この記事でわかること
- メイクを落とさずに寝るのがよくない理由
- ニキビがあるときのメイクの考え方
- 角栓とメイク汚れの関係
疲れて帰った夜、「メイクを落とさずに寝ると肌が老ける」という話を思い出して、本当なのか不安になりますよね。
結論から言うと、メイクは落としたほうがいいのですが、理由は「老ける」ではありません。肌に残った汚れが時間とともに変わって、肌を刺激することがあるからです。落とし方の基本と、ニキビや角栓、ターンオーバーの本当の話を順番に見ていきましょう。
メイクは落とす。残った汚れが変化して肌を刺激するから
メイクは、その日のうちに落とします。肌の上に汚れが残っていると、日光や酸素などで汚れの成分が変化して、肌を刺激することがあるからです。
メイクを落とすのは、枠で囲んだ「汚れが残る」ところをなくすためです。
肌に残る
変化する
刺激する
メイクのように油性成分の多いものを落とすのがクレンジングで、その働きは基本的に、油性の成分を油に溶かして落とすというものです。メイク落としやクレンジング剤とも呼ばれ、毎日の暮らしの中で肌についた汚れを取り除き、清潔な肌にするための洗顔料の仲間にあたります。
ただし、強く洗うのは逆効果です。ゴシゴシ強く洗うと肌を傷めることがあり、洗ったあとの肌は乾燥しやすくなっているので、保湿などのスキンケアは早めに行うことがすすめられています。
いちばん気をつけたいのは、枠で囲んだ「落とす」ときにこすらないことです。
落とす
する
すすぐ
保湿
メイク落としで落とし、洗顔してすすぎ、早めに保湿する、という流れです。落とすことと、こすらないこと、そのあと保湿することは一組と覚えておきましょう。
ニキビがあっても、メイクはやめなくていい
ニキビがあると、メイクで悪くならないか心配になりますよね。でも、ニキビがあっても、メイクをやめる必要はありません。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」は、メイクを禁じておらず、条件つきで化粧の指導をすすめているからです。
ガイドラインでは、ニキビのある女性に、生活の質を上げることを目的とした化粧指導を選択肢のひとつとしてすすめています。そのうえで、刺激が少なくニキビのもとになりにくい化粧品を選ぶといった配慮が必要だとしています。
洗顔については、同じガイドラインで1日2回がすすめられています。ニキビは不潔にしているからできるわけではなく、余分な皮脂や汚れを落とすために毎日の洗顔は必要ですが、強くこすったり、1日に5回も10回も洗ったりする必要はありません。メイクをしているなら、先にメイク落としでメイクを落とし、そのあとに洗顔します。オイルクレンジングでもかまわず、そのあとの洗顔とすすぎでオイルは肌に残りません。
ニキビがあるときは、刺激の少ない化粧品を選び、1日2回やさしく洗う。これがメイクとの付き合い方の基本です。
角栓はメイクの残りではなく、はがれなかった角層
毛穴の白いつまりを見ると、ファンデーションが残っているのかと思いますよね。でも、角栓はメイクの残りではなく、はがれるはずの角層がはがれずにたまったものです。皮膚が角質になる働きが行きすぎる、角化の亢進でできるからです。
角栓は、毛穴の入り口ではがれなかった角層が積み重なってできます。
はがれない
硬くなる
出口がつまる
毛穴の入り口の部分で角化が進みすぎると、はがれるはずの角層がはがれにくくなって積み重なり、厚く硬くなります。これが角栓で、ニキビができる過程のいちばん初めの毛穴づまりの原因となり、皮脂が出ていくのを妨げて、ニキビのもとになる面皰をつくります。
肌にいる菌も同じで、いること自体は問題ではありません。常在菌とは、健康な人の皮膚の表面にふつうにいる菌のことで、アクネ菌もどんな毛穴にもいる常在菌ですが、数が増えると炎症を起こします。
毛穴に詰まる白いものは、ファンデーションではなく、角層と皮脂の話です。
ターンオーバーは、28日ではなく約6週間
ターンオーバーは28日、と聞いたことがある人は多いと思います。表皮のターンオーバーは、合計で約6週間です。細胞が角層にたどり着くまでの時間と、角層にとどまってはがれ落ちるまでの時間を足したものだからです。
生まれてからはがれ落ちるまで、合わせて約6週間です。
生まれる
角層へ
はがれる
いちばん下の基底層で生まれた細胞が角層にたどり着くまでに約4週間、角層にとどまってはがれ落ちるまでに約2週間かかり、合わせて約6週間になります。よく言われる「28日周期」に近いのは、このうち角層にたどり着くまでの約4週間の部分です。
肌の生まれ変わりは、約4週間+約2週間で、約6週間と覚えておきましょう。
肌が荒れた場所から、原因の製品の見当がつく
肌が荒れたとき、どの製品が原因なのか迷いますよね。症状が出た場所から、原因の製品の見当をつけられます。日本皮膚科学会の「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」に、症状が出た部位と化粧品を対応させた表があるからです。
表によると、顔全体に左右対称に出たときは下地クリーム、乳液、ファンデーション、化粧水、パック剤、まぶたならマスカラ、アイライナー、アイシャドー、ネイル化粧品、頬なら頬紅、唇の炎症なら口紅とリップクリーム、首なら香水やオーデコロン、爪のまわりならネイル化粧品が候補です。ネイル化粧品がまぶたに出るのは、触れた手を介するためと考えられ、塗った場所と症状が出る場所は一致しないことがあります。
成分でいちばん多い原因は香料で、化粧品による皮膚炎の原因の30%以上を占めます。また使い方では、たくさん使うこと、擦り込むこと、重ね塗りが、肌トラブルの要因として挙げられています。使っている最中や使ったあとに、ほてり、かゆみ、赤み、痛み、腫れなどが肌に出たら、それが合わないときのサインです。
荒れた場所を手がかりに製品を見直し、落とすときもこすらず、重ねすぎないことが共通の注意です。
まとめ
- メイクを落とすのは、残った汚れが日光や酸素で変化して肌を刺激することがあるからです
- ニキビがあってもメイクはやめなくてよく、刺激の少ない化粧品を選びます。洗顔は1日2回がすすめられています
- 角栓は、はがれなかった角層が積み重なったもので、メイク汚れの塊ではありません
- ターンオーバーは約6週間。28日に近いのは「角層にたどり着くまでの約4週間」の部分です
- 化粧品による皮膚炎は出た場所から原因の見当がつけられ、原因の30%以上は香料です
落とすことは大事ですが、こすらないこととそのあと保湿することまで含めて一組です。この3つだけ意識すれば、毎晩のメイク落としは十分です。
よくある質問
メイクを落とさずに寝ると老ける?
落とす理由は「老ける」ではなく、残った汚れが肌を刺激することがあるためです。汚れの成分が日光や酸素で変化して、肌を刺激することがあります。
ニキビがあるときはメイクをしないほうがいい?
やめる必要はありません。皮膚科の学会のガイドラインは、刺激が少なくニキビのもとになりにくい化粧品を選ぶなどの配慮をしたうえで、化粧指導を選択肢のひとつとしてすすめています。
オイルクレンジングは肌に残る?
そのあとの洗顔とすすぎで、オイルは肌に残りません。メイクをしているときは、メイク落としのあとに洗顔をします。
洗顔は1日何回がいい?
ニキビの診療ガイドラインでは、1日2回がすすめられています。5回も10回も洗う必要はなく、強くこすらないことが大切です。
毛穴の角栓はメイクの残り?
いいえ、角栓ははがれるはずの角層がはがれずにたまったものです。ファンデーションが固まったものではなく、角層と皮脂の話です。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「洗顔料」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「洗浄剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「洗浄性」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ターンオーバー」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角化」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角栓」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮脂」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮脂膜」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮膚常在菌」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「面皰」
- 日本化粧品工業会「肌の汚れを落とす ―洗浄料―」
- 日本化粧品工業会「化粧品Q&A」
- 日本化粧品工業会 エッセイ 林伸和(虎の門病院皮膚科部長)「にきびとそのケア」
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(日本皮膚科学会雑誌133巻3号)
- 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」(日本皮膚科学会雑誌130巻4号)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび Q3」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび Q18」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび Q20」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび Q24」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 国民生活センター「化粧品の危害」
- 国民生活センター『国民生活』2025年9月号「化粧品を選ぶ前に知っておきたい知識 最終回 化粧品を安全に選ぶには」(松永佳世子)