成分辞典やさしい解説

化粧品のエタノールをやさしく解説!アルコールフリーが避けているものとは?

あるコスメオタク・2026.09.22・更新 2026.10.21・成分辞典

「アルコールフリー」を選んでいるのに、成分表に「セチルアルコール」と書いてあって、これは大丈夫なのかと迷いますよね。

結論から言うと、アルコールフリーで避けているのはエタノールという成分で、セチルアルコールは名前が似ているだけの固形の油です。エタノールで赤くなるかどうかは体質しだいで、誰にでも悪い成分ではありません。まずは「アルコール」とつく成分の違いから見ていきましょう。

化粧品の「アルコール」は、エタノールのこと

化粧品で「アルコール」と言うときは、お酒にも入っているエチルアルコールのことで、成分表では「エタノール」と書かれます。名前に「アルコール」とつく成分はほかにもありますが、分子の形が似ているところがあるだけで、性質はまったく違います。

エタノールは、無色透明で揮発しやすい液体で、いろいろな成分をよく溶かします。一方、「ベヘニルアルコール」「ステアリルアルコール」「セチルアルコール」などは、分子の中に水酸基をもつためにアルコールと名がついているだけで、エチルアルコールとは別の成分です。こちらは固形の油分で、製品を固めたり、とろみを出したりするために使われます。

揮発する液体と固形の油分の違いは、分子の中の炭素の数によるものです。炭素の少ないものを低級アルコール、多いものを高級アルコールと呼び、低級は通常、炭素が5個以下で、エタノールは炭素2個なのでこちら側です。高級アルコールは炭素が6個以上のもので、油性の原料として扱われます。「高級」は、品質ではなく炭素の数の話なのです。

グリセリンやBGのような保湿剤も、アルコールの仲間です。分子の中にヒドロキシル基を2個以上もち、水によく溶けて肌になじみやすい液体です。また「フェノキシエタノール」は防腐剤として使われる成分で、名前は似ていても、これも別物です。

成分表で気にするなら、「エタノール」と書いてあるかどうかだけを見れば十分です。

エタノールは、溶かす・スーッとさせる・中身を守るために入っている

エタノールは、溶けにくい成分を溶かしたり、使い心地をスーッとさせたり、中身を傷みにくくしたりするために入っています。揮発しやすく、いろいろなものをよく溶かすという性質が、1つでいくつもの役に立つからです。

エタノールの5つの目的のうち、特によく使われる3つの役割です。

溶かす

香料や成分を
均一に混ぜる

スーッとさせる

蒸発するときに
熱を奪う

中身を守る

微生物を
増えにくくする

化粧品の業界団体は、エタノールを入れる目的として、清浄・防腐・収れん・清涼・可溶化の5つを挙げています。可溶化は、水にも油にも溶けにくい成分や香料、色素などを溶かし、化粧品の中に均一に混ぜることです。清涼は、エタノールが蒸発するときに熱を奪うため、使ったあとにスーッとした爽快感が残ることで、気化熱で実際に肌の温度が下がっています。防腐は、化粧品の中で微生物を増えにくくすること、収れんは肌をひきしめることです。

清浄は、ふきとり化粧水などで、肌の表面に残った皮脂や汚れ、色素などを浮かせて取り除くことです。

ふきとり化粧水のエタノールは、表面に残った皮脂や汚れを浮かせて取ります。

ふき取る前 皮脂や汚れが残る ふき取ったあと 表面がすっきりする 皮脂や汚れ 角層 表皮 真皮

ただし量には注意があり、清涼感を出そうとたくさん入れると、肌への刺激が大きくなりすぎることがあります。

エタノールは、製品の使い心地と品質を支える裏方の成分と考えるとわかりやすいです。

赤くなる人がいるのは、お酒に弱いのと同じ体質の話

アルコール入りの化粧水で赤くなったことがあると、自分の肌は弱いのかと心配になりますよね。エタノールで赤くなるのは、お酒に弱い体質と同じ酵素が関わる、体質の話です。アレルギーとは違う反応です。

枠で囲んだ「分解」の力は体質で決まり、お酒に弱い人と同じ酵素が関わっています。

肌から
吸収される
別の物質
になる
分解が
遅い
赤く
なる

エタノールを肌に塗ると皮膚から吸収され、皮膚の中の酵素によってアルデヒドに変わります。アルデヒドは、さらにアルデヒド脱水素酵素という別の酵素で分解されます。この酵素の働きが弱い、あるいは欠けていると、アルデヒドが皮膚の中にたまって毛細血管が広がり、赤みなどが出ると考えられています。塗ったところにじんましんが出ることもあります。

日本人では、約40%がこの酵素の働きが弱く、約5%は欠けているとされています。感じやすさの度合いには、酵素の働きの違いに加えて、皮膚からの吸収を左右する角層のバリア機能の個人差も関わると考えられています。アルコールのパッチテストで陽性と出た人は、アルコールフリーの製品を使うのが望ましいとされています。

つまり、誰にとっても悪いのではなく、体質によって合わない人がいるということです。

「ノンアルコール」は「ノンエタノール」の言い換え

「ノンアルコール」は、ノンエタノールの言い換えとして認められている表示です。ある成分を入れていないと表示するときは、その成分の名前を添える決まりがあり、ノンエタノールについては「ノンアルコール」と書いてもよいとされているからです。

たとえば、その決まりの例として「パラベン無添加」「ノンエタノール」が挙がっています。そのため、ノンアルコールと書いてあっても、セチルアルコールやグリセリンが入っていることがあります。これは矛盾ではなく、ルールどおりの表示です。無添加表示の決まりも、同じ基準の中にあります。

「ノンアルコール」を見たら、エタノールが入っていないという意味だと読みかえてください。

配合量の上限はないが、化粧品で手指の消毒はうたえない

エタノールには化粧品での配合量の上限はありませんが、手指の消毒は化粧品ではうたえない効能です。化粧品基準で上限が決まった成分の一覧にエタノールは載っておらず、消毒は医薬品や医薬部外品の効能にあたるからです。

化粧品基準の別表第2は、100gあたりの配合量に上限がある成分の一覧で、ここに挙がった成分はその範囲内でしか入れられません。同じエタノールでも、何をうたうかで区分が変わるというわけです。

防腐剤を使わずにつくる場合の注意にも、アルコールが出てきます。微生物が化粧品の中で増えにくいよう、できるだけ酸性にしたり、アルコールを多めに入れたりする配慮が求められています。

防腐剤が少ない製品ほど、エタノールが中身を守る役を担っていることがあると覚えておきましょう。

乾燥が気になるなら、ヒリヒリするかどうかで決めればいい

「アルコール入りは肌を乾燥させる」と聞くと、避けたほうがいいのか迷いますよね。使ってヒリヒリするなら避け、しないなら気にしなくて大丈夫です。確かなのは、たくさん入れると刺激が大きくなりすぎることがあることと、体質によって赤くなる人がいることの2つだからです。

消毒用アルコールの研修資料には、皮脂を奪う働きがあり、くり返し使うと手荒れが起きることが挙げられています。ただ、これは濃いアルコールを手指にひんぱんに使う場面の話で、化粧水に入っている量にそのまま当てはめることはできません。

エタノールは、自分の肌が合うかどうかで選べばいい成分です。

まとめ

「アルコールフリー」を選ぶこと自体は、悪い選択ではありません。避けているのがエタノールだと知っておけば、成分表を見て迷わずにすみます。

よくある質問

アルコールフリーならセチルアルコールも入っていない?

入っていることがあります。「ノンアルコール」は「ノンエタノール」の言い換えとして認められていて、避けているのはエタノールです。セチルアルコールは固形の油分、グリセリンは保湿剤で、別の成分です。

アルコール入りの化粧水で肌が赤くなるのはなぜ?

お酒に弱い体質と同じ酵素が関わっていると考えられています。肌から吸収されたエタノールからできるアルデヒドを分解する酵素の働きが弱いと、アルデヒドがたまって毛細血管が広がり、赤くなります。

アルコール入りの化粧品は肌を乾燥させる?

誰にとっても悪いわけではありません。確かなのは、たくさん入れると刺激が大きくなりすぎることがあること、体質によって赤くなる人がいることの2つです。使ってヒリヒリするなら避け、しないなら気にしなくて大丈夫です。

化粧品にアルコールが入っている理由は?

清浄・防腐・収れん・清涼・可溶化の5つの目的で入っています。汚れを浮かせて取る、中身を傷みにくくする、肌をひきしめる、蒸発するときにスーッとさせる、溶けにくい成分や香料を溶かす、という役割です。

フェノキシエタノールもアルコールの仲間?

名前は似ていますが、エタノールとは別物です。フェノキシエタノールは防腐剤として使われる成分です。

この記事で参照した情報

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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