使い方と選び方ルール解説

育毛剤と発毛剤の区分を解説!「発毛」と「発毛促進」の違いとは?

あるコスメオタク・2026.09.22・更新 2026.10.21・使い方と選び方

ドラッグストアに育毛剤と発毛剤が並んでいると、名前が似ていて、何が違うのか、どちらを選べばいいのか迷いますよね。

結論から言うと、違いは区分で、「発毛」とうたえるのは医薬品の発毛剤だけです。薬用の育毛剤が言えるのは「発毛促進」までで、ふつうの化粧品には、育毛や発毛という言葉そのものがありません。

「発毛」と言えるのは医薬品だけ、育毛剤は「発毛促進」まで

育毛剤と発毛剤の違いは、医薬品・医薬部外品・化粧品という区分です。区分ごとに、書いてよい効能の言葉が決まっているからです。

発毛剤のミノキシジルの塗り薬は、第1類医薬品です。効能は、壮年性脱毛症における発毛、育毛、抜け毛の進行予防です。処方薬のフィナステリドとデュタステリドの飲み薬は、男性の男性型脱毛症だけが対象で、ほかの脱毛症には使えません。

いっぽう医薬部外品の育毛剤は、抜け毛を防ぎ育毛することを目的とした、塗るタイプの液剤やエアゾール剤です。書ける効能は厚生労働省の通知で決められていて、育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛です。ここにあるのは「発毛促進」であって、発毛ではありません。

化粧品になると、効能56項目のうち頭皮と毛髪に関するのは1番から16番で、育毛や発毛の語はなく、「頭皮、毛髪をすこやかに保つ」といった範囲です。「スカルプケア」も56項目にはない言葉で、商品の分類の名前です。

市販の育毛剤には、主に血行を促す成分や、栄養を補うビタミン類などが配合されています。髪をつくる毛母細胞は体の中でも特に分裂が盛んで、いつも栄養をたくさん必要としているため、血のめぐりを良くすれば毛が伸びやすくなると考えられてきたからです。

医薬品は「発毛」、医薬部外品は「発毛促進」まで。この2文字の差が、区分の境目です。

境目を越えた広告には、措置命令が出ている

この境目を越えた広告には、実際に行政の処分が出ています。育毛剤の広告について、景品表示法にもとづく措置命令が何度も出ているのです。

たとえば、医薬部外品の育毛剤が、成分の働きで短期間に見た目でわかるほど薄毛がよくなる発毛効果や、白髪が黒髪に変わる効果があるかのように示した例があります。「国が育毛効果を認可」という文言や、合成加工した使用前後の画像が問題になった例もあり、実在する人の投稿に見せかけた表示には、ステルスマーケティングの規定も適用されました。

男性型脱毛症を指すAGAなどのオンライン診療でも、定期購入になっているトラブルが多いと、国民生活センターが注意を呼びかけています。1年分の治療薬の処方を画面上で選んで、約7万円を支払ったという相談もあります。

「発毛」を大きくうたう広告を見たら、区分を確かめましょう。申し込む前には、契約内容や解約条件をよく確かめることが大切です。

学会がいちばん強く勧めるのは、医薬品の3つ

学会の診療ガイドラインで、いちばん強く勧められているのは3つで、どれも医薬品です。

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」で、行うよう強く勧める推奨度Aは、ミノキシジルの塗り薬、男性のフィナステリドの飲み薬、男性のデュタステリドの飲み薬です。

男女で扱いが違う点には注意が必要です。フィナステリドとデュタステリドの飲み薬は、男性にはAですが、女性型脱毛症には行うべきではないという推奨度Dです。ミノキシジルの塗り薬は男女ともAですが、濃度が違い、男性は5%、女性は1%です。

ほかに、アデノシンの塗布はB、t-フラバノン、カルプロニウム塩化物、ケトコナゾールの塗布は、行ってもよいという段階のC1です。同じように髪のためとうたわれていても、根拠の強さには段階があります。

飲むミノキシジルは「行うべきではない」とされている

飲むタイプなら、塗るより効きそうと思う人もいるかもしれません。飲むミノキシジルは、ガイドラインで「行うべきではない」という推奨度Dです。Dは、効かない、あるいは害があることを示す質の高い根拠がある段階です。

推奨度Dには、ミノキシジルの内服のほか、人工毛植毛術、女性へのフィナステリドやデュタステリドの内服が入っています。行わないほうがよいとされるC2には、ビマトプロストとラタノプロストの塗布、成長因子の導入や細胞移植療法が入っています。ビマトプロストはまつ毛では睫毛貧毛症の効能で承認されている成分ですが、頭髪には勧められていません。

厚生労働省も、個人輸入で注意すべき医薬品の一つとして、フィナステリドを挙げています。なお、円形脱毛症は別の病気で、「円形脱毛症診療ガイドライン 2024」という別のガイドラインがあり、推奨の尺度も1〜3と違います。

塗り薬はA、飲み薬はD。同じミノキシジルでも、評価は正反対です。

1日50〜100本の抜け毛は正常、見るのは本数より質

シャンプーのたびに抜ける髪を見ると、不安になりますよね。1日50〜100本ほど抜けるのは正常で、見るべきは本数より抜け毛の質です。髪は成長期、退行期、休止期をくり返す毛周期の結果として、必ず抜けるからです。

頭の髪は平均で約10万本あり、生え替わりのサイクルから計算すると、最も成長が盛んな頃でも1日に50〜100本ほど抜けることになります。生理的には、1日約100本が抜けるとも計算されています。

気をつけたいのは、短く細い抜け毛が増えてきたときです。成長の速度が遅くなったり、成長期が短くなったり、休止期が長くなったりして、髪が太く長く育つ前に抜けている可能性があります。

短く細い抜け毛は、髪が育つ期間が短くなっているときに増えます。

成長期が
短くなる
髪が太く
育たない
短く細い
抜け毛が増える

男性の壮年性脱毛では、成長期が少しずつ短くなり、主に前頭部や頭頂部の髪が短く細くなっていくのが特徴です。平均4〜6年ある成長期が、数か月から1年になることもあります。

壮年性脱毛では、平均4〜6年ある成長期が数か月から1年に短くなることがあります。

ふつうの成長期 4〜6年 壮年性脱毛では 数か月〜1年 0 2年 4年 6年

女性は仕組みが違い、女性ホルモンが、成長期から退行期や休止期へ移るのを抑える働きをしています。産後の抜け毛は産後すぐに見られ、6か月から1年で戻ることが多いようです。男性と女性では原因も対処も違うので、ガイドラインも男女で推奨を分けています。

抜け毛は、本数より、短く細い毛が増えていないかを見ましょう。気になるときは、皮膚科に相談すると安心です。

まとめ

広告の「発毛」と「発毛促進」の2文字を見るだけで、その製品の区分がわかります。

よくある質問

育毛剤と発毛剤の違いは?

区分が違い、「発毛」とうたえるのは医薬品の発毛剤だけです。医薬部外品の育毛剤が言えるのは「発毛促進」「育毛」「脱毛の予防」などまでで、化粧品には育毛・発毛の効能がありません。

医学的に勧められている薄毛の治療は?

学会の診療ガイドラインで最も強く勧められているのは、ミノキシジルの塗り薬と、男性のフィナステリド・デュタステリドの飲み薬です。どれも医薬品です。

飲むミノキシジルは勧められている?

いいえ、学会のガイドラインでは「行うべきではない」とされています。塗り薬のミノキシジルが最も強く勧められているのとは正反対です。

女性もフィナステリドを使える?

女性には勧められていません。フィナステリドとデュタステリドの飲み薬は、女性型脱毛症には「行うべきではない」とされています。女性に強く勧められているのは、1%のミノキシジルの塗り薬です。

1日に何本抜けたら心配?

1日50〜100本ほど抜けるのは正常です。本数よりも、短く細い抜け毛が増えてきたときは、薄毛になりかけている可能性があります。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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