この記事でわかること
- 「赤色201号」の番号の桁が表しているもの
- 化粧品の色をつくる染料・顔料・パールのしくみ
- 業界が控えている色素と、成分表の「+/−」の読み方
成分表で「赤色201号」「黄色4号」「青色404号」のような番号を見かけると、何の番号なのか、肌に塗っても大丈夫なのか、気になりますよね。
結論から言うと、番号の桁は、その色を使ってよい範囲を表しています。1〜2桁の色は幅広く使え、200番台は化粧品に使え、400・500番台は口紅や目もとには使えません。どの番号も、国が決めた範囲の中で使われている色です。
番号の桁は、その色を使ってよい範囲を表している
「赤色◯号」の番号の桁は、その色を使ってよい範囲ごとのグループを表しています。タール色素は、国の省令で使える範囲ごとに3つのグループに分かれていて、番号の桁がそのグループと対応しているからです。
番号の桁を見れば、その色を使ってよい範囲がわかります。
1〜2桁
すべての医薬品等に使える
200番台
化粧品と外用薬に使える
400・500番台
口紅や目もとには使えない
決まりのもとは、昭和41年の厚生省令第30号「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」です。別表が第一部・第二部・第三部に分かれています。
第一部は、赤色2号、黄色4号、青色1号などの1〜2桁の色素で、すべての医薬品等に使えるグループです。食品にも使われている色素が並んでいます。第二部は、赤色201号、だいだい色201号、青色205号などの200番台で、外用の医薬品と化粧品に使えるグループです。化粧品でいちばんよく見るのがここです。第三部は、赤色401号や青色404号などの400番台と500番台で、粘膜に使われないものにだけ使えるグループです。
省令では、口紅のように粘膜に使う化粧品には第一部と第二部、粘膜に使わない化粧品には第一部から第三部までが使える、という形になっています。つまり、400・500番台の色素は口紅や目もとの製品には使えない、と番号の桁から読みとれます。
化粧品の色は、溶ける染料と溶けない顔料でできている
化粧品の色をつくる材料は、大きく分けると、溶ける染料と溶けない顔料です。溶けるか溶けないかで、色のつき方や使い道が変わるからです。
色の材料は、有機合成色素、天然色素、無機顔料、高分子粉体の4つに分けられ、このうちタール色素にあたるのが有機合成色素です。染料は水や油、アルコールなどに溶け、化粧品の中で溶けた状態で色をつけます。有機顔料は、溶ける部分をもたないので、水にも油にも溶けない色のついた粉です。もうひとつの形がレーキで、水に溶ける染料を金属の塩にして、あえて溶けないようにしたものです。
無機顔料は、役割が3つに分かれます。タルクやマイカなどの体質顔料は、色をつけるというより使い心地や光沢を整えます。ベンガラや黄酸化鉄などの着色顔料は色合いを整え、酸化チタンや亜鉛華などの白色顔料は、色を整えるだけでなくしみやそばかすを隠すのにも使われます。酸化チタンや酸化亜鉛のごく細かい粒は紫外線を防ぐのにも使われ、同じ成分が色をつくる役と紫外線を防ぐ役を兼ねています。
パールのきらめきは、色素ではなく膜の厚さで出ています。真珠のような光沢を出す顔料には、主に酸化チタンでおおった雲母、つまり雲母チタンが使われています。
パールの色は、色素ではなく酸化チタンの膜の厚さで決まります。
うすい板
でおおう
変える
変わる
シャボン玉が光の干渉で虹色に見えるのと同じで、酸化チタンの膜の厚さを変えると、見える色が変わります。ラメも同じしくみで、光の曲がり方が違う樹脂を交互に重ねて色を出しています。色が溶けるか、溶けない粉か、膜の厚さか、と色の出し方は材料ごとに違うと覚えておきましょう。
赤色219号と黄色204号は、髪と爪だけに使える
赤色219号と黄色204号は、髪と爪だけに使う化粧品に限って入れられる色素です。国の化粧品基準の第4項で、この2つが名指しで決められているからです。
この2つは第二部の200番台に入っていて、番号だけ見ると化粧品に使える色素です。それでも、肌には使わない別扱いになっています。
ヘアカラーやネイルの成分表でこの番号を見かけたら、そこにしか使えない色だからそこにあると考えてください。
83色素のうち20色素は、業界が使うのを控えている
省令で使えるタール色素は83色素ですが、そのうち20色素は、業界が自分たちの決まりで使うのを控えています。法律で使える色と、実際に使われている色は同じではないのです。
棒の長さは色素の数です。省令が認める83色素のうち、20色素は業界が使うのを控えています。
83色素の内訳は、第一部が11、第二部が47、第三部が25です。日本化粧品工業会は、このうち20色素の使用を控えることを自主基準として決めていて、タール色素に含まれる特定芳香族アミンなどの不純物にも管理値を設けています。
この取り組みは1970年に化粧品用タール色素の自主規制として始まりました。2017年に赤色501号などの3色、2019年に赤色205〜208号と404号の5色が控える色に加わり、2024年にもタール色素の自主基準のリストと、特定芳香族アミンの管理値についての通知が出ています。
化粧品の色のルールは、法律の決まりと、業界の自主基準の2つの層でできていると考えるとわかりやすいです。
成分表の「+/−」は、シリーズの色素をまとめて書いた印
口紅やアイシャドウの成分表の途中に「+/−」があって、何の記号だろうと思った人も多いと思います。「+/−」は、色ちがいのシリーズに入っている色素を、まとめて並べたという印です。
色の成分は、成分表でも特別な扱いです。業界の全成分表示の自主基準では、着色剤以外の成分を多い順に書いたあと、着色剤を順不同でまとめて書けます。さらに同じ自主基準で、「+/−」のあとに、そのシリーズの製品に入っている着色剤をすべて書いてよいとされています。
「+/−」のあとの色素は、シリーズ全体の色素をまとめたもので、1色に全部入っているとは限りません。
シリーズ
色素
書く
ではない
色番号ごとに成分表を刷り分けなくてすむようにするためのしくみです。「+/−」のあとの色素は、その1色に全部入っているわけではないと読んでおきましょう。
まとめ
- タール色素の番号の桁は、使える範囲を表します。400・500番台は口紅や目もとには使えません
- 化粧品の色は、溶ける染料と溶けない顔料でできています。パールは酸化チタンの膜の厚さで色を出します
- 赤色219号と黄色204号は、髪と爪だけに使う化粧品に限って入れられます
- 省令で使える83色素のうち、20色素は業界が使うのを控えています
- 成分表の「+/−」は、シリーズに入っている色素をまとめて書いた印です
赤色201号と赤色401号は、名前は似ていても使える場所が違います。成分表で色の番号を見かけたら、まず桁を見てみてください。
よくある質問
「赤色201号」の番号にはどんな意味がある?
番号の桁が、その色を使ってよい範囲を表しています。1〜2桁はすべての医薬品等に、200番台は外用の医薬品と化粧品に、400・500番台は粘膜に使われない製品にだけ使えます。
400番台の色素は口紅に使える?
使えません。400・500番台は粘膜に使われない製品にだけ使える色素なので、口紅や目もとの製品には入れられません。
ヘアカラーやネイルでしか見ない色素があるのはなぜ?
赤色219号と黄色204号は、髪と爪だけに使う化粧品に限って入れられると決められているからです。番号は化粧品に使える200番台でも、肌には使えない別扱いです。
法律で使える色素はすべて使われている?
いいえ。法律で使える83色素のうち20色素は、業界が自主基準で使うのを控えています。この取り組みは1970年から続き、2024年にも新しい通知が出ています。
成分表の「+/−」は何の記号?
色ちがいのシリーズ製品に入っている着色剤を、まとめて並べたという印です。その色の製品に、並んだ色素が全部入っているわけではありません。
この記事で参照した情報
- 医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和41年8月31日 厚生省令第30号)
- 厚生労働省法令等データベース「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(別表を含む)
- 化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- 日本化粧品工業会 やさしい技術解説「肌を彩る ―化粧品に配合される色材―」
- 日本化粧品工業会 やさしい技術解説「肌を美しく見せる ―ファンデーション―」
- 日本化粧品工業会 やさしい技術解説「粒子を細かく、均一に ―分散―」
- 日本化粧品工業会「タール色素に関する自主基準」
- 日本化粧品工業会「化粧品の全成分表示の記載方法に関する自主基準」(2018年7月31日)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」(2020年版)
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「色調調整剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「無機顔料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「有機顔料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「無機着色顔料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「白色顔料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「体質顔料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「染料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「レーキ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ファンデーション」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「分散」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「干渉色」