この記事でわかること
- ナイアシンアミドが肌の中のどこに働くのか
- 研究で使われてきた濃さと、10%・20%の考え方
- 赤みやほてりと処方の関係、日本の決まり
ナイアシンアミドの美容液には2%、5%、10%、20%といろいろな濃さがあって、何%を選べばいいのか迷いますよね。
結論から言うと、目安は2〜5%です。しみやシワ、皮脂を調べた研究で使われてきたのはこの範囲が中心で、数字の大きさより、肌に合って続けられるかで選ぶのがおすすめです。まずは、ナイアシンアミドが肌の中で何をしているのかから見ていきましょう。
ナイアシンアミドは、肌あれ・しみ・シワの原因にそれぞれ働く
ナイアシンアミドは、肌あれ、しみ、シワという原因の場所が違う悩みに、それぞれ働く成分です。医薬部外品の有効成分として、この3つの効能が認められているからです。
肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。このすき間の脂が減ると水分が逃げて、肌があれやすくなります。
ナイアシンアミドには、このセラミドをつくる働きを高めることが報告されています。すき間の脂が満たされると、角層が水分を保ちやすくなり、肌あれを防ぐことにつながります。
ナイアシンアミドは、角層のすき間を埋めるセラミドをつくる働きを支えます。
しみは、紫外線を浴びてできたメラニンという色の粒が、まわりの細胞に渡されてたまることでできます。ナイアシンアミドは、この「渡される」ところを遅らせることがわかっています。
ナイアシンアミドは、枠で囲んだ「まわりの細胞に渡される」ところを遅らせます。
浴びる
できる
渡される
しみになる
シワについては、医薬部外品の有効成分として「シワを改善する」効能が認められています。働く場所が3つあるので、何%がよいかも、どの悩みに使うかで変わります。
研究で使われてきた濃さは、2〜5%が中心
顔に塗る研究で使われてきたナイアシンアミドの濃さは、2%、4%、5%が中心です。この範囲で、しみやシワ、皮脂に結果が出ているからです。
たとえば、5%を入れた保湿剤を塗ると、小ジワ、しみ、赤いまだら、黄ぐすみが減り、肌の弾力の値も上がったという結果があります。4%を入れた化粧品では、目もとのシワが目立ちにくくなったという結果があり、4%で肝斑というしみが薄くなったという結果もあります。
しみでは、5%を入れた保湿剤で入れていないものよりしみが減り、2%ではその差が出なかったという結果があります。いっぽう皮脂では、2%を入れた保湿剤で、皮脂の出る速さが下がったという結果があります。
つまり、しみなら5%、皮脂なら2%からというように、目的によって目安の濃さが変わります。
10%や20%は、数字より肌に合うかで選ぶ
10%や20%と書かれていると、濃いほどよく効きそうだと思いますよね。でも、10%や20%の商品は、数字の大きさより、肌に合うかどうかで選ぶのがおすすめです。研究で結果が出ているのは主に2〜5%で、濃い商品はそれより多くのナイアシンアミドを肌にのせることになるからです。
10%では、ナイアシンアミド10%にビタミンC誘導体とヒアルロン酸を合わせた化粧品で、肝斑というしみが薄くなり、重い副作用は出なかったという結果があります。ただしこれは、ほかの成分と合わせた化粧品での結果です。
濃い商品を使うなら、肌に合うかを確かめながら、少しずつ取り入れると安心です。
赤みやほてりには、濃さより処方が関わっている
ナイアシンアミドは刺激が少ないほうの成分で、赤みやほてりには、濃さより処方のつくり方が関わっています。ナイアシンアミドは熱や酸で分解して、肌を赤くすることのあるニコチン酸に変わるからです。
化粧品成分の安全性を評価する専門家の委員会は、10%までの濃さでしみる感じは出なかったとし、化粧品での使われ方なら安全と結論づけています。研究をまとめた総説でも、ふだん使われる5%未満の濃さでは、肌によくなじむとされています。
それでも、刺激がまったく出ないわけではありません。4%を塗った肝斑の研究でも、赤みやかゆみ、ヒリヒリ感が出た人がいました。
ニコチン酸は血行をよくする働きがあり、肌の上で出ると赤くなったり、熱く感じたりすることがあります。顔用の製品を調べると、肌に合いにくかった処方のほうがナイアシンアミドが濃いわけではありませんでした。そして、45℃を超える温度で配合した処方ではニコチン酸が多く残り、45℃以下で配合した処方では少なくおさえられていました。
枠で囲んだ「熱や酸にふれる」ところを避けて、45℃以下で配合した処方では、ニコチン酸が少なくおさえられていました。
ふれる
変わる
ほてり
赤みやほてりが出たら、使うのをやめて様子を見ましょう。また使うなら、%を下げるだけでなく、処方の違う商品に変えてみるのも1つの方法です。
表示の%は、ナイアシンアミドそのものの量
商品に書かれた%は、ふつうナイアシンアミドそのものの量です。ナイアシンアミドは、形を変えた誘導体として使われることが少ないからです。
名前は、化粧品の全成分表示では「ナイアシンアミド」、医薬部外品の有効成分では「ニコチン酸アミド」と書かれます。どちらも同じ成分です。
いっぽう、ナイアシンとも呼ばれるニコチン酸は、名前は似ていますが別の成分です。先ほどのように、ナイアシンアミドが熱や酸で分解すると、このニコチン酸に変わります。
成分表で見るときは、ナイアシンアミドとニコチン酸アミドは同じ、ニコチン酸は別と覚えておきましょう。
日本の化粧品に上限はなく、医薬部外品の分量は承認で決まる
日本の化粧品では、ナイアシンアミドを入れてよい量に国の上限はありません。化粧品に入れてよい量の上限を決めた国の化粧品基準に、ナイアシンアミドは載っていないからです。
上限のない成分は、企業が自分の責任で安全性を確かめたうえで配合するしくみです。そのため何%入れるかは、商品ごとに企業が決めた数字です。上限がないことは、何%入れても安全という意味でも、国がすすめる濃さがあるという意味でもありません。
医薬部外品では、ナイアシンアミドは有効成分として「シワを改善する」「メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」、そして肌あれ・あれ性の効能が認められています。医薬部外品の有効成分は、何%入れるかが承認の審査で決まります。薬用化粧品の有効成分の前例をまとめた国のリストには、ニコチン酸アミドが化粧水で0.1〜5%の例として載っています。
決まった効能を求めるなら、濃さの数字ではなく、医薬部外品の表示を見て選びましょう。
選ぶときは、2〜5%を目安に、続けやすさで考える
ナイアシンアミドを選ぶときは、2〜5%を目安にして、肌に合って続けられるものを選びます。塗っている間に結果が出る成分なので、続けられることがいちばん大切だからです。
実際に、しみの研究では、塗るのをやめると、入れていないものとの差が少しずつ小さくなっていったという結果があります。高い商品を短い間だけ使うより、無理なく使い続けられる濃さと価格の商品のほうが向いています。
ほかの美容成分の配合量と同じように、%は選ぶときの手がかりの1つです。目的に合う濃さ、肌に合う処方、続けやすさの3つで選んでみてください。
まとめ
- ナイアシンアミドは、セラミドをつくる働きを高めて肌あれを防ぎ、メラニンが渡されるのを遅らせてしみに働きます
- 研究で使われてきた濃さは2〜5%が中心で、しみでは5%、皮脂では2%で結果が出ています
- 10%や20%は、数字の大きさより肌に合うかで選びます
- 赤みやほてりには、ニコチン酸が残りやすい処方が関わっています
- 日本の化粧品に上限はなく、医薬部外品の分量は承認の審査で決まります
数字の大きさより、試されてきた濃さと、自分の肌が無理なく続けられるかを手がかりに選んでみてください。
よくある質問
ナイアシンアミドは何%がいいですか?
目安は2〜5%です。研究で使われてきたのはこの範囲が中心で、しみでは5%、皮脂では2%で結果が出ています。目的に合わせて選びましょう。
ナイアシンアミドは10%や20%のほうが効きますか?
数字の大きさより、肌に合うかで選ぶのがおすすめです。研究で結果が出ているのは主に2〜5%で、濃い商品を使うときは、肌に合うかを確かめながら少しずつ取り入れましょう。
ナイアシンアミドはやめるとどうなりますか?
しみの研究では、塗るのをやめると、入れていないものとの差が少しずつ小さくなっていきました。無理なく続けられる濃さと価格のものを選ぶと安心です。
ナイアシンアミドで赤みやほてりが出るのは濃度のせいですか?
濃度だけでは決まりません。顔用の製品を調べると、肌に合いにくかった処方のほうが濃いわけではなく、高い温度で配合してニコチン酸が多く残った処方がありました。赤みが出たら使うのをやめて様子を見ましょう。
医薬部外品のナイアシンアミドは何%入っていますか?
医薬部外品の有効成分の分量は、承認の審査で決まります。有効成分の前例をまとめた国のリストには、化粧水で0.1〜5%の例があります。化粧品には国の上限がありません。
この記事で参照した情報
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- Boo YC. Mechanistic Basis and Clinical Evidence for the Applications of Nicotinamide (Niacinamide) to Control Skin Aging and Pigmentation. Antioxidants 2021;10(8):1315
- Bissett DL, Oblong JE, Berge CA. Niacinamide: A B vitamin that improves aging facial skin appearance. Dermatol Surg 2005;31(7 Pt 2):860-865(メーカー〔P&G〕の研究者による研究)
- Bissett DL, et al. Topical niacinamide reduces yellowing, wrinkling, red blotchiness, and hyperpigmented spots in aging facial skin. Int J Cosmet Sci 2004;26:231-238(メーカー〔P&G〕の研究者による研究)
- Kawada A, et al. Evaluation of anti-wrinkle effects of a novel cosmetic containing niacinamide. J Dermatol 2008;35(10):637-642
- Navarrete-Solís J, et al. A Double-Blind, Randomized Clinical Trial of Niacinamide 4% versus Hydroquinone 4% in the Treatment of Melasma. Dermatol Res Pract 2011;2011:379173
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- Hakozaki T, et al. The effect of niacinamide on reducing cutaneous pigmentation and suppression of melanosome transfer. Br J Dermatol 2002;147(1):20-31(メーカー〔P&G〕の研究者による研究)
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- Cosmetic Ingredient Review. Final Report of the Safety Assessment of Niacinamide and Niacin. Int J Toxicol 2005;24(Suppl 5):1-31
- Barré M, et al. P07-01 Niacinamide's impact on cutaneous tolerance of dermo-cosmetic products. Toxicology Letters 2025;411(Suppl):S99(メーカー〔Pierre Fabre〕社内データの学会抄録)
- dsm-firmenich「Niacinamide PC」処方ガイドライン(2023年9月、原料メーカーの資料)
- dsm-firmenich「Niacinamide」製品ページ(原料メーカーの資料)
- 花王 化粧品Q&A「ナイアシンアミド」
- 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 厚生省医薬安全局長「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年9月29日 医薬発第990号)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト」別添
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