をした製品だけが「乾燥による小ジワを目立たなくする」と書けます。
同じアデノシンでも、国や商品の区分によって、言えることが変わるのです。
安全性は、今の使い方と濃度で安全と評価されている
アデノシンは、アメリカの化粧品成分の専門家委員会で、今の使い方と濃度で安全と評価されています。肌に貼る試験で、刺激やアレルギーの反応がほとんど見られなかったからです。
0.2%のアデノシンを含む試験品を肌に貼った試験では、刺激はほとんどなく、アレルギーの反応である感作も見られませんでした。光を当てた試験でも反応はありませんでした。
実際の製品の濃度は、顔や首用で0.04%前後、目元用で0.041%と、韓国の告示の0.04%とほぼ重なります。最大の1%は体や手に使う製品の数字なので、顔に1%まで安全と読み替えないようにしましょう。
それでも、赤みやかゆみが出たら、使うのをやめて相談するのが安心です。
医薬品のアデノシンは注射薬で、化粧品とは別もの
アデノシンには医薬品もありますが、化粧品とは用途も入れ方も量もまったく違います。
日本の医薬品のアデノシンは静脈に入れる注射薬で、十分に運動ができない人の心臓の検査で、運動のかわりに心臓に負荷をかけるために使われます。血圧と心電図を見ながら使う薬です。
化粧品のアデノシンは、0.04%前後を肌に塗るもので、血管に入れる医薬品とは体への入り方が違います。注射薬の副作用を化粧品に当てはめて心配する必要はなく、反対に「医薬品の成分だから効く」と考えるのも誤りです。
まとめ
- アデノシンは、アデニンとリボースがつながった、体にもともとある核酸の仲間です
- 韓国では0.04%で「しわの改善に役立つ」機能性化粧品として売れるため、シワ向けの定番です
- 0.04%は資料の提出が免除される濃度で、効き目の下限ではありません
- 日本で国が認めたのは育毛剤の有効成分で、化粧品で言えるのは「肌を整える」「肌にはりを与える」の範囲です
- 今の使い方と濃度で安全と評価され、医薬品の注射薬とは別ものです
韓国の「しわ改善」の表示は制度のしるしで、日本の化粧品で言えるのは肌を整え、はりを与える範囲です。パッケージの言葉と国の制度を分けて見ると、商品選びに迷いにくくなります。
よくある質問
アデノシンは化粧品で何をする成分ですか?
日本の化粧品として言えるのは「肌を整える」「肌にはりを与える」などの範囲です。アデノシン入りの製品を目のまわりに塗ると、目尻の肌のなめらかさに差が出たという結果があります。
アデノシンはなぜ韓国でシワの成分とされているのですか?
韓国の告示で、0.04%入れると安全性や有効性の資料の提出が免除され、報告だけで「しわの改善に役立つ」機能性化粧品として売れるからです。
アデノシンは日本でもシワの医薬部外品の成分ですか?
いいえ。日本で「しわを改善する」効能が認められた有効成分は純粋レチノールやナイアシンアミドなどで、アデノシンは入っていません。日本で国が認めたのは、育毛剤の有効成分という髪の用途です。
韓国コスメの0.04%は、効き目の下限ですか?
いいえ、資料の提出が免除される濃度です。この量で入れると、報告だけで「しわの改善に役立つ」機能性化粧品として売れます。
アデノシンの化粧品は安全ですか?
アメリカの専門家委員会が、今の使い方と濃度で安全と評価しています。0.2%を含む試験品を肌に貼った試験でも、刺激はほとんどなく、感作も見られませんでした。赤みやかゆみが出たら使うのをやめて相談してください。
この記事で参照した情報
- 脳科学辞典「アデノシン」(日本神経科学学会、2025年8月16日)
- Cosmetic Ingredient Review「Safety Assessment of Adenosine Ingredients as Used in Cosmetics」Draft Report (2019年8月22日)
- Cherian P, Bergfeld WF, Belsito DV, et al. Safety Assessment of Adenosine as Used in Cosmetics. Int J Toxicol 2024;43(1_suppl)
- COSMILE Europe「ADENOSINE」(Cosmetics Europe)
- 韓国「화장품법(化粧品法)」(法律第20901号、2026年4月2日施行) 韓国法制処 国家法令情報センター
- 韓国「화장품법 시행규칙(化粧品法施行規則)」(総理令第2109号、2026年4月2日施行)
- 韓国 食品医薬品安全処 告示「기능성화장품 심사에 관한 규정」(告示第2025-88号)
- 同告示 別表4「자료제출이 생략되는 기능성화장품의 종류(資料提出が省略される機能性化粧品の種類)」
- 同告示 第6条(제출자료의 면제 등)
- 韓国 食品医薬品安全処「제개정고시등」告示第2025-88号(2025年12月16日)
- 식약일보「미백·주름개선 기능성화장품 사용정보 안내」(食品医薬品安全処の発表の報道、2025年10月14日)
- 한국의약통신「미백·주름개선 기능성화장품 사용정보 안내」(食品医薬品安全処の発表の報道、2025年10月14日)
- 資生堂 ニュースリリース「新規育毛成分『アデノシン』を開発 ~厚生労働省から医薬部外品の有効成分として承認~」(PDF)
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」(日本皮膚科学会雑誌 127巻13号)
- 化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「化粧品に配合可能な医薬品の成分について」(平成19年5月24日 薬食審査発第0524001号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録(2016年5月20日)
- 資生堂 ニュースリリース「有効成分純粋レチノールによるしわを改善する効能効果の承認を日本で初めて取得」(2017年2月28日)
- Abella ML. Evaluation of anti-wrinkle efficacy of adenosine-containing products using the FOITS technique. Int J Cosmet Sci 2006;28(6):447-451
- アデノスキャン注60mg 添付文書(第一三共、2023年10月改訂)(KEGG MEDICUS)
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