この記事でわかること
- アーモンド油の働きと、アレルギーで問題になるたんぱく質
- 精製油と搾っただけの油の違いと、成分表の見方
- ナッツアレルギーの人が使う前にすること
ナッツアレルギーがあると、アーモンド油やスイートアーモンドオイルの入ったクリームやボディオイルを肌に塗ってよいのか、迷いますよね。
結論から言うと、アレルギーで問題になるのは油の中に残るアーモンドのたんぱく質で、ナッツアレルギーのある人は、使う前に主治医に相談するのが基本です。よく精製した油はたんぱく質をほとんど含まないとされる一方、搾っただけの油には残ることがあります。アーモンド油の働き、精製の違い、成分表と食品表示の見方、塗る話と食べる話の違いを、順に見ていきましょう。
アーモンド油は、肌の表面にのびて乾燥を防ぐ油
アーモンド油は、肌の表面にのびて、角層の水分が逃げるのを防ぐ植物の油です。化粧品では、クリームやボディオイルなどに使われます。
肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。このバランスが崩れると、角層から水分が逃げて乾燥します。
アーモンド油は、アーモンドの種子からとる油で、化粧品の油の分類では、オリーブ油などと同じ、脂肪酸とグリセリンが結びついた油脂の仲間です。油脂のような油の成分は、肌の表面になめらかにのびて、皮膚から水分が蒸発するのを防ぐエモリエントとして働きます。
アーモンド油は肌の表面にのびて、角層の水分が逃げるのを防ぎます。
アメリカの化粧品成分の専門家パネルは、アーモンド油を含む植物の油をまとめて、今の使われ方であれば化粧品として安全と結論づけています。アーモンド油は、乾燥を防ぐ油として使われる成分です。
アレルギーで考えるのは、油に残るたんぱく質
アーモンド油とナッツアレルギーの関係は、油の中にアーモンドのたんぱく質がどれだけ残っているかで考えます。食物アレルギーを起こすのは、食べ物に含まれるたんぱく質だからです。
先ほどの専門家パネルも、落花生を例に、アレルギーで主に問題になるのはたんぱく質だとしています。アーモンドには、アレルギーの原因になるたんぱく質が何種類もあることが知られています。
油そのものより、油に混じって残るたんぱく質に目を向けましょう。
精製した油は、たんぱく質をほとんど含まない
精製した油はたんぱく質をほとんど含まず、搾っただけの油にはたんぱく質が残ることがあります。精製の工程で、たんぱく質が油から取りのぞかれるからです。
植物の油は、搾ったあとに不純物を取りのぞく精製をすることがあり、その最後の大きな工程は、蒸気を使って香りやにおいを飛ばす脱臭です。アメリカの専門家パネルは、たんぱく質は精製した油の側には移らないので、食物アレルギーの人も一般に精製した油には反応しないとしています。落花生はアレルギーを起こしやすい食べ物ですが、油で反応が起きるのはまれだとも述べています。
精製した油は、搾ったあとに不純物を取りのぞくので、たんぱく質をほとんど含みません。
搾る
取りのぞく
脱臭する
ほぼ残らず
一方で、熱や薬品を使わずに搾っただけの油は、たんぱく質を含みます。米国アレルギー・喘息・免疫学会の専門家は、未精製のナッツ油では、肌がアレルギーの原因になるたんぱく質にふれる可能性があるとし、自然派をうたう製品で未精製の油が使われることが増えている点にもふれています。加工の少ないナッツ油ほど、たんぱく質が多く、アレルギーの抗体が結びつく力も大きかったという結果もあります。
同じアーモンド油でも、精製したかどうかで、たんぱく質の残り方が違うと覚えておきましょう。
成分表の「アーモンド油」からは、精製かどうかはわからない
化粧品の成分表では、精製した油も搾っただけの油も、同じ「アーモンド油」と書かれます。成分表は成分の名前を並べるもので、つくり方までは書かないからです。
商品名ではスイートアーモンドオイルと呼ばれることも多いのですが、成分欄には「アーモンド油」とあるのがふつうです。米国アレルギー・喘息・免疫学会の専門家は、ナッツアレルギーのある人には、使う前に製造元へ、ナッツ油が精製されているかどうかを問い合わせるよう勧めています。
また、名前に「アーモンド」がつく成分は、油だけとは限りません。アーモンドの種子の粉や、アーモンドからとったたんぱく質を原料にした成分もあり、油よりもたんぱく質に近い原料です。
ナッツアレルギーがある人は、成分表で「アーモンド」の名前がつく成分をすべて探すところから始めましょう。
食品表示でアーモンドは、表示がすすめられている品目
食べ物のアレルギー表示で、アーモンドは表示が義務ではなく、すすめられている品目です。
消費者庁は、表示が義務になる特定原材料と、表示がすすめられている特定原材料に準ずるものに分けています。アーモンドは2019年に「特定原材料に準ずるもの」に加わりました。同じナッツの仲間でも、くるみは2023年に、カシューナッツは2026年4月に、表示が義務の特定原材料に加わっています。
ただし、これは食品のための決まりです。化粧品は、入っている成分をすべて表示する全成分表示が基本なので、アーモンド油が入っていれば、義務か推奨かの区別なく、成分表に名前が載ります。
化粧品で気をつけたいのは、表示されているかどうかより、表示された油がどんなつくりの油かという点です。
塗る話と食べる話は、経路を分けて考える
食べ物のアレルギーは、口から入って起きるものだと思いますよね。でも、食べ物のたんぱく質に肌がふれることで、アレルギーの準備ができてしまうことがあります。
これを肌からの感作と呼びます。日本では、小麦のたんぱく質を分解した成分を含む石けんを使った人が、のちに小麦製品を食べて全身の症状を起こした例があり、厚生労働省は、皮膚や粘膜から感作されたと考えられる食物アレルギーとして取り上げています。くわしくは加水分解コムギの記事で解説しています。
食べ物のたんぱく質は、肌からふれることでもアレルギーの準備につながることがあります。
いるときに
肌がふれる
準備ができる
この石けんの例は、原因が小麦のたんぱく質を分解した成分で、油ではありません。それでも、食べ物由来の成分が肌から入り、食べたときの症状につながりうることを示した例です。アーモンド油についても、心配の中心は、油に残ったたんぱく質が肌にふれることです。
塗って平気だったから食べても平気、とは考えず、塗る話と食べる話は分けて考えます。
湿疹のある赤ちゃんに塗るときは、医師に相談する
湿疹のある赤ちゃんにアーモンド油の入った製品を使うときは、かかりつけの医師に相談しましょう。荒れた肌に塗るナッツの油は、のちのアレルギーと関わることがあるからです。
実際に、発疹のある赤ちゃんの肌に落花生の油を含む製品を塗っていたことが、のちの落花生アレルギーと関連していたという結果があります。落花生の油の話ですが、ナッツの油を赤ちゃんの荒れた肌に塗るときに知っておきたい例です。湿疹のある赤ちゃんは、肌からの感作の話がとくに当てはまる状態です。
赤ちゃんの保湿剤は、アーモンド油の入った製品を使うかどうかを医師と決めると安心です。
ナッツアレルギーの人は、使う前に主治医に相談する
ナッツアレルギーがある人は、アーモンド油の入った製品を使う前に、主治医に相談するのが基本です。精製した油でも、必ず大丈夫というわけではないからです。
ナッツアレルギーの人は、使う前に確かめ、症状が出たらすぐやめます。
探す
聞く
相談する
やめる
とくにアーモンドで症状が出たことがある人は、成分表に「アーモンド油」やアーモンドの名前がつく成分がないかを確かめ、使いたい製品があれば、精製した油かどうかを製造販売元に問い合わせておくと、相談するときの材料になります。自己判断で試すのは避けましょう。
使っていて、かゆみや赤み、腫れが出たらすぐに使うのをやめましょう。くちびるや顔の腫れ、息苦しさなど、塗った場所以外にも症状が出たときは、すぐに医療機関を受診してください。なお、名前にナッツとつく油でも、シアバターやココナッツオイルは、アーモンドとは植物の仲間もアレルギーの考え方も別です。
ナッツアレルギーがない人は、アーモンド油もほかの化粧品と同じように表示どおりに使い、合わないと感じたらやめるという基本で考えましょう。ナッツアレルギーがあるかどうかで、アーモンド油との付き合い方は変わります。
まとめ
- アーモンド油は肌の表面にのびて、角層の水分が逃げるのを防ぐ植物の油です
- アレルギーで問題になるのは油に残るたんぱく質で、精製した油はほとんど含まず、搾っただけの油には残ることがあります
- 成分表ではどちらも「アーモンド油」と書かれ、精製かどうかは成分表からはわかりません
- 食品表示でアーモンドは表示が推奨の「特定原材料に準ずるもの」で、くるみとカシューナッツは義務の特定原材料です
- 塗る話と食べる話は分けて考え、ナッツアレルギーがある人や湿疹のある赤ちゃんは、使う前に医師に相談します
アーモンド油は、肌の乾燥を防ぐために使われる植物の油です。アレルギーがある人は、成分表を確かめ、精製かどうかを問い合わせたうえで、主治医と一緒に決めていきましょう。
よくある質問
ナッツアレルギーでもアーモンド油の化粧品は使えますか?
使う前に主治医に相談するのが基本です。精製した油はたんぱく質をほとんど含まず、食物アレルギーの人も一般に反応しないとされますが、搾っただけの油にはたんぱく質が残ることがあります。成分表では見分けにくいので、精製かどうかを製造販売元に問い合わせておくと相談の材料になります。
スイートアーモンドオイルとアーモンド油は同じですか?
成分表では、どちらも「アーモンド油」と書かれます。スイートアーモンドオイルは商品名などで使われる呼び方で、成分欄にはアーモンド油とあるのがふつうです。精製した油か搾っただけの油かは、名前からはわかりません。
アーモンドアレルギーは食品表示の義務の対象ですか?
アーモンドは表示が推奨の「特定原材料に準ずるもの」です。2019年に加わりました。ナッツの仲間では、くるみが2023年に、カシューナッツが2026年4月に、表示が義務の特定原材料に加わっています。これは食品の決まりで、化粧品は全成分表示です。
アーモンド油を肌に塗ってアレルギーになることはありますか?
食べ物のたんぱく質に肌がふれて、アレルギーの準備ができることはあります。小麦のたんぱく質を分解した成分を含む石けんでは、食べたときの全身の症状につながった例があります。アーモンド油で心配の中心になるのは、油に残ったたんぱく質です。
赤ちゃんにアーモンド油を塗っても大丈夫?
湿疹のある赤ちゃんなら、使う前に医師に相談しましょう。発疹のある赤ちゃんに落花生の油を含む製品を塗っていたことが、のちの落花生アレルギーと関連していたという結果があります。使うかどうかは、医師と決めると安心です。
この記事で参照した情報
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」
- 消費者庁 食品表示基準等の改正の概要(令和8年4月1日施行、カシューナッツの特定原材料への移行)
- 消費者庁食品表示課「食物アレルギー表示に関する改正について」(令和7年12月)
- 日本化粧品工業会 化粧品用語解説「保湿とエモリエント」
- Burnett CL, et al. Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils. Int J Toxicol 2017;36(3_suppl):51S-129S
- 米国アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI) Ask the Expert「Food allergy: nut oils in topical products」(2020年)
- 厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報」No.288(2012年2月)
- Lack G, Fox D, Northstone K, Golding J. Factors associated with the development of peanut allergy in childhood. N Engl J Med 2003;348(11):977-985
- Tudini L, et al. Almond Allergy in Children and Adults: A Narrative Review of Current Knowledge, Clinical Challenges, and Research Gaps. Nutrients 2026;18(5):831