この記事でわかること
- 顔の赤みが見えるしくみと、長く続く赤みの原因
- 酒さの型と、ふだんのケアのしかた
- 化粧品にできることと、赤みを隠すメイクの色
顔がいつも赤い、すぐに赤くなる。体質なのか肌のトラブルなのか、何を使えばいいのか迷いますよね。
結論から言うと、顔の赤みは肌のすぐ下の細い血管が広がった色で、長く続くなら皮膚科で原因を見分けてもらうのが近道です。化粧品にできるのは、肌あれや日やけを防ぐことと、メイクで赤みを目立たなく見せることです。
顔の赤みは、細い血管が広がって見える色
顔の赤みは、肌のすぐ下の細い血管が広がって、血が多く流れているときに見える色です。赤みの原因を考えるときは、まず何が血管を広げているのかを見ます。
顔が赤く見えるまでの流れで、長く続く赤みも、この血管が広がるところで起きています。
日差し
広がる
流れる
見える
寒い所から暖かい所に入ったときや、緊張したときに顔が赤くなるのは、健康な人にも見られる体の反応で、それだけで病気というわけではありません。強い日差しを浴びたあとや、刺激のある物にふれたあとにも赤みが出ます。紫外線の中でもUVAには、UVBによる赤みを強める働きがあります。
気をつけたいのは、赤みが長く続いたり、ほかの症状をともなったりするときです。
長く続く赤みには、酒さ・脂漏性皮膚炎・かぶれ・ニキビのあとがある
長く続く赤みには、いくつかの原因があり、それぞれ赤みが出る場所や一緒に出る症状が違います。同じ「赤ら顔」でも、原因によって皮膚科での手当てが変わるからです。
酒さは、顔の中心に赤みとほてりが続く病気で、次の章でくわしく見ます。脂漏性皮膚炎は、顔や頭皮、胸など皮脂の多い場所に起きる炎症です。髪の生えぎわ、耳の後ろ、眉、小鼻のわきから口もとへのしわに、黄色っぽく脂っぽいフケのような皮むけをともなう赤いぶつぶつが出ます。肌にいつもすんでいるカビの仲間のマラセチアが関わっていて、皮膚科ではカビの仲間に働く塗り薬が使われます。
かぶれは、外から肌にふれた刺激物やアレルギーのもとで起きる湿疹で、かゆみやヒリヒリ感とともに赤い斑点やぶつぶつが出ます。刺激によるかぶれは誰にでも起こり、アレルギーによるかぶれは、その成分にアレルギーができた人にだけ起こります。化粧品が直接ふれて起きるものは、化粧品皮膚炎と呼ばれます。
ニキビのあとの赤みは、ニキビの炎症が引いたあとに一時的に残る赤みで、ニキビ跡の一つです。どれに当てはまるかで考え方が変わるので、赤みが出る場所と、一緒に出る症状を見ておきましょう。
酒さは、顔の中心の赤みとほてりが続く病気
酒さは、主に中高年の顔に起きる慢性の炎症の病気で、赤み、浮き出た細い血管、ほてりが中心の症状です。赤みは顔の中心に続き、さまざまなきっかけで一時的に強まって、温かさや焼けるような感じをともなうことがあります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、赤みと血管が目立つ紅斑毛細血管拡張型、赤いぶつぶつや膿をもつぶつぶつが出る丘疹膿疱型、鼻などが盛り上がる瘤腫型、まぶたや白目が充血する眼型の4つに分けられています。30〜50歳の色白の人に多いとされ、赤ら顔と呼ばれるものがすべて酒さというわけではありません。
悪くなるきっかけとしては、紫外線、気温の急な変化、刺激のある食べ物、アルコールが知られています。ほかにも、ストレス、運動、風、化粧品、熱いお風呂や熱い飲み物が挙げられています。きっかけには個人差があるので、春や秋の花粉、夏の紫外線、冬の寒暖差など、どの時期に悪くなるのかを自分で確かめていくことがすすめられています。
酒さの赤いぶつぶつはニキビに似ていますが、ニキビの始まりである白や黒の芯、面皰が見られないことが見分ける手がかりです。また、酒さでは脂漏性皮膚炎のようなフケ状の皮むけは見られません。
酒さの治療は、型に合わせて皮膚科で選ぶ
酒さの治療は型によって違うので、皮膚科で型を見分けてから選びます。ガイドラインで、型ごとにすすめられる治療が分けて示されているからです。
たとえば、ぶつぶつが出る丘疹膿疱型では、0.75%メトロニダゾールゲルの塗り薬が、いちばん強い推奨度Aとされています。酒さの効能が承認された医薬品で、1日2回、洗ってから塗り、使っている間は紫外線を避けることになっています。同じ型で、アゼライン酸の塗り薬や、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなどの飲む抗菌薬は、選択肢の一つという推奨度C1です。赤みと血管が目立つ紅斑毛細血管拡張型では、レーザーや光を当てる治療が選択肢の一つとされています。
酒さには保険で使える塗り薬があり、早い段階から適切な治療を始めることが大切とされています。
ふだんのケアは、日差しを避けてやさしく洗い、保湿する
ふだんのケアは、日差しを避けること、刺激の少ない洗顔料でやさしく洗うこと、保湿することの3つが基本です。ガイドラインも、酒さの手入れとして、適切な遮光と、刺激の少ない洗顔料や保湿剤を正しく使う指導を、選択肢の一つとしてすすめています。酒さは肌を敏感にして、刺激を受けやすくするからです。
ガイドラインが酒さの手入れとしてすすめる、やさしく洗って日差しを防ぐ流れです。
少ない洗顔
やさしく
うるおす
で防ぐ
洗うときは、マイルドな洗顔料を使い、指先でやさしく洗います。こする、スクラブで磨く、角質を取るケアは避け、熱すぎるお風呂や冷たいシャワーも控えましょう。日焼け止めは、UVAとUVBの両方を防ぐSPF30以上で水に強いものがすすめられていて、肌が敏感な人には、紫外線を防ぐ成分が酸化亜鉛や酸化チタンのものが向いています。
アメリカの皮膚科の学会は、酒さの人が避けたい成分として、アルコール、カンフル、香料、グリコール酸、乳酸、メントール、ラウリル硫酸Na、尿素を挙げています。新しいスキンケアやメイク用品は、いきなり顔全体に使わず、先に試してから使い始めると安心です。
化粧品にできるのは、肌あれを防ぐことと色で目立たなく見せること
化粧品にできるのは、肌あれや日やけを防ぐことと、メイクの色で赤みを目立たなく見せることです。化粧品がうたえる効能は国が決めた56項目の範囲で、赤みを抑えるという効能はその中にないからです。医薬部外品の薬用化粧品でも、酒さや赤ら顔を対象にした効能はありません。
色で隠すなら、緑か黄色のコントロールカラーです。赤と緑は、混ぜると色みが打ち消し合う補色の関係にあり、緑は赤みを打ち消して、肌を明るく見せます。黄色は、赤ら顔のような赤みを補正できるとされ、肌の色になじませる方向で整えます。どちらにするかは仕上がりの好みで化粧下地の色を選べば大丈夫です。
隠そうとして厚く塗り重ねるのは、すすめられていません。ファンデーションは薄くして、目もとや口もとのメイクで視線を分けると、赤みが相対的に目立たなくなります。
ステロイドを自己判断で塗り続けず、赤みが続くなら皮膚科へ
顔の赤みやかゆみに、手もとにあるステロイドの塗り薬を自己判断で長く塗るのは避けましょう。比較的おだやかな強さのステロイドでも、長く続けて使うと、ほほや口のまわりに赤みやぶつぶつ、浮き出た血管が出る酒さ様皮膚炎が起きることがあるからです。
顔に長く塗っていて赤みが出てきたときは、自分で急にやめたり続けたりせず、処方した医師に相談してください。皮膚科に相談したい目安は、赤みが何週間も続く、ほてりやヒリヒリをともなう、白や黒の芯がないのにニキビのようなぶつぶつが出る、小鼻のわきや眉が黄色っぽく皮むけする、目が充血する、といったときです。
化粧品を使って赤みやかゆみが出たら、すぐに使うのをやめ、症状が続くなら皮膚科に相談しましょう。
成分は、医薬品と化粧品・医薬部外品に分けて見る
赤みに関係する成分は、皮膚科で使う医薬品と、化粧品・医薬部外品とで、分けて見ることが大切です。同じように赤みの話で出てきても、できることの範囲がまったく違うからです。
- メトロニダゾール:皮膚科の医薬品です。0.75%のゲルが酒さの効能をもち、丘疹膿疱型の酒さに推奨度Aで強くすすめられています。
- ドキシサイクリン、ミノサイクリン:皮膚科の医薬品で、飲む抗菌薬です。丘疹膿疱型の酒さに、選択肢の一つという推奨度C1です。
- ケトコナゾール:皮膚科の医薬品で、カビの仲間に働く塗り薬です。脂漏性皮膚炎が効能に含まれています。
- グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル:医薬部外品の有効成分です。薬用石けんでは「皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ」効能の有効成分として使われます。赤みそのものを抑える成分ではありません。
- ビタミンC誘導体:ニキビのあとの赤みに塗ることは、ガイドラインで「行ってもよいが推奨はしない」推奨度C2です。
- 酸化亜鉛、酸化チタン:化粧品として日やけを防ぐ成分です。肌が敏感な人の日焼け止めにすすめられています。
赤みが続くときは、成分を探すより先に、皮膚科で原因を見分けてもらいましょう。
まとめ
- 顔の赤みは細い血管が広がった色で、寒さや緊張による一時的な赤みは健康な人にも起こります
- 長く続く赤みには、酒さ、脂漏性皮膚炎、かぶれ、ニキビのあとの赤みなどの原因があります
- 酒さは4つの型に分けられ、型に合わせて皮膚科で治療を選びます
- ふだんは日差しを避け、刺激の少ない洗顔料と保湿剤でやさしくケアし、隠すときは緑や黄色を薄く使います
- 化粧品に赤みを抑える効能はなく、赤みが続くときは自己判断で薬を塗らずに皮膚科へ
顔の赤みは、体の自然な反応から治療が必要な病気まで幅があります。化粧品で守るところ、メイクで隠すところ、皮膚科に任せるところを分けて考えてみてください。
よくある質問
赤ら顔はすべて酒さですか?
違います。寒さや緊張で顔が赤くなるのは健康な人にも起こる反応で、長く続く赤みにも、脂漏性皮膚炎、かぶれ、ニキビのあとの赤みなど、いくつかの原因があります。
酒さはどんな治療をしますか?
型によって違います。ぶつぶつが出る丘疹膿疱型では0.75%メトロニダゾールゲルが推奨度Aで強くすすめられ、赤みと血管が目立つ型ではレーザーや光の治療が選択肢の一つです。
化粧品で赤みは抑えられますか?
赤みを抑えるという効能は、化粧品の効能56項目にありません。化粧品で言えるのは肌あれや日やけを防ぐなどの範囲で、メイクで赤みを目立たなく見せることはできます。
赤みを隠すには何色の下地がいいですか?
緑か黄色です。緑は赤の補色で赤みを打ち消し、黄色は赤ら顔のような赤みを補正できるとされています。どちらも厚く塗り重ねないことが大切です。
顔の赤みにステロイドを塗ってもいいですか?
自己判断で顔に長く塗るのは避けます。長く続けて使うと酒さ様皮膚炎が出ることがあるので、医師の指示どおりに使い、赤みが出たら処方した医師に相談します。
この記事で参照した情報
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(日皮会誌133(3):407-450)
- 日本皮膚科学会 お知らせ「ロゼックスゲル0.75%の『酒さ』に対する効能・効果追加承認について」(2022年6月10日)
- ロゼックスゲル0.75% 添付文書(2022年9月改訂)
- ロコイド軟膏0.1%/クリーム0.1% 添付文書(2021年12月改訂)
- ニゾラールクリーム2% 添付文書(2026年5月改訂 第3版)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q2」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q3」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q4」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q5」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ Q11」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ニキビ Q20」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「紅斑」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「補色」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「肌色補正」
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 厚生労働省「薬用石けんの承認審査に係る留意事項について」(平成30年3月29日 薬生薬審発0329第13号)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- 国民生活センター『国民生活』2025年9月号「化粧品を選ぶ前に知っておきたい知識 最終回 化粧品を安全に選ぶには」(松永佳世子)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「酒さ」
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「脂漏性皮膚炎」
- Schaller M, et al. Recommendations for rosacea diagnosis, classification and management: update from the global ROSacea COnsensus 2019 panel. Br J Dermatol 2020;182:1269-1276
- 黒川一郎・鶴田大輔「酒さ・酒さ様皮膚炎」日皮会誌121(9), 2011
- 杉田隆「皮膚マイクロバイオームとしてのマラセチア―脂漏性皮膚炎を例に―」日皮会誌131(6), 2021
- American Academy of Dermatology「7 rosacea skin care tips dermatologists recommend」
- マルホ 酒さナビ「よくあるご質問」