成分辞典やさしい解説

ラウレス硫酸Naをやさしく解説!ラウリル硫酸Naとの違いとは?

あるコスメオタク・2026.09.29・更新 2026.10.21・成分解説

シャンプーの成分表でよく見かける「ラウレス硫酸Na」と「ラウリル硫酸Na」。一字違いの名前なので、何が違うのか、「硫酸系」は肌に悪いのか、迷いますよね。

結論から言うと、ラウレス硫酸Naは、ラウリル硫酸Naの分子の途中に小さな部品をはさんだ洗浄成分です。どちらもよく泡立って汚れをしっかり落とし、刺激はラウリル硫酸Naのほうが強く出ます。どちらも、よく洗い流す使い方を前提に安全とされています。まずは、何をしている成分なのかから見ていきましょう。

2つは、シャンプーの泡と洗う力の主役

ラウレス硫酸Naとラウリル硫酸Naは、洗う力が強く泡立ちもよいので、シャンプーや洗顔料の主な洗浄成分として使われています。どちらも、水に溶けるとマイナスの電気を帯びる陰イオン界面活性剤です。

頭皮や肌の表面には、皮脂やほこり、スタイリング剤などの汚れがたまります。皮脂は油なので、水だけではなかなか落ちません。界面活性剤は、油になじむ部分で皮脂汚れにくっつき、水になじむ部分を外に向けて汚れを包むので、水で流せるようになります。

洗浄成分は、表面にたまった皮脂と汚れを包んで落とします。

洗う前 皮脂と汚れがたまる 洗ったあと 汚れが落ちて、すっきり 皮脂と汚れ 角層 表皮 真皮

ラウレス硫酸Naは低い温度でも水によく溶けるとされ、体を洗うものや洗顔料、シャンプーなどに使われています。シャンプーに書ける効能は「頭皮、毛髪を清浄にする。」などの範囲で、これは製品全体につく効能です。洗う成分には、汚れは十分に落としながら、頭皮や髪に必要な皮脂は取りすぎない、ほどよい洗う力が求められるとされています。

2つは、皮脂汚れを包んで流す、洗う力の強い成分です。

「レス」は部品をはさんだ印で、「硫酸系」は分子の一部の名前

名前の「レス」は、エチレンオキシドという部品を分子の途中にはさんだ印です。2つは同じ炭素12の鎖をもち、違いはこの部品があるかどうかだからです。

ラウレス硫酸Naは、炭素12の鎖と水になじむ部分の間に、エチレンオキシドという部品をはさんだ形です。

ラウリル硫酸Na Na 油になじむ部分 水になじむ部分 ラウレス硫酸Na Na はさんだ部品 炭素12の鎖 硫酸の部分

ラウリル硫酸Naは、ラウリン酸などから作る炭素12のアルコールを硫酸化して、ナトリウムの塩にしたものです。同じ物質が、ドデシル硫酸ナトリウムという名前で書かれることもあります。ラウレス硫酸Naは、同じ炭素12のアルコールにエチレンオキシドを平均1〜4個つなげてから硫酸化し、塩にしたものです。

「硫酸系」という呼び方は、分子の中にある硫酸エステル塩という、水になじむ部分をさしています。これはアルコールと硫酸が結びついた形で、強い酸である硫酸そのものが入っているわけではありません。名前の似たラウリル硫酸アンモニウムやラウレス硫酸アンモニウムは、ナトリウムのかわりにアンモニウムの塩にした仲間です。

「硫酸系」と聞いて、硫酸が入っていると心配しなくて大丈夫です。

刺激はラウリル硫酸Naのほうが強く、濃いほど強まる

肌への刺激は、ラウリル硫酸Naのほうがラウレス硫酸Naより強く出ます。ラウリル硫酸Naは、皮膚に刺激を起こす性質がはっきりしている成分だからです。

そのためラウリル硫酸Naは、刺激を調べる試験で、刺激が出る側の比べる基準として広く使われていて、国際的な試験法でも基準に使われています。人の肌では、濃いほど刺激が強くなり、覆わずに塗るほうが、覆って貼るより刺激は弱く出るという結果があります。

2つを並べて比べると、濃さが半分でも、ラウリル硫酸Naのほうが、ラウレス硫酸Naより刺激が強く出たという結果があります。シャンプーは短い時間で洗い流すので、肌にふれている時間は、貼り続ける試験よりずっと短くなります。

刺激は、成分の種類と濃さ、肌にふれている時間で変わると覚えておきましょう。

専門家の委員会は、どちらも条件つきで安全としている

米国の化粧品成分の安全性を評価する専門家の委員会は、2つとも、使い方や処方の条件つきで安全としています。どちらも刺激を起こしうる成分なので、刺激が出ない使い方が前提になるからです。

ラウリル硫酸Naは、ときどき短い時間使ってよく洗い流す製品なら安全で、肌に長く触れる製品では1%を超えないこと、というのが委員会の結論です。パッチテストでは、2%以上の濃さで刺激が出るとされています。

ラウレス硫酸Naは、皮膚と目への刺激はあるものの、アレルギーを起こす性質はないとされました。実際の製品では処方のおかげでふだん刺激として問題になっていないとされ、刺激が出ないように処方できる場合に限って使うという条件つきで安全とされています。

どちらも、よく洗い流す、刺激が出ないように処方するという条件の上で安全な成分です。

発がん性の話は、成分そのものと1,4-ジオキサンを分けて考える

硫酸系に発がん性がある、という話を見かけて不安になる人もいると思います。この話は、成分そのものと、製造のときにできうる1,4-ジオキサンという不純物を分けて考えるとわかりやすくなります。

成分そのものについては、ラウリル硫酸Naは実験動物で発がん性を示さず、国際がん研究機関などの発がん性物質の一覧にも入っていません。肌につけた分の大部分は皮膚の表面や表層にとどまり、血液に入った分も肝臓で水に溶けやすい形に変わって、尿などから速やかに出ていくとされています。ラウレス硫酸Naも、毒性試験で有害な反応を起こしていません。

1,4-ジオキサンは成分として入れるものではなく、エチレンオキシドをつなげる工程で、副産物としてごく微量にできることがある物質です。

1,4-ジオキサンは、枠で囲んだ「部品をつなぐ」工程で、ごく微量にできることがあります。

炭素12の
アルコール
部品を
つなぐ
硫酸化して
塩にする
ラウレス
硫酸Na

そのため対象になりうるのはラウレス硫酸Naのような成分で、この工程を通らないラウリル硫酸Naには、製造設備からの混入を除けば同じ心配はありません。1,4-ジオキサンはアメリカで、ヒトに対する発がん性が合理的に予想される物質とされていて、アメリカの食品医薬品局は、減圧して取り除く方法を使うよう製造業者に勧めてきました。

ヨーロッパの消費者の安全を評価する科学委員会は、製品中10ppm以下なら消費者に安全としています。アメリカの州の中には、シャンプーを含む体を洗う製品に1ppmの上限を設けたところもあります。

1,4-ジオキサンは、ごく微量に抑える取り組みが続いている不純物として見ておきましょう。

硫酸系は、よくすすいで、頭皮の感じ方で選ぶ

硫酸系のシャンプーを使うなら、すすぎを十分にし、赤みやかゆみを感じたら使うのをやめましょう。安全とされている前提が、よく洗い流す使い方だからです。

「硫酸系で髪が抜ける」という話もあります。これは、動物の試験で、毛の根元を包む毛包に洗浄成分がたくさん付き、毛包が傷むおそれがあるとされた記述がもとになった話で、人で抜け毛が増えたという結果とは別のものです。

洗う成分の種類を比べたいときは、アミノ酸系の洗浄成分の性質も知っておくと、成分表を読む手がかりになります。

名前で見分けて、よくすすぎ、自分の頭皮の感じ方で選ぶのがいちばん確かです。

まとめ

硫酸系は、洗う力が強いぶん、使い方が大切な成分です。よくすすぐことを守り、自分の頭皮の感じ方を目安に選んでみてください。

よくある質問

ラウレス硫酸Naとラウリル硫酸Naの違いは何ですか?

ラウレス硫酸Naは、炭素12の鎖と硫酸エステル塩の部分の間に、エチレンオキシドを平均1〜4個はさんだものです。名前の「レス」がその印です。

硫酸系シャンプーには硫酸が入っているのですか?

強い酸の硫酸そのものは入っていません。「硫酸系」は、分子の中の硫酸エステル塩という水になじむ部分をさす呼び方です。

ラウレス硫酸Naとラウリル硫酸Naはどちらが刺激が強いですか?

ラウリル硫酸Naのほうが強く出ます。2つを並べて比べると、濃さが半分でも、ラウリル硫酸Naのほうが刺激が強く出たという結果があります。

硫酸系の成分に発がん性はありますか?

ラウリル硫酸Naは、実験動物で発がん性を示していません。ラウレス硫酸Naの製造でできうる不純物の1,4-ジオキサンは別の話で、ごく微量に抑える取り組みが続いています。

硫酸系シャンプーで髪が抜けますか?

動物の試験で毛包に洗浄成分が付いたという記述がもとになった話で、人で抜け毛が増えたという結果とは別のものです。よくすすぎ、赤みやかゆみが出たら使うのをやめましょう。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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