肌の基礎知識やさしい解説

唇のしくみをやさしく解説!皮脂膜がなく角層が薄い理由とは?

あるコスメオタク・2026.09.22・更新 2026.10.22・肌の基礎知識

顔の肌と唇は、色も手ざわりもまったく違いますよね。唇はふつうの皮膚と何が違うのか、気になる人は多いと思います。

結論から言うと、唇は皮膚から口の中の粘膜へ移り変わる境目の部分で、角層がきわめて薄く、皮脂膜も汗腺もありません。そのため表面の水分は少なく、すぐ下を通る血管の色が透けて赤く見えます。まずは、唇がどこからどこまでなのかを見ていきましょう。

「くちびる」は、皮膚と粘膜の境目にある赤唇縁

私たちが「くちびる」と呼んでいるのは、皮膚から口の中の粘膜へ移り変わる境目の、赤唇縁(せきしんえん)という部分です。唇は、外側の皮膚部、まん中の赤唇縁、内側の粘膜部の3つでできているからです。

下唇を縦に切った断面です。

赤唇縁 皮膚部 粘膜部 口唇腺 毛細血管 顔の外側 口の中

皮膚部はふつうの皮膚です。粘膜部は平たい細胞が何層も重なってできていますが、角化しておらず(かたい角層をつくらず)、角層や顆粒層がありません。唇は、角化するものと角化しないものの、2種類の重層扁平上皮(平たい細胞が何層も重なった上皮)でできています。

唇の内側には口唇腺(こうしんせん)という小さな唾液腺があり、唾液を出して唇の内側に湿り気を与えています。また、毛をつくる毛包はほぼ全身の皮膚にありますが、唇にはありません。唇は、皮膚とも粘膜とも違う、境目ならではの部分です。

赤唇縁の角層はきわめて薄く、細胞もできあがりきっていない

赤唇縁は、表皮は厚いのに、いちばん外側の角層がきわめて薄くなっています。頬の角層は約10層ですが、赤唇縁の角層はそれよりずっと薄いのです。

しかも、唇の表面の細胞は頬の角層の細胞より大きく、核が残った不全角化(角化の途中で核が残っている状態)の細胞です。角層の細胞が十分にできあがっていないことが、唇の表面の守りが弱い理由とされています。

頬と唇の断面です。矢印は、表面から逃げる水分です。

頬 唇の赤唇縁 皮脂膜 真皮 表皮 角層

実際に、唇は頬と比べて、表面から逃げる水分の量がほぼ3倍、表面の水分量は約3分の1だったという結果があります。唇の角層は、薄いうえに、守る力も弱いのです。

唇には皮脂膜も汗腺もなく、うるおいを守るしくみが少ない

唇には、肌の表面をおおう皮脂膜がなく、汗を出す汗腺もありません。皮脂膜は、皮脂と汗がまざってできる膜だからです。

顔の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子(角層の細胞の中にある、水をつかまえる成分)、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで、水分を保っています。くわしくはモイスチャーバランスの記事で解説しています。唇では、このうち皮脂膜がなく、天然保湿因子も少なめです。

角層が薄いことに加えて、表面の膜もない。唇は、水分を保つしくみが顔の肌よりずっと少ない部分です。

唇が赤いのは、血の色が透けて見えるから

唇の赤は、色素の色ではなく、血の色が透けて見えている色です。赤唇縁は角層がとても薄く、透明度が高いからです。

さらに表皮のすぐ下には、真皮乳頭(真皮が表皮に向かって突き出た部分)が背高く並び、そこに多くの毛細血管が入りこんでいます。血液の色が表面の近くまで来ているので、唇は赤く見えます。

血流の状態がそのまま色に出るので、唇の色は体調の目安にもなります。貧血では赤みが薄くなり、チアノーゼ(血液の中の酸素が足りない状態)では紫がかった色に変わります。一方で、唇はメラニン色素をほとんど持っていません。メラニンは紫外線から肌を守る色素なので、唇は紫外線の影響を受けやすいと考えられています。唇の赤さは、角層が薄く、色素が少ないことのあらわれです。

唇は皮膚より速く入れ替わり、年齢とともに薄くなる

唇は、皮膚よりもターンオーバー(細胞が生まれて入れ替わる流れ)が速いとされています。唇も表皮の仲間なので、同じように細胞が生まれては入れ替わっているからです。

肌の表皮では、いちばん下の基底層で生まれた細胞が押し上げられ、角層になってはがれ落ちます。このしくみはターンオーバーの記事で解説しています。唇では、この入れ替わりが皮膚より速く進みます。

年齢を重ねると、唇は厚みが減って平らになり、赤みも減っていきます。唇は、速く入れ替わりながら、年齢とともに形も色も変わっていく部分です。

まとめ

唇は、皮膚と粘膜のあいだにある、からだの中でも特別なつくりの場所です。角層の薄さ、膜のなさ、血管の近さを知っておくと、唇の色や手ざわりの理由が見えてきます。

よくある質問

唇はどこからどこまで?

ふだん「くちびる」と呼んでいるのは赤唇縁という部分です。唇は外側の皮膚部、まん中の赤唇縁、内側の粘膜部の3つでできていて、赤唇縁は皮膚から粘膜へ移り変わる境目にあります。

唇の角層は顔の肌とどう違う?

唇の赤唇縁の角層はきわめて薄く、頬の角層の約10層よりずっと薄くなっています。表面の細胞も核が残った、できあがりきっていない細胞です。

唇には皮脂膜や汗腺がある?

ありません。唇には表面をおおう皮脂膜も汗腺もなく、毛包もありません。角層の中で水を抱える天然保湿因子も少なめです。

唇が赤いのはなぜ?

色素の色ではなく、血の色が透けて見えるからです。角層がとても薄く透明度が高いうえ、すぐ下の真皮乳頭に毛細血管がたくさん入りこんでいます。

唇は皮膚より早く生まれ変わる?

はい、唇は皮膚よりもターンオーバーが速いとされています。一方で、年齢とともに唇の厚みは減って平らになり、赤みも減っていきます。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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