この記事でわかること
- 敏感肌・乾燥肌・肌荒れ・かぶれの見分け方
- セルフチェックの目安と「肌に合わない」の中身
- 皮膚科に行く目安とパッチテスト
新しい化粧品でヒリヒリしたり、季節の変わり目に肌が不安定になったりすると、自分は敏感肌なのか、それとも乾燥しているだけなのか、迷いますよね。
結論から言うと、敏感肌は見た目より感覚が先に立つ肌で、乾燥肌はかさつき、肌荒れはきめの乱れ、かぶれは湿疹、と見た目と感じ方で見分けられます。赤みやぶつぶつがあるときは、敏感肌と決めつけずに皮膚科へ行きましょう。まずは、敏感肌がどんな状態なのかから見ていきます。
敏感肌は、ふつうは平気な刺激に不快な感覚が出やすい肌
敏感肌は、ふつうなら平気なはずの刺激に、ヒリヒリやほてり、かゆみといった不快な感覚が出やすい肌のことです。かゆみを研究する国際的な学会の専門家グループが合意した定義でも、ふつうならそのような感覚を起こさないはずの刺激に反応して、ヒリヒリ、灼けるような感じ、痛み、かゆみ、チクチクといった不快な感覚が生じる状態とされ、その感覚が皮膚の病気による病変では説明できないことが条件です。
つまり敏感肌は感覚が中心で、見た目は正常に見えることもあれば、赤みを伴うこともあります。体のどこにでも起こりえますが、顔がとくに多いとされています。アトピー性皮膚炎などの皮膚の病気と重なって起こることもありますが、病気そのものではなく、それとは別の感覚の状態として扱われています。
自分は敏感肌かも、と感じている人は少なくありません。調査では、女性の約60〜70%、男性の50〜60%が、何らかの程度で敏感肌だと答えています。
敏感肌は、見た目より感覚で気づく状態だと覚えておきましょう。
乾燥肌はかさつき、肌荒れはきめの乱れ、かぶれは湿疹で見分ける
敏感肌と似た4つの状態は、見た目と感じ方で見分けられます。それぞれ、肌の中で起きていることが違うからです。
乾燥肌は、角層の水分が減った状態です。角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを守っていて、このバランスがくずれると水分が逃げやすくなります。
角層は、この3つの要素でうるおいを守っています。
- 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
- 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
- 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド
乾燥肌の目印は、かさつきや粉ふき、つやのなさです。肌荒れは表面のきめが乱れた状態で、かさつきや粉ふきが目に見え、刺激の数時間から数日後に出てきます。かぶれは、ふれた物質によって起きる湿疹で、赤みやぶつぶつ、水ぶくれ、ジクジクを伴います。これに対して敏感肌は、見た目の変化がはっきりしないのにヒリヒリやほてりを感じる、という感覚の側に軸があります。
ただし、きれいに分かれるわけではありません。敏感肌の背景には角層のバリア機能の低下や乾燥肌があることが多く、乾燥していてヒリヒリもする、という人はめずらしくありません。
目安としては、かさつきが中心なら乾燥肌や肌荒れ、赤みやジクジクがあるならかぶれ、見た目より感覚が先に立つなら敏感肌と考えると整理しやすくなります。
セルフチェックは、当てはまる数が多いほど反応しやすい肌の目安
セルフチェックで当てはまる数が多いほど、刺激に反応しやすい肌の可能性が高くなります。項目は、研究で敏感肌の引き金として挙げられている紫外線、熱、冷気、風、化粧品、石けん、水、ストレス、月経周期などと、専門家の定義にある感覚の特徴をもとにしています。
- 新しい化粧品を使うと、ヒリヒリや赤みが出やすい
- 季節の変わり目や乾燥する時期に、肌が不安定になる
- 日差しや風、冷暖房で肌がピリピリする
- 衣類のこすれで肌がかゆくなりやすい
- 石けんや洗浄料で洗うと、ヒリつきやすい
- ストレスがたまると、肌の調子が悪くなる
- 生理の前後で、肌の調子が変わる
- 見た目はふつうなのに、ヒリヒリやチクチクを感じる
反応しやすい季節は人によって違い、夏に敏感になる人もいれば、寒さに反応する人もいます。ヒリヒリを感じやすい人は、過去のいやな経験から特定の製品を避けるようになりやすいので、何に、どんなときに反応したかをメモしておくと、あとで役に立ちます。
チェックはあくまで目安で、診断ではありません。赤みやぶつぶつ、ジクジクがすでに出ているなら、かぶれなどの皮膚の病気の可能性があるので、皮膚科で原因を調べるほうが先です。
角層の守りが乱れると、刺激が知覚神経に届いてヒリヒリする
ヒリヒリやチクチクは、角層の守りが乱れて、刺激のある物質が皮膚の知覚神経に届くことで起きると考えられています。角層は肌のいちばん外側の薄い層で、正常なら分子量1,000以上の物質は通さないと考えられているからです。
角層の守りが乱れると、刺激のある物質が入りやすくなり、知覚神経が刺激されてヒリヒリと感じます。
角層が乱れると外から物質が入りやすくなり、血管が広がったり、知覚神経が刺激されたりして、ヒリヒリやチクチクとして感じられます。バリア機能に異常が見られないのに症状が出る人もいて、神経の感受性の変化など、別のしくみも関わっていると考えられています。
この反応しやすさを調べる方法として、研究では乳酸スティンギングテストが使われます。10%の乳酸の水溶液を鼻のわきに塗り、ヒリヒリや灼けるような感じをどのくらい感じたかを本人が申告する方法で、感覚刺激試験とも呼ばれます。顔の中でも鼻のわきから口のまわりがもっとも感じやすく、反応が出ても見た目に赤みが出ないことが多いのは、敏感肌の性質と重なります。
ただ、乳酸に敏感な人が、ほかの刺激物にも敏感とは限りません。反応の相手は人それぞれなので、何に反応したかという自分の記録が、いちばんの手がかりになります。
「肌に合わない」は、刺激性・アレルギー性・感覚の反応の3通り
「肌に合わない」と感じたとき、何が起きているのか気になりますよね。肌で起きていることは、刺激性の反応、アレルギー性の反応、敏感肌の感覚の反応の3通りに分けられます。それぞれ、だれに起こるか、どう出るかが違います。
「肌に合わない」の中身は、この3通りに分けて考えると見分けやすくなります。
刺激性
だれにでも
痛みと赤み
アレルギー性
覚えた成分に
かゆみと湿疹
感覚の反応
見た目は正常
ヒリヒリ
1つめの刺激性の反応は、濃度と量しだいでだれにでも起こります。角層の傷んだところから刺激のある物質が入りこみ、肌の細胞を刺激して炎症が起こるもので、主に痛みと赤みが出ます。刺激が強ければ使ってすぐから数時間のうちに、弱い刺激なら何度も使ったあとに出てきます。
2つめのアレルギー性の反応は、一度ふれて体が相手を覚えたあと、次にふれたときに出るので、昨日まで平気だった製品で急に起こることがあります。ごくわずかな量でも起こり、主にかゆみを伴う湿疹になります。初めてかぶれる場合は使い始めて1週間以上たってから出ることがあり、すでにアレルギーのある成分なら、使って2日後ごろから出ます。
3つめの敏感肌の感覚の反応は、ふつうなら平気なはずの刺激にヒリヒリやほてりを感じるもので、見た目に病変がないことが多く、使うのをやめればおさまりやすいのが特徴です。
同じ「合わない」でも、湿疹が出ているなら1つめか2つめ、感覚だけなら3つめの可能性があります。見た目と、出るまでの時間が手がかりです。
湿疹があるとき、やめても続くとき、くり返すときは皮膚科へ
赤みやぶつぶつ、水ぶくれ、ジクジクといった湿疹の変化があるとき、やめても続くとき、くり返すときは、皮膚科に行きましょう。敏感肌と思いこんでいる裏に、かぶれなどの皮膚の病気がかくれていることがあるからです。
枠で囲んだ湿疹の変化や、やめても続く・くり返すときは、皮膚科で相談します。
やめる
残す
くり返し
相談
化粧品の注意書きにも、使用中に赤み、はれ、かゆみ、刺激、色抜け、黒ずみなどの異常が出たら使うのをやめ、皮膚科専門医などに相談するよう書かれています。そのまま使い続けると、症状を悪化させることがあるからです。原因を調べるときのために、その製品は手元に残しておきます。
アレルギー性のかぶれが疑われるなら、パッチテストで原因を探せます。皮膚科医が背中などに試薬を貼って判定する検査で、結果が出るまでに1週間以上かかり、陰性でもアレルギーではないと決めつけないこととされています。相談先や検査の流れは別の記事にまとめています。
ヒリヒリだけで、やめればおさまるなら、まず刺激を減らして様子を見てもかまいません。次に新しい製品を使うときは、二の腕の内側など目立たない場所に小さく試し、一度に何種類も変えずに一つずつ試すと、原因をしぼりやすくなります。
見た目の変化があるときは、迷わず皮膚科で相談するのがいちばんの近道です。
まとめ
- 敏感肌は、ふつうなら平気なはずの刺激にヒリヒリやほてりなどの不快な感覚が出やすい肌で、見た目は正常なことも赤みを伴うこともあります
- 乾燥肌はかさつき、肌荒れはきめの乱れ、かぶれは湿疹というように、見た目と感じ方で見分けます。重なることも多くあります
- セルフチェックは、研究で挙げられている引き金をもとにした目安で、何に、いつ反応したかの記録が役に立ちます
- 角層の守りが乱れると、刺激のある物質が入りやすくなり、知覚神経が刺激されてヒリヒリと感じます
- 湿疹の変化があるとき、やめても続くとき、くり返すときは皮膚科へ。アレルギー性が疑われればパッチテストで原因を調べられます
敏感肌かどうかを決めつけるより、何にどう反応したかを見分けることが、合うものへの近道です。見た目の変化があるときは、迷わず皮膚科で相談してみてください。
よくある質問
敏感肌と乾燥肌の違いは何ですか?
乾燥肌はかさつきが目印で、敏感肌は感覚が中心です。乾燥肌は角層の水分が減った状態で、かさつきや粉ふき、つやのなさが見た目に出ます。敏感肌は、ふつうなら平気な刺激にヒリヒリやほてりを感じやすい状態で、見た目は正常なことも赤みを伴うこともあります。敏感肌の背景に乾燥があることも多く、重なって起こる人もめずらしくありません。
敏感肌のセルフチェックはどうすればいいですか?
刺激への反応しやすさを、引き金ごとに振り返ります。新しい化粧品でヒリヒリや赤みが出やすい、季節の変わり目や乾燥する時期に不安定になる、日差しや風や冷暖房でピリピリする、石けんでヒリつきやすい、ストレスや生理の前後で調子が変わる、見た目はふつうなのにヒリヒリする、などが目安です。当てはまる数が多いほど反応しやすい肌の可能性がありますが、診断ではありません。
敏感肌かどうかを調べる検査はありますか?
研究では乳酸スティンギングテストが使われます。10%の乳酸の水溶液を鼻のわきに塗り、ヒリヒリや灼けるような感じをどのくらい感じたかを本人が申告する方法です。乳酸に敏感な人がほかの刺激物にも敏感とは限らないので、何に反応したかという自分の記録も大切な手がかりになります。
化粧品が「肌に合わない」とは、何が起きているのですか?
刺激性、アレルギー性、敏感肌の感覚の反応の3通りがあります。刺激性は濃度と量しだいでだれにでも起こり、主に痛みと赤みが出ます。アレルギー性は体が成分を覚えた人だけに起こり、微量でもかゆみを伴う湿疹になり、昨日まで平気だった製品で急に出ることがあります。敏感肌の感覚の反応は、見た目に病変がないことが多く、使うのをやめればおさまりやすいのが特徴です。
敏感肌で皮膚科に行く目安はありますか?
湿疹の変化があるとき、やめても続くとき、くり返すときです。赤みやはれ、ぶつぶつ、水ぶくれ、ジクジクが出ているなら、敏感肌ではなくかぶれなどの皮膚の病気の可能性があります。まず使うのをやめ、製品を手元に残して皮膚科へ。アレルギー性のかぶれが疑われるなら、パッチテストで原因を調べられ、判定には1週間以上かかります。
この記事で参照した情報
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「敏感肌」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「スティンギング試験」
- Misery L, et al. Definition of Sensitive Skin: An Expert Position Paper from the Special Interest Group on Sensitive Skin of the International Forum for the Study of Itch. Acta Derm Venereol 2017;97:4-6
- Farage MA. The Prevalence of Sensitive Skin. Front Med 2019;6:98
- Hernández-Blanco D, et al. Prevalence of sensitive skin and its biophysical response in a Mexican population. World J Dermatol 2013;2(1):1-7
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q4 刺激性接触皮膚炎はどのようにして起こるのですか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q5 アレルギー性接触皮膚炎はどのようにして起こるのですか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q8 パッチテストはどのように行いますか?」
- 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」(日皮会誌130(4):523-567, 2020)
- 日本化粧品工業会「化粧品の使用上の注意表示に関する自主基準」(2016年12月1日)
- 城市大勢「敏感肌の皮膚生理とセラミドの関係性」オレオサイエンス 2025;25(9):379-387