成分辞典やさしい解説

卵由来成分と卵アレルギーをやさしく解説!化粧品の卵殻膜・リゾチーム・レシチンの違いとは?

あるコスメオタク・2026.10.18・更新 2026.10.21・成分解説

卵を食べると症状が出る体質だと、成分表に「卵」の字があるだけで、卵の殻の膜や卵白からとった成分を肌に使ってもいいのか迷いますよね。

結論から言うと、アレルギーで問題になるのは卵のたんぱく質で、主な原因は白身の側にあり、卵アレルギーのある人は使う前に主治医に相談するのが基本です。成分表での名前の見つけ方、白身と黄身の違い、食べ物の表示での扱いを順に見ていきます。卵白からとるリゾチームは、薬や医薬部外品での扱いが変わってきた成分なので、その流れもまとめました。

卵由来成分は、卵の白身・黄身・殻の膜からつくる成分

卵由来成分とは、白身や黄身、殻の内側の薄い膜など、鶏などの卵を原料にした成分の総称です。同じ卵からつくられていても、どの部分をどう取り出したかで、中身はまったく違います。

化粧品では、殻の膜のたんぱく質を細かくしたものが美容液などに、黄身などに含まれる脂質のレシチンが乳化の材料に使われます。食べ物のアレルギーを起こすのは、食べ物に含まれるたんぱく質です。たんぱく質と油の違いという考え方は大豆の記事でも取り上げているので、ここでは卵ならではの点を中心に見ていきます。

卵由来成分では、その成分に卵のたんぱく質が含まれていそうかを手がかりにすると整理しやすくなります。

卵アレルギーの主な原因は、白身のたんぱく質

卵のアレルギーは、卵白のたんぱく質が主な原因です。国の研究班がまとめた食物アレルギーの食事指導の手引きでも、そうされています。卵白の主なアレルゲンとしては、オボムコイド、オボアルブミン、オボトランスフェリン、リゾチームの4つが知られています。

4つの中で、オボムコイドは熱にも消化酵素にも強いとされます。一方、オボアルブミンは加熱で形が変わりやすく、焼き方や加熱の時間によっては食べられることがある、と手引きにあります。しっかり加熱した卵は大丈夫でも、生に近い卵では症状が出る人がいるのは、この違いのためです。ただし、これは食べるときの話で、化粧品を肌に塗る話とは分けて考えます。

黄身については、加熱した卵黄は、少し白身がついていても食べられる子どもが多いとされています。ただし、卵黄を食べて数時間後に吐くことをくり返すタイプのアレルギーもあり、黄身でも症状が出ることがあります。また、鳥の羽などを吸い込んで鳥に感作されたあとに、卵にも反応するようになる例が、まれに報告されています。

白身が中心でも黄身にも例外がある、と考えて、卵のどの部分でも卵由来として扱うのが安心です。

成分表では「卵」の1文字と、リゾチーム・レシチンを探す

卵由来の成分の多くは、成分表の名前に漢字の「卵」が入ります。化粧品は入っている成分をすべて表示するのが基本だからです。たとえば、国内で売られている美容液の成分表には「加水分解卵殻膜」という名前が見られます。

加水分解卵殻膜は、殻の内側の膜を細かくしたたんぱく質の成分です。分子量が1万を超える大きなたんぱく質が多く含まれていたという結果があり、卵の加水分解物には、アレルギーの目印になる部分が残っていることも確かめられています。一方で、これらの原料を動物の肌に使っても、アレルギーの抗体はできなかったという結果もあります。

食べる場合の話ですが、手引きでは、加工食品に使われる卵殻カルシウムは卵のたんぱく質をほとんど含まないため食べられるとされます。殻のカルシウムと殻の内側の膜は別のもので、膜はたんぱく質からできているので、卵アレルギーの人は卵由来として扱いましょう。

名前に「卵」が入らない卵由来成分もあります。その代表がリゾチーム塩酸塩で、次の章でくわしく見ます。もう一つが乳化剤などに使われる「レシチン」「水添レシチン」で、原料が卵黄か大豆かは、成分表の名前からはわかりません。リン脂質やレシチンのしくみはリポソームの記事にまとめています。

まずは成分表で「卵」の1文字と、リゾチーム、レシチンを探すのが、いちばん簡単な見つけ方です。

リゾチームは、薬と医薬部外品で扱いが見直されてきた

卵白からとるリゾチーム塩酸塩は、ここ10年ほどで、薬や医薬部外品での扱いが大きく変わった成分です。リゾチームは卵白に含まれる酵素で、卵のアレルゲンの1つでもあるからです。

医療用の医薬品では、2016年3月の国の再評価で、リゾチーム塩酸塩だけを有効成分とする飲み薬は、提出された資料から有用性が認められないとされ、回収されました。塗り薬、貼り薬、目薬はこのときの対象から外れています。同じ月の厚生労働省の通知で、一般用のかぜ薬とせき止めの薬についても、リゾチーム塩酸塩を含むものは今後新たに承認しないこととされ、すでにある薬は、この成分を除くか承認を整理するよう求められました。

医薬部外品では、2021年12月に、卵白由来のリゾチーム塩酸塩を配合したスプレーの自主回収がありました。回収の理由は、噴霧したものを卵アレルギーの人が吸い込むと、まれに症状が出るおそれがあるというものです。全成分表示に卵白由来と書き、使用を控えるよう注意も書いていたものの、周知しきれないとして回収されました。アナフィラキシー1件を含む3件の健康被害があり、いずれも一時的な症状でした。リゾチームを含むデオドラントスプレーで、卵アレルギーの子どもがアナフィラキシーを起こした例もあります。

一方、一般用の目薬には今もリゾチーム塩酸塩を含むものがあり、添付文書の「してはいけないこと」には、本剤の成分や鶏卵でアレルギー症状を起こしたことがある人が挙げられています。目薬を選ぶときも、成分を見て薬剤師に卵アレルギーを伝えましょう。

食品表示で卵は義務の品目で、化粧品とは決まりが違う

食べ物のアレルギー表示で、卵は表示が義務の「特定原材料」です。消費者庁の手引きで、表示が義務の品目に入っているからです。

手引きでは、「玉子」「たまご」「タマゴ」「エッグ」と書いてもよく、鶏卵、あひる卵、うずら卵、厚焼玉子、ハムエッグなども卵を含む表示として扱われます。対象は鶏やあひる、うずらなど、ふだん食べる鳥の卵で、魚卵や爬虫類、昆虫の卵は対象外です。白身や黄身だけを使う場合にも表示が必要で、「卵白」「卵黄」は名前に卵の字があっても、事故を防ぐために「卵白(卵を含む)」のように書く決まりです。添加物が卵からつくられているときは、「乳化剤(卵由来)」のように由来を添えます。食べる場合の目安では、鶏肉や魚卵は卵とアレルゲンが違うので、基本的に除く必要はないと手引きにあります。

化粧品は入っている成分をすべて表示する決まりで、食品のような義務か推奨かの区別はありません。成分名のあとに由来を括弧で添える国の決まりができているのは、加水分解コムギの事例を受けた小麦由来の成分です。化粧品の卵由来の成分は、「卵」の字やリゾチームという名前を手がかりに、自分で探します。

肌や髪にくり返し使って、卵アレルギーになることもある

卵の成分を肌や髪にくり返し使ううちに、卵を食べて症状が出るようになることがあります。アレルギーは、体が原因の物質を覚える感作の段階と、そのあと同じ物質にふれて症状が出る段階に分かれていて、覚える入り口は口からだけではないからです。

卵の成分を肌や髪にくり返し使ううちに、食べたときに症状が出るようになることがあります。

卵の成分を
肌や髪に
くり返し
使う
体が卵を
覚える
食べて症状
が出る

実際に、ダチョウの卵黄のエキスを配合した化粧品を使ったあとに、大人になってから卵アレルギーを発症した例があります。子どもに多い卵アレルギーが、化粧品をきっかけに大人で始まることもあるのです。卵白で手づくりしたヘアマスクをくり返し使っていた人が、卵を食べて鼻炎やのどの詰まる感じ、全身のじんましんを起こした例もあります。卵由来のたんぱく質の成分を含む化粧品で、卵アレルギーの人に重い症状が出た例もあります。

多い話ではありませんが、食べ物の成分を肌や髪にくり返し使うと、体が覚えることがあると知っておきましょう。

卵アレルギーの人は、使う前に主治医に相談する

卵アレルギーと診断されている人や、卵で症状が出たことがある人は、使う前に成分表で「卵」とリゾチームを探し、迷うときは主治医に成分表を見せて相談しましょう。卵由来の成分には、大きなたんぱく質を含むものや、吸い込んで症状が出た例があるものもあるからです。

卵アレルギーの人は、使う前に確かめ、症状が出たらすぐやめます。

成分表で
卵を探す
主治医に
相談する
異常なら
やめる
全身の症状
は119番

レシチンや水添レシチンのように由来が書かれない成分は、製造販売元に原料が卵かどうかを問い合わせると、相談の材料になります。手や顔に湿疹がある人は、とくに慎重に選びましょう。スプレーの回収の例のように、吹きつけるタイプは、使った本人だけでなく、近くにいる人が吸い込むこともあります。家族に卵アレルギーの子どもがいるときは、家族が使う製品の成分表も見ておくと安心です。卵白のパックのような手づくりの美容は成分表がないので、卵アレルギーの人は避け、ない人も肌に合わないと感じたらやめましょう。

使っていて、かゆみや赤み、はれが出たら、すぐに使うのをやめましょう。くちびるや顔のはれ、じんましんなど、塗った場所以外にも症状が出たときは、すぐに医療機関を受診してください。息苦しさ、声のかすれ、ぐったりする、意識がもうろうとするといった様子は命に関わるサインで、処方された自己注射薬があれば使い、すぐに119番に電話します。受診のときは、使っていた製品と成分表を持っていきましょう。

卵アレルギーがない人は、ほかの化粧品と同じように表示どおりに使えば大丈夫です。アレルギーがある人だけ、使う前のひと手間を忘れずに。

まとめ

卵由来成分は、美容液のたんぱく質から乳化の材料、薬の成分まで、思ったより身近なところに使われています。卵アレルギーがある人は、成分表の「卵」とリゾチームを手がかりに、気になるときは主治医と一緒に確かめてみてください。

よくある質問

卵アレルギーでも卵殻膜の化粧品は使えますか?

使う前に成分表を見せて、主治医に相談しましょう。加水分解卵殻膜は殻の内側の膜を細かくしたたんぱく質の成分で、大きなたんぱく質が多く含まれていたという結果があります。食べる卵殻カルシウムとは別のものなので、卵由来として扱うのが安心です。

リゾチームは卵アレルギーと関係がありますか?

関係があります。リゾチームは卵白に含まれる酵素で、卵のアレルゲンの1つです。2021年には卵白由来のリゾチーム塩酸塩を含む医薬部外品のスプレーが、吸い込んだ卵アレルギーの人の健康被害を受けて回収されました。目薬などにも含まれるものがあります。

化粧品のレシチンや水添レシチンは卵由来ですか?

成分表の名前だけでは、卵か大豆かはわかりません。レシチンは黄身や大豆などに含まれるリン脂質で、化粧品の成分表には由来が書かれません。気になるときは、製造販売元に原料を問い合わせて、その答えを主治医に伝えると相談しやすくなります。

食品表示で卵は義務ですか?

義務です。卵は消費者庁の区分で表示が義務の「特定原材料」の1つです。卵白や卵黄だけを使う場合も「卵白(卵を含む)」のように書きます。化粧品は入っている成分をすべて書く決まりなので、食品のような義務か推奨かの区別はありません。

卵の成分の化粧品で症状が出たら、どうすればいい?

使うのをやめて、医療機関に相談しましょう。使った製品と成分表を持っていくと、原因を探す手がかりになります。息苦しさや声のかすれ、ぐったりする、意識がもうろうとするといった全身の症状があるときは、自己注射薬があれば使い、すぐに119番に電話してください。

この記事で参照した情報

あるコスメオタクの写真

この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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