この記事でわかること
- 活性酸素の正体と、体の中で生まれる場所
- 体が活性酸素を使うしくみと、無害にするしくみ
- 紫外線で肌に活性酸素が生まれ、光老化につながる流れ
「活性酸素が肌を老化させる」と聞くと、なんだか怖いもののように思えて、体の中で何が起きているのか気になりますよね。
結論から言うと、活性酸素は呼吸で取りこむ酸素の数%が変化した反応しやすい酸素で、体の中でいつも生まれ、体の働きにも使われています。体にはそれを無害にするしくみがあり、そのバランスが崩れた状態を酸化ストレスといいます。肌では紫外線が活性酸素を生み、長い年月をかけて真皮のコラーゲンが減る光老化につながります。
活性酸素は、反応しやすくなった酸素
活性酸素は、酸素の一部が不安定になって、多くの物質と反応しやすくなったものです。呼吸で取りこむ酸素のうち、数%が活性酸素に変わると考えられています。
代表は、一重項酸素、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素の4種類です。
よく一緒に出てくるのが「フリーラジカル」です。フリーラジカルは、対になっている電子の一方が失われて、不安定になった物質のことです。活性酸素の中には、スーパーオキシドアニオンやヒドロキシルラジカルのようにフリーラジカルであるものもあれば、過酸化水素のようにそうでないものもあります。くわしくはフリーラジカルの記事で解説しています。活性酸素=フリーラジカル、ではないと押さえておきましょう。
活性酸素は、細胞が酸素を使うたびに生まれ、酵素で水に変えられる
活性酸素は特別なときだけでなく、呼吸をしているかぎり、毎日体の中で生まれています。呼吸で取りこんだ酸素の一部が、ふだんから不完全に還元されて(電子を受け取りきれずに)、活性酸素に変わるからです。
細胞の中でエネルギーをつくるミトコンドリア(細胞の中の発電所のような小器官)では、電子を受け渡しながら、最後に酸素を水に変えています。このとき電子が途中で酸素に渡ってしまうと、スーパーオキシドアニオンができます。
活性酸素が、酵素で水になるまでの流れです。
使う
オキシド
水素
できたスーパーオキシドは、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)という酵素で、すばやく過酸化水素に変えられます。過酸化水素は、カタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼなどの酵素で水になります。ただし過酸化水素は、鉄イオンのような金属にふれると、反応しやすいヒドロキシルラジカルに変わることがあります。活性酸素は、生まれるそばから、酵素のリレーで片づけられているのです。
活性酸素は、体が細菌と戦い、合図を送るのにも使っている
活性酸素は、ただの有害なものではありません。体は、免疫や細胞どうしの情報伝達、代謝の調節などに活性酸素を使っています。
たとえば白血球は、スーパーオキシドや過酸化水素といった活性酸素の力を借りて、細菌などから体を守っています。体は、細菌を攻撃する武器として、あえて活性酸素を作って使っているのです。
ほかにも、感染を防ぐこと、血管をゆるめること、排卵や受精、細胞が役割ごとに分かれていく分化、アポトーシス(いらなくなった細胞が自分から死ぬしくみ)などにもかかわっています。だから活性酸素は、ゼロにするものではなく、量のバランスが大切なものです。
酸化ストレスは、活性酸素が処理できる量を超えた状態
酸化ストレスとは、活性酸素が、体の処理できる量を超えて増えた状態です。体には、活性酸素を処理する抗酸化のしくみが備わっていて、ふだんはバランスがとれています。
活性酸素の側に傾いた状態が、酸化ストレスです。
抗酸化を受けもつのは、さきほどの酵素に加えて、アルブミンのような大きなたんぱく質と、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、グルタチオン、尿酸などの小さな物質です。これらが互いに働き合って、活性酸素を無害にしています。
活性酸素を増やすものには、紫外線、放射線、大気汚染、タバコ、薬剤、金属、酸化した食べもの、それに過度な運動があります。処理できる量を超えると、活性酸素はたんぱく質の性質を変えたり、過酸化脂質をつくったり、遺伝子を傷つけたりします。酸化ストレスは、量とバランスの話です。
紫外線は、肌の中で活性酸素を生む
紫外線は、肌の中の物質にエネルギーを渡して、活性酸素を生みます。肌にとって、いちばん身近な活性酸素のきっかけです。
紫外線のエネルギーを吸収した物質は、光増感物質と呼ばれます。光増感物質はエネルギーの高い状態になり、それ自体がフリーラジカルとして働いたり、酸素や水と反応して活性酸素を作ったりします。
つまり紫外線は、肌に当たって日焼けを起こすだけでなく、活性酸素という、もうひとつのダメージのもとも作ります。紫外線を浴びることが、肌の中で活性酸素が増える入り口になっているのです。
長年の紫外線は、真皮のコラーゲンが減る光老化につながる
長い年月、紫外線を浴び続けて、肌の老化がさらに進んだ状態を「光老化」といいます。活性酸素は、この流れの途中にかかわっています。
光老化した肌の真皮では、コラーゲン線維が著しく減り、エラスチン線維が増えて変性し、毛細血管やリンパ管も減ります。表皮でも、メラノサイト(メラニンをつくる細胞)やケラチノサイト(表皮の大部分をつくる細胞)の並び方が不規則になります。
紫外線で生まれた活性酸素は、細胞の中の合図を動かして、コラーゲンを切る酵素を増やします。この酵素がコラーゲンの線維を切ることで、真皮のコラーゲンが減っていきます。
紫外線から光老化につながる流れのひとつです。
浴びる
できる
が増える
が減る
ハリを支えるコラーゲンが減り、弾力を受けもつエラスチンが変性する。これが、光老化した真皮で起きていることです。
まとめ
- 活性酸素は、呼吸で取りこむ酸素の数%が変化した、反応しやすい酸素です
- ミトコンドリアで毎日生まれ、SOD やカタラーゼなどの酵素で過酸化水素から水へと片づけられます
- 白血球が細菌と戦うのに使うなど、体が使っている面もあり、ゼロにするものではありません
- 抗酸化のしくみが処理できる量を超えて増えた状態が酸化ストレスです
- 紫外線は肌の中で活性酸素を生み、長年浴び続けると真皮のコラーゲンが減る光老化につながります
活性酸素は、体が使いもすれば、増えすぎると害にもなる、量とバランスの話です。「悪者」とだけ覚えるより、体の中で生まれて片づけられる流れとして知っておくと、紫外線と肌の関係も見えやすくなります。
よくある質問
活性酸素はすべて悪いもの?
いいえ、体を守るために使われている面もあります。白血球は活性酸素を使って細菌と戦っていて、困るのは量が多すぎてバランスが崩れたときです。
活性酸素は体のどこでできる?
主に、細胞の中でエネルギーをつくるミトコンドリアでできます。酸素を水に変える途中で電子が酸素に渡ると、スーパーオキシドアニオンが生まれます。
体は活性酸素をどうやって無害にしている?
酵素のリレーで片づけています。スーパーオキシドはSODで過酸化水素に、過酸化水素はカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼで水に変えられます。
紫外線と活性酸素はどう関係する?
紫外線のエネルギーを吸収した肌の中の物質が、酸素や水と反応して活性酸素を生みます。活性酸素はコラーゲンを切る酵素を増やす流れにかかわり、長年の紫外線は真皮のコラーゲンが減る光老化につながります。
活性酸素とフリーラジカルは同じ?
同じではありません。活性酸素の中にはフリーラジカルのものもあれば、過酸化水素のようにそうでないものもあります。
この記事で参照した情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「活性酸素と酸化ストレス」
- Lodish H, et al. Molecular Cell Biology 第8版 12章「Reactive Oxygen Species Are By-Products of Electron Transport」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「フリーラジカル」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「光老化」
- Fisher GJ, Sachs DL, Voorhees JJ. Ageing: collagenase-mediated collagen fragmentation as a rejuvenation target. Br J Dermatol 2014;171:446-449
この記事が入っているテーマ別まとめ