成分辞典やさしい解説

水と油を混ぜるHLB値をやさしく解説!化粧水が透明な理由とは?

あるコスメオタク・2026.09.22・更新 2026.10.21・成分辞典

水と油は混ざらないはずなのに、乳液やクリームはなぜ混ざっているのか、化粧水はなぜ透明なのか、ふしぎに思いますよね。

結論から言うと、どちらも界面活性剤のおかげで、そのなじみ方を表す数字がHLB値です。HLB値は、界面活性剤が水と油のどちらになじみやすいかを表し、化粧水が透明なのは、油を包んだ粒が光の波長より小さいからです。まずはHLB値の意味から見ていきましょう。

HLB値は、水と油のどちらになじむかを表す数字

HLB値は、界面活性剤が水と油のどちらになじみやすいかを表す数字で、大きいほど水に、小さいほど油になじみます。

界面活性剤は、1つの分子の中に、水になじむ部分と油になじむ部分の両方をもっています。どちらの性質が強いかは成分によって違うので、そのバランスを、分子の形や乳化の実験の結果から数字にしたのがHLB値です。

たとえば、HLB値が大きい界面活性剤は水に溶けやすく、小さいものは油に溶けやすい、という向きになります。ただし、物理の定数のように1つに決まる値ではなく、経験にもとづく目安に近い数字なので、出し方もいくつも提案されています。

HLB値は、水寄りか油寄りかを見るためのものさしと考えるとわかりやすいです。

乳化剤が溶けるほうが、外側になりやすい

水と油を混ぜたとき、乳化剤が溶けるほうが外側になりやすい、という決まりがあります。乳化剤は、よく溶けている側の液を外側にして、もう一方を粒にして包みこみやすいからです。

水に溶ける乳化剤なら、水が外側で油の粒を包む水中油型に、油に溶ける乳化剤なら、油が外側で水の粒を包む油中水型になりやすくなります。HLB値で言いかえると、HLB値が大きい乳化剤なら水中油型、小さい乳化剤なら油中水型になりやすいということです。この型の違いは、乳液とクリームの違いにも関わっています。

ただ、これは絶対ではありません。HLB値が変わったり、水と油の量の割合が変わったりすると、外側と内側が入れかわる「転相」が起こります。たとえば、クレンジングクリームが肌の上で水中油型から油中水型に変わるのも、この転相によるものです。

乳液やクリームの外側が水か油かは、どの乳化剤を使うかで決まりやすいと覚えておきましょう。

化粧水が透明なのは、油を包んだ粒が小さいから

油性の成分が入っているのに、化粧水が白くにごらないのは意外に思いますよね。化粧水が透明なのは、油を包んだミセルという粒が、光の波長より小さいからです。

界面活性剤は、水に少し溶けているうちはばらばらです。濃くなると、水になじむ部分を外側に向けて集まり、球をつくります。こうすると油になじむ部分が水にふれなくなって安定し、球の内側に油性の成分を取り込めるようになります。この球がミセルで、ふつうは界面活性剤が百数十個ほど集まってできています。

界面活性剤は、濃くなると水になじむ部分を外に向けて集まり、ミセルになります。

うすいとき ばらばらに溶けている 濃くなると 集まって、中に油を包む 水になじむ部分 油になじむ部分 油性の成分

ミセルができはじめる濃度は、臨界ミセル濃度と呼ばれます。濃度が高いときなど特定の条件では、数が増えて棒状や板状になることもあります。こうして油を水に溶けたように見せるしくみを可溶化といい、ミセルの直径が光の波長より短いので、液は透明に見えるのです。

化粧水の透明さは、界面活性剤が集まってつくる、とても小さな粒から生まれています。

HLB値は、2種類を混ぜる割合で調整できる

HLB値は、界面活性剤を混ぜる割合を変えることで、狙った値に調整できます。何種類かを混ぜたときのHLB値は、それぞれの重さの割合とHLB値をかけて足した値になるからです。

たとえば、HLB値の大きいものと小さいものを2種類混ぜて、その比率を変えれば、間の好きな値をつくれます。この足し算で考えられる性質が、非イオン性界面活性剤が乳化剤として広く使われる理由のひとつになっています。

HLB値の出し方には4つの式があります。2つは成分の種類ごとに使い分ける式で、ほかに、水になじむ部分と油になじむ部分の数を表から当てはめる式と、それぞれの部分の分子量を使う式があります。

処方をつくる側にとってのHLB値は、混ぜて合わせるための目安の数字です。

新しい乳化法は、どれも細かい粒をつくる工夫

新しく開発された乳化法は、どれも細かい粒をつくるための方法です。乳化には本来、かき混ぜるという外からの力が必要で、温度や分子の並び方を使って、その力に頼りすぎずに細かくする工夫が重ねられてきました。

1つめの転相温度乳化は、温度で性質が変わる非イオン性界面活性剤を利用する方法です。油中水型から水中油型に変わる転相温度の近くでかき混ぜて細かい水中油型の粒をつくり、そのあと、粒どうしがくっつきにくくなる、転相温度より20〜30℃低い温度まで一気に冷やします。

転相温度乳化は、温度で乳化剤の性質を切りかえて細かい粒をつくる方法です。

転相温度の
近くにする
かき混ぜて
細かい粒に
一気に
冷やす
細かい粒が
安定する

2つめのD相乳化は温度に頼らない方法で、BGなどの多価アルコールでHLB値を調整します。保湿でおなじみのBGが、ここでも働いているのです。3つめの液晶乳化は、界面活性剤がつくる液晶の中に油を散らして抱えさせる方法です。水中油型では主にラメラ液晶が使われ、油の種類の影響を受けにくく、細かい粒ができるとされます。

方法は違っても、めざしているのは細かくそろった粒です。

「ラメラ」には、製品の中の話と肌の中の話がある

広告で「ラメラ」という言葉を見ると、同じものだと思いますよね。でも、「ラメラ液晶」は製品の中の話、「ラメラ構造」は肌の中の話で、指しているものが違います。どちらも「層が重なった形」を表す言葉で、場所が違うのです。

ラメラ液晶は、水になじむ部分と油になじむ部分をあわせ持つ分子がつくる液晶の、代表的な形のひとつです。層が重なった構造をしていて、先ほどの液晶乳化のように、製品の中で乳化に関わります。

ラメラ構造のほうは、肌のいちばん外側の角層にあります。角層は、表面の皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを守っています。このうち細胞間脂質の約50%はセラミドで、すき間の中でセラミドと水が交互に重なる構造を、ラメラ構造と呼ぶことがあります。

肌の中の「ラメラ構造」は、3つめの細胞間脂質の中にあります。

角層の下の表皮 1 2 3
  1. 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
  2. 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
  3. 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド

「ラメラ」とあったら、製品の中の話か、肌の中の話かを分けて読むのがおすすめです。

まとめ

成分表からHLB値は読み取れませんが、あのとろみや透明感は、分子の並べ方の工夫でできています。そう知っておくと、ボトルの中身の見え方が少し変わります。

よくある質問

HLB値が大きいとどうなる?

HLB値が大きいほど水になじみやすく、小さいほど油になじみやすくなります。界面活性剤が水と油のどちらになじむかのバランスを数字にしたものです。

化粧水が透明なのはなぜ?

油を包んだミセルという粒が、光の波長より小さいからです。界面活性剤が百数十個ほど集まって球をつくり、その中に油性成分を取り込んでいます。

乳液やクリームで水と油が混ざるのはなぜ?

界面活性剤が乳化剤として働き、水と油を混ざった状態にしているからです。乳化剤が溶けるほうが外側になりやすく、それで水が外側か油が外側かが決まります。

HLB値は成分表からわかる?

成分表からは読み取れません。HLB値は経験にもとづく目安の数字で、出し方にもいくつかの方法があります。

「ラメラ液晶」と「ラメラ構造」は同じ?

違うものです。ラメラ液晶は製品の中で乳化に関わる構造、ラメラ構造は角層でセラミドと水が交互に重なる肌の中の構造を指すことがあります。

この記事で参照した情報

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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