この記事でわかること
- 濃さを比べたときの、効き目と刺激の違い
- 同じ%でも中身が違う理由と、日本とEUの決まり
- 初めてのレチノールの濃さの選び方と上げ方
レチノールの化粧品には0.1%や0.3%、1%などいろいろな数字が書かれていて、何%を選べばいいのか、濃いほどよく効くのか迷いますよね。
結論から言うと、レチノールは濃いほどよく効くわけではありません。濃さを比べた結果では効き目に差がなく、赤みや刺激は濃いほうに多く出ていました。だから、低めの濃さから始めて、肌の様子を見ながら続けるのがいちばん無理のない選び方です。
レチノールは、シワの悩みに働くビタミンAの仲間
レチノールは、シワの悩みに働くビタミンAの仲間です。濃さの話の前に、シワがどこでできるのかを見ておくと、数字の意味がわかりやすくなります。
シワには、角層が乾いてできる浅い小ジワと、紫外線や年齢によって刻まれる深いシワがあります。深いシワは、角層よりずっと下の真皮という層で、肌のハリを支える線維が衰え、表面の溝が深く刻まれてできます。レチノールを肌に塗ると、ビタミンAが働く形のレチノイン酸を塗ったときと同じような変化が肌の中で起きることがわかっていて、純粋レチノールは医薬部外品の有効成分として「しわを改善する」効能が認められています。
濃さを比べると、効き目に差は出なかった
レチノールの濃さを変えて比べた結果では、濃いほうがよく効くという差は出ませんでした。低めの濃さでも、肌の変化はきちんと出ていたからです。
変化はどちらの濃さでも同じように出て、刺激は濃いほうに多く出ました。
0.3%と0.5%の美容液
0.104%と0.247%のクリーム
- 肌の変化
- うるおい
- 赤み・皮むけ
0.3%と0.5%の美容液では、どちらでも色むらのしみが減り、肌の状態が全体に良くなりました。0.104%と0.247%のクリームでも、どちらでも肌の水分量が増え、肌から逃げる水分が減り、明るさが上がっています。レチノールの仲間のレチナールでも、0.05%と0.1%のクリームで、キメや水分量はどちらも良くなり、差はありませんでした。
0.1%のレチノールでも、成分を抜いたクリームより、紫外線による肌の老化の指標がそろって良くなったという結果があります。数字が大きいほうが効く、とは限らず、低めの濃さでもレチノールの働きは出ています。
刺激は濃いほうに多いので、低めから始める
濃さを比べた結果では、どちらも濃いほうに刺激が多く出ていました。だから、初めて使うなら低めの濃さから始めるのが安心です。
0.3%と0.5%では、皮むけや刺激、かゆみはどちらにも出ましたが、0.5%のほうが症状が多く、強く出ました。多くは軽い〜中くらいの刺激です。0.104%と0.247%では、0.247%のほうがなめらかさの評価は上だった一方で赤みも多く、使い始めの濃さには0.104%がすすめられています。
刺激は、濃さだけでなく、製品のつくりや塗る回数、その日の肌の状態でも変わります。研究のまとめでは、低い濃さから始め、保湿剤で肌のうるおいを保ちながら、肌が受け入れられる濃さまで少しずつ上げていく方法がすすめられています。
赤みやかゆみが続くときは、上げずに使うのをやめます。
低めの%と保湿から
慣れたら1段ずつ上げる
効き目に差が出ないなら、刺激の少ない低めの濃さから、と考えれば迷いません。
同じ%でも、成分の形と原料で中身が変わる
パッケージの%を見て、数字どうしを比べたくなりますよね。でも、レチノールの仲間は、同じ%でも中身がまったく違います。成分の形や、原料の薄め方によって、レチノールそのものの量や働く強さが変わるからです。
どれも1%と書けますが、レチノールそのものの量は違います。
化粧品によく入っているパルミチン酸レチノールは、レチノールよりかなり弱い形です。同じ働きを起こすのに必要だった濃さは、レチノールが0.025%だったのに対し、パルミチン酸レチノールは0.6%でした。反対に、皮膚科で使う薬のトレチノインはレチノールより強い成分で、日本では、シワのために塗るトレチノインは承認されていません。
また、レチノールはほかの成分で薄めた原料として使われることが多く、製品の「%」が原料の%なら、レチノールそのものはそれより少なくなります。光や熱で壊れやすい成分でもあり、市販品を保存すると熱より光のほうで多く減り、実際の量が表示の0〜130%と幅があった製品もありました。
日本の化粧品にはレチノールの上限がない
日本の化粧品基準には、レチノールの配合の上限がありません。上限のない成分は、会社が安全性を確かめたうえで配合量を決める仕組みだからです。
いっぽう医薬部外品は、有効成分とその分量も含めて製品ごとに国の承認を受けます。シワの医薬部外品の純粋レチノールは、%の数字ではなく、承認された「しわを改善する」効能で選ぶものです。昔からある薬用化粧品の有効成分の一覧に載っているのは、パルミチン酸レチノールとビタミンA油で、こちらは別のものです。
EUでは2025年11月から、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールの量が、レチノールに換算してボディローションは0.05%まで、顔用を含むそれ以外の製品は0.3%までに制限されました。製品には、ビタミンAを含むので1日の摂取量を考えて使うように、という注意書きも必要です。理由は、食事やサプリから多くとっている人で、ビタミンAの全体の量が心配になるためで、刺激や効き目のちょうどよい量を決めたものではありません。レチナールはこの制限の対象外です。
アメリカの化粧品成分の専門家委員会は、レチノールとパルミチン酸レチノールは、今の使われ方と濃さなら化粧品の成分として安全だと結論づけています。どの国の線も、「この%なら効く」という目安ではありません。
選ぶときは、%の大きさより続けやすさを見る
初めてのレチノールは、低めの濃さで、続けやすいものを選びましょう。濃さを比べても効き目に差は出ず、刺激だけが濃いほうに多かったからです。
研究で使われたレチノールは0.075〜0.5%、化粧品に入っている量は0.0015〜0.3%ほどです。その中でも低めの濃さから始め、肌が慣れるかを見ていきます。数字を見るときは、レチノールそのものか、パルミチン酸レチノールのような別の形か、原料の%かも確かめましょう。配合量の%表示の読み方もあわせて知っておくと、数字に振り回されにくくなります。
使い始めたら、ふたをしっかり閉め、直射日光や高温を避けて保管します。赤みや皮むけが出たときは保湿をしながら様子を見て、続くようなら使うのをやめてください。
まとめ
- レチノールは、シワの悩みに働くビタミンAの仲間です
- 0.3%と0.5%、0.104%と0.247%を比べた結果では、効き目に差はありませんでした
- 刺激は濃いほうに多く出るので、低めの濃さから保湿しながら少しずつ上げます
- パルミチン酸レチノールや原料の%など、同じ%でも中身は違います
- 日本の化粧品に上限はなく、EUの0.3%はビタミンAのとりすぎを防ぐための線です
レチノールは、数字の大きさで選ぶより、低めから始めて肌が受け入れられるかを確かめながら続けるのが、いちばん無理のない付き合い方です。
よくある質問
レチノールは何%がいちばん効きますか?
濃いほどよく効くわけではありません。0.3%と0.5%、0.104%と0.247%を比べた結果では効き目に差がなく、刺激は濃いほうに多く出ました。低めの濃さから始めるのがおすすめです。
レチノールは濃いほど刺激が強いですか?
濃さを比べた結果では、どちらも濃いほうに刺激が多く出ました。刺激は製品のつくりや塗る回数、肌の状態でも変わるので、低い濃さから保湿しながら少しずつ上げていきましょう。
パルミチン酸レチノール1%とレチノール1%は同じですか?
同じではありません。パルミチン酸レチノール1%はレチノールに換算すると約0.55%で、同じ働きを起こすのに必要な濃さも、レチノールの0.025%に対して0.6%と高くなります。
医薬部外品のレチノールは化粧品と何が違いますか?
医薬部外品は、有効成分の分量も含めて製品ごとに国の承認を受けます。純粋レチノールには、医薬部外品の有効成分として「しわを改善する」効能が認められています。
EUの0.3%は効果の上限ですか?
効果の上限ではありません。EUの上限は、食事などと合わせたビタミンAのとりすぎを防ぐための安全の線で、ボディローションは0.05%、それ以外は0.3%です。
この記事で参照した情報
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- 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年厚生省告示第331号)
- 「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年9月29日 医薬発第990号)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- WWDJAPAN「資生堂が『エリクシール』からシワ改善クリーム発売」(2017年4月20日)純粋レチノールの「シワを改善する」承認の報道
- Commission Regulation (EU) 2024/996 of 3 April 2024(EUR-Lex)
- SCCS Opinion on Vitamin A (Retinol, Retinyl Acetate, Retinyl Palmitate) SCCS/1639/21 Final version
- Johnson W Jr. Retinol and Retinyl Palmitate. Int J Toxicol 2017;36(5_suppl2):53S-58S
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