使い方と選び方やさしい解説

口紅の中身をやさしく解説!ティントが色を残すしくみとは?

あるコスメオタク・2026.09.22・更新 2026.10.21・選び方ガイド

この記事でわかること

  • 口紅の中身の割合と、表面に汗をかく理由
  • 口紅に使えない色素と、ティントが色を残すしくみ
  • 唇が乾きやすい理由と、荒れたときの相談先

夏に口紅の表面がぷつぷつしたり、ティントだけ色が残ったりすると、中で何が起きているのか気になりますよね。

結論から言うと、口紅はほとんどが油でできていて、ティントは染料が唇の角層に入り込む「染着」で色を残します。表面の汗も、油が多いことで起きる現象です。まずは中身から見ていきましょう。

口紅は、ほとんどが油でできている

口紅の中身は、ほとんどが油です。油性タイプの口紅は、オイルが65〜80%、ワックスが15〜25%、色材が5〜15%で、そこにごく少量の薬剤や香料が入ります。

油性の口紅は、オイルとワックスを合わせると全体の大部分が油です。

オイル 65〜80% ワックス 15〜25% 色材 5〜15%

色材は多くて15%で、残りはほぼ油です。この配合は使い心地と直結していて、ワックスを増やすと硬く折れにくくなる代わりに塗りにくくなり、さらっとしたオイルを増やすとなめらかによくのびる代わりに折れやすくなります。

中では、固まったワックスの結晶が板のように重なって細かい格子をつくり、そのすき間にオイルと色材が入り込んでいます。唇に当てると摩擦で格子が崩れて油の膜になり、この性質をチキソトロピーといいます。つやのないマットな質感にするか、透明感のあるシアーな質感にするかは、体質顔料と呼ばれる粉の量で決めます。

つまり口紅は、折れにくさとなめらかさのバランスをとった油のかたまりです。ちなみにリップクリームは、基本的に口紅から色材を除いた構成です。

表面の「汗」は、暑さで油が浮いてきただけ

表面に汗のような粒が出ると、傷んだのかと心配になりますよね。でも、この粒は「発汗」という現象で、腐敗や酸化ではありません。口紅が油性の原料を中心にできていて、高温に弱いために起きます。

30℃くらいから透明な液状の油が出てくるものもあり、温度が上がるほど粒は大きく、数も多くなります。表面が白っぽくなる発粉、いわゆるブルーミングも同じ理由で起こり、チョコレートにも見られる現象です。アイシャドーやファンデーションにもよく見られます。

発汗も発粉も、使っても問題はありませんが、見た目や使い心地は悪くなります。だから置き場所が大事で、夏の車内のような暑い場所は避けたいところです。

口紅には、使えない色素がある

口紅に使える色素は、法律で決められています。タール色素のうち、省令の別表第三部にある色素は、粘膜に使われることがない化粧品にしか使えないからです。

「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」は化粧品を2つに分け、ふつうの化粧品には別表の第一部と第二部の色素を、粘膜に使われることがない化粧品には第一部から第三部までの色素を使えるとしています。口紅に使えるのは、第一部と第二部の色素です。

たとえば第三部には、赤色401号・404号、500番台の赤色、400番台の黄色、黒色401号などが並んでいます。こうした色素は、肌に塗る化粧品には使えても、口紅には使えません。

口紅の色は、唇に使ってよい色素の中から選ばれていると思っておけば大丈夫です。色素の区分のしくみは、タール色素の記事で解説しています。

ティントは「染着」で色を残す

ティントの色が残るのは、染料が唇の角層に入り込んで色をつける「染着」というしくみを使っているからです。「ティント」は商品の呼び名で、制度上の分類ではありません。

色素のうち、水や油、アルコールなどに溶けて色を染めるものが染料で、どれにも溶けない有機の粉が顔料です。そのあいだにあるのがレーキで、水に溶ける染料を金属塩にして溶けなくしたものです。メイク用品では、染料は主に口紅に使われ、色もちをよくするのに役立っています。

ティントは、枠で囲んだ「角層に入り込む」染着で色を残します。

染料の色を
塗る
角層に
入り込む
色が
残る
少しずつ
落ちる

入り込むのは、化粧品で言える範囲の角層までです。唇についた色は時間とともに落ちていき、専用のリップクレンジングを使うとすばやく落とせます。ちなみに、カップや服に色がつく色移りは、二次付着と呼ばれます。

ティントは、角層まで入り込んだ染料の色が、少しずつ落ちていくものと考えるとわかりやすいです。

唇は、うるおいを守るしくみが少ない

唇は、顔の皮膚よりずっと乾きやすい部分です。肌のうるおいを守るしくみのうち、いくつかがもともと少ないからです。

顔の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。ところが唇の赤く見える部分には、汗腺がなく、天然保湿因子が少なく、皮脂膜もありません。皮脂腺がないうえに角層も薄いので、水分が蒸発しやすいのです。

皮脂膜のない唇は、油の膜で表面をおおうと水分が逃げにくくなります。

何も塗らない唇 水分が逃げやすい 油の膜でおおう 水分が逃げにくい 油の膜 角層 表皮 真皮

そこで役に立つのが油の膜です。表面を油でおおうと、水分が逃げにくくなります。化粧品の効能の範囲にも「口唇の乾燥を防ぐ」「口唇を保護する」などがあり、油が中心の口紅やリップクリームを塗ると、唇の表面は油の膜でおおわれます。

唇はメラニン色素もない、またはきわめて少なく、紫外線から守る力も低いとされます。日やけ止めも、顔用を流用するより、唇専用のものを使うことがすすめられています。

口に入る心配については、化粧品の原料には安全性の高いものが使われているので、誤って飲んだり食べたりしても特に危険はありません。ただし、ネイル製品や髪用の製品は例外で、飲み込んだときはすぐに受診が必要です。

唇は、油の膜でうるおいを逃がさないようにするのが手入れの基本です。

唇のかぶれの原因には、口紅も入る

唇のかぶれ、つまり口唇炎の原因として、口紅とリップクリームが挙げられています。日本皮膚科学会の接触皮膚炎診療ガイドラインでは、唇では化粧品、とくに口紅やリップクリームと、食べ物によるかぶれが多いとされているからです。

ただし、誰にでも起きるわけではありません。かぶれは、原因になる物質とその人との組み合わせで起きるものです。

荒れが続くときは、成分表示を持って皮膚科で相談するのが早道です。敏感肌の人はとくに、使っている口紅の成分表示を手元に置いておくと話が早くなります。

まとめ

色の話と、荒れの話は分けて考えるとうまくいきます。色は好きなものを、土台は唇に合うものをという選び方です。

よくある質問

口紅の表面に汗のような粒が出たら使える?

使っても問題ありません。「発汗」と呼ばれる現象で、高温で油が浮き出たものです。腐敗や酸化ではありませんが、見た目や使い心地は悪くなります。

口紅はどこに保管すればいい?

暑い場所を避けて保管しましょう。口紅はほとんど油でできていて高温に弱く、30℃くらいから汗が出てくるものもあります。夏の車内は避けたい場所です。

ティントはなぜ色が残る?

染料が唇の角層に入り込んで色をつける「染着」というしくみを使っているからです。入り込むのは角層までで、時間とともに落ちていきます。

口紅にはどんな色素でも使える?

いいえ、口紅に使えないタール色素があります。粘膜に使われることがない化粧品にだけ使える、省令の別表第三部の色素は、口紅には使えません。

口紅でかぶれることはある?

あります。唇のかぶれ、つまり口唇炎の原因として、口紅とリップクリームが挙げられています。荒れが続くときは、成分表示を持って皮膚科で相談しましょう。

この記事で参照した情報

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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