この記事でわかること
- 化粧水が透明で、乳液やクリームが白い理由
- 乳液とクリームの差と、美容液が形で決まらない理由
- 化粧水だけで終わらせない理由と、使う順番
化粧水、乳液、クリーム、美容液。全部そろえないといけないのか、どれか1つでいいのか、迷いますよね。
結論から言うと、化粧水と乳液・クリームの違いは、水と油をどんな形で肌に届けるかの違いです。乳液とクリームの差は流れるかどうかだけで、美容液は形ではなく目的でついた名前です。まずは、そもそも何を補っているのかから見ていきましょう。
違いは、水分・保湿剤・油分をどんな形で届けるか
化粧水・乳液・クリームの違いは、水分・保湿剤・油分の3つを、どんな割合と形で届けるかの違いです。この3つは、肌がもともとうるおいを保つしくみに合わせたものだからです。
肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。水分と天然保湿因子と脂質のこのバランスを、モイスチャーバランスと呼びます。
化粧品の水分・保湿剤・油分は、角層のこの3つのうるおいを補う役目に対応します。
- 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
- 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
- 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド
化粧品は、このバランスを水分、保湿剤、油分で補います。保湿剤は天然保湿因子のように水を抱える役、油分は細胞間脂質や皮脂のように水分が逃げるのをおさえる役です。
たとえば保湿剤の代表は、化粧水にも乳液にも入っているグリセリンやBGなどの多価アルコールで、化粧品の保湿剤としてもっとも広く使われているグループです。BGはグリセリンより粘りが少なく、さらっと軽い使い心地ですが、そのぶん水を抱える力ではグリセリンに劣ります。成分表の上のほうにこの2つが並んでいたら、使い心地の設計が見えてきます。
つまり、「化粧水は水分何%、クリームは油分何%」という数字で分かれているのではなく、3つをどう届けるかという技術で分かれているのです。
化粧水が透明なのは、油をとても小さな粒にして溶かしているから
化粧水にも油の成分が入っているのに、なぜ透明なのか不思議に思いますよね。化粧水が透明なのは、「可溶化」という技術で、油をとても小さな粒にして水に溶かし込んでいるからです。
可溶化は、本来は水に溶けないものを、透明で均一に溶かす技術です。界面活性剤がつくるミセルという小さな粒の中に油を取り込みます。その粒の直径が光の波長より短いので、光が散らず、濁って見えません。乳液やクリームは「乳化」という技術で、油の粒が大きいので光が散って白く見えます。
透明か白いかは、水の中にある油の粒の大きさで決まります。
化粧水は、肌を清潔にし、すこやかに保つために使う、一般に透明な液状の化粧品で、とくに水分と保湿剤を補うのが得意な形です。目的では3つに分かれます。角層に水分や保湿成分を補ってなめらかな肌を保つ柔軟化粧水、肌を一時的に引き締めて余分な皮脂をおさえる収れん化粧水、軽いメイク落としや汚れ落としに使う洗浄化粧水です。
たとえば「ふきとり化粧水」は洗浄化粧水にあたり、洗う力を高めるために、界面活性剤や保湿剤、アルコールを一般の化粧水より多く入れています。収れんは、皮脂腺や汗腺の出口のタンパク質にくっついて固め、縮ませる働きで、一時的な引き締めです。
化粧水は、油を見えないほど小さくして、水分と保湿剤を届ける形だと覚えておきましょう。
乳液とクリームの違いは、流れるかどうかだけ
乳液よりクリームのほうが油分が多くてこってりしている、と思いますよね。でも、乳液とクリームを分けているのは、流れるかどうかだけです。どちらも水と油を混ぜた同じ乳化物だからです。
流れるものが乳液、白く濁って流れない粘りをもつものがクリームと呼ばれ、油分が多いか少ないかで分ける決まった定義はありません。水と油を混ぜているのは界面活性剤で、乳化剤が溶けている側が外側になりやすいという、バンクロフトの規則という原則に沿って作られています。
役割も同じで、水分、保湿剤、油分を肌に補って、うるおいとやわらかさを保ちます。さらに、肌の表面に人工の皮脂膜をつくって守る、つまり皮脂膜のかわりをします。
ですから、乳液とクリームはどちらが優秀かではなく、感触で選んでいいのです。
美容液は、形ではなく目的でついた名前
化粧水と美容液、何が違うのか迷う人は多いと思います。美容液は、形ではなく目的で決まる名前です。ある特定の効能や効果に特化した製品をまとめて呼ぶ名前だからです。
そのため、中身は化粧水のようなものもあれば、乳液のようなものもあります。以前は、とろみのある透明や半透明の液が主流でしたが、近年は乳液状やクリーム状のものも多くなりました。
化粧水、乳液、クリームが形で一列に並ぶのに対して、美容液はそれとは別の軸にあると考えるとすっきりします。
化粧水のあとは、乳液かクリームを重ねるのが基本
化粧水をたっぷりつければ、それで十分な気がしますよね。でも、化粧水のあとは、油分を含む乳液かクリームを重ねるのが基本です。表面をおおって乾燥を防ぐのは、油分を含む側の役目だからです。
化粧水で角層に水分を補っても、表面をおおうものがなければ、水分は少しずつ逃げていきます。乳液やクリームの油分が皮脂膜のかわりに表面をおおうと、水分が逃げにくくなります。
乳液やクリームの油分は、皮脂膜のかわりに表面をおおって水分を逃がしにくくします。
この役割の違いは、医薬部外品の決まりにも表れています。厚生労働省の通知では、薬用化粧品の効能・効果の範囲が形ごとに分かれていて、肌あれを防ぐ、皮膚にうるおいを与える、といった効能は化粧水もクリームや乳液も同じです。違うのは、クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油にだけ「皮膚を保護する」「皮膚の乾燥を防ぐ」の2つが認められていることです。化粧水には、この2つがありません。
うるおいを与えるのは化粧水、保護して乾燥を防ぐのは乳液やクリーム、という分担です。
順番は、水分を入れてから油分で逃がさないようにする
使う順番は、水分を入れてから、油分で逃がさないようにするのが基本です。洗顔のあとは皮脂が減って、一時的にうるおいが足りなくなりやすいからです。
水分を入れてから、油分で逃がさないようにするのが基本の順番です。
皮脂が減る
水分を補う
でふたをする
まず化粧水でうるおいを補い、そのあと乳液やクリームで、セラミドなどの働きを補ったり油分を補ったりして、うるおいが蒸発するのを防ぎます。美容液の位置は、製品ごとに設計が違います。
ただし、順番は製品によって違うので、製品の使い方の説明が優先です。迷ったら、箱の裏を読むのが確実です。
まとめ
- 化粧品が補うのは水分・保湿剤・油分の3つ。違いは、これをどんな形で届けるかです
- 化粧水は「可溶化」、乳液・クリームは「乳化」。透明か白いかは、油の粒の大きさで決まります
- 乳液とクリームを分けるのは、流れるかどうかだけ。油分の量の定義はありません
- 美容液は形ではなく目的でついた名前。液状もクリーム状もあります
- 医薬部外品では、クリーム・乳液にだけ「皮膚を保護する」「皮膚の乾燥を防ぐ」が認められています。順番は水分を入れてから油分で逃がさないようにする、が基本です
乳液とクリームは、技術の上でも決まりの上でも同じ仲間で、違うのは手に取ったときの感触です。「どちらが優秀か」ではなく「どちらが続けやすいか」で選んでみてください。
よくある質問
乳液とクリームの違いは?
流れるかどうかの違いです。どちらも水と油を混ぜた同じ乳化物で、油分の量で分ける決まりはありません。
化粧水だけで終わらせてもいい?
油分を含む乳液やクリームを重ねるのが基本です。医薬部外品でも「皮膚を保護する」「皮膚の乾燥を防ぐ」は、クリームや乳液にだけ認められています。
化粧水はなぜ透明なの?
油の粒がとても小さく、光を散らさないためです。界面活性剤で油を溶かし込む「可溶化」という技術が使われています。
美容液は化粧水や乳液と何が違う?
美容液は形ではなく、目的でついた名前です。中身は化粧水のようなものも、乳液やクリームのようなものもあります。
化粧水・乳液・クリームを使う順番は?
水分を入れてから、油分で逃げないようにするのが基本です。ただし順番は製品によって違うので、使い方の説明に従います。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「化粧水」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「乳液」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「クリーム」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「美容液」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ジェル」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「保湿」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「モイスチャーバランス」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「収れん」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「乳化」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「可溶化」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「多価アルコール類」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「グリセリン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「1,3-ブチレングリコール」
- 日本化粧品工業会 やさしい技術解説「水と油が仲良く同居 ―乳化と可溶化―」
- 花王 スキンケアナビ「保湿の方法」
- 花王 スキンケアナビ「フェイスケアの基本ステップ」
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)別掲「薬用化粧品の効能・効果の範囲」
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
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