この記事でわかること
- 海外コスメを個人輸入できる範囲
- 個人輸入品を売れない理由と並行輸入品の扱い
- 定期購入の申し込み前に見る画面
海外コスメを個人で取り寄せたり、ネットの定期購入で買ったりするとき、どこまでなら決まりの上で大丈夫なのか、不安になりますよね。
結論から言うと、個人輸入は自分で使う分だけ認められていて、輸入したものを売ることも譲ることもできません。ネット通販では、注文の最後の確認画面に分量など6つの項目を示す決まりがあるので、そこを見てから申し込めば大丈夫です。順に見ていきましょう。
自分で使う分なら、化粧品は1品目24個以内まで手続きを省ける
海外のコスメを、自分で使うために個人で取り寄せること自体は認められています。化粧品は、標準サイズで1品目24個以内なら手続きを省けます。
本来は個人輸入でも、地方厚生局に書類を出して、商売のための輸入ではないという証明を受けるのが原則です。ただ化粧品は、標準サイズで1品目24個以内なら、特例として税関の確認を受けるだけで輸入できます。海外から持ち帰る場合も同じで、税関のページにも同じ数字が載っています。
医薬品や医薬部外品は数え方が違い、塗り薬などの外用剤は標準サイズで1品目24個以内、そのほかの医薬品・医薬部外品は用法用量からみて2か月分以内、毒薬・劇薬・処方箋薬は1か月分以内です。
注意したいのは、24個は「上限」ではないということです。この範囲なら確認を省略できるという特例なので、超えるときは確認の申請が必要になります。
個人輸入したものは、売ることも譲ることもできない
余った海外コスメをフリマアプリで売ってもいいのか、迷う人は多いと思います。個人輸入したものは、ほかの人に売ることも譲ることもできず、ほかの人の分をまとめて輸入することも認められていません。個人輸入は、輸入した本人が自分で使うことが前提だからです。
輸入を代行する業者についても、日本で承認や認証を受けていない医薬品や医療機器の広告や発送を行うことは、違法な行為とされています。
実際に、インターネットで買ったクリームを使って、かぶれが起き、色素沈着も悪化した例があります。その製品には、国内では医師の処方が必要な医薬品成分が含まれていました。
個人輸入したものは自分で使う分だけにして、使って体に異変が出たときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
輸入して売るなら、化粧品製造販売業の許可が要る
化粧品を自分で輸入して売るには、化粧品製造販売業の許可が要ります。輸入した化粧品を売ることは、薬機法の「製造販売」にあたるからです。
よく聞く「化粧品販売業許可」という制度は、薬機法にはありません。薬機法の第24条は販売業の許可を定めた条文ですが、対象は医薬品だけです。化粧品で問題になるのは「販売業」ではなく「製造販売」のほうです。
薬機法第2条第13項は、製造したり輸入したりした化粧品を、売ったり、貸したり、渡したりすることを「製造販売」としています。そのため、輸入した化粧品を売るには、第12条第1項により化粧品製造販売業許可が必要です。違反すれば、第84条により3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。なお化粧品は、国の承認を受ける仕組みではなく、第14条の9により品目ごとに厚生労働大臣へ届け出る届出制です。
フリマアプリでの出品には、特定商取引法の「販売業者」にあたるかどうかの目安もあります。利益を得るつもりでくり返し取引をすることがそれにあたり、過去1か月に200点以上、または一時点で100点以上の商品を新たに出品している場合などが挙げられています。
国内の正規品を仕入れて売るのと、自分で輸入して売るのは、まったく違う話と覚えておきましょう。
「並行輸入品」は法令の言葉ではなく、規制は同じ
「並行輸入品」は法令上の区分ではなく、商売として輸入して売る以上、同じ規制がかかります。並行輸入だから決まりがゆるくなる、ということはありません。
表示にも決まりがあり、化粧品の公正競争規約の第4条は、必ず表示する事項のひとつに原産国名を挙げています。その原産国名は、施行規則第8条で、その化粧品を製造した事業所がある国の名前とされています。
見分けるときの手がかりになるのが薬機法第61条で、化粧品の直接の容器には、製造販売業者の氏名または名称と住所を書くことが求められています。日本語の製造販売業者名がない、海外のパッケージそのままの品は、国内の流通ルートに乗っていない可能性があります。
買う前に、容器に日本の製造販売業者名があるかを見てみましょう。
定期購入は、最終確認画面の6項目を見てから申し込む
お試しのつもりが定期購入だった、という話を聞くと心配になりますよね。定期購入は、申込みの最終確認画面に出る6つの項目を見てから申し込みましょう。特定商取引法の改正で、2022年6月からこの表示が義務になり、違反があれば申込みを取り消せるようになったからです。
表示が必要なのは、分量、販売価格と、送料が含まれないならその送料、代金を支払う時期と方法、商品を届ける時期、申込みの期間に決まりがあるときはその内容、申込みの撤回や解除についての事項です。根拠は第12条の6で、同じ条の第2項は、その手続きで申込みが成立することを誤解させるような表示も禁じています。
定期購入は、申し込む前に最終確認画面の表示を確かめ、画面を保存しておきます。
画面を見る
総額を見る
保存する
取り消せる
たとえば5か月分の定期購入契約なのに、1か月分の分量しか表示していなければ、分量を正しく表示していないことになります。こうした違反があれば、第15条の4により申込みを取り消せます。通信販売にクーリング・オフはありませんが、この取消権はあります。国民生活センターは、「定期縛りなし」と書いてあっても定期購入の契約かもしれないので、広告だけでなく契約条件も細かく確かめるよう呼びかけています。
最終確認画面のスクリーンショットを保存しておけば、証拠になります。
化粧品の相談は増え、危害は減っている
化粧品の相談件数は増え、危害の件数は減っています。増えているのは、体の被害よりも、契約や解約についての相談だと読めます。
全国の消費生活センターに寄せられた化粧品の相談は、2024年度の60,594件から2025年度は65,382件に増え、商品やサービスの種類別で第2位です。販売方法や手口別で見ると、2025年度は定期購入が98,455件でした。
化粧品の危害情報の件数は、2023年度から減り続けています。
一方、危害情報は2023年度から2025年度まで減り続けています。それでも危害情報全体では第1位のままで、化粧品の危害の内容は皮膚障害が93.6%を占めます。
化粧品のトラブルは、肌に合わないことと、契約の行き違いの両方に気をつけましょう。
まとめ
- 個人輸入は化粧品で標準サイズ1品目24個以内が特例の範囲。輸入したものを売る・譲る・まとめて買うことは認められていません
- 薬機法に化粧品販売業許可という制度はなく、自分で輸入して売る行為は「製造販売」にあたって許可が必要です
- 「並行輸入品」は法令の言葉ではなく、規制は同じです
- 最終確認画面には分量を含む6項目の表示が必要で、違反があれば申込みを取り消せます。通販にクーリング・オフはありません
- 化粧品の相談件数は増加、危害件数は2023年度から減り続けています
買う前に見るべきは、成分表示よりも最終確認画面かもしれません。
よくある質問
化粧品は何個まで個人輸入できる?
標準サイズで1品目24個以内なら、輸入確認を省いて輸入できます。これは上限ではなく特例の範囲で、超える場合は確認の申請が必要です。
個人輸入したコスメをフリマアプリで売ってもいい?
売れません。個人輸入したものを売る・譲る・ほかの人の分をまとめて輸入することは認められていません。
化粧品を売るのに許可はいる?
国内の正規品を仕入れて売るだけなら、薬機法の許可はいりません。自分で輸入して売る場合は「製造販売」にあたり、化粧品製造販売業の許可が必要です。
化粧品の定期購入はクーリング・オフできる?
通信販売にクーリング・オフはありません。ただし最終確認画面に分量などの表示が正しく示されていなければ、申込みを取り消せます。
並行輸入品は正規品と規制が違う?
違いません。「並行輸入品」は法令上の区分ではなく、業として輸入して売る以上、同じ規制がかかります。
この記事で参照した情報
- 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
- 厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」
- 税関 カスタムアンサー1806「医薬品・化粧品等の個人輸入について」
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)
- 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)
- 消費者庁「令和3年特定商取引法・預託法等の改正について」
- 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」
- 消費者庁「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」
- 国民生活センター「個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!-インターネット通信販売で購入した美白クリームで皮膚障害が発生-」(2023年9月6日公表)
- 国民生活センター「巧妙化する定期購入のトラブルにご注意-購入中に『さらにお得なご案内』!?-」(2026年4月28日公表)
- 国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-」(2026年8月5日公表)
- 国民生活センター「2025年度 全国の危害・危険情報の状況-PIO-NETより-」(2026年9月16日公表)
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約」第4条
- 化粧品公正取引協議会「同 施行規則」第8条(原産国名)
- 消費者庁「商品の原産国に関する不当な表示」(昭和48年公正取引委員会告示第34号)