成分辞典やさしい解説

シロキクラゲ多糖体をやさしく解説!ヒアルロン酸と比べた保湿力の根拠とは?

あるコスメオタク・2026.10.02・更新 2026.10.21・成分解説
ケア保湿

「シロキクラゲ多糖体はヒアルロン酸の何倍も保湿する」という説明を見かけると、本当にそこまで水を抱えるのか、ヒアルロン酸から乗りかえたほうがいいのか、気になりますよね。

結論から言うと、シロキクラゲ多糖体は、白いキノコからとった、角層の表面で水を抱えてうるおいを与える保湿成分です。ヒアルロン酸を上回ったという結果は、水を吸う量を比べたもので、保湿力のすべてではありません。ヒアルロン酸の代わりというより、別の保湿成分のひとつとして見るのがちょうどいい成分です。まずは、肌の乾燥がどこで起きているかから見ていきましょう。

乾燥は、角層の水分が逃げて足りなくなること

肌の乾燥は、いちばん外側の角層から水分が逃げて、うるおいが足りなくなることで起きます。シロキクラゲ多糖体の働きを知るには、角層がどうやってうるおいを保っているかを先に見ておくとわかりやすいです。

角層は、この3つのバランスでうるおいを保っています。

角層の下の表皮 1 2 3
  1. 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
  2. 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
  3. 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド

角層では、皮脂膜が表面をおおい、天然保湿因子が細胞の中で水を抱え、細胞間脂質が細胞のすき間を埋めて水分を逃がしません。細胞間脂質の約50%はセラミドです。ところが、暖房した部屋のように空気が乾いていると、肌の表面から水分がどんどん奪われ、かさつきや肌あれにつながります。

つまり乾燥の手入れでは、角層に水分を抱えさせることが大事です。ここで働くのが、シロキクラゲ多糖体のような保湿成分です。

シロキクラゲ多糖体は、角層の表面で水を抱えてうるおいを与える

シロキクラゲ多糖体は、大きな分子そのものが水を抱えて、角層の表面にうるおいを与える成分です。保湿成分のやり方には、油で上からふたをするもの、角層の成分となじんで水を抱えるもの、大きな分子が水をためこむものがあり、シロキクラゲ多糖体はヒアルロン酸と同じ3つ目の仲間だからです。

シロキクラゲ多糖体は角層の表面で水を抱え、うるおいを与えます。

使う前 水分が逃げて、乾く 使ったあと 水を抱えて、うるおう 角層 表皮 真皮

たとえば、シロキクラゲのエキスを0.1%入れた化粧品を塗ると、入れていないものに比べて、肌から蒸発する水分が12.4%少なく、角層の水分も保たれていたという結果があります。

化粧品として言えるのは「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の乾燥を防ぐ」「肌荒れを防ぐ」といった範囲です。シロキクラゲ多糖体は医薬部外品の有効成分ではないので、これをこえる効能はうたえません。ほかに、とろみをつける、肌の上にべたつきの少ない膜をつくる、洗浄料の泡をきめ細かくするといった目的でも入っていて、原料の技術資料ですすめられている配合量は0.05〜0.5%です。

シロキクラゲ多糖体は、乾燥や肌あれが気になるときに、角層に水を抱えさせる保湿成分です。

白いキノコからとった、糖がつながった大きな分子

シロキクラゲ多糖体は、白いキノコのシロキクラゲからとった、糖がたくさんつながった大きな分子です。シロキクラゲは中華料理や薬膳で食べられてきたキノコで、黒いキクラゲとは別の種類です。

3世紀ごろの中国の薬物書に初めて記され、長く食材や生薬として使われてきました。日本でも、医薬品のような効能をうたわない限り医薬品とは判断しない原材料として、国のリストに子実体が載っています。化粧品の原料はこの子実体から抽出した多糖で、全成分表示では「シロキクラゲ多糖体」か「シロキクラゲエキス」と書かれます。スノーマッシュルームやトレメラは通称です。

シロキクラゲ多糖体はマンノースの鎖に枝がつき、ヒアルロン酸は2種類の糖が交互につながっています。

シロキクラゲ多糖体 ヒアルロン酸 マンノース キシロース グルクロン酸 もう1つの糖

中身は、マンノースという糖がつながった鎖を軸に、キシロースとグルクロン酸という糖が枝のようについた形です。分子の大きさは分子量1,000台から300万を超えるものまで幅があり、原料の技術資料では100万以上とされています。

枝のある大きな糖の鎖が、水を抱えると覚えておきましょう。

ヒアルロン酸を上回ったのは、水を吸う量の比べ方

「ヒアルロン酸の〇倍」と聞くと、ヒアルロン酸よりずっとうるおうように思いますよね。でも、シロキクラゲ多糖体がヒアルロン酸を上回ったという結果は、試験管の中で水を吸う量を比べたものです。「〇倍」という倍数は、海外のブランドの商品説明で使われている言い方です。

たとえば、湿った空気の中で水を吸わせると、ヒアルロン酸は途中で水の量が増えなくなったのに対し、シロキクラゲのエキスはそのあとも水を吸い続けたという結果があります。原料の技術資料でも、水でふくらませると、ヒアルロン酸Naより多くの水を吸ったとされています。

どちらも「水を吸う量」の話です。数字を見かけたら、何を比べた結果かを見てから受け取りましょう。

保湿力は、水を吸う力と逃がさない力に分けて見る

保湿力は、空気中の水を吸い寄せる力と、抱えた水を逃がさない力の2つに分けて見ると、成分の得意なことがわかります。どちらの力で比べるかで、成分の順位が入れ替わるからです。

たとえば、ヒアルロン酸Naは、水を吸う力ではグリセリンやPCA-Naにおよびませんが、抱えた水を保つ力にすぐれていたという結果があります。シロキクラゲ多糖体がヒアルロン酸を上回ったのは、前の章のとおり、おもに水を吸う力のほうでの話です。

水溶性プロテオグリカンの「ヒアルロン酸と同等」も、試験管での比べ方です。「保湿力が高い」と書かれていたら、吸う力か、逃がさない力かを見てみましょう。

パッチテストでは赤みも刺激も出ていない

シロキクラゲのエキスを肌に貼って調べたパッチテストでは、赤みや刺激は出なかったという結果があります。シロキクラゲ多糖体は、医薬部外品の添加物としても使える成分です。

ただし、キノコ類に食物アレルギーがある人は、新しい製品を使うとき、様子を見ながら試すと安心です。

赤みやかゆみが出たら、使うのをやめて様子を見るのが基本です。

「ヴィーガンのヒアルロン酸」ではなく、別の保湿成分

シロキクラゲ多糖体は「ヴィーガンのヒアルロン酸」「植物性のヒアルロン酸」と呼ばれることがあり、原料にはビーガンや植物由来の認証表記がついているものもあります。でも、ヒアルロン酸の植物版ではなく、別の保湿成分です。ずれている点が3つあるからです。

1つめは、キノコは生物学では植物ではなく菌類であること。2つめは、化粧品のヒアルロン酸Naも、動物由来とは限らないこと。かつては鶏のとさかからとっていましたが、近年はバイオ技術でつくられています。3つめは構造で、ヒアルロン酸は2種類の糖が交互に繰り返す鎖、シロキクラゲ多糖体はマンノースの鎖に別の糖が枝のようについた形です。共通点は、グルクロン酸を含む大きな多糖というところまでです。

シロキクラゲ多糖体は、ヒアルロン酸と並ぶ、水を抱える保湿成分のひとつとして見るのが正確です。

まとめ

シロキクラゲ多糖体は、ヒアルロン酸の代わりではなく、水を抱える保湿成分のひとつとして、うるおいの範囲で選ぶのがちょうどいい成分です。

よくある質問

シロキクラゲ多糖体はどんな成分ですか?

白いキノコのシロキクラゲからとった多糖で、水を抱えて肌の表面にうるおいを与える保湿成分です。全成分表示では「シロキクラゲ多糖体」か「シロキクラゲエキス」と書かれ、スノーマッシュルームやトレメラは通称です。

シロキクラゲ多糖体はヒアルロン酸より保湿力が高いのですか?

上回ったという結果は、試験管の中で水を吸う量を比べたものです。ヒアルロン酸は抱えた水を逃がさない力にすぐれていて、得意なことが違うので、別の保湿成分として見るのがおすすめです。

「ヒアルロン酸の〇倍」という数字はどこから来たのですか?

海外のブランドの商品説明で使われている言い方です。もとになっているのは、試験管の中で水を吸う量を比べた結果です。

シロキクラゲ多糖体を肌に塗るとどうなりますか?

シロキクラゲのエキスを0.1%入れた化粧品を塗ると、入れていないものに比べて肌から蒸発する水分が12.4%少なく、角層の水分も保たれていたという結果があります。

シロキクラゲ多糖体は「ヴィーガンのヒアルロン酸」ですか?

別の成分です。キノコは植物ではなく菌類で、化粧品のヒアルロン酸Naも近年はバイオ技術でつくられ動物由来とは限らず、2つは構造も違います。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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