この記事でわかること
- BGが角層で何をしていて、成分表に多いのはなぜか
- BGが防腐剤ではない理由と、安全性・アレルギーの見方
- BGとPG、グリセリンの違い
化粧水や乳液の成分表で、いつも見かける「BG」。何のために入っていて、肌に危険はないのか、気になりますよね。
結論から言うと、BGは角層に水を抱えさせて乾燥を防ぎ、さらっと軽い使い心地にするための保湿剤です。植物エキスを溶かす液としても使われるので多くの成分表に並び、今の化粧品での使い方なら安全という評価が出ています。まずは、どんな成分なのかから見ていきましょう。
BGは、グリセリンと同じ仲間の保湿剤
BGは、グリセリンと同じ多価アルコールという仲間の保湿剤です。成分表示では「BG」と書かれ、化学の名前は1,3-ブチレングリコールといいます。分子の中に、水となじむ部分を2つもつアルコールです。
見た目は無色透明で少しとろみのある液体で、においはほとんどありません。水やエタノールによく溶け、アセトアルデヒドという物質を出発点に化学的に合成してつくる方法が知られています。製品の中では、水分を保つほか、ほかの成分を溶かす、とろみを調整するといった役目もあり、クリームや化粧水のほか、歯みがきなどにも使われています。
化粧品としての働きは、肌にうるおいを与えて乾燥を防ぐ範囲のものです。
BGは、水を抱えて角層の乾燥を防ぐ
BGは、角層に水を抱えさせて、乾燥を防ぐ成分です。肌の乾燥は、いちばん外側の角層から水分が逃げて、うるおいが足りなくなることで起きるからです。
角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。このバランスが崩れたり、乾いた空気にさらされたりすると、角層の水分が逃げて、かさつきにつながります。
BGは水となじむ部分で水を抱え、角層を乾きにくくします。
BGは、水となじむ部分で水を抱える保湿剤です。塗ると角層に水がとどまりやすくなり、乾きにくくなります。多価アルコールの中では湿気を吸う力が比較的おだやかで、グリセリンよりとろみが少ないので、べたつきが少なく、さらっと軽い仕上がりになります。
乾燥が気になるけれど、べたつきは苦手。そんな人の軽い保湿を支える成分と考えるとわかりやすいです。
成分表に多いのは、植物エキスを溶かす液にも使われるから
BGを自分で選んだわけではないのに、どの製品にも入っているように感じますよね。BGが多くの成分表に並ぶのは、保湿剤としてだけでなく、植物エキスを取り出したり薄めたりする液としても使われるからです。
植物エキスは、BGなどの液に植物の成分を溶かし出した原料として扱われることが多く、BGは香りを長くとどめる目的でも使われます。国の通知では、エキスは取り出した成分と、取り出すときや薄めるときに使った液を分けて書く決まりで、製品に液が残らない場合だけが例外です。
エキスに使ったBGは、製品に残れば「〇〇エキス」とは別に「BG」と書かれます。
溶かし出す
入れる
BGも書く
そのため、BGを別に足していない製品でも、エキスと一緒に入ったBGが「〇〇エキス」とは別に「BG」として成分表に書かれることがあります。これとは別に、原料にくっついて入り、製品の中で効果が出るより少ない量しかない成分は書かなくてよいという決まりもあり、キャリーオーバー成分と呼ばれます。エキスに使った液は、製品に残っていれば分けて書くのが基本です。
成分表でBGを見たら、保湿剤として、またはエキスの液として入っていると読めば十分です。
BGは防腐剤ではない
BGは防腐剤ではありません。日本の化粧品に使える防腐剤は国の化粧品基準のリストで決められていて、BGはそのリストに入っていないからです。
BGが防腐を助ける原料として語られることがあるのは、試験管の中で、高い濃度のBGがカンジダや黄色ブドウ球菌、大腸菌などの微生物を抑え、同じ濃度のPGとほぼ同じ働きを見せたという結果があるためです。ただ、これは試験管の中で高い濃度を使ったときの結果で、肌の上での話とは別です。
化粧品の防腐は、防腐剤を入れるほか、防腐剤とはみなされない原料や容器の工夫で支える方法もあります。それでも、BGが入っているから防腐剤がいらなくなるわけではありません。BGの役目は、あくまで保湿と、成分を溶かすことです。防腐剤の役目とは分けて考えましょう。
今の化粧品での使い方なら安全という評価
BGは、今の化粧品での使い方なら安全という評価が出ている成分です。アメリカで化粧品成分の安全性を評価する専門家委員会が、そう結論づけているからです。
この評価では、口から入ったときの毒性は低く、薄めていないBGを人の肌に貼っても刺激はとても低く、繰り返し貼ってもアレルギーは起きなかったという結果がまとめられています。日本の化粧品基準でも、BGは配合を禁止したり量を制限したりする成分のリストに載っていません。ただ、上限の決まりがないことは、いくら入れても安全という意味ではなく、評価はあくまで今使われている濃度の範囲での話です。
気をつけたいのは目です。原液が目に入ると、軽いものから強いものまでの刺激が出たという結果があります。製品が目に入ったときは、水で洗い流してください。
食品での扱いは国によって違います。アメリカでは、香料を溶かす溶剤として、決められた条件のもとで食品に使えます。いっぽう日本では、国が指定した食品添加物のリストにPGは載っていますが、BGの名前はありません。これは口から入るものとしての扱いで、肌に塗る化粧品の安全性は、化粧品としての評価で考えます。
肌に塗る化粧品としては、今の使い方なら安全と覚えておけば大丈夫です。
かぶれはまれ。「BGフリー」は合わない人の目印
BGでかぶれることは多くありませんが、ゼロではありません。化粧品で顔にかゆみのある湿疹が出て、使っていた製品に共通して入っていたBGが原因だった、という人の報告があるからです。
皮膚科でかぶれの原因を調べる検査では、BGに反応する人は、PGに反応する人より少ないという結果があります。また、BGにかぶれる人はPGにも反応することがあり、形の似た短いグリコールどうしで反応が重なりやすいとされています。
「BGフリー」という表示に、公的な決まりはありません。BGが入っているかどうかは成分表で確かめられるので、皮膚科でBGにかぶれると診断された人が、避けるための目印と考えるのが実際的です。
BGが入っていない製品のほうが肌によい、という意味ではありません。赤みやかゆみが出たら使うのをやめて、続くときは皮膚科で相談しましょう。
PGやグリセリンとは、水を保つ力と使い心地が違う
BGとPG、グリセリンは名前が並ぶことが多く、どれを選べばいいのか迷う人は多いと思います。3つは同じ多価アルコールの仲間で、違うのは水を保つ力と使い心地です。
グリセリンは水を保つ力が高く、しっとりした仕上がりになります。BGとプロピレングリコール、つまりPGは、グリセリンより湿気を吸う力ととろみが控えめで、さっぱりした使い心地です。
BGとPGで違うのは、かぶれの報告です。皮膚科の検査では、PGに反応する人のほうが多いという結果があります。それでも、どちらも化粧品基準の制限のリストには載っていないので、PGは危険でBGは安全、と分けられるわけではありません。
どちらが上というより狙いが違うので、保水力ならグリセリン、軽さならBGと考えるとわかりやすいでしょう。
まとめ
- BGは1,3-ブチレングリコールのことで、グリセリンと同じ多価アルコールの仲間の保湿剤です
- 水となじむ部分で水を抱え、角層の乾燥を防ぎます。べたつきが少なく、さらっと軽い使い心地です
- 植物エキスを溶かす液としても使われ、製品に残れば「〇〇エキス」とは別に「BG」と書かれます
- BGは防腐剤ではなく、今の化粧品での使い方なら安全という評価です。目に入ったら水で洗い流します
- かぶれはまれでもゼロではなく、「BGフリー」はBGが合わない人の目印です
BGは、化粧品のうるおいと使い心地を支える、ごく身近な保湿剤です。入っているかどうかで良し悪しを決めず、自分の肌に合うかどうかで選んでみてください。
よくある質問
BGとは?化粧品での効果と配合目的は?
BGは1,3-ブチレングリコールのことで、角層に水を抱えさせて乾燥を防ぐ保湿剤です。グリセリンよりとろみが少なく、さらっと軽い使い心地になります。植物エキスを取り出したり薄めたりする液や、ほかの成分を溶かす役目もあります。
BGは化粧品に入っていても危険ではない?安全性は?
アメリカの化粧品成分の専門家委員会は、今の化粧品での使い方なら安全と結論づけています。日本の化粧品基準でも、配合を禁止・制限する成分のリストに載っていません。原液は目に刺激があるので、製品が目に入ったら水で洗い流しましょう。
BGでアレルギーは起こる?BGフリーを選ぶべき?
多くはありませんが、BGでかぶれた人の報告はあります。「BGフリー」という表示に公的な決まりはなく、入っていない製品のほうが肌によいという意味ではありません。皮膚科でBGにかぶれると診断された人が、成分表で避けるための目印として使うのが実際的です。
BGは防腐剤?防腐剤の代わりになる?
BGは防腐剤ではなく、国の化粧品基準の防腐剤のリストにも入っていません。試験管の中では高い濃度で微生物を抑えたという結果がありますが、BGが入っているから防腐剤がいらなくなるわけではありません。
BGとプロピレングリコールやグリセリンの違いは?
どれも多価アルコールの仲間で、違いは水を保つ力と使い心地です。保水力ならグリセリン、さらっと軽い使い心地ならBGで、PGもBGと同じくさっぱりしています。皮膚科の検査でかぶれの反応が出る人はPGのほうが多いという結果がありますが、PGは危険でBGは安全と分けられるわけではありません。
この記事で参照した情報
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「1,3-ブチレングリコール」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「プロピレングリコール」
- COSMILE Europe(Cosmetics Europe)「BUTYLENE GLYCOL」
- 厚生労働省 医薬局審査管理課長・監視指導・麻薬対策課長通知「化粧品の全成分表示の表示方法等について」平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号(岡山県掲載)
- 化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- Kinnunen T, Koskela M. Antibacterial and antifungal properties of propylene glycol, hexylene glycol, and 1,3-butylene glycol in vitro. Acta Derm Venereol 1991;71(2)
- Cosmetic Ingredient Review. Final report on the safety assessment of butylene glycol, hexylene glycol, ethoxydiglycol, and dipropylene glycol. J Am Coll Toxicol 1985;4(5):223-248(米EPA HERO の書誌・要旨)
- 21 CFR §173.220 1,3-Butylene glycol(米国 連邦規則集)
- FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)規格「BUTAN-1,3-DIOL」
- 日本食品化学研究振興財団「指定添加物リスト(規則別表第1)」令和4年10月26日改正
- Aizawa A, Ito A, Masui Y, Ito M. Case of allergic contact dermatitis due to 1,3-butylene glycol. J Dermatol 2014;41(9):815-816
- Ekstein SF, Battis NR, Dabrowski DS, Neeley AB. Cross-reactivity between propylene glycol and butylene glycol. Dermatitis 2024;35(2)
- Kanokrungsee S, Dendooven E, Aerts O. Contact Allergy and Allergic Contact Dermatitis From Propylene Glycol and Related Glycols: Cosmetic Skin Sensitisers After All? Contact Dermatitis 2026
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