成分辞典やさしい解説

レチノールの効果をやさしく解説!レチナールとの違いと注意点とは?

あるコスメオタク・2026.09.17・更新 2026.10.21・成分解説
肌の悩みシワ

レチノールの効果が気になるけれど、名前がそっくりなレチナールとは何が違うのか、どちらを選べばいいのか迷いますよね。

結論から言うと、どちらもシワの悩みで使われるビタミンAの仲間で、違いは肌の中で働く形までの距離です。レチナールのほうが働く形に1段階近く、そのぶん働きも刺激も強めです。まずは、シワが肌の中のどこで起きているのかから見ていきましょう。

深いシワは、真皮の線維が衰えて溝が刻まれてできる

シワには、角層の乾燥でできる浅い小ジワと、真皮の変化でできる深いシワがあります。原因の場所が違うので、向く成分も変わります。

肌のいちばん外側の角層は、皮脂膜・天然保湿因子・細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。このバランスが崩れて角層が乾くと、表面に浅い溝ができます。これが乾燥による小ジワです。

深いシワは、紫外線や年齢によって、角層よりずっと下の真皮で肌のハリを支える線維が衰え、表面の溝が深く刻まれてできます。

真皮でハリを支える線維が衰えて、深いシワが刻まれるまでの流れです。

紫外線や
年齢
線維が
衰える
肌のハリが
失われる
溝が深く
刻まれる

レチノールが関わるのは、この深いシワのほうです。

レチノールもレチナールも、肌の中でレチノイン酸に変わって働く

レチノールとレチナールは、どちらも肌の中でレチノイン酸という形に変わって働きます。2つの違いは、レチノイン酸までの距離です。

ビタミンA系の名前は、体の中で変わっていく順番を表しています。レチニルエステル、レチノール、レチナール、レチノイン酸の順で、レチノールとレチナールの間は行ったり来たりできますが、レチナールからレチノイン酸へは、一度進んだら戻れません。いちばん先のレチノイン酸は、薬の名前ではトレチノインと呼ばれる、肌の中で実際に働く形です。パルミチン酸レチノールは、レチニルエステルの仲間です。

働く形に近いほど、働きは強くなります。研究のまとめでは、強さの順番は「レチニルエステル、レチノール、レチナール、レチノイン酸」の順に強くなり、刺激の少なさはこの逆の順番とされています。レチノールの強さは、薬のトレチノインの約10分の1です。

レチナールは働く形に1段階近いぶん、刺激も出やすいと覚えておきましょう。

「しわを改善する」と言えるのは、承認を受けた医薬部外品のレチノール

シワに対して「しわを改善する」と言えるのは、承認を受けた医薬部外品のレチノールです。同じレチノール配合でも、医薬部外品か一般の化粧品かで、言える効能が国の決まりで分かれているからです。

純粋レチノールは、医薬部外品の有効成分として「しわを改善する」効能が認められています。真皮の線維が衰えて刻まれた深いシワに向けた効能です。

「しわを改善する」と言えるのは、承認を受けた医薬部外品のレチノールです。

使う前 シワの溝が深い 使ったあと 溝が目立ちにくくなる 角層 表皮 真皮

いっぽう、ドラッグストアや韓国コスメで見かけるレチノール製品の多くは一般の化粧品です。化粧品として言えるのは、条件を満たした場合の「乾燥による小ジワを目立たなくする」までです。

レチナールでは、0.05%のレチナールを塗ると、シワと肌のきめの粗さが目立ちにくくなり、レチノイン酸より肌に受け入れられやすかったという結果があります。ただ日本では、レチナールは化粧品の整肌成分として入っていて、シワへの効能はうたえません。

深いシワの手入れをしたいなら、医薬部外品のレチノールかどうかを見て選びましょう。

レチノイン酸は、日本の化粧品には入れられない

働く形にいちばん近いなら、レチノイン酸を使えばいいのでは、と思いますよね。でも、レチノイン酸、つまりトレチノインは、日本の化粧品には入れられません。厚生労働省が、トレチノインは化粧品基準でいう「医薬品の成分」にあたるとしているからです。

よく「配合禁止成分のリストに載っているから」と言われますが、化粧品基準の配合禁止成分の表にトレチノインの名前はありません。根拠は、「医薬品の成分は化粧品に配合してはならない」という別の決まりです。

一方、レチノールは化粧品に入れられます。厚生労働省は通知で、医薬品の成分に当たらないと判断した品目の1つとして、レチノールを名指ししています。レチナールも化粧品基準の配合禁止・配合制限のどちらにも入っておらず、「整肌成分:レチナール」として製品になっています。

化粧品で選べるのは、レチノールとレチナールまでです。

使い始めは、夜だけ・1日おきから少しずつ

レチノールは、夜だけ・1日おきから始めて、保湿剤と一緒に少しずつ増やします。使い始めは赤み・皮むけ・ヒリつきが出やすく、その出やすさは塗る量で変わるからです。

この使い始めの反応は、日本では「A反応」と呼ばれることが多いですが、医学用語ではなく、研究ではレチノイドによる皮膚の刺激として扱われます。塗るレチノイドの刺激は、ふつう量が多いほど出やすく、肌の中でレチノイドを受け止める仕組みがいっぱいになることが一因とされています。

使い始めの赤みや皮むけを抑えるための、レチノールの始め方です。

夜だけ
使う
1日おきの
夜から
少しずつ
増やす
保湿剤も
使う

米国皮膚科学会も、夜に使い、1日おきから少しずつ増やすよう案内しています。レチノイドは肌を日光に敏感にすることがあるので、日中は日焼け止めを使いましょう。研究のまとめでも、低い濃度から始め、保湿剤を一緒に使いながら、肌が受け入れられる濃度まで少しずつ上げていく方法が挙げられています。

おかしいと感じたら、無理に続けずに皮膚科に相談してください。

妊娠中は、食事・薬・化粧品を分けて考え、迷ったら相談する

妊娠中や妊娠を考えているときは、口から摂るビタミンA、薬のレチノイド、化粧品のレチノールを分けて考え、迷ったら医師に相談します。3つは扱いが違い、混ぜて語られがちだからです。

食事やサプリで口から摂るビタミンAには、国の食生活の指針に注意書きがあります。とりすぎると生まれつきの奇形が増えると報告されているため、妊娠を計画している人や妊娠3か月以内の人は、大量にとるのを避けるよう呼びかけています。「日本人の食事摂取基準」でも、妊婦のビタミンAの上限量が決められています。

薬では、ニキビの塗り薬のアダパレンは、妊婦または妊娠している可能性のある人には使えない薬です。トレチノインの飲み薬も、妊婦には使えません。

米国皮膚科学会は、妊娠中はレチノイドを使わないよう呼びかけています。化粧品のレチノールやレチナールでも、迷ったら、自分で決めずに、かかりつけの産婦人科医に相談するのが安心です。

まとめ

ビタミンA系は、「強いほうがいい」ではなく、自分の肌が受け止められる段階で選ぶのがおすすめです。迷ったら、医薬部外品のレチノールを夜に少しずつ、から始めてみてください。

よくある質問

レチノールとレチナールの違いは?

肌の中で働く形のレチノイン酸までの距離が違います。変わる順番はレチノール、レチナール、レチノイン酸で、レチナールのほうが1段階近く、働きも刺激も強めです。

レチノールはシワに効きますか?

承認を受けた医薬部外品のレチノールには「しわを改善する」効能が認められています。一般の化粧品で言えるのは、条件を満たした場合の「乾燥による小ジワを目立たなくする」までです。

日本の化粧品にレチノイン酸は入っていますか?

入れられません。レチノイン酸、つまりトレチノインは医薬品の成分にあたるとされ、化粧品には配合できません。レチノールとレチナールは化粧品に入れられます。

レチノールで赤みや皮むけが出たらどうすればいいですか?

夜だけ・1日おきに戻し、保湿剤を一緒に使いながら少しずつ増やします。おかしいと感じたら、無理に続けず皮膚科に相談してください。

妊娠中にレチノールの化粧品を使ってもいいですか?

使う前に、かかりつけの産婦人科医に相談してください。米国皮膚科学会は、妊娠中はレチノイドを使わないよう呼びかけています。

この記事が入っているテーマ別まとめ

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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