この記事でわかること
- フェルラ酸がビタミンCと一緒に入っている理由
- ビタミンC・Eと組み合わせたときの結果と、化粧品で言える範囲
- 日本の決まりと、日焼け止めの代わりにならない理由
ビタミンC美容液の成分表で、ビタミンCやビタミンEのそばによく並んでいる「フェルラ酸」。何のために入っているのか、気になりますよね。
結論から言うと、フェルラ酸がビタミンCと一緒に入っているいちばんの理由は、壊れやすいビタミンCを長持ちさせることです。米ぬかなどに含まれる植物の成分で、紫外線を防ぐ役目は日焼け止めに任せて使います。まずは、どんな成分なのかから見ていきましょう。
フェルラ酸は、米ぬかなどに含まれる植物のフェノール酸
フェルラ酸は、植物に広く含まれるフェノール酸と呼ばれる仲間の成分です。植物の中では、細胞壁をつなぎとめる役目をしています。
小麦やトウモロコシ、レタス、柑橘、ブドウなどにも含まれ、原料は米ぬかなどから取り出すほか、バニリンなどからつくる合成法もあります。米ぬか油に含まれるγ-オリザノールは、フェルラ酸が油の成分と結びついた仲間で、名前は似ていても別の成分です。
水には溶けにくく、熱い水やアルコールには溶けます。弱い酸でもあり、酸性のゲルにしたほうが色も中身も安定していたという結果があります。いっぽうで、高温や湿気、高いpH、紫外線で分解しやすく、自分自身も酸化されやすい成分です。紫外線を吸収する性質もあり、よく吸収する波長は、およそ307nmというUVBの領域にあります。
フェルラ酸は、酸化されやすく、紫外線を吸収する性質をもつ植物の成分と覚えておくと、このあとの話がわかりやすくなります。
ビタミンCと一緒に入っているのは、壊れやすいビタミンCを長持ちさせるため
フェルラ酸がビタミンCと一緒に入っているのは、壊れやすいビタミンCを長持ちさせるためです。ビタミンCそのものであるアスコルビン酸は、水の中で空気や光にふれると、酸化してすぐに壊れてしまうからです。
フェルラ酸は、枠で囲んだ「壊れる」ところを起こりにくくして、ビタミンCを長持ちさせます。
水に溶かす
ふれる
壊れる
フェルラ酸は、この「壊れる」ところに関わります。たとえば、ビタミンC15%とビタミンE1%の液にフェルラ酸0.5%を加えると、高い温度で保存しても、ビタミンCの90%以上、ビタミンEはすべてが残っていたという結果があります。0.5%という量は、液の安定と紫外線から守る力の組み合わせがいちばんよかった量として選ばれたものです。
ビタミンEも油に溶けて酸化を防ぐ成分で、酸性にしたビタミンCをビタミンEやフェルラ酸で安定させた水性の美容液は、よく知られた処方とされています。
ただし、ビタミンCの持ちは、製品のpHや容器、濃度でも変わります。フェルラ酸自身も高いpHや光、熱で分解するからです。市販の化粧品を調べると、アスコルビン酸を含む製品の多くが分解しやすかったという結果もあります。フェルラ酸はビタミンCを長持ちさせる脇役で、光や空気を通しにくい容器かどうかも一緒に見るのが安心です。
ビタミンC・Eと組み合わせると、紫外線から守る力が強まったという結果がある
ビタミンC・Eの液にフェルラ酸を加えると、紫外線から肌を守る力が強まったという結果があります。ビタミンC・Eは酸化を防ぐ成分で、フェルラ酸はその2つを壊れにくくする、という役割分担の組み合わせです。
たとえばブタの皮膚では、紫外線による赤みと、日焼けで傷んだサンバーン細胞のでき方で見た守る力が、何も塗らない肌とくらべて、ビタミンC・Eで4倍、フェルラ酸を加えると約8倍になりました。紫外線によるDNAの傷も、ほぼ見られなくなりました。ヒトの肌でも、同じ配合の液を塗っておくと、紫外線による赤みやDNAの傷、炎症に関わる物質の増え方が抑えられたという結果があります。
ただ、これは紫外線を当てたあとの肌の反応を見た研究の結果で、化粧品の効能とは別の話です。日本の化粧品としてフェルラ酸について言えるのは、「肌のキメを整える」「皮膚の乾燥を防ぐ」「肌にはりを与える」といった国が決めた範囲で、化粧品の広告では「抗酸化成分」という配合目的の表現は認められていません。組み合わせの考え方は成分の組み合わせの記事でも解説しています。
フェルラ酸は、ビタミンC・Eを支える役割分担の成分として見ておきましょう。
日本では、紫外線吸収剤として上限10%が決められている
日本の化粧品基準では、フェルラ酸は紫外線吸収剤として使える成分の表に載っていて、上限は100g中10gです。国が化粧品に入れられる成分を決めた化粧品基準に、紫外線吸収剤として使える成分だけを並べた表があるからです。
フェルラ酸が化粧品の中でになう、2つの役割です。
長持ちさせる
ビタミンC・Eを壊れにくくする
紫外線を吸収する
紫外線吸収剤として上限10%
上限の10%は、洗い流す化粧品も洗い流さない化粧品も同じで、唇など粘膜に使うことがある化粧品には配合できません。この表は、紫外線吸収剤として入れるなら上限10%という決まりで、酸化を防ぐ目的など、ほかの目的で少量入っている製品もあります。表に載っていることは、日焼け止めの代わりになる量が入っているという意味ではなく、SPFやPAは製品ごとの測定で決まります。
医薬部外品では、フェルラ酸は薬用化粧品の有効成分リストに入っていません。仲間のγ-オリザノールは、クリームや乳液の有効成分として0.05〜0.1%の前例がありますが、別の成分なので混同しないようにしましょう。
フェルラ酸は、化粧品の成分で、紫外線吸収剤としては上限10%と覚えておけば十分です。
安全性は、刺激やかぶれの報告がなく、毒性も低いとされる
フェルラ酸は、肌に使って刺激やかぶれなどの報告がなく、毒性も低いとされる成分です。フェルラ酸を肌に使ったヒトの研究をまとめると、有害事象の報告はなく、副作用は最小限とされているからです。
日本では、粘膜に使うことがある化粧品に、紫外線吸収剤として配合できないという決まりがあります。また、米ぬか由来と聞くと安心に感じますが、合成でつくる方法もあり、安全性は由来ではなく成分そのもので見るものです。
ほかの成分と同じように、赤みやかゆみが出たら使うのをやめましょう。
日焼け止めの代わりにはならず、4倍・8倍はSPFではない
紫外線吸収剤の表に載っているなら、日焼け止めの代わりになると思いますよね。でも、フェルラ酸入りの美容液は、日焼け止めの代わりにはなりません。研究で見られた守る力は、日焼け止めとは別の守り方だとされているからです。
ヒトの研究でも、日焼け止めを補う位置づけとされました。よく吸収する波長も約307nmのUVB域で、UVAの全域を覆うものではありません。「4倍」「8倍」という数字も、ブタの皮膚で赤みとサンバーン細胞から求めた守る力の倍率で、SPFではありません。
しみに働く成分と紹介されることもありますが、フェルラ酸は医薬部外品の有効成分ではないので、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」とはうたえません。
紫外線を防ぐ役目は日焼け止めに任せ、フェルラ酸入りの製品はその内側で使うものと考えましょう。
まとめ
- フェルラ酸は米ぬかなどに含まれる植物のフェノール酸で、ビタミンC・Eと一緒に入ることの多い成分です
- 一緒に入っているいちばんの理由は、壊れやすいビタミンCを長持ちさせることです
- ビタミンC・Eと組み合わせると、紫外線から守る力が強まったという結果がありますが、化粧品として言えるのは国が決めた範囲までです
- 日本では化粧品基準の紫外線吸収剤として上限10%で、粘膜に使う化粧品には配合できません
- 刺激やかぶれの報告はありませんが、日焼け止めの代わりにはなりません。4倍・8倍はSPFではありません
フェルラ酸は主役というより、壊れやすいビタミンCを支える脇役です。成分表でビタミンCの隣に見つけたら、光や空気を通しにくい容器かどうかにも目を向けてみてください。
よくある質問
フェルラ酸はビタミンCと一緒に入っていると何がいいのですか?
壊れやすいビタミンCを長持ちさせることです。ビタミンC15%とビタミンE1%の液にフェルラ酸0.5%を加えると、高い温度で保存してもビタミンCの90%以上が残ったという結果があります。ただし、ビタミンCの持ちは製品のpHや容器、濃度でも変わります。
フェルラ酸は日焼け止めの代わりになりますか?
なりません。日本の化粧品基準では紫外線吸収剤として上限10%で載っていますが、研究で見られた守る力は日焼け止めとは別の守り方で、SPFやPAは製品ごとの測定で決まります。紫外線を防ぐ役目は日焼け止めに任せてください。
フェルラ酸の「4倍」「8倍」はSPFのことですか?
違います。ブタの皮膚で、紫外線による赤みとサンバーン細胞から求めた守る力の倍率で、何も塗らない肌とくらべてビタミンC・Eで4倍、フェルラ酸を加えると約8倍になったという数字です。SPFではありません。
フェルラ酸は医薬部外品の有効成分ですか?
いいえ。薬用化粧品の有効成分リストにフェルラ酸は入っていません。仲間のγ-オリザノールにはクリームなどで0.05〜0.1%の前例がありますが、別の成分です。化粧品で言えるのは「肌のキメを整える」「皮膚の乾燥を防ぐ」などの範囲です。
フェルラ酸は安全ですか?
肌に使ったヒトの研究をまとめると、刺激やかぶれなどの有害事象の報告はなく、毒性も低いとされています。粘膜に使うことがある化粧品には、紫外線吸収剤として配合できない決まりがあります。赤みやかゆみが出たら使うのをやめてください。
この記事で参照した情報
- Lin FH, Lin JY, Gupta RD, et al. Ferulic acid stabilizes a solution of vitamins C and E and doubles its photoprotection of skin. J Invest Dermatol 2005;125(4):826-832
- Murray JC, Burch JA, Streilein RD, et al. A topical antioxidant solution containing vitamins C and E stabilized by ferulic acid provides protection for human skin against damage caused by ultraviolet irradiation. J Am Acad Dermatol 2008;59(3):418-425
- Roux J, Horton L, Babadjouni A, Kincaid CM, Atanaskova Mesinkovska N. Ferulic Acid Use for Skin Applications: A Systematic Review. J Clin Aesthet Dermatol 2025;18(5):38-42
- Zheng M, Liu Y, Zhang G, et al. The Antioxidant Properties, Metabolism, Application and Mechanism of Ferulic Acid in Medicine, Food, Cosmetics, Livestock and Poultry. Antioxidants 2024;13(7):853
- Zduńska K, Dana A, Kolodziejczak A, Rotsztejn H. Antioxidant Properties of Ferulic Acid and Its Possible Application. Skin Pharmacol Physiol 2018;31:332-336
- Wong TW, et al. Stabilization of ferulic acid in topical gel formulation via nanoencapsulation and pH optimization. Sci Rep 2020
- PubChem CID 445858 Ferulic Acid (Experimental Properties)
- Temova Rakuša Ž, Roškar R. Ascorbic Acid and Its Hydrophilic Derivatives in Commercial Cosmetics: A Cross-Sectional Study of Their Quality Control and Stability. Cosmetics 2026;13(4):195
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「γ-オリザノール」
- 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年厚生省告示第331号) 別表第4
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン 2020年版」